2012年に映画『ドライヴ』で日本の映画ファンに、その名を知らしめたニコラス・ウィンディング・レフン監督。
ふたたびニコラス・ウィンディング・レフン監督&ライアン・ゴズリングがタッグを組んだサスペンスドラマ。
『オンリー・ゴッド』をご紹介します。
1.映画『オンリー・ゴッド』の作品情報
【公開】
2014年(デンマーク・フランス映画)
【原題】
Only God Forgves
【監督】
ニコラス・ウィンディング・レフン
【キャスト】
ライアン・ゴズリング、クリスティン・スコット・トーマス、ビタヤ・パンスリンガム、ラター・ポーガーム、トム・バーク
【作品概要】
『ドライヴ』にてカンヌ国際映画祭監督賞を受賞した、ニコラス・ウィンディング・レフン監督が、バンコクを舞台にした復讐劇。
今作もカンヌで上映されましたが、独特の映像美を賞賛する声もあれば、バイオレンスシーンにブーイングをするものなど、賛否両論を巻き起こした問題作となっています。
2.映画『オンリー・ゴッド』のあらすじとネタバレ
バンコクのボクシングジムを経営するジュリアンは、兄ビニーとともに裏で麻薬の密売も行いながら生計を立てていました。
無口で感情をほとんど表に出さないジュリアンとは反対に、気性の荒いビニーは道で見つけた16歳の少女を暴行し、命を奪ってしまいます。
現場に駆けつけたのは、裏社会を取り仕切る元警官・チャン。彼は少女の父親を呼び出し、ビニーに復讐するようにいいます。
ビニーは、その父親に撲殺され、見るも無残な姿に…しかも今度はその父親を連れ出し、「自分の娘の商売を黙ってみていた、お前にも責任がある」といって、チャンは何もない背中から、突然刀を取り出すと父親を斬りつけます。
その頃、ジュリアンはホテルの一室で、顔馴染みの娼婦マイと過ごしていました。
しかしそこで、ジュリアンはまだ会っていない、チャンの幻覚を見ます。
気がつくと、部屋にジュリアンらの仲間がひとりやってきて、ビニーの死を伝えます。
ジュリアンは表情を変えずに、その訃報を聞きます…
数日後、ビニーの死を聞きつけた母・クリステルがアメリカからタイへやってきます。
彼女はチェックインの時間よりも早くホテルに着き、受付嬢と揉め、口汚い言葉で受付嬢をののしります。
ジュリアンは、兄を殺したあの父親の所在を突き止め、拘束します。
父親は、チャンに片腕を切り落とされていました。なぜ殺したのか?ジュリアンに問い詰められた父親は、ありのままを話します。
その後、またしてもホテルでチャンの幻覚をみるジュリアン。
部屋に戻ると、そこには母クリステルが座っていました。彼女は長男の復讐をジュリアンに任せており、その結果を聞きにきたのですが、ジュリアンは父親を逃がしていました。
理由を聞かれても、「状況が複雑なんだ」というジュリアンに対し、苛立つクリステルは他のものを差し向けると言い放ちます。
結局父親は、クリステルの金で雇われたごろつきに殺されてしまいます。これで終わったと思うクリステルですが、仲間からチャンの存在を伝えられます。
すると今度は、ジュリアンのジムに、警官が訪れ、父親が殺害された件で聞き込みをします。
何も知らないと、淡々と言うジュリアンですが、そこに幻覚で現れていたチャンが姿を現します。
3.映画『オンリー・ゴッド』の感想と評価
今作の特徴は、なんと言っても映像美とバイオレンス描写のコントラストです。
青や赤の照明が登場人物を彩りながらも、目を覆いたくなるような惨たらしい場面の数々。
復讐劇なので、フィルム・ノワールというジャンルになると思うのですが、これまでに見たことのないような作風になっています。
他にも適役チャンの、抑制されながらも強烈な印象を残すキャラも注目です。
一般人に合法的に復讐を許可したり、課と思えば許可を出した男に制裁を加えたり…
さらにその制裁を加えるとき、何もない背中に、剣を引き抜くように手を伸ばすと、あら不思議。なんと刀が現れるではありませんか!
おまけに一仕事終えると、バーのような場所でカラオケを熱唱(それを黙って効いている部下…)
決闘シーンでは、クリフ・マルティネスが手がけるカッコいいサントラをバックに、ハリウッドスターであるライアン・ゴズリングをぼっこぼこにしたあと、何食わぬ顔でスタスタと去っていく様は、一度見たら忘れられません。
賛否両論別れている作品ですが、一度ハマッてしまうとやみつきになる中毒性があります…
まとめ
今作『オンリー・ゴッド』は、カンヌ国際映画祭の上映ではスタンディングオベーションとブーイングが飛び交い、大きく賛否が分かれた問題作でもあります。
そのカンヌでは惜しくもグランプリを逃したものの、第60回シドニー映画祭ではグランプリを受賞した作品でもあるのです。
ニコラス・ウィンディング・レフン監督とライアン・ゴズリングが再タッグを組んだ『オンリー・ゴッド』。
どのような問題作なのか?
ぜひ、あなたの目でご覧いただくのがよいのではないでしょうか…。
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