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Entry 2018/11/16
Update

映画『アウト&アウト』あらすじネタバレと感想。遠藤憲一演じる政男が結末に出す答えとは

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

小学生の少女と、探偵事務所を営む元ヤクザの男が、殺人事件に巻き込まれていく、犯罪エンターテインメント映画『アウト&アウト』

映画『藁の楯』の原作者としても知られる、きうちかずひろ監督が18年ぶりにメガホンを取った、本作をご紹介します。

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映画『アウト&アウト』の作品情報


(C)2017「アウト&アウト」製作委員会

【公開】
2018年11月16日(日本映画)

【原作・監督・脚本】
きうちかずひろ

【共同脚本】
ハセベバクシンオー

【キャスト】
遠藤憲一、岩井拳士朗、白鳥玉季、小宮有紗、中西学、酒井伸泰、安藤一人、渡部龍平、渋川清彦、成瀬正孝、阿部進之介、竹中直人、高畑淳子、要潤

【作品概要】
漫画原作や小説家と知られ、1991年の『カルロス』で監督デビュー後、犯罪映画を数多く制作してきた、きうちかずひろ監督が自身の原作を映像化。

主演にテレビや映画などで、幅広い役柄をこなす遠藤憲一、共演に若手注目俳優の岩井拳士朗。

NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で注目された子役、白鳥玉季に加え、竹中直人、高畑淳子、要潤などの名優が脇を固める。

映画『アウト&アウト』あらすじ


(C)2017「アウト&アウト」製作委員会
立体駐車場でゴムマスク姿の、2人の男と銃の取引をする青年、池上数馬。

ゴムマスク姿の男達は、池上が素人だと分かると、態度を変えて銃を渡さずに、お金だけ奪おうとします。

池上は、ゴムマスク姿の男達に素手で応戦し、銃を奪ってその場から立ち去ります。

東京都内で、探偵事務所を開いている矢能政男。

矢能は、かつて日本最大の暴力団・菱口組最高幹部の側近でしたが、現在は足を洗っています。

矢能と暮らしている小学二年生の少女、栞。

探偵事務所を営みながらも、興味が無い依頼は平気で断る矢能に、栞は呆れながら、心配していました。

ある日、矢能の携帯電話に1本の電話が入ります。

それは「取引の現場に立ち会ってほしい」という依頼の電話でした。

矢能は不審に感じ断ろうとしますが、電話の男は矢能の元舎弟である、工藤からの紹介で電話をしており「頼りになる人だと聞いている」と食い下がります。

仕方なく矢能は、男に指定された茅場町のビルに向かいますが、事務所の中で依頼人の死体を発見します。

背後からゴムマスクを被った池上に襲われた矢能は、自分の指紋を池上殺害に使った拳銃に付着させられます。

池上は「この事を喋ったら、この拳銃を警察に渡す」と矢能を脅し、殺害現場から立ち去ります。

残された矢能は、依頼人のパスポートと携帯電話を押収、パスポートから依頼人の名前は「安田義行」という事が分かります。

矢能は、裏家業の掃除屋に現場を処理させて、安田の死体を保管させます。

安田の携帯電話から、矢能は安田の姉の番号を突き止め連絡しますが、姉からは「安田は3年前にカンボジアで死んだ」という情報を聞かされます。

矢能は知り合いの情報屋を使い、安田の情報を調べさせようとしますが、旧知の仲である情報屋は、矢能が厄介ごとに首を突っ込み、何かあった時の栞の事を心配します。

矢能は、ある事件で亡くなった探偵の跡を継いで、探偵事務所を営んでいました。

そして、母親に虐待されていた栞の保護を、その探偵に頼まれて、矢能は栞を預かっています。

矢能は栞の引き取り先を探した事もありますが、結局見つからず「栞には自分しかいない」事を誰よりも分かっていました。

次の日、矢能の事務所に安田の恋人だった女性が訪れます。

安田の失踪に疑問を感じた恋人は、矢能へ安田捜索の依頼をし、矢能も依頼を受けます。

矢能は、昔からの知り合いである、悪徳刑事の次三郎に連絡し、安田の携帯電話の通話記録を調べさせます。

工藤から「会わせたい人がいる」と連絡を受けた矢能は、工藤の事務所で待たされ、イラつきを隠せません。

遅れて来た工藤が現れ「トラブルが起きた」と報告します。

児童買春をしていた、リュウという男を痛めつけ、リュウが持っていた顧客リストを押収しましたが、そこへ菱口組の厄介者で知られるヤクザ、手島が絡んで来たと説明します。

工藤のトラブルに興味が無い矢能は、自分を呼んだ要件を説明させます。

工藤は独自に探りを入れ、安田の知り合いを名乗る男を突き止め、事務所に呼んでいました。

ですが、男は何も知らず、情報量だけをせびるのが目的と、一瞬で見破った矢能は、男の手を殴り立ち去ります。

事務所には次三郎が来ており、安田の通話記録を矢能に渡します。

「聞いてほしい悩みがある」と言う次三郎を追い返し、矢能は通話記録にある番号に電話します。

連絡先は国会議員の、鶴丸清彦の連絡先でした。

矢能は機転を利かせて安田が生きていると、嘘の情報を与えて電話を切ります。

長年、悪党と関わってきた矢能は、安田が鶴丸を強請っていたと考えます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『アウト&アウト』ネタバレ・結末の記載がございます。『アウト&アウト』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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矢能は情報屋と会い、鶴丸に行きついた事を報告、情報屋も鶴丸の父親の代から関わっていた、格闘家である堂島哲士という男の情報を、矢能に伝えます。

運転手に、工藤の舎弟である佐々木を使い、矢能は堂島の道場へ向かいます。

道場では池上が、堂島の指導を受けており、矢能は安田殺害現場で遭遇した男は、池上であると感づき「安田は生きている」と伝えます。

「完璧な仕事をした」と信じていた池上は逆上し、矢能に襲いかかりますが、矢能は銃で池上の足を撃ち抜き「お前に用は無い」と、あしらいます。

矢能は堂島へ、安田の窓口が自分である事を伝え、名刺を置いて道場を後にします。

安田殺害に失敗したと思い込んでいる池上は、鶴丸に連絡をして、再度安田を殺害する事を伝え、鶴丸に赤坂のホテルへ呼び出されます。

矢能は、栞を危険な事に巻き込まない為に、矢能が親切にしている婆さんの元へ行かせます。

赤阪のホテルで、講演会を開く鶴丸。

矢能は鶴丸の講演会を邪魔するように、話の途中で拍手をするなど妨害を行います。

一方、池上は鶴丸の秘書である青木に、赤阪のホテルの駐車場に呼び出されますが、そこで青木に車で突進されます。

青木は「お前がいると、先生の迷惑になる」と池上を殺害しようとしますが、応戦した池上に、コンクリートへ頭を打ち付けられ絶命、池上は逃げ出します。

池上は矢能の事務所へ行き、銃を使って復讐しようとしますが、事務所にいたのは栞でした。

戸惑った池上は、物陰に隠れて、事務所を出た栞の跡を付けます。

赤阪のホテルを出た矢能は、栞の携帯電話から着信を受けますが、電話の相手は池上でした。

「栞をさらった」と言う池上、矢能は池上に指定された場所へ向かいます。

電話を終えた池上は、栞に携帯電話を返します。

実際には栞を誘拐しておらず、「バッテリーが切れた」と栞から携帯電話を借りただけでした。

栞が立ち去った後、青木殺害の捜査をしていた警察官から、池上は職務質問を受けます。

動揺した池上は、警察官へ発砲しますが、応戦した警察官の銃弾が腹部に当たり、池上は逃亡します。

逃亡途中、力尽きて倒れた池上の所に矢能が現れます。

池上は矢能に「悪いのは全て鶴丸、あいつを地獄に送ってほしい」と、堂島から受け取った謝礼金100万円で、矢能に依頼します。

矢能は深く追求せず、池上の依頼を受けます。

堂島を訪れた矢能は、池上の事を伝えます。

池上の母親が、病気になった際に、堂島が腎臓を母親に提供し、母親は延命しました。

ですが、堂島の体調が悪くなり始め、池上は堂島へ申し訳ない気持ちを持ち続けていました。

池上の気持ちを楽にする為、堂島が池上に命じたのが、安田殺しだったのです。

その事実を語った後、堂島は自分のこめかみに銃口を向けます。

その夜、池上が自分に近付いた理由を、栞は矢能に追求していました。

矢能は、池上から依頼を受けた事を栞に伝え「絶対に、1人にしない」と約束します。

一方、鶴丸の元へも、堂島が自殺した事で、刑事が事情徴収に来ますが、鶴丸は圧力をかけて刑事を帰らせます。

1人になった鶴丸が、回想するカンボジアでの出来事。

選挙を目前にした鶴丸は苦戦をしており、外交プログラムでカンボジアを訪れていました。

その際に、コーディネーターを務めたのが安田で、鶴丸は現地の家族とバスで移動をしていまいた。

しかし、バスが事故に遭い谷底に落下、直前に地上へ投げ出された鶴丸は、カンボジア人の赤ん坊を預かります。

その様子を秘書の青木が撮影し、鶴丸は「子供を助けた英雄」として人気が上昇し選挙に当選しました。

ですが、写真を撮影している間に、もう何人か救助できたのも事実、安田はバスの車内から怒声を発し、谷底へ落下していきまいた。

安田が生きていた事を知った鶴丸は、安田によって事実を知らされる事を恐れていました。

次の日、矢能は鶴丸に電話をし「安田が告発文を書くと言っている」と伝え、安田を止める事を条件に5千万円の報酬を要求し、深夜に鶴丸と会う約束をします。

事務所に戻った矢能は、情報屋と作戦会議をし、鶴丸の車のトランクに安田の死体を入れ、そこを警察に抑えさせる事を計画します。

矢能は、佐々木に安田の死体を取りに行かせます。

しかし、工藤が現れ、リュウの少女買春の件で、工藤の舎弟が手島を殺してしまったと伝えられます。

そして、佐々木に自首させようとしますが、佐々木を使いたい矢能は反対します。

そこへ、悩みを聞いてほしい次三郎が現れます。

次三郎は、出来心で町工場の売り上げを盗んでしまったが、それが監視カメラに映っていて困っているとの事でした。

また、佐々木から連絡があり、安田の死体は固まっていて、回答に48時間かかるという事でした。

「計画が実行できない」矢能は頭を抱えます。

深夜のホテル、鶴丸は矢能から「状況が変わって、行けなくなった」と連絡を受けます。

ホテルから出た鶴丸は、居合わせた次三郎に、車のトランクを見せるように言われますが拒否して、そのまま走り去ります。

猛スピードで走る鶴丸の車に、佐々木が運転する車が接触、警察を呼ぼうとする佐々木を、鶴丸は現金を払い止めます。

佐々木が立ち去った後、鶴丸は車を動かそうとしますが、エンジンがかからず、鶴丸は5千万円を持って逃げ出します。

次の日、鶴丸が置き去りにした車のトランクから、死体が出た事で鶴丸は連行されます。

取調室で「安田が国家の陰謀に関わっており、自分は嵌められた」と証言する鶴丸に、刑事は伝えます「トランクから出た死体は、手島というヤクザだ」と。

また、トランクに死体と一緒に入っていたUSBメモリーの、少女買春の顧客リストに、工藤の手によって、鶴丸の名前が入っていました。

ついでに、次三郎が盗んだ街工場のお金も金庫ごと入っており、少女買春の顧客だった鶴丸が、手島と金銭トラブルで揉めた結果の殺害事件とされます。

探偵事務所で矢能は、栞に全て終わった事を伝え、栞に自分の娘になる事を提案、栞もそれを受け入れます。

池上の墓前で、手を合わせる女性。

彼女は、池上が毎月通っていた花屋の店員で、池上と仲良くなっていました。

彼女は、不器用に自分をデートに誘う、池上の事を思い出していました。

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映画『アウト&アウト』感想と評価


(C)2017「アウト&アウト」製作委員会
これまで、数々の犯罪映画を制作してきた、きうちかずひろ監督が、自身の原作を映画化した18年ぶりの新作となる『アウト&アウト』。

悪党が入り乱れる本作で主役を演じたのが遠藤憲一

最近はテレビなどで、コミカルな役も多く演じていますが、過去にVシネマで、強面のアウトロー役を数多く演じてきました。

矢能は無口で不愛想ですが、心の優しい頼りになる男で遠藤憲一の雰囲気に合い、非常にハマっています

本作に登場する人物は、大きく分けて「良心を持ち続けている人間」と「良心を失った悪党」の二種類となります。

「良心を持ち続けている人間」は、栞や池上数馬。

「良心を失った悪党」は、ヤクザの工藤や悪徳刑事の次三郎、そして保身の為に殺人を繰り返した鶴丸。

矢能は、この二種類の人間の中間に立っており、悪党には容赦がありませんが、良心を持った人間には優しく、救いの手を差し伸べようとします。

そして、「悪党か?良心のある人間か?」という本質的な部分を見抜く感覚を持っている事が、矢能というキャラクターの最大の魅力です。

また、「良心を持ち続けている人間」の、悲しいドラマを表現しているのが池上数馬。

彼は、母親の命を延命してくれた、堂島の恩義に報いる為に殺しを続け、堂島への恩返しが存在意義になっています。

それは「純粋すぎる良心」からの行動で、ある意味で危険な存在とも言えますが、その生き方しか知らない悲しさも含んでいます。

池上が花屋の女性店員と触れて、人間らしい心が芽生えるエピソードで、この悲しさはより際立って来ます。

しかし、池上は「自分が妄信していた鶴丸が、真の悪党と気付き、自分の無念を矢能に託します。

ここで、深くは追求せず「分かった、任せろ」とだけ、池上に伝える矢能は、とにかくカッコよく鳥肌が立つ名場面になっています。

そこから、政治家の鶴松という、本来なら太刀打ちできない相手に、頭脳のみで勝負する展開は見事で『ミッション インポッシブル | ローグ ネイション』などに通じる爽快感があります。

本作は、人間が持つべき良心の、必要さや危うさを問いながら、純粋に「犯罪エンターテインメント」としても楽しめます。

まとめ


(C)2017「アウト&アウト」製作委員会
悪党には容赦ない矢能ですが、一緒に暮らす小学二年生の栞には頭が上がらず、そこが本作の面白さの1つになっています。

探偵として仕事が無い矢能に呆れながら、仕事が入れば景気づけに鍋料理を作り、矢能にビールを出して勢いづける様子は、ほとんど夫婦です。

栞を演じた白鳥玉季さんが上手く、振り向きざまの表情だけで、気持ちを表現する自然な演技は本当に凄いです。

本作では、矢能が探偵になった過去や、栞を預かる事になった理由に関して触れられていませんが、原作小説はシリーズものとなっており、矢能が探偵と出会うエピソードもあるみたいですね。

遠藤さんの矢能がまた見たいので、他の作品も映画化してほしいです。

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