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Entry 2020/06/14
Update

映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』感想評価と考察レビュー。実話(1979年)の事件を基にBALLOONを手作りした飛逃亡

  • Writer :
  • 松平光冬

東ドイツから熱気球での逃飛行を図った家族を描いた実録ドラマ

東西冷戦下、手作りの熱気球で西ドイツを目指した平凡な家族がいた――

奇想天外な実話を描いた映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』が、2020年7月10日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開されます。

監督は『小さなバイキング ビッケ』(2009)が高い評価を得たミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ。『ルートヴィヒ』のフリードリヒ・ミッケ、『ガーディアン』のカロリーヌ・シュッヘが主役夫婦を演じています。

映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』の作品情報

(C) 2018 HERBX FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH AND SEVENPICTURES FILM GMBH

【日本公開】
2020年(ドイツ映画)

【原題】
Balloon

【監督・製作・共同脚本】
ミヒャエル・ブリー・ヘルビヒ

【脚本】
キット・ホプキンス、ティロ・レーシャイゼン

【撮影】
トルステン・ブロイアー

【編集】
アレクサンダー・ディットナー

【音楽】
ラルフ・ベンゲンマイアー、マービン・ミラー

【キャスト】
フリードリヒ・ミュッケ、カロリーヌ・シュッヘ、デヴィッド・クロス、アリシア・フォン・リットベルク、トーマス・クレッチマン

【作品概要】
1970年代末の東西冷戦下の東ドイツを舞台に、手作りの熱気球で西ドイツへの亡命を目指した、シュトレルツィクとヴェッツェルの両家族の実話を描きます。

シュトレルツィク家の主ペーター役を『ルートヴィヒ』(2012)のフリードリヒ・ミッケ、妻ドリス役を『ガーディアン』(2014)カロリーヌ・シュッヘ。そのほか、ペーターの親友ギュンター・ヴェッツェル役を『愛を読むひと』(2009)のデビッド・クロス、亡命を阻止しようとする秘密警察のザイデル役を『戦場のピアニスト』(2002)のトーマス・クレッチマンが演じます。

監督は、『小さなバイキング ビッケ』(2009)が高い評価を得たミヒャエル・ブリー・ヘルビヒです。

映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』のあらすじ


(C) 2018 HERBX FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH AND SEVENPICTURES FILM GMBH

1979年の東ドイツ。

抑圧された日常を送る電気技師ペーターとその家族は、手作りの熱気球で西ドイツを目指します。

ところが、国境まであと数百メートルというところまで行くも、機材トラブルにより不時着してしまいます。

準備に2年を費やした計画の失敗に落胆するペーターたちでしたが、気球の設計に携わっていた親友ギュンター・ヴェッツェルの励ましにより、再度亡命することを決意。

兵役を控えているギュンターも妻のペトラと一緒に亡命するため、タイムリミットはわずか6週間しかない中、彼らは新たな気球作りに着手します。

しかし、西側への亡命を厳しく取り締まる“秘密警察”こと国家保安省シュタージが、不時着した気球の残骸を手掛かりに捜査を開始。

国家の威信を守ろうとするザイデル中佐主導による捜査の手は、着実にペーターたちを追い詰めていきます……。

映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』の感想と評価


(C) 2018 HERBX FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH AND SEVENPICTURES FILM GMBH

自由と刺激に満ちた“理想郷”西ドイツに憧れた者たち

本作『バルーン 奇蹟の脱出飛行』の舞台となる東ドイツ(ドイツ民主共和国)は、社会主義国家らしく、1969年には若者の長髪禁止が取りざたされるなど、生活への抑圧が市民に息苦しさを与えていました。

それが、73年の西ドイツとともに国際連合への加盟を機に、充実した年金や福祉制度の実現を図るべく、西側の情報や物が入るようになります。

これにより、娯楽要素たっぷりなテレビ番組や、デジタル腕時計などの最新機器といった西側からの刺激に惹かれ、生活水準の向上を求めて、亡命を決意する東側の人間が後を絶たなかったと云われています。

(C) 2018 HERBX FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH AND SEVENPICTURES FILM GMBH

疑心暗鬼に満ちた監視国からの逃亡


(C) 2018 HERBX FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH AND SEVENPICTURES FILM GMBH

しかし、そんな逃亡者たちを取り締まっていたのが、秘密警察シュタージです。

ある者は川を泳いで渡り、ある者は地下にトンネルを掘って国境を突破しようとした人々を、シュタージは、容赦なく粛清。

本作の設定年である1979年には、約3600人もの東ドイツ市民が逃亡を敢行したものの、成功したのはわずか360人ほどだったとされます。

中でも、逃亡者の発見に尽力していたとされるのが、シュタージと密かにつながっていた、一般人の「協力者」たちでした。

最盛期は国内に20万人にも及んだというその協力者たちは、常に目を光らせ、不審な行動を取った者をシュタージに密告していました。

本作でも、ペーターやギュンターたちが周囲の人間に監視されていると疑心暗鬼になるシーンが頻発しますが、実はそれは誇張でもなんでもない、現実の東ドイツだったのです。

まとめ


(C) 2018 HERBX FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH AND SEVENPICTURES FILM GMBH

本作のモデルとなったシュトレルツィクとヴェッツェル両家の逃亡劇は、実は1982年に『気球の8人』のタイトルで映画化されています。

もっとも、こちらはディズニー製作ということもあってか、フィクション要素が少々高めとなっています。

参考映像:『気球の8人』(1982年)

そして、シュトレルツィクとヴェッツェル両家が逃亡に成功して約40年後に製作された本作『バルーン 奇蹟の脱出飛行』。

スタッフが実際の両家族に取材を重ねて構想していったというあらすじは、観る者をハラハラさせる、スリルに満ちたサスペンスドラマとなっています。

本作が日本公開される2020年は、東西ドイツが統一されて30年目となる節目でもあります。

現在でこそ一つの国となったドイツですが、その裏には、自由を求めて儚い命を落とした者たちの無念があったことを、忘れてはなりません。

映画『バルーン 奇蹟の脱出飛行』は、2020年7月10日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にてロードショー。

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