映画『ジオストーム』は1月19日(金)から全国ロードショーされています。
テクノロジーの推を集めた気象コントロール衛星を運営させから3年。突如、衛星が暴走を始めると世界各地で超異常気象を発生させます。
衛星の開発者である科学者ジェイクは、衛星の暴走した原因を突き止めようと単独で調査を始めますが…。
CONTENTS
1.映画『ジオストーム』の作品情報
【公開】
2018年(アメリカ映画)
【原題】
Geostorm
【製作・脚本・監督】
ディーン・デブリン
【キャスト】
ジェラルド・バトラー、ジム・スタージェス、アビー・コーニッシュ、アレクサンドラ・マリア・ララ、ダニエル・ウー、エウヘニオ・デルベス、エド・ハリス、アンディ・ガルシア
【作品概要】
世界中の気候を制御コントロールする人工衛星が突如暴走。同時多発的に各地で異常気象による災害に襲われる原因を探求する者たちを描く危機に立ち向かう人々の姿を描いたパニックアクション映画。
『インデペンデンス・デイ』の製作&脚本を手掛けたディーン・デブリンが初監督デビューを果たし、『エンド・オブ・キングダム』のジェラルド・バトラー、『ワン・デイ 23年のラブストーリー』のジム・スタージェスがローソン兄弟役を演じ、その弟の恋人役を『プロヴァンスの贈りもの』のアビー・コーニッシュが熱演。
そのほか実力派のエド・ハリス、アンディ・ガルシアが脇を固めています。
2.映画『ジオストーム』のあらすじとネタバレ
2019年、アメリカと中国の二国間を中心に、世界17カ国が技術の推を集め共同で開発した、ダッチボーイと呼ばれる天候を制御管理するシステムを宇宙空間に国際宇宙ステーションとして構築します。
これより世界は大規模な自然災害の心配や恐怖から解放されました。
ダッチボーイを開発したエンジニアで総責任者でもあるジェイク・ローソンは、有能なスタッフたちとともに気象の監視を衛星で行っていました。
ある日ジェイクは、アメリカ上院議員の査問にかけられてしまいます。
ダッチボーイの管理者としての資質を問われたことに激怒したジェイクは、弟マックスが諌めるも議長に持論を展開させて罵倒します。
案の定ジェイクは役職を解任されてしまいます。そして後任に選ばれたのはマックスでした。
これにより兄弟の関係も危ういものになってしまいます。
2022年に、アフガニスタンの村が住民ごと凍りつくという超異常事態が発生しました。
国連の調査により原因はダッチボーイの誤作動によるものだということが判明します。
ダッチボーイを管理しているのはアメリカ合衆国ですが、管理権は2週間後に国連へと委譲されることになっていました。
大統領のアンドリュー・パルマは緊急会見を開き、管理権がアメリカの手から離れるまで、誤作動の事実を隠蔽して控えることを決定させます。
しかし、マックスは過失を認めて早急にダッチボーイの不具合を探し出し、修正をすると主張しました。
3.映画『ジオストーム』の感想と評価
あの大物プロデューサーが初監督を務めていた⁈
本作『ジオストーム』を、またお決まりのディザスタームービーだろうと、勝手に思い込んでいた筆者は大いに反省させられました。
期待していた以上に楽しめる映画で、かつてB級映画が持っていたチャレンジ精神に満ちた味わいと、映画のお遊びに満ちた品格すら感じさせる作品に仕上がっています。
それもそのはず。
この作品を演出したのはディーン・デブリン。本作が監督デビュー作ですが、かつてローランド・エメリッヒ監督と一緒に映画界で一時代を築いた脚本家であり、プロデューサーです。
1992年の『スターゲイト』、1996年の『インデペンデンス・デイ』、1998年の『GODZILLA』、2000年の『パトリオット』などをあげれば、映画ファンのあなたなら、ああ見た、見たと頷くことでしょう。
そんな映画を知り尽くしたベテランのクリエーターが初めて演出をしたということもあり、「あれもこれもやりたい!」というのが作品の隅々にまで感じられるおもちゃ箱のような作品です。
あの作品もこの作品チャンポン映画!
本作に登場するあらゆるモチーフがスクリーンに映し出されると、過去の映画作品が脳裏に同じく投影されてきます。
気象パニック映画といえば、2004年の『デイ・アフター・トゥモロー』を思い出しますし、ダッチボーイという人工衛星の登場には、1979年の『007/ムーンレイカー』や1995年の『007/ゴールデンアイ』を想起させます。
それだけでなく国際宇宙ステーションの時限爆破装置は、1979年の『エイリアン』からの脱出サスペンスのお決まりパターン。
それだけでなく大統領警護の『ザ・シークレットサービス』だって、カーチェイスの『フレンチコネクション』だって、もちろん、宇宙飛行士帰還の『ゼロ・グラビティ』も盛り込まれています。
これこそブロックバスター映画というより、花のB級映画!王道まっしぐらという素敵な作品です。
これは嫌味ではなく、心の底から映画の持つ良い意味の俗っぽさにシビレますよ。
同時多発災害というテロの登場!
何よりこの作品が凄いことは、「宇宙」と「地上」ということなる場所を、ローソン兄弟の確執した「兄」と「弟」の関係で見せつつ、2つの場所から事件の真相を暴いていく構造です。
そこにこれまで上げたような映画の遊び心のモチーフを取り込んで、世界各地の超異常気象のビジュアル映像と、サスペンスを生み出して見せる異なる場所での同時進行のカット・バックされた編集の妙みです。
脚本もさることながら、この作品はサスペンス映画としての編集における、ひとつのお手本ともいえる作品ですから、エディターを担当したクリス・レベンゾンの技に惚れぼれしながら、名前も覚えていただきたいです。
あらためて映画の観客とは、傍観者として制限されたスクリーンの情報を全ての事実として認知して、あらゆる場所で起こっていることを全て知っている楽しみ(神の視線)を味わえることを楽しめる作品です。
ぜひ、そんな屁理屈よりも、あなたの想像しているより、うんと面白い作品ですよ。
まとめ
最後に少しキャストにも触れておきましょう。
本作をこれだけ面白い作品にしたのは、兄ジェイク・ローソンを演じたジェラルド・バトラー。
その弟マックス・ローソンのジム・スタージェスの2人の個性が共鳴し合っていたからでしょう。
物語のなかで同じ場所にいない2人が関係性を見せるという点において、それだけ演じる力のある俳優の証でしょう。
また、マックスの彼女役でシークレットサービスのサラ・ウィルソンも、タフで格好いいですよ!
さらには脇を固めた、これまたお決まりの癖のあるエド・ハリスやアンディガルシアなのだから、この作品が面白くない訳がない。
やはり演出やキャストそれぞれに、てんこ盛りなおもちゃ箱を引っ繰り返したような映画です。
映画『ジオストーム』は1月19日(金)から全国ロードショー中です。
劇場で鑑賞した方が素直に楽しめ、見ないと損する力作ですよ、お見逃しなく!