『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014)や『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(2017)など、数多くの名脚本を世に出したことで知られる脚本公開サイト「ブラックリスト」。
「ブラックリスト」に登録された多数の脚本家による映画化未着手の脚本を閲覧・評価可能な登録者になるためには、厳しい審査を通過した映画人でないといけないと言う条件があります。
そのため、「ブラックリスト」で評価された映画の中にはアカデミー賞を受賞するほどの作品も多くあり、日々映画化権を多数の映画人が奪い合っています。
そんなわけで、今回は「ブラックリスト」に登録された脚本から映画化されたNetflix先行配信映画『エクスティンクション 地球奪還』を紹介させていただこうと思います。
映画『エクスティンクション 地球奪還』の作品情報
【公開】
2018年7月27日(Netflix先行配信)
【原題】
Extinction
【監督】
ベン・ヤング
【キャスト】
マイケル・ペーニャ、リジー・キャプラン、マイク・コルター
【作品概要】
Netflixで先行配信されたSFアクション映画。
主演は『アントマン』(2015)や『オデッセイ』(2015)で存在感のある登場人物を演じたマイケル・ペーニャ。共演にNetflixオリジナルドラマ『ルーク・ケイジ』で主演を勤めるマイク・コルターなど。
映画『エクスティンクション 地球奪還』のあらすじとネタバレ
ピーターは毎日、空から何者かが襲撃してきて次々と人が殺される夢を見ます。
その夢と多忙な日々のせいで妻のアリス、娘のハンナ、ルーシーとの関係もギクシャクしつつあるピーターは、仕事中に滅多にしないミスをしてしまい仕事仲間のデヴィッドに心配されます。
都市開発のプレゼンを成功させたアリスは、家族と過ごすためその日は早く帰ることにします。
しかし、ピーターは職場で意識を失っている最中にまたも悪夢を見て、家族と約束した埠頭に行く予定には間に合いませんでした。
悪夢は日を重ねるごとに展開していき、遂にピーターは医者にかかることを決意しますが、病院の待合室で全く同じ夢を見ている男に出会ったことで、これが予知夢ではないかと考えはじめ、医者とは会わず家に帰ってしまうのでした。
夢の中では空からの侵略者を一度は撃退したものの、もう一度また宇宙人が来るとデヴィッドが言うシーンを見たりと、自分の知っている人たちが次々と夢に登場します。
自宅で行われた、妻主催のパーティの最中も空を見上げるピーターは、友人のレイとその妻から不評を買います。
しかし、その話しの最中に、空から降ってきた飛行艇のような物体に攻撃され、街は戦場となり崩壊を始めていきます。
自宅のマンションから、同じマンション内にあるレイの家に行ったハンナを探すため、ルーシーとアリスを自分の部屋に置いていったピーターとレイは、止まったエレベーターの中でハンナを発見します。
それぞれの娘とともに階段を上るピーターたちはマンションの中に侵入した侵略者が人を殺しているのを目撃。
アリスとハンナに合流し、アリスに夢との類似点を聞かれるピーターは夢と順序が違うことを話します。
夢ではデヴィッドと共闘してることから、仕事場を目指すことを提案するピーターですが、バリケードを築いた自室にも侵略者がやってきます。
ハンナを襲おうとした謎の戦闘服を着た侵略者をアリスと共に倒したピーターは家族全員を連れ自宅を出ます。
屋上で途中ではぐれたレイの家族と合流したピーターたちは、リフトを使いマンションからの脱出を試みますが、途中でリフトが壊れ、途中の階で降りることを余儀なくされます。
一方、ピーターが自室で倒した侵略者が意識を取り戻し、ピーターが持って行った銃の位置を発信器から特定。
敵の銃を解析し、生体認証がかかっていることを知ったピーターは10ブロック先にある仕事場の工場を目指しますが、飛行船の撃ったミサイルによってレイたちが死亡してしまいます。
銃を改造し、使えるようにしたピーターは敵を射殺するとマンションから脱出し、工場へ繋がるトンネルへと入りますが、飛行船による攻撃でアリスが横腹に深い傷を負ってしまいます。
夢と展開が違うことに違和感を覚えるピーターでしたが、子供たちを守ってとお願いするアリスを励ましながら工場を目指すのでした。
映画『エクスティンクション 地球奪還』の感想と評価
空からやって来た侵略者に攻撃を受け、ただひたすらに逃げたり、あるいは戦ったりする映画はSF映画では珍しいジャンルではありません。
ホラーテイストであれば『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956)であったり、娯楽作品であれば『インディペンデンス・デイ』(1996)など、手を変え品を変え数多くの作品が作られてきました。
今作もそんなプロットの作品ではあるのですが、主人公が日々襲われる悪夢から始まり、違和感を覚えたまま侵略者との戦闘が始まるなど、他の作品とは少し違ったテイストで物語が進んでいきます。
特に主人公が抱くことになる「違和感」の正体が明らかになる終盤と、全てが分かった後で感じる「戦争の不毛さ」はこのジャンルではあまり感じ得ないもので、今作が「ブラックリスト」で評価を受けた理由が分かる作品でした。
まとめ
主演のマイケル・ペーニャは今まで、“陽気な東洋系”や、“とにかくおしゃべり”と言った笑いが多い役者でしたが、今作ではそんな演技を封印し、笑い無しのシリアスな役を演じきっています。
作品内に重厚な雰囲気が漂うのも彼の演技によるところが強く、今までとは違った渋い一面を堪能することが出来る作品でもあります。
陽気な演技を再び見れる『アントマン&ワスプ』(2018)の公開前に、こちらを鑑賞してみてはいかがでしょうか。