Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2020/07/12
Update

『ワンダーウォール』広島映画館舞台挨拶に渡辺あや登壇。成海璃子・須藤蓮らの魅力と今後の“希望”を語る!

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『ワンダーウォール 劇場版』は2020年4月10日(金)より全国順次ロードショー中

京都の学生寮を舞台に、自分たちの居場所を奪われようとしている若者たちの揺れ動きながらも熱い胸の内を描いたドラマ『ワンダーウォール』。2018年の放送後にSNSなどで大きな反響を巻き起こした同作が、未公開シーンなどを追加した映画『ワンダーウォール 劇場版』として戻ってきました。


(C)Cinemarche

2020年4月10日(金)に封切りを迎えたのち、現在も全国にて順次公開中の映画『ワンダーウォール 劇場版』。このたび、脚本を担当した渡辺あやが、2020年7月11日(土)に広島・横川シネマでおこなわれたの舞台挨拶イベントに登壇しました。

本記事ではその舞台挨拶イベントの模様をお届けします。

スポンサーリンク

映画『ワンダーウォール 劇場版』舞台挨拶リポート


(C)Cinemarche

2020年7月11日(土)に広島・横川シネマでおこなわれた、映画『ワンダーウォール 劇場版』の舞台挨拶。本作の脚本を担当した渡辺あやが登壇しました。

製作を通じて若い人に伝わった渡辺の思い


(C)Cinemarche

ドラマ版の制作にあたっての取材を重ねていく間に、若い世代に対して「声を上げるということに対する深い諦めのようなもの」を感じていたという渡辺。彼らは問題意識をちゃんと持ちながらも、大勢の無関心によってかき消されるということに対する失望を感じていると分析し、対して本作の脚本執筆にあたりこういった傾向に向けて行動を起こしていくことを考えていたと明かします。

そして実際に、主人公役を務めた須藤蓮をはじめ、本作の製作キャスト、スタッフに対し進行の過程で若い人たちが「声を上げるようになった」と意識が変わっていった様子を感じたといいます。

また、ドラマ版では最後に有志で集まった楽器奏者によるオーケストラ演奏がドキュメンタリータッチで描かれいますが、『劇場版』では新たに有志の楽器奏者を募り、さらに規模を大きくしたことで迫力の増した演奏シーンが追加されています。

こういった構成を導入した経緯について、渡辺は「もちろんこの物語はハッピーエンドで終われない。でも、重たいものだけだとみんな(真意を)忘れてしまうところもあると思ったので、明るい感じにしたくて。そうするためには音楽だと思ったんです」とコメント。

続けて「シナリオでは“音楽の合奏”と書いて……平たく言うと(音楽担当の)岩崎太整さんに丸投げという感じにした」と語って笑いを誘いながらも、あるときに岩崎から「ケンカをしていても音楽はできる」という話を聞いたことを振り返りながら「音楽って壁がないなと思った」と改めて物語のラストを回想しました。

強い印象で選ばれたメインキャスト


(C)Cinemarche

また渡辺は、本作の制作ではさまざまな事情によりキャスティングに苦労したことを振り返りながらも、オーディションでも印象深かった5人のメインキャストのエピソードについても回想。

特にヒロインの成海璃子に関しては「(その役には)“経済主張主義”という言葉で始まるセリフがあって、普段の会話でこんな言葉を言える人ってなかなかいないと思うんですが、成海さんはそういうことを言えるダントツのたたずまいを持っていたんです」と、彼女の起用に奇跡的な縁があったことを振り返りました。

また初主演を務めた須藤について、その当時はまだ演技経験のない中でオーディションを受けた彼が、劇中のコタツで寝るというシーンを演じた際に自然に寝っ転がった様子を見て、監督とともにその演技に対する意識の高さを感じ取っていたことを明かしました。

純粋なモノづくりを意識した創作


(C)Cinemarche

2011年の東日本大震災の日以来、さまざまな思いが重なったことで、敢えて個人賞の受賞を自主的に辞退しているという渡辺。その要因について、「自分の前にぶら下がるものを避けたいというか。モノを作るということを純粋に楽しみ、余計な誘惑にまどわされたくないという思いがある」と、モノづくりにおける自身の役割に対する意識を高め続けていることを語ります。

また昨今のコロナ渦の影響についても言及し、業界の成果主義的な思想がゆらいでおり、逆に純粋にモノを作るという意識が現在の業界を活性化させられるのではという見解を示し、コロナ渦での大変な状況下でも前向きな方向を見出せる希望を明かしました。

2006年にはショートムービー『懲戒免職』で脚本とともに監督も担当した渡辺ですが、これからの活動については「若い子が監督をする方が、業界が盛り上がる。自分がやるよりは若い役者、監督、素晴らしい人材をさがしていきたい」と新たな才能との出会いとそれに対する期待をあらわにしました。

映画『ワンダーウォール 劇場版』の作品情報

【公開】
2020年(日本映画)

【監督】
前田悠希

【脚本】
渡辺あや

【音楽】
岩崎太整

【キャスト】
須藤蓮、岡山天音、三村和敬、中崎敏、若葉竜也、山村紅葉、二口大学/成海璃子

【作品概要】
大きな力に居場所を奪われようとしている若者たちの純粋で不器用な抵抗の姿を通して、その輝きと葛藤を映した物語。2018年にドラマとして放送された後にSNSなどで多くの反響を呼び、公式写真集やトークショーがおこなわれるなど異例の広がりを見せ、劇場映画として公開を果たすことになりました。

映画『ジョゼと虎と魚たち』(2003)や『その街のこども』(2010)の渡辺あやが手がけたオリジナル脚本を元に、ドラマに引き続き前田悠希が監督を担当。映画化にあたって寮内を撮影した未公開カットを追加。さらに『全裸監督』(2019)ほか数々の映画、ドラマを手がける音楽の岩崎太整がドラマ版の続きとなるテーマ曲を書き下ろし、クライマックスにはドラマに共感した人150人が参加し演奏した一大セッションを実現。その後の寮のエピソードとともに作品に追加されました。

主人公キューピー役を務めたのは、1500人のオーディションから選ばれた須藤蓮。さらに主要キャストの志村役を岡山天音、マサラ役を三村和敬、三船役を中崎敏、ほか若葉竜也、成海璃子らが出演しています。

スポンサーリンク

映画『ワンダーウォール 劇場版』のあらすじ


(C)2018 NHK

古都・京都の片隅に100年以上の歴史を持つちょっと変わった学生寮がありました。その建物の名前は「近衛寮」。

一見無秩序のようでいて、“変人たち”による“変人たち”のための磨きぬかれた秩序が存在し、面倒くさいようでいて、忘れかけている言葉にできない“宝”が詰まっている場所でした。

そんな寮の写真を見つけて憧れ、この大学に入学した主人公・キューピー。

しかしその学生寮に、老朽化による建て替えの議論が巻き起こります。新しく建て替えたい大学側と、補修しながら現在の建物を残したい寮側。

双方の意見は平行線をたどりまとまりません。ある日、両者の間に壁が立ちました。

両者を分かつ壁をめがけて、団体交渉に出向いた寮生の目の前に、ひとりの美しい女性が現れて……。

まとめ


(C)Cinemarche

渡辺は近日のコロナ渦の中での公開について「問題なくスムーズに公開できればそれはそれもよかったけど、こんな困難の中で上映したことも糧になっていると思う」と自身の思いを語ります。そしてそう思うことができるのは、本作がドラマ、そして映画化へと進む段階ですでに作品さながらの「壁」と悪戦苦闘し続けながら、皆で力を合わせて打ち崩していったその充実感にあるといいます。

また冒頭にも話した「若い人たちがモノを言う」ようになった状況に関して「冷え切っている思いが、壁を倒す熱が伝搬しているみたい」と振り返る渡辺。そんな彼女の言葉に拍手を送る観衆にも、その熱は映画を通じて伝搬しているようにも見えました。

映画『ワンダーウォール 劇場版』は2020年4月10日(金)より全国順次公開中!




関連記事

新作映画ニュース

映画『遊星王子2021』あらすじ/キャスト/上映館/特報動画。テレビ特撮ヒーローを河崎実が蘇らせる

テレビ特撮の古典を河崎実がリブート。 1958~59年に日本テレビ系列で放送された特撮作品「遊星王子」。令和の時代にテレビ特撮の古典がリブートされます。 (c)2021「遊星王子2021」製作委員会 …

新作映画ニュース

渋谷ユーロライブにて映画同時公開決定!いまおかしんじ監督『こえをきかせて』&髙原秀和監督『焦燥』『グラグラ』

2019年4月6日(土)~8日(月)渋谷ユーロライブにて限定公開決定!! いまおかしんじが監督した映画『こえをきかせて』、髙原秀和の監督映画『焦燥』と『グラグラ』が、2019年4月6日(土)~8日(月 …

新作映画ニュース

エレン・ペイジ映画『CUREDキュアード』あらすじとキャスト。3月20日公開の近未来ゾンビスリラー!

人を噛み殺した記憶は、決して消すことができない―。 ゾンビ・パンデミック終焉後、元感染者が社会復帰した世界。 ゾンビ・ウイルスのパンデミックが収束した“その後”を描く異色の近未来スリラーが誕生しました …

新作映画ニュース

映画『あいが、そいで、こい』あらすじとキャスト。柴田啓佑が初長編監督作で小川あんを撮る

『カメラを止めるな!』を生み出したシネマプロジェクト第8弾作品! 数々の話題作を制作してきたENBUゼミナール主催の「シネマプロジェクト」の第8弾作品、『あいが、そいで、こい』が2019年6月22日( …

新作映画ニュース

『泣くな赤鬼』小説ネタバレあらすじ。映画化された重松清の原作とキャストはマッチングしているか?

映画『泣くな赤鬼』は2019年6月14日(金)全国ロードショー ベストセラー作家・重松清の短編小説が待望の映画化。 “赤鬼”と呼ばれた教師と、余命半年の元生徒の交流を描きます。 映画公開に先立ち、原作 …

U-NEXT
タキザワレオの映画ぶった切り評伝『2000年の狂人』
山田あゆみの『あしたも映画日和』
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学