映画『小さなバイキング ビッケ』は2020年10月2日(金)よりイオンシネマほかにて全国公開。
大人世代には懐かしい、あの「ビッケ」が、CGアニメーションになって帰ってきました。
元は人気児童文学『小さなバイキング』であり、70年代には『小さなバイキングビッケ』のタイトルでテレビアニメも放送されたシリーズです。
2020年10月2日(金)より公開の映画『小さなバイキング ビッケ』では、オリジナルストーリーが展開されます。
主人公の少年ビッケの日本語吹き替えは、女優の伊藤沙莉が担当。テレビアニメ版でお馴染みのキャラクターたちも登場し、新たな冒険が始まります。
CONTENTS
映画『小さなバイキング ビッケ』の作品情報
【日本公開】
2020年(ドイツ・フランス・ベルギー合作映画)
【英題】
Vic the Viking and the Magic Sword
【監督】
エリック・カズ
【アニメーター】
ティモ・ベルク
【日本語版声のキャスト】
伊藤沙莉(ビッケ)、三宅健太(ハルバル)、前野智昭(レイフ)、和多田美咲(イルビ)、田坂浩樹(スベン)、前田雄(ウローブ)、鷲見昂大(ファクセ)、白井悠介(ゴルム)、神尾晋一郎(ウルメ)、長瀬ユウ(スノーレ)、坂田将吾(チューレ)、矢尾幸子(イルバ)、野津山幸宏(ソー)
【作品概要】
スウェーデンの作家ルーネル・ヨンソンによる名作児童文学「小さなバイキング」シリーズをオリジナルストーリーで描いたCGアニメーション。
監督・脚本は2013年にヨーロッパでリメイクされ人気を博したテレビシリーズ「Vic The Viking」に参加したエリック・カズが務め、作画監督に『SING/シング』(2016)『ペット』(2016)『怪盗グルーのミニオン大脱走』(2017)のティモ・ベルクが名を連ねました。
主人公・ビッケの日本語吹替を、「第57回ギャラクシー賞」のテレビ部門で個人賞を受賞した伊藤沙莉が務めます。
ビッケの父でフラーケ族の族長ハルバルを三宅健太、ビッケたちの旅に同行する容姿端麗で弓と剣の達人レイフを前野智昭が担当。
映画『小さなバイキング ビッケ』のあらすじ
海賊であるフラーケ族の長・ハルバルは、手下たちとともに海に出て、ライバルの海賊・いじわるスベンから、オーディーン神の「魔法の剣」を奪います。
その頃、フラーケ族の村では、ハルバルの息子・ビッケが、弓矢の練習をしていました。弓矢の大会で優勝すれば、一人前の海賊として認められ、父の船に乗せてもらえるからです。
ビッケは知恵が働きひらめきの才能に秀でているものの、体が小さく非力でした。母のイルバはそんなビッケを誇りに思っていましたが、ハルバルは頼りなく感じています。
ハルバル達が帰還し、弓矢の大会が始まりました。
ビッケの幼なじみの少女・イルビが好成績を叩き出し、次はビッケの番。ビッケがお手製の改造弓矢を構えた瞬間、遠くから矢が飛んできて、的のど真ん中を射抜きました。
見ると、村の人間ではない青年が。レイフと名乗ったその青年の腕前と外見の美しさに、村の住民達は心を奪われます。ビッケの出番を待たずに、大会の優勝者はレイフということになってしまいました。
ビッケの気持ちなんてお構いなしに、レイフを新たな海賊の仲間として迎え入れる宴が開かれます。レイフは「魔法の剣」について詳しく、「全てを黄金に変える力がある」のだと言います。
ビッケは「魔法の剣」に書いてある文字を解読。書かれた通りに剣を動かすと魔法の光が発動し、ニワトリが黄金になってしまいました。
その威力に驚いたハルバルは、剣を振り回し、様々なものを黄金へ変えていきます。
ところが、魔法がイルバに当たってしまって、さあ大変。イルバは黄金になってしまいました。
ハルバルは、手下の海賊とレイフをおともに、イルバを戻す手がかりを探しに海に出ます。
その船の中には、ビッケとイルビもこっそり乗り込んでいました…。
映画『小さなバイキング ビッケ』の感想と評価
スウェーデン出身のジャーナリスト兼作家であるルーネル・ヨンソンが書いた「小さなバイキング」は、世界各国で翻訳・出版され、長く読まれてきた児童文学シリーズです。
1972年には、日本とドイツとの共同製作のテレビアニメ『小さなバイキングビッケ』が製作。1974年まで1話23分の全78話を放送し、最高視聴率は20.5%を記録しています。
本作『小さなバイキング ビッケ』は、原作やテレビアニメ版で描かれたキャラクターや、シリーズのお約束を踏襲しながら、北欧神話のエピソードを絡めつつ、映画版オリジナルのストーリーがCGアニメーションで展開されます。
テレビアニメ版はシンプルな絵と、セピアがかった淡い色彩でしたが、CGアニメになったことで、細部まで色鮮やかに描きこまれています。
特に海の透き通るような青さ、押し寄せる荒波など、海の表現にこだわりが見え、場面を効果的に盛り上げていました。
旧作を時代にあわせアップグレード
本作は、『SING/シング』『怪盗グルーのミニオン大脱走』のスタッフが製作していることもあり、ビートの効いた音楽に合わせ、キャラクターが画面狭しと動き回るご機嫌な場面もあります。
それだけ聞くと、テレビアニメ版を見てきた方は不安に思われるかもしれません。
ですがご安心を。「ビッケ」のお約束はきっちり押さえられています。
ビッケが閃いたときは指パッチンの仕草とあのセリフが流れ、走るハルバルの足がうずまきの絵で表現されるなど、「ビッケ」ならではの要素はそのまま生かされていました。
そして、ハルバルやライバルのスベン含め、個性的でちょっとお間抜けな海賊達はあのキャラクターのまま。乏しい知恵を出し合って真剣に張り合う漢たちの姿が笑いを誘います。
伊藤沙莉が新たなビッケ像を作り上げた
コメディからシリアスまで演じられる表現力を持った伊藤沙莉が、本作で吹き替え版のビッケ役に挑戦し、ビッケを魅力的な主人公に仕立て上げました。
テレビアニメ版ではかなり幼い印象だったビッケですが、CGの絵柄と伊藤沙莉のハスキーな声により、変声期に差し掛かった少年という印象に生まれ変わっています。
暴力が苦手で気弱なビッケが、足を震わせながらも、家族や仲間のために立ち向かっていく時の微細な声の変化には鳥肌が立ちました。
ハルバル役の三宅健太も、自分勝手だけれど憎めないハルバルを好演しています。
息子のビッケのことは愛していながらも、つい張り合ってしまったり、心配から先回りで口を出してしまったり。そんなハルバルの姿に共感を覚える方も多いはず。
まとめ
テレビアニメ版を見て育った方が懐かしむも良し、本作から初めて「ビッケ」に触れるも良し。
「ビッケ」の世界を現代的な速いテンポに合わせたことにより、年齢を問わず、広く楽しめる作品となりました。
互いの個性を認め合い、力を合わせて困難に立ち向かっていくビッケたちと一緒に、冒険の旅に出てみてはいかがですか。
映画『小さなバイキング ビッケ』は2020年10月2日(金)よりイオンシネマほかにて全国公開です。