禅を世界へそして未来へつなぐ渾身の物語。
本日はビーチにて海外メディアや動画撮影などの取材を受けています。#カンヌ映画祭 #Tenzo pic.twitter.com/io823g6aeE
— 空族最新作『典座 -TENZO-』 (@kuzoku_official) May 21, 2019
2019年秋公開予定の空族・富田克也監督の映画『典座 -TENZO-』。
第72回カンヌ国際映画祭の批評家週間「特別招待部門」へ選出され、同映画際にて5月20日(月)に公式上映されました。
本記事では、上映前に行われた富田克也監督、製作・出演を務めた全国曹洞宗青年会の河口智賢、倉島隆行の舞台挨拶リポートと、解禁された海外版特報予告をご紹介します。
カンヌ国際映画祭での舞台挨拶リポート
2019年て5月20日(月)に、第72回カンヌ国際映画祭の批評家週間「特別招待部門」で公式上映された本作。
上映前には、富田克也監督、製作・出演を務めた全国曹洞宗青年会の河口智賢、倉島隆行らが登壇し、本作への思いを語りました。
本作は、富田監督が全国曹洞宗青年会より依頼を受け、道元禅師が遺した「典座教訓」を軸に、3.11 以降の現代日本における仏教の意義、そして信仰とは何かを探求しました。
富田監督は「かつて日本は世界第2位の経済大国と言われ、仏教は葬式の時のものでした。ただ、2011年に起きた東日本大震災による津波の被害、そして原発事故によって、日本は大きな危機を迎えました。それ以降、彼ら僧侶たちは皆から必要とされ始めているように感じていると言います」と、現代においての僧侶の必要性を語ります。
そして映画を制作した動機として「今こそ、私たち日本人は変わらなければいけない。加えて、仏教界も変わらなくてはいけないという彼ら僧侶たちの思いを映画に込めました」と力強い口調で述べました。
続けて、製作と出演者を兼務した僧侶の河口智賢も「カンヌ映画祭とご縁を頂いて本当に心から感謝しています。私たち日本人は8年前に深い悲しみを迎えました。その中で、私たち僧侶ができることは何なのか、それを日々考えてきました。私たち僧侶も一人の人間です。時に苦しみ、葛藤しながら日々生活をしています。それでも、いつも人々の心に寄り添う仏教の素晴らしさを伝えたいと言う思いで、この映画を制作しました」と、その胸の内を明かしました。
映画『典座-TENZO-』の特報予告
今回、解禁された海外版特報は、ラッパーNORIKIYO の楽曲『1人の人として』に乗せて、自殺未遂を繰り返す女性の「いのちの電話」を受ける僧侶の河口が。
そして東日本大震災の津波でお寺も檀家も無くし、土木作業員として働く倉島の姿を捉えています。
今の時代にあって信仰は如何にあるべきか。2人の若き僧侶の苦悩を通して描かれる本作に期待が高まるところです。
映画『典座-TENZO-』の作品情報
【公開】
2019年(日本映画)
【監督】
富田克也
【脚本】
相澤虎之助、富田克也
【出演】
河口智賢、近藤真弘、倉島隆行、青山俊董
【作品概要】
曹洞宗の開祖・道元が遺した『典座教訓』とある兄弟弟子の姿を軸に、3.11以降の現代日本における仏教の意義、そして信仰とは何かという問いへの探求を試みた作品。
『サウダーヂ』(2011)『バンコクナイツ』(2016)を手がけた富田克也監督が、全国曹洞宗青年会からの依頼を受け、ドキュメンタリーとフィクションを交えて制作した仏教映画です。
本作は、第72回カンヌ国際映画祭・批評家週間「特別招待部門」への正式出品されました。
映画『典座-TENZO-』のあらすじ
10年前、本山での修行期間を終えた兄弟子の倉島隆行(僧名・リュウギョウ)と弟弟子の河口智賢(僧名・チケン)は、自らの生まれた寺へとそれぞれ戻っていきました。
富士山の裾野に広がる山梨県都留市、耕雲院。
智賢は、住職である父と、母、妻、そして重度の食物アレルギーを抱える3歳の息子と共に暮らし、全国曹洞宗青年会副会長としての顔も持ち、いのちの電話相談、精進料理教室やヨガ坐禅など、意欲的な活動を続けています。
一方の兄弟子・隆行は福島県沿岸部にあったかつてのお寺も、家族も檀家も、すべてを津波によって流されてしまいました。
今では瓦礫撤去の作業員として働き、ひとり仮設住宅に住まいながらも、本堂再建を諦めきれない隆行は…。
まとめ
★ワールドプレミアは盛況!★昨日20日、カンヌ映画祭での『典座-TENZO-』公式上映は無事終了!富田克也監督、そして僧侶のお二人、河口智賢と倉島隆行が上映前に登壇。舞台挨拶を行いました! pic.twitter.com/zGnIueDu31
— 空族最新作『典座 -TENZO-』 (@kuzoku_official) May 21, 2019
監督の富田克也は、2011年に公開された『サウダーヂ』が、ロカルノ国際映画祭の国際コンペティションに招待され、ナント三大陸映画祭でグランプリを受賞。国内では、高崎映画祭最優秀作品賞、毎日映画コンクール優秀作品賞&監督賞の2冠に輝きました。
また、タイ・ラオスオールロケを敢行した 2016年公開作『バンコクナイツ』がロカルノ国際映画祭の国際コンペティションなど世界中の約30の映画祭に招待されます。国内では、第72回「毎日映画コンクール」にて監督賞、音楽賞の2部門を受賞。
国内外で常に高い評価を受けてきた富田監督が、葬式仏教と揶揄されて久しい現在にあって、青年僧侶たちの葛藤、そして悟りとはという壮大なテーマを、道元禅師が遺した「典座教訓」を軸に、今を生きることを紐解きつつ、ドキュメンタリーとフィクション、そして時間と空間をも自在に飛び越えながら、禅問答のように描きます。
映画『典座-TENZO-』の日本公開は2019年秋予定。
またフランスでは同じく2019年秋に全国公開が決まっており、150館以上で公開される予定とのことで、富田克也監督の最新作に世界が注目していることが窺えますね。
公開日や上映劇場については、続報が入り次第お伝えしますので、どうぞご期待ください。