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Entry 2019/09/10
Update

映画『水と砂糖のように』あらすじ。ディ・パルマのドキュメンタリー公開日は11月30日に決定!

  • Writer :
  • 松平光冬

偉大なる名撮影監督の足跡を振り返るドキュメンタリー映画が日本公開!

ケン・ローチ、ヴィム・ヴェンダース、ベルナルド・ベルトリッチ、ウッディ・アレンなど、錚々たる監督が絶大な信頼を寄せた名撮影監督、カルロ・ディ・パルマ。


©2016 ACEK s.r.l

そんなディ・パルマの足跡を追ったドキュメンタリー映画『水と砂糖のように』が、11月30日(土)より東京都写真美術館ほか全国にて順次限定公開されることが決定しました。

貴重映像満載のドキュメンタリー映画『水と砂糖のように』のメインビジュアルと予告編、名だたる監督のコメントが解禁となりましたのでご紹介します。

映画『水と砂糖のように』のメインビジュアル

本記事冒頭に掲載した、映画『水と砂糖のように』のメインビジュアルは、ディ・パルマが参加した作品の場面写真、タイトルロゴで構成され、そのスチールの間に彼の撮影時のメイキング写真がちりばめられています。

また、印象的な赤のロゴは、モノクロからカラーに移行した時に、彼の素晴らしさを代表する色となった「赤」を思わせるイメージです。

まさに、イタリア映画黄金時代の一部を再現したデザインとなっています。

映画『水と砂糖のように』の予告編

予告編は、ディ・パルマが参加した数々の作品の中から、ミケランジェロ・アントニオーニ監督『愛と殺意』『赤い砂漠』『欲望』、ルキノ・ヴィスコンティ監督『揺れる大地』、ロベルト・ロッセリーニ監督『無防備都市』、ヴィットリオ・デ・シーカ監督『自転車泥棒』、ジッロ・ポンテコルヴォ監督『ゼロ地帯』、フロレスターノ・ヴァンチーニ監督『43年の長き夜』、ピエトロ・ジェルミ監督『イタリア式離婚狂想曲』、マリオ・モニチェッリ監督『ブランカレオーネ軍団』、エットレ・スコラ監督『ジェラシー』、カルロ・ディ・パルマ自身の監督作品『女泥棒テレーザ』『冒険が始まる場所』、ベルナルド・ベルトリッチ監督『ある愚か者の悲劇』、ウディ・アレン監督『ハンナとその姉妹』『ラジオ・デイズ』『アリス』『地球は女で回ってる』が挿入されています。

また、ケン・ローチ(監督)、ヴィム・ヴェンダース(監督)、ピアーズ・ハンドリング(トロント映画祭ディレクター)、フランチェスコ・ロージ(監督)、ベルナルド・ベルトリッチ(監督)、ニキータ・ミハルコフ(監督)、ミケランジェロ・アントニオーニ(監督)、エットレ・スコラ(監督)、ウディ・アレン(監督)、アベル・フェラーラ(監督)、アレック・ボールドウィン(俳優)などのコメントで構成。

イタリアン・スタイルを創造した天才のひとりであるカルロ・ディ・パルマの素晴らしい映像と、映画芸術への愛が溢れる予告編となっています。

映画『水と砂糖のように』について

©2016 ACEK s.r.l

本作『水と砂糖のように』は、『欲望』(1965)、『赤い砂漠』(1967)といったイタリア映画から、『ハンナとその姉妹』(1986)などのウッディ・アレン作品で撮影監督を務めたカルロ・ディ・パルマの足跡を追った、2016年製作のドキュメンタリー映画です。

“光と色の達人”と称されたディ・パルマが映画界にもたらした多大な影響力を、ミケランジェロ・アントニオーニ、ウッディ・アレン、ベルナルド・ベルトリッチ、ケン・ローチといった錚々たる監督たちによる貴重な証言を交えつつ、振り返っていきます。

映画『水と砂糖のように』の見どころ

名撮影監督、カルロ・ディ・パルマとは

参考:『水と砂糖のように』の英語版ツイッター

1925年にローマで生まれたディ・パルマは、ルキノ・ヴィスコンティ監督の処女作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1942)に、15歳で映画界に参加。

第二次世界大戦後は、敗戦から立ち上がり未来を築こうとする社会を表現したネオレアリズモの波に乗り、革新的なイタリア映画製作に没頭します。

ヴィットリオ・デ・シーカ監督の『自転車泥棒』(1948)で撮影技師を務めるなど着実にキャリアを積み、時代がモノクロからカラーに移行するなか、ミケランジェロ・アントニオーニと一緒に色彩の革命ともいえる『欲望』、『赤い砂漠』を生み出します。

1980年代からは、“ニューヨーク派”監督ウッディ・アレンの撮影監督として活躍、『ハンナとその姉妹』、『ラジオ・デイズ』(1987)などアレンが描くニューヨークの物語に、洗練されたヨーロッパ的センスをもたらしました。

アレン以外にも、ヴィム・ヴェンダース、ベルナルド・ベルトリッチ、ケン・ローチ、ニキータ・ミハルコフ、フォルカー・シュレンドルフ、ミラ・ネールなどの名だたる監督と作品を発表。

アレン監督の『地球は女で回ってる』(1997)が最後の撮影監督となり、2004年に79歳の生涯を終えたディ・パルマは、101本の映画と40本のドキュメンタリーを遺しました。

映画の“黄金時代”の核心に迫る

参考:ファリボルス・カムカリ監督のフェイスブック

監督を務めたファリボルス・カムカリは、自作について「これはカルロ・ディ・パルマの伝記映画ではありません」と語ります。

「ディ・パルマの生涯と仕事を顧みて再構築することは、映画の“黄金時代”の手法と価値を呼び覚まし再発見すること。それは世界中の映画の作り手に衝撃と影響を与えたものなのです」と、ディ・パルマの偉大さを伝えています。

名監督たちのコメントも一部公開!

参考:『水と砂糖のように』の英語版ツイッター

ディ・パルマについて語る監督たちのコメントも一部解禁となりました。

いずれのコメントからも、ディ・パルマに大きな信頼と尊敬を寄せていたことがうかがえます。

フランチェスコ・ロージ監督
私たちは、真実の瞬間を再現するという映画への愛と情熱を共有していた。

ベルナルド・ベルトリッチ監督
カルロは、台本を読み取ってそれを表現できる最高の撮影監督だ。

ニキータ・ミハルコフ監督
モノクロ映画における技術を洗練させたのがジャン二・ディ・ヴェナンツォなら、カラー映画においてはカルロだ。

ヴィム・ヴェンダース監督
私が学び私をかたちづくったすべての映画の現場でカルロは生きていた。

ウッディ・アレン監督
彼は、とても秀でた構成力と色彩感覚の持ち主。何をすべきか本能的に分かっていて、彼がやると、いつだってすばらしく見える。

       

映画『水と砂糖のように』の作品情報

【日本公開】
2019年(イタリア映画)

【原題】
Acqua e zucchero: Carlo Di Palma, i colori della vita(英題:Water and Sugar: Carlo Di Palma, the Colours of Life)

【監督・脚本】
ファリボルス・カムカリ

【キャスト】
カルロ・ディ・パルマ(アーカイブ出演)、ケン・ローチ、ヴィム・ヴェンダース、ベルナルド・ベルトリッチ、ウッディ・アレン、フランチェスコ・ロージ、ニキータ・ミハルコフ、エットーレ・スコラ、ミラ・ネール、アレック・ボールドウィン

映画『水と砂糖のように』のあらすじ

1988年設立の、ヨーロッパ映画に与えられる映画賞「ヨーロッパ映画賞」。

この撮影部門賞「カルロ・ディ・パルマ賞」の名称の由来となったのが、名撮影監督カルロ・ディ・パルマです。

イタリア語でいうところの、職人と芸術家を包摂する言葉“アルティジャーノ”そのものだったという彼による功績を、彼と一緒に映画制作をしてきた監督たちの証言で綴ります。

また、ディ・パルマが撮影した25作品の一部も挿入。

単なる、ひとりの伝説的な撮影監督の伝記にとどまらぬ内容となっています。

まとめ

参考:ファリボルス・カムカリ監督のフェイスブック

ケン・ローチ、ヴィム・ヴェンダース、ベルナルド・ベルトリッチ、ウッディ・アレンなど、名監督と呼ばれるフィルムメーカーたちは、なぜディ・パルマの腕を求めたのか?

そして、タイトルの『水と砂糖のように』が意味するものとは何か?

本作を観れば、その理由が分かります。

ドキュメンタリー映画『水と砂糖のように』は、2019年11月30日(土)より東京都写真美術館ほか全国にて順次限定公開!

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