戦後75年を迎える日本を拠点に活動するアンシュル・チョウハン監督。
初の大林賞受賞作が2021年春、新宿Kʼs cinemaにてロードショー公開決定!
北米で最大の日本映画祭「ジャパン・カッツ」ネクストジェネレーション部門にて、故・大林宣彦監督の日本映画界での偉業を称えて名を冠した大林賞を受賞したアンシュル・チョウハン監督作『コントラ』。
昨年『東京不穏詩』で長編デビューを果たし、日本を拠点に映画製作を続ける、インド出身の映画監督アンシュル・チョウハンの長編第2作となる『コントラ』が2021年春、新宿Kʼs cinemaにて劇場公開されると決定しました。
大林賞受賞時のアンシュル監督のコメントと、劇場公開にあたってのインタビュー動画とともに本作をご紹介します。
CONTENTS
映画『コントラ』について
地方に住む女子高生ソラ(円井わん)は、同居していた祖父が亡くなった日、祖父が遺した第二次大戦中の戦中日記を見つけます。
時を同じくして、ソラの住む町に、後ろ向きにしか歩けないホームレスの男(間瀬英正)が現れ、ソラの父(山田太一)が男を車で轢いたことをきっかけに、ふたりの不思議な交流が始まり…。
戦争の記憶と地方の鬱屈、経済格差や父と娘の相克。日本の現代社会の問題をモノクロ映像で捉えた、これまでにない幻想的なファンタジー映画が本作『コントラ』です。
2020年7月に行われた、北米で最大の日本映画祭・第14回ジャパン・カッツにおいて惜しくも本年4月に亡くなった大林宣彦監督(『海辺の映画館ーキネマの玉手箱』)の名前を冠し、ネクストジェネレーション部門から将来最も期待される作品を与えられる「大林賞」を授与された、期待の一作です。
ジャパン・カッツ(JAPAN CUTS)/大林賞とは?
2007年の開始以来、毎年7万人以上の観客を動員し、全米初公開作品を多く含む300本以上の邦画を上映してきた、ジャパン・ソサエティー(JS)が主催する北米最大の日本映画祭「JAPAN CUTS ~ジャパン・カッツ~」。
2020年に、故・大林宣彦監督(1938~2020年)の日本映画界での偉業を称え、名を冠した「大林賞」(Obayashi Prize)が新設されることとなりました。
本賞は、日本映画の未来を担う次世代の若手監督の自主制作による長編作品を7作品上映するネクジェネレーション・コンペティション部門(NEXT GENERATION)から、審査員が最も優れた作品の中から1作品を “大林賞”として選出するというものです。
アンシュル・チョウハン監督のインタビュー動画
公開決定あたり、アンシュル・チョウハン監督のインタビュー動画とコメントが到着。
インタビュー動画では、「自分が作りたいと思ったもの自由に作っている監督には、とても感化されています。大林監督はそのうちの1人で、彼の映画の全ては彼自身の自由を象徴していると思います」と語るアンシュル監督。
また、「大林監督が、実験的な映画作りや第二次世界大戦に関わる内容を映画で多く触れていてこともあり、私自身、この初代大林賞をいただくということを本当に光栄に思い、同時に今後の活力にも繋がっています。」と自らの思いを明かしました。
アンシュル・チョウハン監督の大林賞受賞コメント
【日本語訳】
「JAPAN CUTSのNext Generation部門に『コントラ』がノミネートされたというニュースを聞いただけでさえ、嬉しい気持ちであふれていたのですが、大林賞を受賞したと分かった時は、言葉に出来ないほどの喜びがありました。コントラチームの全員もこの朗報にとても喜んでいました。『コントラ』は私にとって個人的な感情を強く含んでいる作品で、この映画は当時の自分の感情を満たすために作ったものでした。なので、制作中は、まさかここまでの評価や映画祭で結果を出せるとは思ってもいませんでした。それが、こうして沢山の方に訴えかけられる映画になったこと、そして「この映画を作ってくれてありがとう」というメッセージを沢山いただけたことは、映画制作者にとってこれ以上ない喜びです。大林監督が、実験的な映画作りや第二次世界大戦に関わる内容を映画で多く触れていてこともあり、私自身、この初代大林賞をいただくということを本当に光栄に思い、同時に今後の活力にも繋がっています。コントラチームを代表して、JAPAN CUTS、JAPAN Society NY、そして審査員である安藤桃子氏、高松美由紀氏、そしてJulian Ross氏には感謝の気持ちでいっぱいです」
【英語原文】
I was already very happy and excited when I heard the news of Kontora being picked up by Japan Cuts 2020 for the next generation line up. So the news of winning the Obayashi Prize was cherry on the top. My whole team is very happy with the award and how news is building around Kontora. When I made the film I never imagined that Kontora will have this kind of critical success and festival run. Kontora is a very personal film for me and I made it just to satisfy my feeling at that certain time. I am very happy that people are relating with the film and we are getting many messages saying “Thank you for making the film”. I think for a filmmaker nothing is more rewarding than this. As Obayashi San himself is the pioneer of experimental cinema and he touched stories and subjects from WW2 in many of his film, I feel truly honoured and inspired to receive inaugural Obayashi Prize. On the behalf of Kontra’s whole team I want to thank Japan Cuts, Japan Society NY and Jury members, Momoko Ando, Miyuki Takamatsu and Julian Ross San.
アンシュル・チョウハン監督のプロフィール
画像:アンシュル・チョウハン監督
映画『コントラ』の監督を務めたアンシュル・チョウハン(Anshul CHAUHAN) は、1986年北インド生まれ。
陸軍士官学校で訓練を受け、大学にて文学士を取得した後、アニメーターとして2006年からパプリカスタジオにて働き始めます。
2011年に東京へと拠点を移し、最初に働いた株式会社ポリゴン・ピクチャーズでは、エミー賞を獲得した『ディズニーXD トロンuprising』に携わり、その後株式会社オー・エル・エムや株式会社スクウェア・エニックスなどで働きました。
今までに携わった作品は『ファイナルファンタジーXV』、『キングズグレイブ: ファイナルファンタジーXV』、『キングダムハーツ3』そして『ガンツ:オー』など多岐にわたります。
アニメーターとして日本で働く傍ら、アンシュルは自主制作への情熱も芽生え始め、2016年にKowatanda Films(コワタンダ・フィルムズ)として活動を始めるました。
そしてこれまでに、長編映画2作を完成させ、両作品とも世界各国の映画祭にて様々な受賞を遂げています。
アンシュル・チョウハン監督のフィルモグラフィー
【長編映画】
2018年:『東京不穏詩 』(Bad Poetry Tokyo)
2019年:『コントラ』 (Kontora)
【短編映画】
2016年:『石鹸』(Soap)
2017年:『川口4256』(Kawaguchi 4256)
映画『コントラ』の作品情報
【製作】
2019年(日本映画)
【劇場公開】
2021年春
【監督】
アンシュル・チョウハン(Anshul CHAUHAN)
【キャスト】
円井わん、間瀬英正、山田太一、小島聖良、清水拓蔵
映画『コントラ』のあらすじ
第二次世界大戦時に記された祖父の日記を辿って、ソラ(円井わん)は不可思議な宝の探索を始めます。
その頃、無言で後ろ向きに歩くホームレス男(間瀬英正)が、ソラの住む街へと迷い込みました。
もしかしたら男は、ソラと彼女の父親との関係を溶かす触媒となり得るのかもしれません…。
まとめ
大林賞の審査にあたった安藤桃子監督らは共同コメントを発表し「受賞作品は、過去の重さと、それに一人ではなく、一緒に取り組む人たちの責任を探求しています。(中略)猛スピードで変化し、進化する。奇しくも最も大和魂を感じる一本、そしてこれからの未来に最も期待を覚えさせたのは後ろ向きに走る男を主人公にした映画だった。」と絶賛。
2021年の公開が待ち遠しいですね。
アンシュル・チョウハン監督の長編第2作目『コントラ』は2021年春、新宿Kʼs cinemaにて劇場公開です。