ハリウッドの異端者にして鬼才、デニス・ホッパーによる革命的傑作が31年ぶりの劇場公開。
『イージー★ライダー』製作50周年にあたる2019年、1988年以来31年ぶりの公開が決定したデニス・ホッパー監督の第2作『ラストムービー』。
2019年12月20日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーされる本作の予告編、メインビジュアルが完成しました。
映画『ラストムービー』とは?
インディペンデント映画史上空前の興行収入を叩き出した初監督作『イージー★ライダー』(1969)でカンヌ映画祭・新人監督賞受賞、アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされ一躍時代の寵児となったデニス・ホッパー。
彼が最終編集権を含む完全なクリエイティヴの自由を得て、念願の企画を映画化した渾身の監督第2作が本作『ラストムービー』です。
本作は、映画のロケ隊を主軸に描かれ、現実と虚構が入り乱れていきます。
舞台は標高3800mにあるペルーの村。そこではハリウッド映画のロケーション撮影が行われていました。
映画撮影に魅せられた村人たちは、撮影隊が去ったあと自ら“本物の映画”を作りはじめます。暴力や死でさえも、すべての行為は“本物”となっていきます。
現地に残ったスタントマンのカンザスは村人たちの映画撮影に巻き込まれ、狂気の世界へと入り込んでいき…。
あらすじを読んだだけでもぞくぞくする世界。4K修復が施された最新素材での劇場上映は見逃せませんね。
映画『ラストムービー』の予告編
この度、解禁された予告編には、冒頭にストーリーが説明された後に、馬に乗りテンガロンハットを被ったデニス・ホッパー演じるカンザスの姿が映し出されます。
続けて、映像は西部劇の撮影風景に移りますが、そこで監督役を演じているのは、本物の映画監督であり、ホッパーの友人であったサミュエル・フラー。
その撮影を見ていた村人が、撃たれて屋根から落ち死んだ演技をしている男を、本当に死んでしまったと動揺している姿、赤い車の後部にくくりつけられている血だらけ男など、次第に村が不穏な空気に包まれていく様が描かれます。
そして、遂に“映画”の真似を始めて、藁のような草で作ったカメラで撮影を始める村人たち。
カンザスは、その村人たちの作る映画『ラストムービー』の主役に抜擢され、演技と本当の境目の無い村人たちの狂気の映画撮影に巻き込まれていくのでした。
映画『ラストムービー』のメインビジュアル
予告編と同時に解禁された、メインビジュアルには、遺影のようなホッパーの姿が捉えられ「死に場所を、探せ」とキャッチコピーが添えられています。
完成した映画は1971年ヴェネチア国際映画祭で好評を博すが、観客を戸惑わせる難解な内容と前衛的な構成に困惑したユニバーサルのトップにしてハリウッド最大の権力者ルー・ワッサーマンは再編集を指示。
それをホッパーが断固拒絶したことで、映画は短期間での公開後ほぼお蔵入りの状態となったんです。
この騒動でますます酒とドラッグに溺れたホッパーは、映画監督としてはその後約10年間の空白期間を迎えることになったいわくつきの作品です。
映画『ラストムービー』の作品情報
【製作】
1971年(アメリカ映画)
【4K版日本公開】
2019年
【原題】
THE LAST MOVIE
【監督】
デニス・ホッパー
【製作】
ポール・ルイス
【撮影】
ラズロ・コヴァックス
【脚本】
スチュワート・スターン
【キャスト】
デニス・ホッパー、ジュリー・アダムス、ロイ・エンジェル、サミュエル・フラー、ピーター・フォンダ、ミシェル・フィリップス、クリス・クリストファーソン
【作品概要】
エグゼクティヴ・プロデューサーはマイケル・グラスコフ、製作はポール・ルイス、監督・編集・主演はデニス・ホッパー。
ホッパーとスチュワート・スターンの原案を基に、スターンが脚本を書きました。
映画『ラストムービー』のあらすじ
ビリー・ザ・キッドの映画を撮るサミュエル・フラー監督一行を見つめるスタントマンのカンザス(デニス・ホッパー)は、毎夜繰り広げられるクルーの乱痴気騒ぎに嫌悪感を抱いていました。
撮影終了後も村に残った彼は、ペルー女性のマリア(ステラ・ガルシア)と平穏な生活を送りますが、金採掘にうつつをぬかす友人ネヴィル(ドン・ゴードン)を通じて知りあった金持ちのアメリカ人夫婦一行との酒とドラッグに溺れていきます。
次第にアイデンティティを失い、この腐敗の象徴とも言うべきアメリカ人の妻(ジュリー・アダムス)から侮辱されたことにより、不条理の世界へとはまってゆき…。
まとめ
映画とは、芸術とは何かを問いかける、過激な芸術映画にして失われた傑作が今現在、問いかけるものは何か―。
公開に期待が高まります。
映画『ラストムービー』4K修復版は2019年12月20日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショーです。