Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

Entry 2020/03/02
Update

映画『CURED キュアード』日本公開日/上映館/予告編。感染パニックを描いた異色のゾンビ作品

  • Writer :
  • 松平光冬

ゾンビ・パンデミック終焉後、元感染者が社会復帰した世界を描く新感覚スリラー。

差別を受ける元ゾンビウィルス感染者たちが巻き起こす、新たな恐怖

(c)Tilted Pictures Limited 2017

その近未来スリラー映画『CURED キュアード』は、2020年3月20日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次ロードショーされます。

映画公開に先がけ、新たに予告編が到着しました。

映画『CURED キュアード』について


(c)Tilted Pictures Limited 2017

本作『CURED キュアード』は、アイルランドの新進気鋭監督デヴィッド・フレインによる、近未来ゾンビスリラーです。

人間を凶暴化させる新種の病原体、メイズ・ウイルスのパンデミックによって大混乱に陥ったアイルランドを舞台に、“回復者”と呼ばれる元感染者と、彼らを恐れる非感染者との争いが繰り広げられます。

主人公となるシングルマザーのアビーに扮するのは、『JUNO/ジュノ』(2008)、『インセプション』(2010)、『スーパー!』(2011)のエレン・ペイジで、本作ではプロデューサーも兼任。

アビーのところに身を寄せることとなる若者セナン役に、『ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦』(2017)のサム・キーリーが演じます。

そのほか、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)のエボニー・マウ役で知られるトム・ヴォーン=ローラー、TVリーズ「レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー」のポーラ・マルコムソンなど、アイルランドとイギリスの実力派キャストが迫真の演技を披露しています。

映画『CURED キュアード』の予告編

映画公開に先がけ、予告編が公開されました。

解禁となる映像には、メイズ・ウイルスのパンデミックによって大混乱となり、元感染者である回復者への差別や、不寛容な社会に陥ったアイルランドの町が映し出されます。

「奴らはもう人間じゃない」、「悪夢は見るか?」、「人を噛み殺してたんだ 当然だな」といった誹謗中傷に苦しみ、人を噛み殺した記憶を消すことができない元感染者たち。

そんな苦しみを憎しみに変えた回復者グループは社会への復讐テロを計画し、回復者のひとりで、エレン・ペイジ扮する義姉アビーのもとに身を寄せていた、サム・キーリー扮するセナンもまた…。

新たなパンデミックの始まりを予感させる、恐怖心と好奇心をかき立てられる内容となっています。

映画『CURED キュアード』の作品情報


(c)Tilted Pictures Limited 2017

【日本公開】
2020年(アイルランド・フランス合作映画)

【原題】
THE CURED

【監督・脚本】
デイヴィッド・フレイン

【キャスト】
エレン・ペイジ、サム・キーリー、トム・ヴォーン=ローラー

映画『CURED キュアード』のあらすじ


(c)Tilted Pictures Limited 2017

人間を凶暴化させる新種の病原体、メイズ・ウイルスのパンデミックによって大混乱に陥ったアイルランド。

6年後、治療法が発見されたことで秩序を取り戻し、治療効果が見られない25%の感染者は隔離施設に監禁され、治癒した75%は“回復者”として社会復帰することになりました。

回復者のひとりである若者セナンは、シングルマザーの義姉アビーのもとに身を寄せますが、回復者を恐れる市民の抗議デモは激しさを増すばかり。

やがて理不尽な差別に不満を募らせ、過激化した回復者のグループは社会への復讐テロを計画。

その怒りと憎しみの連鎖はセナンやアビー親子を巻き込み、新たな恐怖のパンデミックを招き寄せるのでした…。

まとめ


(c)Tilted Pictures Limited 2017

ゾンビ映画の祖とされるジョージ・A・ロメロ監督は、大量消費社会への皮肉や、右傾化するアメリカといった、現代社会への痛烈なメッセージを自作に込めてきました。

本作『CURED キュアード』にも、監督・脚本を務めたデヴィド・フレインの社会へのメッセージが詰まっています。

私はヨーロッパ中に救済措置と抗議が広がっていた頃、この脚本を書き始めた。当時も存在し、今でも残る激しい怒りの空気が私の執筆を焚きつけた。あれは自分には手に負えないことによって苦しめられ、責任を取らされるということに他ならず、それは本作の元ゾンビたちとまったく同じだった。彼らの行動に対する責任と罪はどこにあるのか。そして、記憶に取り憑かれている本人にとって、そんなことは本当に重要なのだろうか?
また、私はメディアや政治家が自らの目的のため、いかに人々の恐怖心を煽るかにも興味を抱いた。その恐怖の対象が移民、宗教、ジカ熱など、いずれであっても。そうした行為は怒りと分裂の雰囲気を作り出し、どんな病気よりもはるかに有害だ。このように恐怖を誇張する行為が『CURED キュアード』の世界の基礎を築いている。

ゾンビ映画でありながら、元感染者への差別や不寛容な社会を描き、図らずも新型コロナウィルスが感染拡大する現世界にも通じる一本となりました。

新たなゾンビ映画の設定を切り拓く、異色の近未来スリラー。

ゾンビパニック終焉後の世界で、元感染者たちの苦悩と、再び人間として生き抜くための戦いの幕が、上がります。

映画『CURED キュアード』は、2020年3月20日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次ロードショー

関連記事

新作映画ニュース

『スピルバーグ!』映画監督の真実に迫ったドキュメンタリー独占日本初放送!

ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や『ウエストワールド』などで知られるHBOが製作。 ドキュメンタリー『スピルバーグ!』は、BS10スターチャンネルにて独占日本初放送されますが、冒頭3分間の映像を特別 …

新作映画ニュース

映画『仮面病棟』キャストの田所院長役は高嶋政伸【演技評価とプロフィール】

映画『仮面病棟』は2020年3月6日より全国公開! 『屍人荘の殺人』の木村ひさしが監督をつとめ、現役医師でもある作家・知念実希人のミステリー小説を実写映画化した『仮面病棟』が2020年3月6日より全国 …

新作映画ニュース

映画『爆裂魔神少女 バーストマシンガール』あらすじとキャスト。小林勇貴監督のバイオレンス世界が炸裂

片腕にマシンガン義手を装着した姉妹“マシンガール”の血みどろの戦いが幕開け! 『全員死刑』(2017)でメジャー映画デビューを飾った新鋭・小林勇貴監督が放つ・バイオレンス・アクション映画『爆裂魔神少女 …

新作映画ニュース

映画『蒲田前奏曲』あらすじ/キャスト/公開日/上映館。伊藤沙莉と瀧内公美が若手監督の連作で“女”を演じる

今最も注目の若手実力派女優、伊藤沙莉&瀧内公美主演作品! 松林うらら出演・プロデュースを務める連作長編映画『蒲田前奏曲』(英題 : Kamata Prélude)は中川龍太郎監督、穐山茉由監督、安川有 …

新作映画ニュース

映画『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』劇場公開日は2020年2月。異色の政治活動家の素顔に迫る

異色の政治活動家、鈴木邦男の知られざる顔とは―― ©️オンファロスピクチャーズ 型破りの右翼活動家・鈴木邦男に密着したドキュメンタリー映画『愛国者に気をつけろ!鈴木邦男』が、ポレポレ東中 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学