Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

新作映画ニュース

『悪は存在しない』ヴェネチア国際映画祭出品決定!濱口竜介監督、石橋英子(音楽)のメッセージも到着

  • Writer :
  • 大塚まき

石橋英子の音楽ライブ用”サイレント版”も同時制作、ベルギーの映画祭で発表!

ドライブ・マイ・カー』(2021)以降の濱口竜介の長編映画最新作品となる『悪は存在しない』。


(C)2023 NEOPA / Fictive

この度、映画『悪は存在しない』は、世界三代映画祭のひとつ、第80回ヴェネチア国際映画祭に出品が決定しました。

劇場公開は2024年予定です。

映画『悪は存在しない』について

映画『ドライブ・マイ・カー』(2021)で初顔合わせした濱口竜介(映画監督)と石橋英子(音楽)による共同企画。

はじまりは、石橋がライブパフォーマンスの為の映像を濱口に依頼したことで、濱口はこれを快諾。

2人による「音楽×映像」プロジェクトがスタートしました。その音楽ライブ用の映像を制作する過程で、106分の長編劇映画『悪は存在しない』が完成しました。

本作は、第80回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門への正式出品が決定しワールドプレミア上映されます。

また、『悪は存在しない』と共通の映像素材からつくられた石橋英子の音楽ライブ用サイレント映画『GIFT(ギフト)』は、2023年10月にベルギーで開催されるゲント国際映画祭で初お披露目となり、それ以降、石橋によるライブ・パフォーマンスとともに世界各地で上映が予定されています。

映画『悪は存在しない』濱口竜介監督のコメント


(C)2023 NEOPA / Fictive

『悪は存在しない』は元々、石橋英子さんからのライブパフォーマンス用映像依頼を受けたことをきっかけに制作が始まりました。石橋さんとデモ的な音楽と映像をやり取りするうちに、「ミュージックビデオのようなものは自分には撮れない、普段やっているように映画として演出しないと石橋さんの音楽に太刀打ちできない」という思いが固まり、物語映画の脚本を書き下ろしました。その物語映画のフッテージからライブ用映像を作ろうと考えたのです。三月に長野・東京での撮影を終えて、非常に強い手応えを感じました。出演者一人ひとりの声やありようが、私が想像していたものを遥かに越えていたからです。結果として『悪は存在しない』は、石橋さんの美しい劇伴音楽とともに一本の独立した映画として完成しました。今はヴェネチア国際映画祭が、この奇妙な成り立ちの映画の魅力を受け止めて、コンペティション部門に選出してくれたことを心から嬉しく思っています。この場を借りて、キャスト・スタッフの素晴らしい仕事にも感謝します。
また共通の映像素材から生まれた『GIFT』は、『ドライブ・マイ・カー』で石橋英子さんに「ディスカバリー・オブ・ザ・イヤー」賞を授与したベルギーのゲント国際映画祭で、石橋英子さんのライブパフォーマンスとともにお披露目されます。私自身も、石橋さんの一ファンとして、この夢のような機会を心から楽しみにしています。

濱口竜介(映画監督)

2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』が国内外の映画祭で高い評価を得る。その後も317分の長編映画『ハッピーアワー』(2015)が多くの国際映画祭で主要賞を受賞、『偶然と想像』(2021)でベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グラランプリ)、『ドライブ・マイ・カー』(2021)で第74回カンヌ国際映画祭脚本賞など4冠、第94回アカデミー賞国際長編映画賞を受賞。地域やジャンルをまたいだ精力的な活動を続けている。

映画『悪は存在しない』石橋英子のコメント


(C)2023 NEOPA / Fictive

2年前、海外のプロモーターの方から、”映像と一緒にライブをやってみる気はないか?”という漠然とした提案をいただきました。
私はジャンルや演奏をする場所にこだわりをあまり持たずに活動してきたこともあり、そのアイデアが自分を面白い場所に連れて行ってくれるのではないかと、これも漠然とした単純な期待から本気で考えてみることにしました。
多くの素晴らしい実験映像作品、アート映像作品と言われている作品もありますし、おそらく最初にプロモーターが提案したのはこういった作品を作っている作家をイメージしたのではないかと推測しますが、私は一緒にお仕事して楽しかった人にお願いしたいと思い、まだ授賞式ラッシュなどでお忙しかった濱口さんにだめもとでご相談させていただきました。
『ドライブ・マイ・カー』でご一緒させて頂いた経験がとても素晴らしかったからです。
物語を紡ぐ才能の持ち主であると同時に、「東北記録映画三部作」のドキュメンタリー作品等からみられるように音楽的詩的な作り方をされていて、あらゆる制限から自由を渇望しつつも思いやりと洞察力に溢れた濱口さんとなら何か一緒に面白いことができるのではないかと思いました。
素晴らしい作品になることは最初からわかっていてもなお、脚本や映像を共有していただくにつれ、これは凄いことになってきたぞ、、と私が当初考えた事を遥かに超えた作品が出来上がって行くのを目の当たりにし、その事に驚きながら音楽を作りました。今もまだ驚いています。
そして一つの独立した映画作品になり、こうしてヴェネチア国際映画祭に出品されることをとても嬉しく思います。
”悪は存在しない”、ライブ用サイレント映画『GIFT』が今後どんな旅をしていくのか、とても楽しみです。

石橋英子(音楽家)

石橋英子は日本を拠点に活動する音楽家。ピアノ、シンセ、フルート、マリンバ、ドラムなどの楽器を演奏する。Drag City、Black Truffle、Editions Mego、felicityなどからアルバムをリリース。2020年1月、シドニーの美術館Art Gallery of New South Walesでの展覧会「Japan Supernatural」の展示の為の音楽を制作、シドニーフェスティバル期間中に美術館にて発表された。2021年、映画「ドライブ・マイ・カー」の音楽を担当、World Soundtrack AwardsのDiscovery of the yearとAsian Film Awardsの音楽賞を受賞。2022年「For McCoy」をBlack Truffleからリリース、アメリカ、イギリス、ヨーロッパでツアーを行う。2022年より英ラジオ局NTSのレジデントに加わる。

映画『悪は存在しない』の作品情報

【日本公開】
2024年(日本映画)

【英題】
Evil Does Not Exist

【監督・脚本】
濱口竜介

【キャスト】
大美賀均、西川玲、小坂竜士、渋谷采郁ほか

まとめ

本作は、第80回ヴェネチア国際映画祭(現地時間2023年8月30日~9月9日までの11日間開催)でのワールドプレミア上映されます。

及び記者会見には、濱口竜介(監督)、石橋英子(音楽)、出演の大美賀均(おおみかひとし)、西川玲(にしかわりょう)、小坂竜士(こさかりゅうじ)、渋谷采郁(しぶたにあやか)らが参加予定。

濱口竜介監督最新作『悪は存在しない』は、2024年ロードショー予定です。

今後の続報にもご期待ください。

関連記事

新作映画ニュース

【お知らせ】大阪アジアン映画祭2020の取材について、関係者各位のご提案・ご相談をお待ちしております。

第15回大阪アジアン映画祭は2020年3月6日〜15日に開催! 国内外から多くの映画監督やキャストが招待され、春の祭典として注目のアジア映画や、優れた日本映画を上映する「大阪アジアン映画祭」。2020 …

新作映画ニュース

映画『緊急事態宣言』あらすじ/予告動画/オンラインイベント開催情報。石野卓球が音楽を手掛ける!

予告編&各作品場面写真解禁 完成記念オンライン会見イベントも開催決定 コロナ渦の最中、日本を代表する5組の監督と豪華キャストが参加し「緊急事態」をテーマに5本の映画を撮り下ろした映画『緊急事態宣言』。 …

新作映画ニュース

【シッチェス映画祭2020】上映作品とイベント情報。10月より全国開催で全ラインナップも発表

最古で最大のファンタスティック映画の祭典 “シッチェス映画祭2020”今年も日本で開催! 1968年に創設された「シッチェス映画祭」は、スペイン・バルセロナ近郊の海辺のリゾート地シッチェスで毎年10月 …

新作映画ニュース

大ヒット映画が韓国で再び感動の恋愛作品に生まれ変わる!『Be With You 〜いま、会いにゆきます』特別映像解禁

公開わずか15日で韓国動員200万人突破の大ヒット作! 2004年に竹内結子と中村獅童主演で映画化され、社会現象を巻き起こす大ヒットを記録した市川拓司のベストセラー小説「いま、会いにゆきます」。 日本 …

新作映画ニュース

陽月華映画『かぞくわり』あらすじとキャスト。劇場公開の初日舞台挨拶リポート

奈良を舞台にした家族と歴史ファンタジーが融合を見せた映画『かぞくわり』は2019年1月19日より有楽町スバル座、TOHOシネマズ橿原ほか全国順次ロードショー。 日本で最も古い歴史を持つ奈良に住む、平 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学