映画『ロンドン、人生はじめます』は2018年4月21日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか公開。
アカデミー賞女優ダイアン・キートンが、またもチャーミングなヒロインのエミリー役を務め、多くの問題を抱えて心満たされない役柄を演じます。
ストーリーは実話を基に描き、手作り小屋で自由に暮らすホームレスのドナルドが一夜にして資産家になる、衝撃の感動作!
CONTENTS
映画『ロンドン、人生はじめます』の作品情報
【公開】
2017年(イギリス映画)
【原題】
Hampstead
【監督】
ジョエル・ホプキンス
【キャスト】
ダイアン・キートン、ブレンダン・グリーソン、レスリー・マンヴィル、ジェイソン・ワトキンス、ジェームス・ノートン、アリステア・ペトリー、フィル・ディヴィス
【作品概要】
実話を基にホームレスの男性が一夜にして資産家になった大人の恋を描くロマンティック・コメディ。
『新しい人生のはじめかた』『ラブ・パンチ』で知られるジョエル・ホプキンス監督が演出を務め、『アニー・ホール』のダイアン・キートンと、「ハリー・ポッター」シリーズのブレンダン・グリーソンによる共演作品。
映画『ロンドン、人生はじめます』のあらすじとネタバレ
エミリーは朝の日差しに目を覚まし、黒縁メガネをかけ部屋を出ます。
階段を降りと高級マンションの玄関にいるコンシェルジェが挨拶を交わし、玄関を出るとエミリー。
デモの呼びかける青年がチラシを渡します。
夫をなくした後も、その店の仕事をボランティアで手伝っています。
「今度は何?」「サーモンの養殖反対です。」話を適当に流してお店に入ります。
若い母親と小さな娘がお店に入ってきて、母親は娘の背中に付けているリードの紐をエミリーに渡して、奥の試着室へ服を持っていきます。
娘は母親の姿が見えなくなると、店内に掛かっている服を取っては散らかします。
仕方なくエミリーは、リードをお店の柱に括り付けていると、試着室から出てきた母親がそれを見て、すごい剣幕で怒ってお店を出ていきました。
エミリーは事の次第に不満を抱きますが、こらえて自宅マンションに帰宅。その際に管理人から手紙で届いた税務署からの請求書を受け取ります。
また、エントランスでは同じマンションに住む奥様たちが待ち構えていました。
彼女たちはマンションの老朽化に備え、負担額をエミリーに示します。
その金額はエミリーにとって、あまりにも高額なものの、彼女は冷静を装い笑って話を合わします。
ある日、マンションの階段を降りて行くと、またもや、あの奥様たちが井戸端会議。
「エミリー、あの自然の森の奥に閉鎖された幽霊病院があるところ、あの一帯を開発したい会社があるのよ。早く買い取って綺麗にしてほしいわ。なんか物騒でしょ、そう思わない?」と友人のフィオナは言います。
エミリーは軽く会釈して、通り過ぎようとしますが、奥様たちは彼女に言葉をたたみ掛けます。
「ジェームスが会いたいって言ってるのよ。もちろん、会計士としてあなたの力になりたいって言ってるし…」「今日は息子と夕食することになってるの」「いつまでも1人じゃ淋しいでしょ、1人でどうするの・これから…」。
エミリーは話もソコソコに途中で出て行きました。
その後、エミリーと息子フィリップが一緒に回転寿司を食べながら、母親エミリーに「お金のこと大丈夫?」と尋ねます。
エミリーは「あの人が亡くなってから、どんどん請求書が送られてきて生活がもう火の車なのよ…」と言いながら、価格の高い寿司のお皿を取ったところ、「それお店で一番高いお皿、そんな高いもの取ったら…」フィリップに咎められます。
フィリップは「俺もいつまでも助けられないからな、海外赴任しそうなんだ」というと、「だから今日急に連絡したのね。」エミリーの苦虫を潰したような表情を見せます。
ある日、エミリーが夫の遺品を整理していると、アンティークな双眼鏡を見つけ、ふと、屋根裏部屋の窓から見えるの緑の残る公園内のヒースを眺めます。
すると、どうみても手作り小屋があり、1人の男を見つけます。
しかも池で水浴びをしたり、外には野菜がたくさん栽培されていました。
数日後、エミリーは気になって双眼鏡で屋根裏部屋からあの男を覗き見します。
すると、彼が何者かに襲われている現場を目撃して、慌てて警察に通報しました。
あくる日、その男のことが心配になったエミリーは、男を探しに行くことを決意。ヒールの森へ足を踏み入れます。
公園内のヒールにいた毛むくじゃらの巨漢な男はドナルドと名乗りました。
ドナルドはエミリーに自給自足の生活を17年前からはじめ、ここに住んでる言います。
最近、不動産開発会社の標的となり、不法占拠として立ち退きを迫られていました。
また、小屋を壊されたり、落書きをされるなどの嫌がらせを受けていることも話しました。
そんな事情もあってドナルドは、エミリーを警戒心を見せる態度を取っていました。
しかし、エミリーも始めこそ、ドナルドに拒否感を抱いていましたが、庭でディナーに誘われたり、気ままに読書したりする時間を重ねると、ありのままで生きるドナルドの温かな心持ちに、エミリーは惹かれていきます。
映画『ロンドン、人生はじめます』の感想と評価
作品の原題『Hampstead)』とは
この作品の舞台でもあり、『ハムステッド(Hampstead)』と原題にもなっているこの場所は、今やロンドンの中でもユニークな地域です。
“都会の中の村”とロンドナーたちに言われているこの場所は、洗練されたグリーンパークやリージェンツパークのような王立公園にはない野生の要素が魅力となっています。
実際、作品のなかで子供達が走り回って凧揚げをしている場面が印象的でした。
その凧を取ろうと必死になっているドナルド、彼はこのヒースの恩恵を受けながらも大切に見守ってきたのでしょう。
何よりも2人の演技が素晴らしい!
ダイアン・キートン扮するエミリーは、余裕綽々の未亡人と思いきや、夫は浮気者で借金まみれ。
マンションの奥様方は暇を持て余し、友達のように振る舞うものの、心の中では足の引っ張り合い、息子は薄情者。
悩みは尽きないのに、必死にお高くとまっていて、その演技が自然でいやらしくなくてスクリーンに釘付けとなります。
また、夫のお墓の前でいきなり豹変し、お墓に靴を投げつけ罵倒して叫ぶシーンは圧巻でした。
劇中で何度も悩みながら、きりりと決意する表情と行動力。つい、行け行け、やってまえ〜!と観客も立ち上がってしまいそうです。
片やブレンダン扮するドナルド。野暮で実直、頑固な大男いい味を出しています。
気の利いた言葉を出せないアイルランドの流れ者、無骨ながら愛情をじわじわ表現していき、エミリーじゃなくて観客も心を惹かれることでしょう。
一夜を共にした朝、ドナルドがバスタブに泡をいっぱい溜めて入っているのですが、それが本当に子供のように嬉しそうにハシャいでいます。
その後、エミリーの息子にばったり出会うあの気まずさときたら、オススメの見どころです。
「人は好きなことをする権利がある」
この映画は実話に基づいた物語です。
さて、映画を見ていて、1つ分からないことがありました。日本では居住権を勝ち取ることができるのかという疑問です。
2007年このニュースが世界を駆け巡りました。1人のホームレスがひっそりとヒース原野に住み続け、土地を無料で手に入れたという内容です。
実はイギリスには日本人が理解しがたい法律があります。
管理されていない空き地や空き家に住み着いても違法にならないこと、ドナルドのように自家発電でインフラをまかない、器物破損もせず、一定期間すみ続けばスクウォーター(無断居住者)の権利が保障されるそうです。
カール・マルクスのお墓が有名ですが、彼の経歴を辿ると、当時ドイツから亡命した後、極貧生活をロンドンで送り、ヨーロッパを漂流しつつロンドンに度々戻っています。
ホームレスとなりながらも、毎日大英博物館で一日中勉強をしていたと書かれていました。
「人は好きなことをする権利がある」
イギリス映画の根底に流れているのは、この思いだと感じています。
この作品の見どころは、なんと言ってもその思いです。
ドナルドの掘っ建て小屋とエミリーが暮らすヴィトリア朝の高級マンションの2つの物語が、融合していく過程を観客は実際に起こっている問題として見守ることができます。
人生はエミリーのように、どんな人も多くの悩みや問題を抱えて生きています。
でも、決して否定されることなく、幸せに続く道だとエンディングにメッセージを込めています。
一見ファンタジーのような夢物語が現実に起こっていく瞬間を、この作品とともに体験しませんか?
「人は、好きなことをする権利がある」のですから…。
まとめ
本作の脚本に惚れ込んだアカデミー賞女優のダイアン・キートンが演じる、悩みながらも自分の人生と向き合うチャーミングなエミリー。
相手役には「ハリー・ポッター」シリーズの名優ブレンダン・グリーソンの無骨な正直者ドナルド。
映画『ロンドン、人生はじめます』は2018年4月21日(土)よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか公開。
この2人の奇跡のコンビ、2人の世界は共存できるのか、ぜひあなたの目で見届けてほしいです!