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Entry 2021/01/24
Update

映画『愛うつつ』ネタバレ感想と結末解説のあらすじ。キャスト細川岳とnagohoが「恋愛」についての“普通とは何か”を問いかける

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

2021年1月23日に一足早く特別上映された映画『愛うつつ』。
現在、新型コロナの影響でユーロスペースでの上映は延期、2021年春公開予定。

「愛しているからこそ抱けない」新⽥純と「愛しているからこそ抱かれたい」白井結衣。

本作『愛うつつ』が長編映画デビューとなる葉名恒星監督が自身の実体験をもとに、あるカップルの愛とセックスの形を描いた人間ドラマ。

主人公新⽥純を演じるのは映画『佐々木、イン、マイマイン』で印象的な演技を見せた新鋭若手俳の優細川岳。その恋人役・結衣役をシンガーソングライターとしても活躍するnagohoが演じています。

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映画『愛うつつ』の作品情報


(C)HANAOHANACO Co.

【日本公開】
2021年

【監督・脚本】
葉名恒星

【キャスト】
細川岳、nagoho、佐藤岳人、井上実莉、大澤由理、黒木克幸

【作品概要】
監督を務めるのは本作が長編映画監督デビューとなる葉名恒星。自身の実体験を元に本作を構想し、映画を作る前から友人であった細川岳に主人公・新田純の役をオファー。白井結衣を演じるのは、シンガーソングライターとしても活躍するnagoho。

映画『愛うつつ』のあらすじとネタバレ


(C)HANAOHANACO Co.

人材会社の営業職で働く新田純(細川岳)。彼は大学生の白井結衣(nagoho)と付き合っていました。2人は仲睦まじく家に泊まり合う仲であるが、新田純は彼女に性欲を感じることが出来ず、抱けないことに思い悩んでいました。

ある時結衣が純に女性経験がないのかと尋ねます。本当のことを言えず、ふざけて誤魔化す純。

自分に魅力がないのかと不安がり結衣に純は会う回数を増やそう、一緒に住むのはどうかと提案します。お金は心配しなくていいとも言う純の提案に結衣も賛同します。

かつてアルバイトの教師と生徒であった純と結衣。だからこそどこかでまだ生徒だと思われているのか、それとも女性経験がないのかと悩む結衣はアルバイト先の友人(井上実莉)に相談します。

友人も何か訳があるのではと冗談半分に言います。しかし、結衣は純を信じ、一緒に住む気でいることを友人に告げます。友人はそんな結衣に呆れています。

純は結衣を抱けないことに思い悩むだけでなく、結衣に言えない秘密を抱えていました。それは仕事場の上司(佐藤岳人)に誘われ出張ホストを行っていることでした。

年上の女性やさまざまな女性と性行為をすることでお金をもらっている純。上司にも、今まで普通にしてきたのに何故出来ないのか、純と結衣の関係は普通じゃないと言われてしまいます。

純自身も自分たちの関係が普通ではないことをどこかで分かりながらもどうすれば良いのか分からず思い悩んでいます。

そして、ついにジャケットに入っていた名刺で純の秘密を結衣が知ってしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『愛うつつ』ネタバレ・結末の記載がございます。『愛うつつ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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(C)HANAOHANACO Co.

純の秘密を知ってしまい戸惑う結衣。そんな結衣に純は2人で暮らす部屋の話を始めます。

「こんなに高い部屋どうするの?払えないよ。全部ホストのお金なんでしょ」と純に言い、純は驚き言葉を失ってしまいます。

どうしてなのか、行為自体が好きじゃないと思っていたのに、他の人とはするのか。浮気ではないのか、私が他の人と同じことしても良いのかと、戸惑いを隠せない結衣は純に詰め寄ります。

何かを言おうとするも言葉が出ない純は、とうとう声を荒げ、だったら他の人とすればいいと怒鳴ります。そんな純に驚き音葉をなくす結衣。

「ごめん」と、ひたすら謝る純を泣きながら「出てって」と家から追い出してしまいます。

そして友人らと共に合コンに参加する結衣。どこか心ここにあらずな結衣でしたが、参加者の男性(黒木克幸)と純のホストでの源氏名が同じことに気づき思わず反応します。そしてお酒を飲んだ結衣はその男性とラブホテルへ。

結衣にホストのことがばれ、離れていってしまったショックから純は仕事も手につかず、ホストの仕事も上手く対応することが出来ません。

見かねた上司が仕事の合間に一服しに行こうと誘います。普通じゃない、怯えているだけだと上司に言われ、純は怒り上司に、普通の愛を語るな、あんただって同じだと怒鳴ります。どうやったらできるのか教えてくれと泣きます。

一方結衣も友人に別れた方がいい、結衣がおかしくなるよと言われても「本当のことばかり言わないで」と前に進めずにいます。

結衣と会えないままホストの仕事の電話を受けた純は指定されたラブホテルに向かいます。

何故か目隠しをして待つように指示され待っていた純のもとに現れたのは結衣でした。しかし、目隠ししている純は気づきません。

何も言わず、ベッドに純を座らせた結衣はぎこちなく純の服を脱がし、肌に触れ、キスをします。

戸惑いながらもされるがままの純でしたが、次第に相手の正体に気づき始め髪や顔に触れ、気づくと目隠しを外そうとします。そんな純に気づいた結衣は膝枕をしてくれるよう頼みます。

目隠しを外した純は泣きながら結衣に謝り、自分の気持ちを結衣に伝えようとします。

好きだからどうしても出来なかった、他のことは何でもするからそばにいてはだめかなと言う純。その言葉を聞いていた結衣は純さんの言っていること理解しようとしたけど分からなかった、と言います。

泣きながら2人はとうとう体を重ね、朝を迎えます。

駅に向かって他愛もない会話を続けていた2人ですが、駅が近づくにつれ、純の足取りが遅くなり2人の距離が開いていきます。

結衣はただ「バイバイ」と言って駅の中に消えていきます。一人残された純は駅には入らずもと来た道を戻り消えていくのでした。

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映画『愛うつつ』の感想と評価


(C)HANAOHANACO Co.

本作『愛うつつ』は監督自身の実体験を元に、「愛とは何なのか」という疑問を純と結衣の恋愛を通して観客に訴えかける映画となっています。

純が「普通って何だよ、あんたが普通の恋愛語るなよ」と上司に怒りをぶつける場面や、結衣が友達に対し、「正しいことばかり言わないで」という場面があります。そのような場面を通して、誰もが漠然と恋愛はこういうものと思っている価値観が揺らぎはっとさせられます。

恋愛も愛も答えはありません。確かに、出張ホストで客の女性とは性行為ができるのに、恋人とは出来ないというのは変だと思うかもしれません。

でもそれが愛ではないとは言い切れるでしょうか。何かおかしいと漠然とした“普通”の恋愛を人は求めてしまいます。

しかし、そもそも“普通”の恋愛が何なのか答えられる人などいるのでしょうか。

本作で結衣は合コンで出会った男性と行為に及んだかどうかまでは描かれていません。

しかし、純が置いていった煙草を一人部屋で吸い、客としてホストの純に会いに行った結衣はどうにかして純と一緒にいる方法を探し求めていたのでしょう。

一方で純も抱くことはできないけれど一緒にいたい気持ちを結衣に伝えようとします。

結衣の気持ちに答えようとした純は結衣を抱きます。そして迎えた朝。結衣は純の愛を受け止め純といることを選んだのか、それとも純を理解できずに別れを選んだのか

最後に結衣が言った「バイバイ」は、お互い歩み寄ろうとした結果、別れを選んだ前向きな次の一歩のための「バイバイ」だったのはないでしょうか。だからこそ純はそのまま駅には行かずに歩いてきた道を戻ったのかもしれません。

まとめ


(C)HANAOHANACO Co.

「愛しているからこそ抱けない」新⽥純と「愛しているからこそ抱かれたい」白井結衣、2人の恋愛を通して“普通”とは“”とは何なのか問いかける映画『愛うつつ』。

どこか歪のように見えるかもしれない2人の葛藤と不器用ながらも愛を伝えたい姿はいつかの自分や、ふと感じたもやもやを思い起こさせる、パーソナルであり、どこか普遍的な問いかけである映画になっています。

映画『佐々木、イン、マイマイン』で佐々木と言う印象的な役を演じていた細川岳さん。本作は『佐々木、イン、マイマイン』よりも前に作られた映画ですが、どこか掴みどころがないようで人間味に溢れた新田純を魅力的に演じていました。

監督を務めた葉名恒星さんとは葉名恒星さんが映画を作る以前から友人であり、本作の最初の脚本をもらった時に色々と話し合ったそうです。そんな2人だからこそ出来たリアルな葛藤既存の価値観に対する問いかけがこの映画にはつまっています。

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