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映画『紳士は金髪がお好き』ネタバレあらすじ感想と結末の評価解説。マリリン・モンロー代表作おすすめ!ミュージカル・コメディで“玉の輿”をねらえ

  • Writer :
  • 菅浪瑛子

マリリン・モンローとジェーン・ラッセル共演、
ショウガールの恋模様をコミカルに描くミュージカル

『紳士は金髪がお好き』は、1925年に女性作家アニタ・ルースが発表した小説は1928年にも映画化されていますが、本作は1949年にキャロル・チャニング主演でブロードウェイでミュージカル化されたのを元にリメイクされたものです。

マリリン・モンローとジェーン・ラッセル、当時人気の二大女優を起用し、監督は『赤ちゃん教育』(1938)、『三つ数えろ』(1955)のハワード・ホークスが務めました。

劇中で、マリリン・モンローが歌う『ダイヤモンドは女の子の一番の友だち』(Diamonds Are A girl’s Best Friends)は後にマドンナがミュージックビデオに取り入れました。

更に、ミュージカル映画『バーレスク』(2010)でクリスティーナ・アギレラが歌ったり、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』(2020)でマーゴット・ロビー演じるハーレイクインがマリリン・モンローのような衣装を身につけ歌ったことでも話題となった作品です。

映画『紳士は金髪がお好き』の作品情報


「紳士は金髪がお好き」より

【公開】
1953年(アメリカ映画)

【原題】
Gentleman Prefer Blondes

【監督】
ハワード・ホークス

【製作】
ソル・C・シーゲル

【音楽】
ライオネル・ニューマン、ジュール・スタイン

【キャスト】
ジェーン・ラッセル、マリリン・モンロー、チャールズ・コバーン、エリオット・リード、トミー・ヌーナン、ジョージ・ウィンスロウ、マルセル・ダリオ、ジョージ・チャキリス

【作品概要】
監督を務めたのは『三つ数えろ』(1955)、『リオ、ブラボー』(1959)のハワード・ホークス。

ローレライ・リーを演じたのは『ナイアガラ』(1953)、『お熱いのがお好き』(1959)と数々のヒット作を生み、ハリウッドの“セックス・シンボル”ともなったマリリン・モンロー。

ドロシー・ショーを演じたのは、『ならず者』(1943)などのジェーン・ラッセル。

映画『紳士は金髪がお好き』のあらすじとネタバレ


「紳士は金髪がお好き」より

1920年代、大恐慌前のニューヨーク。

ダイヤに目がなくお金持ちと結婚することを夢見ているローレライ(マリリン・モンロー)と、しっかり者だが格好良い男性に弱いドロシー(ジェーン・ラッセル)。

性格は反対ですが、親友同士の2人はショーガールとして人気を博していました。

富豪のガス(トミー・ヌーナン)と結婚したいローレライでしたが、ガスの父親は反対しガスに仕切りに電話をかけて結婚を阻止しようとします。

ガスとローレライは父親から逃れるためパリで結婚することを決意し、パリで合流するためローレライは船に乗ります。ドロシーもローレライのお目付役として同乗します。

格好いい男性に目が無いドロシーは船に乗り合わせたオリンピックの選手団に目を輝かせまずが、運動ばかりで相手にしてくれません。

更に船にはガスの父親が雇った私立探偵のアーニー・マローン(エリオット・リード)も同乗しており、そうとは知らずドロシーは恋に落ちてしまいます。

しかし、ローレライとビークマン卿のスキャンダルな写真を撮っているマローンを見かけドロシーは彼の正体を知ってしまいます。

ローレライと協力し写真を取り返すも盗聴した内容を報告され、ガスから別れを告げられてしまいます。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『紳士は金髪がお好き』ネタバレ・結末の記載がございます。『紳士は金髪がお好き』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

ガスと別れることになってしまったローレライだけでなく、自分の親友を売ったマローンを許せないドロシー。

更にローレライはビークマン卿の夫人のティアラを盗んだ容疑をかけられてしまいます。ティアラを返そうにもなぜかなくなっています。

困ったローレライを助けるためドロシーはカツラをかぶりローレライになりすまし裁判に向かいます。マローンはガスの父親と共に裁判にやってきましたが、ドロシーへの好意から真実解明の手助けをし、ティアラは元の場所に戻ります。

ローレライとガスは再び結婚しようと決意しますが、そこにガスの父親がやってきます。ドロシーをローレライだと思い込んでいたガスの父親は結婚に賛成しますが、彼女がローレライだと知ると反対します。

「お金目当ての何が悪いの?あなたに娘がいたら貧しい人と結婚するよりももっといい人と思うでしょう」と反論するローレライにガスの父親は驚きます。

「馬鹿だと聞いていたのに賢いではないか」と父嫌が言うと、「男の人は知性のある女を嫌うけれどガスは好いてくれる」とローレライは答えます。

そしてローレライのことを父親も気に入り、ガスとローレライ、そしてドロシーとマローンもめでたく結婚することになりました。

映画『紳士は金髪がお好き』の感想と評価


「紳士は金髪がお好き」より

マリリン・モンローが演じる女性像

劇中マリリン・モンローが歌うダイヤモンドは女の子の一番の友だち』(Diamonds Are A girl’s Best Friends)の歌詞には、男は若い女に飛びつくけれどいずれ冷たくなる、けれどダイアモンドは裏切らないとあります。

そのような“玉の輿”を狙うというのは当時のステータスに通じる価値観であったと考えられ、タイトルに『紳士は金髪がお好き』とあるように男性に好まれる若くて美しい金髪の美女であろうと奮闘する女性の姿もコミカルに描いています。

グラマラスで美しく、お茶目さもあるまさにマリリン・モンローの代名詞である“セックス・シンボル”としての魅力。

その魅力は持って生まれたものだけでなく、マリリン・モンロー自身が作り上げ自らに課した姿であったとも言われています。

マリリン・モンローは生まれつきの金髪ではなく毎度染め、仕草から話し方まで計算し尽くされた女優マリリン・モンローとして自身をプロデュースしました。

マリリン・モンロー演じるローレライはお金に目がなく、お金持ちの男性に飛び付きます。

しかしローレライは単にお金が欲しいのではなく、貧しくお金のことを心配していたら愛する余裕なんてないと言い、その言葉の奥には苦労してここまできた彼女の生い立ちを感じさせます。

また、ローレライは非常に頭も良く、咄嗟のアクシデントにも臨機応変に対応します。また、ラストで知性があっても隠していたことと話し、そんなローレライの知性もガスは受け止めてくれる、と言います。

確かにローレライはお金が好きでダイヤにも目がない女性ですが、それだけではなくきちんと人を見て自分の幸せを掴み取ろうとする芯のある女性でもあるのです。

まとめ

ダイヤに目がなくお金持ちと結婚することを夢見ているローレライ(マリリン・モンロー)としっかり者だが格好良い男性に弱いドロシー(ジェーン・ラッセル)、2人のショーガールの恋愛劇をコミカルに描くミュージカル映画『紳士は金髪がお好き』。

ローレライとドロシー自身の生い立ちを歌ったかのような『リトル・ロックから来た娘』(A Little Girl from Little Rock)から始まり、『バイ・バイ・ベイビー』(Bye Bye Baby)『ダイヤモンドは女の子の一番の友だち』(Diamonds Are A girl’s Best Friends)などマリリン・モンローとジェーン・ラッセルが歌う楽曲にも注目です。




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