『新感染半島 ファイナル・ステージ』は2021年1月1日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
韓国で大ヒットを記録し、日本でも大きな話題を読んだゾンビパニックアクション映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』の4年後を描く『新感染半島 ファイナル・ステージ』。
前作よりも更に撮影期間を要し、最新のVFXを駆使したアクションは劇場で見てこその臨場感です。感染から4年後、変わり果てた祖国にやってきた主人公を襲うゾンビ。
生きてこの半島を出ることができるのか…手に汗握るホラーアクション大作!
映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』の作品情報
【日本公開】
2021年(韓国映画)
【原題】
반도/PENINSULA
【監督・脚本】
ヨン・サンホ
【キャスト】
カン・ドンウォン、イ・ジョンヒョン、クォン・ヘヒョ、キム・ミンジェ、ク・ギョファン、キム・ドユン、イ・レ、イ・イェオン
【作品概要】
前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』に引き続き、ヨン・サンホが監督を務め、本作は2020年・第73回カンヌ国際映画祭のオフィシャルセレクション「カンヌレーベル」作品にも選出されています。
主演は『MASTER マスター』(2017)、『1987、ある闘いの真実』(2018)などで知られる実力派俳優カン・ドンウォン、他のキャストに『ラブ・アゲイン 2度目のプロポーズ』(2020)のイ・ジョンヒョン、『それから』(2018)などホン・サンス監督作に出演しているクォン・ヘヒョが出演しています。
映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』のあらすじ
謎のウィルスの感染爆発により、狂暴化した感染者が大量発生した韓国。
軍人のジョンスク(カン・ドンウォン)は姉一家と共に車に乗り込み、韓国から避難する船に向かっていました。
道中、車が故障した一家に出会い、「感染していないから乗せてください、せめて子供だけでも…」と泣き叫ぶ母親を助けることなく車を走らせてしまいます。
そして船に乗り、義兄チョルミン(キム・ドユン)とジョンスクが部屋を離れた際に、姉とその息子のいる客室では、感染した乗客が紛れこみ大パニックに。
慌ててジョンスクが駆けつけると、感染した息子を抱き抱えた姉の姿がありました。感染していない姉だけでも助けようとしましたが、姉は諦めた顔で逃げようとしません。
姉を見殺しにする形でジョンスクは部屋を封鎖し、取り乱すチョルミンを引き止め、チョルミンとジョンスクは香港に辿り着きます。
姉を見殺しにしてしまったことの後悔を抱え、香港で廃人のように暮らすジョンスクとチョルミン。
ある日裏社会の人間に呼び出され、封鎖された半島に再び潜入し、ソウルのど真ん中に乗り捨てられた大量のドル札が積まれたトラックを3日以内に回収し、半島から帰還する任務を持ちかけられます。
乗り気ではなかったジョンソクですが、この仕事にかけているチョルミンを一人半島に行かせる訳には行かないと半島に向かうことを決意します。
感染者は夜間目が見えず、音や光に反応するという特徴があるため、夜間にジョンスクとチョルミンとその他流れ者の2人の4人で入国し、手下は船で待ちます。
トラックを探している道中、ガラスの建物の中にひしめく大量の感染者を見ますが、他に人はおらずあたりはひっそりとしています。
特にトラブルなくトラックを見つけた一行でしたが、突如そこに631部隊が現れます。631部隊は、地獄のような半島で暮らすうちに残虐で狂暴となった民兵の生き残り達でした。
ジョンソクらの前に631部隊が焼夷弾を放ち、その光に集まった感染者がジョンソクらに襲いかかります。
チョルミンの無事も分からず、絶対絶命のジョンソクを救ったのは生存者の幼い姉妹でした。姉のジュニ(イ・レ)は大人も顔負けの運転スキルで感染者を払い退けていきます。
妹のユジン(イ・イェオン)はキラキラにデコレーションしたラジコンカーで感染者の気をひき、車から遠ざけます。姉妹は自分たちのアジトにジョンソクを連れていきます。
そこにいたのは姉妹の母ミンジョン(イ・ジョンヒョン)と師団長と呼ばれる初老の元軍人キム(クォン・ヘヒョ)でした。
映画『新感染半島 ファイナル・ステージ』の感想と評価
前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』においても、主人公演じるコン・ユをはじめ、マ・ドンソク、チョン・ユミ、チェ・ウシクなどそれぞれの役者陣が演じるキャラクターの魅力が映画の見所の一つとなっていました。
続編である『新感染半島 ファイナル・ステージ』においてもそれぞれのキャラクターの描かれ方は大きな見所です。
主人公ジョンソク(カン・ドンウォン)は正義感のある軍人でしたが、姉とその息子を助けられなかったことを後悔し、辿り着いた香港で廃人のように暮らしていました。
義兄チョルミン(キム・ドユン)に対しても救えなかったという罪悪感を常に抱いています。
同じく救えず残ってしまったチョルミンはジョンソクが責任を感じていることも感じている上に、自身も助けられず生き残ってしまったという気持ちを抱えています。
そんな2人が再び入国した半島は、都市機能が消滅し、無法地帯となり、凶暴化した631部隊が取り仕切っています。
本作のヒロインであるミンジョン(イ・ジョンヒョン)は夫を亡くし、一人で2人の娘を守るため、“戦う母”としてサバイバルスキルを身に付け、半島で生存しています。
その娘たちも、守られるばかりではなく、姉のジュニ(イ・レ)は卓越した運転スキルを持ち、妹のユジン(イ・イェオン)は無邪気ながら地震でラジコンカーを改造する才能を持っています。
あの感染から4年後の無法地帯となった世界を生き抜く強きヒロイン・ミンジョンと、過去のトラウマを抱え廃人のようであったジョンソクが誰かを守るために行動し、強く成長していくストーリーが本作の見所の一つです。
更に凶暴化した631部隊には、外の世界には一切出ず自室で隙あれば脱出する術を考えている、本心の見えないソ大尉(ク・ギョファン)や残虐性で皆を従え、感染者に襲わせて競技を楽しむ狂気の人物ファン軍曹(キム・ミンジェ)がいます。
終末世界を感じさせる無法地帯に蔓延る狂気と残虐性は映画『マッドマックス』(1979)シリーズを思わせる雰囲気があり、監督自身も本作を制作するにあたり、参考にした映画に映画『マッドマックス』(1979)シリーズを上げています。
人間性を見失いつつある世界で、ミンジョンと姉妹。そして師団長と呼ばれる元軍人キム(クォン・ヘヒョ)は家族としてこの世界を生き抜こうとしているのです。
その姿は631部隊の凶暴で自分のことしか考えない人々と相反して人々の心をうちます。
こんな世界でも家族と一緒にいればそれでいい、と力強く訴えるジュニの姿がこの世界の希望としてうつります。
そんな家族と共に戦うことで、廃人のようであったジョンソクに再び生きる意志が宿っていきます。
大迫力なカーチェイス、迫りくるおびただしい数の感染者と、手に汗握るゾンビパニックアクション映画としても見所抜群な本作。更にその世界で強く生き抜こうとする人々のヒューマンドラマに胸がうたれることでしょう。
都市機能がなくなった半島に生存していたミンジョン家族ですが、ジョンソクと共にその半島をさることで、二重の意味で祖国を失ったとも言えるのかもしれません。
しかし、祖国を失っても共に生き抜く“家族”がいることが重要なのです。
まとめ
『新感染 ファイナル・エクスプレス』は列車の中のパニックであったのに対し、『新感染半島 ファイナル・ステージ』ではソウル市内を縦断するカーアクション!と、何倍にもパワーもスケールもアップした圧巻の世界観に仕上げています。
更に、主人公演じるジョンソクをはじめ魅力的なキャラクターが揃う本作。
エンタメとして見応え抜群の本作ですが、前作『新感染 ファイナル・エクスプレス』、続編『新感染半島 ファイナル・ステージ』と共に描いている根底にあるのは“家族”なのかもしれません。
2020年はコロナ感染症が大流行し、今もなお収束したとはいえない状況です。そんな中公開された本作は今一度“家族”とは何か、生き抜くことについて見つめ直す映画となるかもしれません。
『新感染半島 ファイナル・ステージ』は2021年1月1日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー。