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呪呪呪/死者をあやつるもの|あらすじ感想考察と評価解説。韓国ホラー映画はヨンサンホとキムヨンワンで描く呪術ゾンビの襲来!

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『呪呪呪/死者をあやつるもの』は2023年2月10日(金)より全国ロードショー!

呪術に操られた屍に立ち向かうジャーナリストたちの死闘を描いた韓国ホラー『呪呪呪 死者をあやつるもの』。

新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)のヨン・サンホが原作をはじめ脚本も手がけ、呪術ゾンビが大量発生のホラーが誕生しました。

呪いによってよみがえったゾンビ集団に立ち向かうジャーナリストと少女呪術師の戦いを描きだす本作。オム・ジウォンがジャーナリスト、『パラサイト 半地下の家族』(2019)のチョン・ジソが少女呪術師を演じます。

韓国発の新たなホラーとも言える『呪呪呪/死者をあやつるもの』をご紹介します。

映画『呪呪呪/死者をあやつるもの』の作品情報


(C)2021 CJ ENM, CLIMAX STUDIO ALL RIGHTS RESERVED

【日本公開】
2023年(韓国映画)

【英題】
The Cursed: Dead Man’s Prey

【原題】
방법: 재차의)

【監督】
キム・ヨンワン

【原作・脚本】
ヨン・サンホ

【キャスト】
オム・ジウォン 、チョン・ジソ 、チョン・ムンソン 、キム・イングォン 、コ・ギュピル

【作品概要】
呪いによってよみがえったゾンビ集団に立ち向かうジャーナリストと少女呪術師の戦いを描いた、アクションホラーエンタテインメント。

マ・ドンソク主演『ファイティン!』(2018)のキム・ヨンワン監督が本作を手がけました。

キャストでは主人公のジャーナリスト・ジニを『美しき野獣』(2006)『ソウォン 願い』(2013)『京城学校 消えた少女たち』(2015)のオム・ジウォン、呪術師ソジンを『隻眼の虎』(2015)『パラサイト 半地下の家族』(2019)のチョン・ジソが担当しました。


映画『呪呪呪/死者をあやつるもの』のあらすじ


(C)2021 CJ ENM, CLIMAX STUDIO ALL RIGHTS RESERVED

とある閑静な住宅街で、ある日凄惨な殺人事件が発生します。被害者のそばには容疑者らしき人物の死体がありましたが、推定されたその死亡時期は約3カ月前。

そんな中、ジャーナリストのジニ(オム・ジウォン)が出演しているラジオに、事件の犯人を名乗る男から電話が。ジニに単独インタビューを申し込んできたその男は、自分が死体を操って被害者を殺したと告白します。

そして番組の中で、ある大企業の主要人物三人の殺人予告をし、大立ち回りをした挙句に、あの事件の容疑者のように朽ち果て死んでしまいました。

深まる謎に挑むべくジニは、警察と協力して事件の調査を進めるうちに、事件には大企業の陰謀による被害者が関係していることを突き止めます。かくして向けられた刺客は、強大な呪いによってよみがえった大勢のゾンビたち。

ゾンビ集団の魔の手に巻き込まれたジニは間一髪で旧知の呪術師ソジン(チョン・ジソ)に救い出され、ともにゾンビ集団とその黒幕に立ち向かっていきますが……。

映画『呪呪呪/死者をあやつるもの』の感想と評価


(C)2021 CJ ENM, CLIMAX STUDIO ALL RIGHTS RESERVED

本作は「ゾンビもの」的なジャンルの中でも、新たなチャレンジを目指していると見える点があります。その傾向はいわゆる「韓国作品らしさ」というポイントを前面に押し出しているところにあります。

物語が大きく動くポイントは、大企業の疑惑が発覚し呪術によってその陰謀にメスが入るという点になります。

いわゆる財閥、大企業などを中心とした大きく横暴な勢力に庶民が立ち向かう、といったモチーフは、韓国の映画やドラマなどでも多く取り上げられているもので、本作でもこのモチーフは物語の大きな主軸となっています。

物語の出だしでは「呪術ゾンビ」という点に意識が向きがちではありますが、物語が展開していくうちに「ああ、韓国らしい作品だ」という点を見る側に無意識に植え付けていくわけです。

呪術に立ち向かうダークヒーロー(ヒロイン)の存在も韓国作品では多く存在しており、「美少女」を起用しているところには、日本に次いでサブカル的影響力を発揮し始めている韓国という位置づけを考えると、作品のカラーをうまく整えている印象もあります。


(C)2021 CJ ENM, CLIMAX STUDIO ALL RIGHTS RESERVED

また本作は、呪術の出どころとして韓国以外の国をピックアップしている点にも特徴的なポイントがあります。

単に「韓国の呪術師によるゾンビ物語」というローカルな作品イメージに留めず、ある程度普遍的なテーマへと間口を広げているような空気も感じられます。

ナ・ホンジン監督の『哭声 コクソン』(2017)では、韓国で起きた呪術による事件に、國村隼が演じるよそ者の男、日本人の男性が絡むという特別な設定がありましたが、ある意味これと似たアプローチとも見えます。

この「呪術」的なシーンは、韓国人一色の大量ゾンビ発生シーンとはまた異なったテイストもあり、ホラー作品のエンタテインメント性としても非常にバラエティに富んだカラーを織り込んでいます。

新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)『新感染半島 ファイナル・ステージ』(2020)『ソウル・ステーション パンデミック』(2016)で「ゾンビもの」ジャンルに大きく名をはせたヨン・サンホですが、これら作品はいわゆるゾンビ作品を、ロケーションのみ韓国という場所に当てはめたというところに留まっている印象でした。

その意味で本作は、韓国発の新たなホラー作品を生み出す挑戦という意向も感じられる作品であるといえるでしょう。


まとめ


(C)2021 CJ ENM, CLIMAX STUDIO ALL RIGHTS RESERVED

ヨン・サンホ原作の作品だけに、本作も「ゾンビもの」という点に注目が集まりますが、ユニークなのは、いわゆるジョージ・A・ロメロ監督作品に代表される「ゾンビもの」とは一線を画す、いわば「ロメロ以前」といえる古典的なゾンビが登場するところにあります。

ロメロ作品のゾンビは、その誕生原因ははっきりしないものの、自然現象や化学変化などのある程度合理性をもったきっかけで、人の意思とは無関係に新たな生物が発生するものでした。

一方で彼の作品以前にゾンビという存在としては、西アフリカのブードゥー教などの伝説に関係する、「呪術によってよみがえった人間」というもの。

よみがえった人間には何らかの意向や意思が感じられるとともに、呪術のターゲットとして人を食べるということより、傷つける、または殺すということが目的です。

本作ではさらに機敏で知的な動作を見せるゾンビが、大人数で束になって登場するという奇想天外な設定で、「ゾンビらしい」というおぞましさの一方、アクションの迫力もたっぷり楽しめる作品となっています。

映画『呪呪呪/死者をあやつるもの』は2023年2月10日(金)より全国ロードショー




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