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Entry 2019/10/27
Update

映画『ブライトバーン』あらすじと感想レビュー。 “恐怖の拡散者”は悪のスーパーマン?それとも新たなオーメンなのか

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』は2019年11月15日(金)よりロードショー!

子どもを待ち望むとある農場の夫婦が、ある日一人の子どもを授かりました。しかしその子どもの正体は、世界に恐怖をもたらすものでした…。

あるきっかけで子どもを授かることになった農場の夫婦とその周辺の人々が、子どもが成長するにつれて遭遇することになる恐怖の瞬間を描いたホラー『ブライトバーン/恐怖の拡散者』

監督を『インバージョン 転移』を手掛けたデヴィッド・ヤロヴェスキーが担当、キャストには『ハンガー・ゲーム』シリーズなどのエリザベス・バンクス、『シャッター』などのデヴィッド・デンマンらが名を連ねました。

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映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』の作品情報


(C) The H Collective

【日本公開】
2019年(アメリカ映画)

【英題】
BRIGHTBURN

【監督】
デヴィッド・ヤロヴェスキー

【キャスト】
エリザベス・バンクス、デヴィッド・デンマン、ジャクソン・A・ダン

【作品概要】

異様で強大な力をもつ少年が、その力に目覚め成長するにつれて周囲を恐怖に陥れる様を描きます。

監督を『インバージョン 転移』を手掛けたデヴィッド・ヤロヴェスキーが担当、製作を『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズなどを手掛けたジェームズ・ガンが務め、スケール感のあるストーリーを展開。

キャストには『ハンガー・ゲーム』シリーズに出演したエリザベス・バンクスと『シャッター』などのデヴィッド・デンマンらが出演。主題歌を2019年に17歳でデビューアルバムをリリースしたビリー・アイリッシュが歌います。

なおこの作品は、日本の楽天が米国で映画製作・配給を手掛けるThe H Collective,Incと合弁による映画制作会社Rakuten Distribution株式会社を設立、映画配給事業参入の第一弾配給作品となっています。

映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』のあらすじ


(C) The H Collective

カンザス州・ブライトバーンの農場に住むトリと夫のカイルは、いつも自分たちの子どもを待ち望んでいました。

ある日、ブライトバーンに大きな隕石が落下。その日に二人はあるきっかけで、一人の子どもを授かり、育てることになりました。

ブランドンと名付けられたその男の子はすくすくと成長し夫妻にとってかけがえのない存在になっていきます。ところがある夜、ベッドで寝ていたブランドンは、夢の中の声に導かれて納屋の奥にある一つの落とし扉を見つけます。

扉には鍵がかかっており、ブランドンは中に入ることはできませんでした。しかし後日、ブランドンは自分に不思議な力があることに気が付きます。

そのころからブランドンはカイルたちに反抗的な態度をとるように。そんなブランドンを心配しながら、心の奥底で恐れを抱くトリとカイル。彼らとブランドンとの出会いには、ある一つの秘密があったのです…。

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映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』の感想と評価

共感を誘うエピソード


(C) The H Collective

当初より悪役版の『スーパーマン』という評価も多かったこの作品。もともと脚本を手掛けたジェームズ・ガンの弟であるブライアン・ガンも、この物語のアイデアとして、大きな力を手に入れた子どもたちが、邪悪なものになってしまったら?という仮説のもとストーリーを構築していったといいます。

その意味ではまさしく悪役版『スーパーマン』を意図して作り上げたともいえますが、一方でこの構図は現代社会の闇の部分にもある子どもたちの生きづらさ、周辺の大人に対する意見の食い、子どもたちが生きづらさを主張するような局面を想像させるものでもあります。

物語の概要としては、強大な力を手に入れた子どもが邪悪な意志をもち、その意思のままに残虐な行為を繰り返していくというものであり、邪悪な意志をもつまでのところに本作の大きな魅力があるといえます。

成長するに従い、子どもは世の不条理に遭遇し当惑し、成長に伴い子どもたちは大きな力を得ることで反抗期に移行していきます。この物語の流れは、まさしくそんな人の成長をそのまま描いているようでもあります。

ここで最も強い恐怖のポイントとなるのは、子どもを取り巻く人たち。知らない間に子どもたちは世のいろんな場所を見て、そしてその影響に目まぐるしく変化を遂げる、その影響に気づけない親たちは、そんな子どもに手の負えなさを感じ困惑、そしてそれこそが恐怖になっていくのです。

こういった構図は、人間の成長の中ではよく見られる場面でもあり、社会生活の上ではあって当たり前に思えるシーンでもあります。

それ故にこの物語も何らかの大きな力がブランドンに授かるという特殊なエピソードはあれど、人の成長に必然として出てくるものが強い説得力を生み出し、見る人の脳裏に、鮮明な印象を焼き付けていくのです。

一方で成長している子ども、特にブランドンのように今まさにさまざまな不条理にぶち当たっている子どもたちにとって、彼のような大きな力は憧れの象徴ともなりえます。

その点からすれば「こんなことを考えている子が普通にたくさんいるかもしれない」と思わせる節も、この物語に恐怖を感じる大きな要因となっているといえるでしょう。

見ればいろんな部分に共感すること自体に、恐怖を感じる人も多くいるのではないでしょうか。

確かな感性で描かれたホラー


(C) The H Collective

また、この作品の完成度という点では、監督のデヴィッド・ヤロヴェスキーの手腕が大きく発揮されているといっても過言ではありません。

まだ長編の監督作品の実績は多くないヤロヴェスキーではありますが、もともとジェームズ・ガンととともにミュージックビデオ「Guardians of the Galaxy: Inferuno」を手掛けています。

参考映像:”Guardians’ Inferno” | Marvel Studios’ Guardians of the Galaxy Vol.2

その経緯からガンは、ヤロヴェスキーが膨大な数の作品を見て磨いてきたであろうと察せられる、ホラー、スリラー作品に対する抜群のセンスを見抜いていたといいます。

物語に登場する衝撃的なシーンは、ある種ホラームービーの名作に対するオマージュを感じさせるものがいくつかありますが、そんな局面をもちながら、しっかりとオリジナリティーを追究し「そう来るか!」と思わず唸ってしまいそうなアイデアを盛り込んでいます

またその見せ方も非常に巧みで、文字通り目をそむけたくなる場面を瞬間的に画面に表し、その一瞬に気をそがれる、といった恐怖シーンをいくつも用意しています。

ある意味ホラーとしては常套句的な手段を使っているように見える一方で、独自のタイミング感覚も持ち合わせているようでもあります。

どこかで見たはずと思わせながらも、そこに確かなオリジナリティーを盛り込んでショッキングなシーンに仕上げており、ホラー映画の磐石な基本を押さえているのです。

ホラーマニアの方にはもとになったオリジナル映画をもろもろ想像してみながら、そこにどんなひねりがあるのかを考察してみるのも、面白い観覧の仕方になるかもしれません。

まとめ


(C) The H Collective

人類の恐怖に成長するブランドンの姿には、まさに『スーパーマン』を髣髴する印象がある一方で、小さなころは愛らしい笑顔をみせていたのが、ある日からぱったりと笑わなくなる部分には『オーメン』を思わせてくれます。

一つ一つの要素はこれまでのホラー作品に時として登場していたものでありながら、それでも強いショックを与えられるのは、人々の感性に訴えるプロセスを忠実に追っているからでもあるのでしょう。

映画『ブライトバーン/恐怖の拡散者』は2019年11月15日(金)より公開されます!

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