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Entry 2022/06/20
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『スウィートビターキャンディー』あらすじ感想と解説評価。小川あんと石田法嗣共演で“大人になりかけ”の少女と居場所のない男の甘くて苦い夏の恋物語

  • Writer :
  • 谷川裕美子

大阪アジアン映画祭出品『スウィートビターキャンディー』が2022年7月15日(金)より全国公開。

若さと馬鹿さ』(2019)の中村祐太郎監督による第16回大阪アジアン映画祭出品作品『スウィートビターキャンディー』が2022年7月15日(金)に下北沢K2、池袋シネマロサほか全国公開となります。

子供と大人の間で揺れる女と、どこにも居場所のない男の、みじめで可笑しい心が描かれます。やがて少女の中でキャンディのように溶けていく甘くて苦い想いに、胸が切なくなる一作です。

21世紀の女の子』(2019)、『あいが、そいで、こい』(2019)の小川あんが主演を務めます。

【連載コラム】『大阪アジアン映画祭2022見聞録』記事一覧はこちら

映画『スウィートビターキャンディー』の作品情報


(C)MotionGalleryStudio

【公開】
2022年(日本映画)

【監督・脚本】
中村祐太郎

【出演】
小川あん、石田法嗣、田中俊介、清水くるみ、松浦祐也、片岡礼子

【作品概要】
『女流闘牌伝 aki-アキ-』(2017)『若さと馬鹿さ』(2019)の中村祐太郎監督がオリジナル脚本を務めるタイトル通り甘く苦い恋愛映画。第16回大阪アジアン映画祭出品作品。

子供と大人の間で揺れる孤独な10代の少女と、過去に問題を起こして居場所をなくした男の心が通じ合ったりすれ違ったりするさまが繊細に描かれます。

主演を『21世紀の女の子』(2019)、『あいが、そいで、こい』(2019)などで活躍中の小川あんが務めるほか、『ファーストラヴ』(2021)の石田法嗣、『彼女』(2021)の田中俊介、『わたし達はおとな』(2022)の清水くるみら若手実力派が出演。

小川あんは本作の主題歌も歌っています。

映画『スウィートビターキャンディー』のあらすじ

裕福な家庭で育った大学受験を控える女子高生のサナエは、両親と姉のユキエと4人家族。人と交流するのが少し苦手な彼女は孤独感を抱いていました。

ある日、家政夫の男性・裕介がやってきました。東京から来た謎めいたところのある彼に恋をしたサナエは、ちょっかいを出しては距離を縮めていきます。

一方、姉のユキエはSNSに裕介の写真を勝手にアップして、彼をひどく怒らせます。

父の会社の社員の山下に呼び出されたサナエは、裕介が以前女性をストーカーした末に相手を殴り、その後も問題を起こして転々としてきたことを聞かされます。

それでも、サナエの裕介への思いは変わりませんでした。彼女は裕介に思いをまっすぐにぶつけ、彼を理解したいと話しますが…。

映画『スウィートビターキャンディー』の感想と評価

10代の少女のまっすぐすぎる恋心

映画『スウィートビターキャンディー』は、純粋な10代の少女ならではの揺れる感情が見事に映し出されています。コントロールできない激しい恋心が、観る者に若き恋への郷愁を呼び覚ます一作です。

主人公は女子高校生のサナエ。子どもと大人の狭間で揺れ動く年頃の女の子です。

裕福な家庭に育ち、女子高に通うサナエは、家政夫として現れた年上の男性の裕介にこれまで出会った男たちとは違う陰のある魅力を感じ、すぐに恋に落ちます。

好きだから気をひきたい、なんでもいいからちょっかいを出したい…そんな純粋で強い思いから、幼い行動をとり始めるサナエ。

注意を引くために生卵を落としたり、それを片付けてくれている彼の頭の上に牛乳をわざとかけたり。まるで、親の気をひきたくておかしないたずらをする小さな子どものような行いです。

そうかと思うと、シャワーを浴びた彼の髪を乾かし、裸の背中に頬を寄せるなど、突然「女」の顔を見せて裕介を翻弄します。

裕介の過去を知っても尚、変わらずに正面からぶつかっていくサナエのまっすぐな視線を前に、裕介は本当の姿をさらけ出すしかありませんでした。

孤独を抱いているにちがいない裕介を「守りたい」という強い母性が、さらにサナエの恋を強いものへと変えていきます。

さまざまな作品で活躍する小川あんが、切なく熱い恋心を制御できないサナエの揺れ動く思いを繊細に清潔に演じています

まとめ

若さと馬鹿さ』(2019)の中村祐太郎監督による、少女と女の狭間で揺れるヒロインの激しい恋心を描いた『スウィートビターキャンディー』

恋した相手が過去に問題を起こしていたことから、少女の恋は険しいものへと変わっていきます。困難にあうほどに、熱く燃え上がる思いが観る者の胸をしめつける一作です。

心が通じない姉や、会社社長の娘を出世のために狙う少年院上がりの社員なども登場し、取り巻く人たちの心情まで丁寧に映し出された人間ドラマが展開します。

誰もが一度は経験したことがあるのではないかと思わせる若き日の激しい恋に思いを馳せながら、切ない甘さをじっくり味わってください。

【連載コラム】『大阪アジアン映画祭2022見聞録』記事一覧はこちら





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