大切な友人を失くしたことへの罪悪感から這い上がる再生の物語『杉森くんを殺すには』が映画化!
第62回野間児童文芸賞を受賞した小説『杉森くんを殺すには』(著者:長谷川まりる)の映画化が決定し、2027年公開予定。
物語は、主人公の高校1年生のヒロが兄のミトさんに「杉森くんを殺すことにしたの」と告げるシーンから始まります。
この衝撃的なセリフには深い意味があり、本作は友情と自分自身への罪悪感とを背負ったヒロの心の再生の記録でもあるのです。
若者の傷つきやすい感性を扱った原作を、『こちらあみ子』(2022)『ルート29』(2024)の森井勇佑監督が、映像化しました。
映画公開に先駆けて、小説『杉森くんを殺すには』をネタバレ有りでご紹介します。
小説『杉森くんを殺すには』の主な登場人物
【広瀬結愛】
通称、ヒロ。高校1年生の女子。
【ミトさん】
ヒロの年の離れた義理の兄。
【佐藤さん】
ヒロの高校の同級生。
【杉森くん】
ヒロの友人。
小説『杉森くんを殺すには』のあらすじとネタバレ
ヒロこと広瀬結愛は高校1年生。ある時、友達の杉森くんを殺す決心をしました。
とりあえず、義兄の大学生のミトさんにこの決心を報告します。
「杉森くんを殺すことにしたの」と言うと、ミトさんはしばらく黙って、「そうか。ヒロのことだからよく考えての結論だろう」と言いました。
そして、「ヒロがよく考えて決めたなら、そうするしかないだろうな」とも。
「ヒロは15歳になっているから、責任をとらなければいけない。いまのうちにやりたいことをやっておけ。後悔しないように」とも言われました。
また、「全部終わったら、裁判所で理由を話さなければならないから、杉森くんを殺す理由をちゃんとまとめておけ」とも。
ミトさんからのありがたいアドバイスが2つありました。ヒロは実践するつもりでまとめます。
①やり残したことをする。 ②杉森くんを殺さなきゃいけない理由をまとめておく。
まず、①を実践するために、ヒロは貯金箱からお金を出して、漫画本を大人買いしました。
そして、よく話すようになった同級生の佐藤さんと休日に遊園地に行く約束をしました。
ヒロは4人家族ですが、今のお母さんとは血がつながっていません。ヒロが小学3年生の時にお父さんは、ミトさんのお母さんと子連れで再婚しました。
ミトさんはヒロよりも5歳年上です。ヒロが高校生になったら、ミトさんは大学生になり、家を出て一人で住んでいます。
ヒロはミトさんになつき、なんでも相談してきました。だから杉森くんを殺すことも真っ先にミトさんに言ったのです。
小説『杉森くんを殺すには』の感想と評価
『杉森くんを殺すには』は、深い喪失感や大切な人を亡くした心の傷の癒やしをテーマにした「傷ついた心を、取りもどす物語」です。
主人公のヒロと杉森くんの歪な関係から、次第に2人の間にあった真実の出来事が明らかになっていきます。
親友だった杉森くんの重大な悩みを受け止めきれなかったヒロ。やがて杉森くんが自殺してしまい、ヒロは行き場のない後悔に悩まされ、やがてそれは深い罪悪感となって心に存在するようになりました。
ヒロが杉森くんを見捨ててしまったという深い罪悪感や、自分を縛り続ける「杉森くんの記憶」にどうケジメをつけて、自分の心を取り戻すかをヒロの立場から丁寧に描き出します。
「杉森くんの記憶」にケジメをつけるということは、自分の中で杉森くんという存在を“終わらせる”ことであり、それが‟殺す”という表現になっているのです。
ヒロの苦しい胸の内を知るのは、時々相談を受ける義兄のミトさんだけ。ミトさんはヒロの話を聞き、ヒロが自分で自分の殻を破るように配慮したアドバイスをします。
殺す理由を考えること。理由を考えながらヒロは封鎖した過去の記憶を思い出し、15ぐらいまで考え付いたとき、自分があの頃何を思って、これからどうするべきかを悟ります。
友人から悩みを打ち明けられても、自分がそれに答えられずに無視した、とします。心の拠り所を失った友人は自らの命を絶ってしまったとしたら、いったい自分はどうすればいいのでしょう。
ヒロの立場を自分に置き換えてみれば、ヒロの思い描く「杉森くんを殺す理由」はよくわかり、心が痛みます。
深い心の傷をどうやって癒せばいいのかわからずに悩み苦しむヒロですが、やがてその悩みを乗り越えることができました。これは読者もホッとする結末です。
一つの試練を乗り越えて成長する女子高校生ヒロの青春譚ともいえる作品でした。
映画『杉森くんを殺すには』の見どころ

森井勇佑監督
主人公ヒロのほろ苦い青春を描いた原作小説『杉森くんを殺すには』を、『こちらあみ子』(2022)『ルート29』(2024)で少女の感性を描いてきた森井勇佑監督が映画化にします。
脚本は『猫の恩返し』(2002)『映画 聲の形』(2016)『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』といった人気作品を手掛けてきた吉田玲子が担当。
性のことで悩む親友とその親友を守り切れなかったヒロ。心を打つのは、2人の高校生のガラス細工のような繊細な感性です。
少女の複雑な胸中やその瑞々しい感性をこれまで作品に投入してきた2人がタッグを組んで映画化。
10代の若者が自分や近しい人々の心の問題と向き合い、傷ついた心を取り戻すまでの時間を丁寧に描き出されることでしょう。
映画『杉森くんを殺すには』の作品情報
【日本公開】
2027年(日本映画)
【原作】
長谷川まりる『杉森くんを殺すには』(くもん出版)
【監督】
森井勇佑
【脚本】
吉田玲子
【キャスト】
未発表
まとめ
2027年に全国公開予定の映画の原作小説『杉森くんを殺すには』をご紹介しました。
2023年9月にくもん出版から出版された小説『杉森くんを殺すには』は、発売後SNSを中心に多くの話題を集め、第62回野間児童文芸賞を受賞しています。
ガラス細工のように繊細な少女の心を瑞々しく描いた原作が映画化されます。
映画『杉森くんを殺すには』は2027年に全国公開!
『こちらあみ子』(2022)『ルート29』(2024)で少女の感性を描いてきた森井勇佑監督が、こんな原作小説をどんな映画に作り上げるのでしょう。
続報が待たれます。
































