ナチス政権に抵抗した“最年少レジスタンス”の実話
16歳でナチスに抵抗したドイツ人少年、ヘルムス・ヒューべナーの実話を描いた映画『真実と反逆 ナチスと闘った若きレジスタンス』が、2026年10月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショーされます。
“最年少レジスタンス”の生涯に光を当てた、ヒューマンドラマの見どころをご紹介します。
映画『真実と反逆 ナチスと闘った若きレジスタンス』の作品情報
(C)2025 Truth&Treason. LLC. All Rights Reserved.
【日本公開】
2026年(リトアニア・アメリカ合作映画)
【原題】
Truth & Treason
【製作・監督・脚本】
マット・ウィテカー
【共同製作】
ラス・ケンドール、ジョン・フォス
【共同脚本】
イーサン・ビンセント
【撮影】
ビアンカ・クライン
【編集】
アダム・L・バンクス
【キャスト】
ユアン・ホロックス、ルパート・エヴァンス、フェルディナンド・マッケイ、ダフ・トーマス、ナイ・オックモア、ジョアンナ・クリスティー、ショーン・マーホン、ダニエル・ベッツ、シルヴィ・ヴァルコー
【作品概要】
第2次世界大戦下のドイツで、ナチスの真実を伝えるべく立ち上がったヘルムス・ヒューべナーの実話を描くヒューマンドラマ。
2002年にヘルムスのドキュメンタリー作品を手がけたマット・ウィテカーが監督・脚本・製作を担い、同作の取材成果を基に物語を再構築し、ドラマ映画化しました。
ヘルムス役をNETFLIXドラマシリーズ「ラスト・キングダム」(2015~22)のユアン・ホロックス、秘密国家警察(ゲシュタポ)のエルヴィン役を『ヘルボーイ』(2004)、『アレクサンドリア』(2011)のルパート・エヴァンスが演じます。
映画『真実と反逆 ナチスと闘った若きレジスタンス』のあらすじ
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1941年、第二次世界大戦下のドイツ、ハンブルク。16歳の少年ヘルムスは、通っている教会でナチス政権への服従を促され、ヒトラーの圧政に疑問を抱きます。
禁止されていた海外ラジオ放送を秘かに聴き、国家が隠し続けてきた戦争の実態や残虐行為を知った彼は、親友二人を仲間に加え、国家の嘘を暴くビラを町中に配布し、人々に真実を伝えていくことに。
しかし、その行為は死に値する反逆罪でした…。
映画『真実と反逆 ナチスと闘った若きレジスタンス』の感想と評価
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ヒトラーに抵抗した最年少レジスタンス
第二次世界大戦時のナチス政権下のドイツにおいて、反ナチ活動を行った人物。捕まれば反逆罪に処されるのを承知の上で、彼らは果敢に自国の変化を求めました。
映画の題材になった人物としては、白バラ抵抗運動を興したハンスとゾフィーのショル兄妹(『白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』)、ナチ将校ながらヒトラー暗殺(通称「7月20日事件」)を企てたクラウス・フォン・シュタウフェンベルク(『ワルキューレ』など)、スパイとして反ナチ活動に加担したディートリヒ・ボンヘッファー牧師(『ボンヘッファー ヒトラーを暗殺しようとした牧師』)などがいます。
そして本作『真実と反逆 ナチスと闘った若きレジスタンス』では、16歳の若さでナチへの抵抗運動を行ったヘルムス・ヒューべナーが主人公です。
製作・監督・脚本を務めたマット・ウィテカーは、20年以上前に歴史ドキュメンタリーを手掛けていた際にヘルムスの存在を知り興味を抱き、彼と一緒に反ナチ活動をしていたカール=ハインツ・シュニッブとコンタクトを取ります。
カールから、ヘルムスの素性や抵抗活動の詳細、そしてゲシュタポに捕らえられた経緯などを聞いたウィテカーは、その証言を基に60分のドキュメンタリー『Truth & Conviction: The Helmuth Hübener Story』(2002)を製作。
その後も構想を温め続け、「巨大スクリーンでこそインパクトを与えられる」として、ヘルムスを主人公に据えたヒューマンドラマを誕生させました。
真実を伝達する“赤紙”
1941年、市役所で働く模範的な青年で、ドイツの未来に希望を抱く日々を送っていた16歳のヘルムス。しかしある日、教会で『ユダヤ人お断り』の貼り紙が提示され、信者たちにナチス政権への服従を促すようになったことに疑問を抱きます。
やがてユダヤ人の友人がナチスに連行され、さらに兄が隠し持っていた短波ラジオで禁止されているイギリスのニュース放送でドイツ国内では報じられない戦況やナチスの残虐行為を知り、真実を伝える活動に出ます。
ヘルムスの活動手段とは、“言葉”。勤めていた市役所内で、国内で発禁となっていたトーマス・マン、フリードリヒ・フォン・シラーといった書籍を見つけた彼は、本に挟まれていた赤い紙に文豪が記した言葉を引用しつつ、ナチスの内幕を暴いた真実のチラシを作成します。
赤い紙といえば、日本では戦争時の召集令状を連想する一方で、赤はナチス国旗の基調となった色。ヘルムスが赤い紙を使ったのは、市役所内で大量に入手できたからという単純な理由からでしたが、戦時下においてネガティブなイメージを伴う赤を、真実と反逆の色に変える意趣返しとなっています。
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友人のカールやルディと手分けして、チラシを町中の家のポストに投函し、掲示板や車に貼って回るヘルムス。その一方、チラシの存在を知ったゲシュタポのエルヴィン・ミュセナーが、捜査に乗り出します。
ゲシュタポとしてユダヤ人や反逆者への拷問を辞さないながらも、チラシの文面から犯人が知性が豊かで教養があることを察知し、次第に魅力を感じていくミュセナー。家に帰れば穏やかな夫、善き父親の人物が、ナチスのプロパガンダに洗脳され非道行為を非道と思わなくなっているという、複雑な二面性を体現しています。
ヘルムスとミュセナーのコントラストは、世界各国で右傾化が顕著となり、マイノリティ差別や移民排斥を掲げる政党の支持者が増え、SNSやネット動画によるフェイクニュースが簡単に拡散されてしまう現代の社会情勢を投影している、と言っても過言ではないしょう。
まとめ
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「“真の英雄”に光を当てたい」という思いで本作を監督したというウィテカー。近年ドイツでは、その英雄への再評価が高まっています。
若者の文化施設名が「ヘルムート(ヘルムス)・ヒューべナー・ハウス」となったり、ヘルムスの死刑が執行されたベルリンの監獄があった現少年院内にある学校も「ヘルムート・ヒューべナー校」と命名。また、ヘルムスの生家前にはナチスの被害者を偲ぶプレート「躓きの石」が設置されました。
「真実を語ることは罪ではない。沈黙こそが罪である」と、使命を全うした最年少レジスタンスの生き様を、その目に留めてください。
映画『真実と反逆 ナチスと闘った若きレジスタンス』は、2026年10月16日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー。
松平光冬プロフィール
テレビ番組の放送作家・企画リサーチャーとしてドキュメンタリー番組やバラエティを中心に担当。『ガイアの夜明け』『ルビコンの決断』『クイズ雑学王』などに携わる。
ウェブニュースのライターとしても活動し、『fumufumu news(フムニュー)』等で執筆。Cinemarcheでは新作レビューのほか、連載コラム『だからドキュメンタリー映画は面白い』『すべてはアクションから始まる』を担当。(@PUJ920219)






























