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Entry 2018/08/11
Update

映画『最後のランナー』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

  • Writer :
  • 福山京子

映画『最後のランナー』は、7月14日より全国順次公開中

人は何処まで、希望を捨てずに尊厳を失わず、生きていくことができるのか。

1924年パリ・オリンピック金メダリストを描いた名作『炎のランナー』の後、再びエリック・リデルが戦時中の収容所で命を懸けて最後のレースに挑みます。

走り終えた先に待つものは、希望なのか…。戦時下にアスリートとして、宣教師として生き抜いた心揺さぶる感動の実話『最後のランナー』をご紹介します。

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映画『最後のランナー』の作品情報


(C)2017 Goodland Pictures (C)2017 KD Multimedia Limited Innowave Limite

【公開】
2018年(中国・香港・アメリカ合作映画)

【原題】
On Wings of Eagles

【脚本・監督】
マイケル・パーカー、スティーヴン・シン

【キャスト】
ジョセフ・ファインズ、ショーン・ドウ、エリザベス・アレンズ、小林成男、浅野長英、リチャード・サンダーソン、ジェシー・コープ

【作品概要】
本作は、アカデミー賞4部門を受賞した『炎のランナー』の伝説の金メダリストの知られざる壮絶なその後の物語です。

主人公のリデルを演じるのは、『恋に落ちたシェークスピア』や『エリザベス』などで、絶賛を博したジョセフ・ファインズ。

また『項羽と劉邦/その愛と興亡』『男たちの絆』のスティーヴン・シンとカナダ人の監督兼プロデューサーのマイケル・パーカーとの共同監督作品です。

映画『最後のランナー』のあらすじとネタバレ


(C)2017 Goodland Pictures (C)2017 KD Multimedia Limited Innowave Limite

鳥のような凧が大空に舞い上がっており、ショーン・ニウという男の回想が始まります。

1924年のパリ・オリンピック、400メートルで金メダルを獲得したエリック・リデルは、アメリカの企業の誘いを全て断り、宣教師として生まれ故郷の中国で人生を捧げることを決意します。

カナダ人のフローレンスと二人の娘と共に翌年中国の天津に移住し、学校で宣教師活動以外にも科学や英語を貧しい子ども達に教えていました。

ある日一人の少年が教室にいないので、他の子どもに聞くと、「エリック先生のために梨を持ってくる」と言っていたことを知り、みんなで待っていました。

その時、空に多くの日本の戦闘機が見えて、エリックと子どもたちは一瞬にして顔が青ざめます。

「エリック先生!」と少年の声が外から聞こえました。

走っていくエリック。その瞬間走ってくる少年に爆弾が落とされます。

エリックと子どもたちの前で爆発し、リデルの足元に潰れた梨が転がってきて、泣き崩れるエリックと子どもたち。

中国人ショーン・ニウはそんなエリックを慕い、彼の運転手として毎日学校まで送っています。

1937年に日中戦争が勃発し、日本とイギリスとの関係も悪化、天津での取り締まりも強化されていきました。

エリックは急遽妻と娘をカナダに帰国させましたが、その後すぐにエリックの自宅に日本兵が侵入し、自宅を略奪します。

しかしエリックは表情も変えず窓から差し込む光の中で、敵に日本のために祈りを捧げます。

身寄りの無い少年シャオシートウは、いつもエリックに声をかけられ励まされていました。

エリックは、貧しい子どもを大人も声をかけ、一緒に走ります。

エリックは走りながらみんなに語りかけ、「心の平安のために走る」と。

ある日、シャオシートウがエリックの元にカナダの妻フローレンスの手紙を届けてくれます。

娘たちのメッセージの中に、産まれた女の子の写真が入っていました。

エリックは、その写真を見つめていました。

いつものようにショーンがエリックを学校に送る途中、日本の検問に捕まりました。

その日は、いつもと違って検問に緊張感が漲り、前の運転手が逃げて川に落とされました。

検問の日本兵が、なぜここにイギリス人が居てるのかとエリックに詰め寄ります。

エリックは、とっさに先日ショーンからパリ・オリンピックで金メダルを獲った時の新聞記事を手に入れて貰ったものを差し出し、「ここで今教師をしている」と説明すると、何とか通ることができました。

ショーンと安堵して見つめ合うエリック。

1941年真珠湾攻撃が始まると、日米開戦の火蓋が切られ、日本とエリックの母国イギリスも戦争状態になりました。

ある日教会でエリックは宣教師として友人の結婚式を行なっていたところ、日本軍に拘束され、“住民保護”の名の下に、欧米人が日本の収容所に連れて行かれました。

そこはウェイシン収容所『楽道所』と書かれてありました。

以下、『最後のランナー』ネタバレ・結末の記載がございます。『最後のランナー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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ニウとシャオシートウはエリックを探し続け、見つけた後接触できるよう収容所の出入りする地元の農民に扮します。

日本収容所長のクラタは、元オリンピックランナーのエリックに目をつけ、エリックに1対1の短距離レースを持ちかけます。

その日まで良い食事を与え、レースのために準備するように命じますが、エリックはその食事を収容所の子どもたちに与え続けました。

レースの日がやってきました。

収容者は全員エリックを応援します。

大歓声の中レースが始まり、エリックが余裕でリードをしていましたが突然倒れ、クラタが先にゴール。

収容者の一人が、「不公平だ!ろくに何も食べていない!」と叫び連れて行かれますが、クラタもおかしいことに気付きます。

「食事はどうした?」とクラタが聞くと「子どもにやった」と告げるエリック。

怒り狂ったクラタは、叫んだ男とエリックを穴倉に閉じ込めます。

夜中穴倉で苦しむエリックに、ニウが食料を持ってきます。

自分よりも先に隣の穴倉に渡してやってくれと伝えるエリックに、ニウも従いました。

数日後二人は解放され、部屋に戻ってくると、誰もが笑顔で迎えてくれました。

ニウとシャオシートウは収容所の糞尿を運ぶ仕事をしながら、エリックに戦争の情報を伝え、食料を運んでいました。

穴倉から出てきた男は、執拗に日本軍に拷問される日々を送っていました。

ついに限界がきてトイレに隠れていると、ニウがやってきます。

ニウとシャオシートウは、その男を助けるために糞尿を入れた大きな桶に男を入れて外に運び出します。

中国の村の村長は、日本兵の目を誤魔化すために、その日子ども達に大量の凧を上げさせます。

鷹の凧の左右翼が大きく広がり、青空を覆います。

落ちて行く度に鉄条網の電気で燃え出し、その消火に大慌ての日本軍。

男を逃がすことに成功しましたが、翌日収容者たちの食事の制限と拷問が待ち構えていました。

敗北し続ける日本軍に伴い、食料の供給が途絶え、多くの収容者が病気と栄養失調になっていきます。

鼻血が止まらず、頭痛とめまいに悩まされるエリックは、再び収容所長にレースを申し出ます。

取引はエリックが勝てば、外部者が薬を持ってくるのを許可してもらうことでした。

その日に向けて、エリックは鼻血を流してフラフラながらも、縄跳びや筋トレをして着実に準備を進めました。

レース当日、目が窪み裸足で挑むエリックは、収容所長に差を付けてゴールしました。

結婚式途中で拘束された新郎の男が肺炎で苦しみ、医者の男が診ています。

誰もが今か今かと薬の到着を待っていました。

シャオシートウが薬の袋を抱え、鉄条網を上っています。

約束通り、鉄条網の電気ショックは切られていますが、急に収容所長の命令が下り、電気ショックのスイッチがオンにされました。

日本軍は、支配者としてレースの結果を受け入れることができませんでした。

シャオシートウは電気ショックで殺害され、鉄条網に焼死体が掛かったままにしておくと、日本兵から言い渡されました。

二度と日本兵に反抗できないように見せしめにすると言い放ちました。

日本軍はエリックの釈放を決定しますが、エリックは妊娠した新婦が優先すべきだと交換条件を出し、日本軍も受け入れます。

廃墟のようになった教会で、少女が壊れているオルガンを弾いています。

1944年クリスマスが近づく日収容者たちが集まり、賛美歌を歌い祈りを捧げます。

エリックが歌いながら、オルガンに近づき、鍵盤に触れる手に、血の滲む涙が落ちます。

1945年戦争が終わる数か月前に、エリックが息を引き取ります、死因は脳腫瘍でした。

収容所の外で祈るニウは、形見の時計を渡されます。その時計は、エリックの父からエリックに渡されたものでした。

1945年8月戦争は終結、収容所に玉音放送が入ります。

収容者は歓喜しました。項垂れる日本兵。

ニウは回想します、「エリックから多くのギフトをもらったが、一番大きなものは希望だった」。

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映画『最後のランナー』の感想と評価


(C)2017 Goodland Pictures (C)2017 KD Multimedia Limited Innowave Limite

エリック・アデル、彼はなぜ命を懸けて最後のレースに挑んだのか

参考作品:『炎のランナー』(1981)

1981年公開のヒュー・ハドソン監督による、第54回アカデミー賞作品賞受賞作品『炎のランナー』では、アスリートとしての信念そして宗教者としての信仰を強く持ち、安息日である日曜日のレースを辞退します。

しかし今回の最後のレースは、すべてが異なっていました。

劣悪な環境、収容者が次々と死に向かっていくのを目の当たりにしながら、窓から差し込む光に祈りを捧げる日々。

不吉にも鼻血が止まらず、頭痛とめまいに苛まれ、歩くことも覚束ない自分の身体。

最後に決断したのは、収容者の命を救うための取引。

収容所長は、笑みを浮かべて「わかった、日曜日だ」と答えます。

世界の前で拒絶した男が、最後のレースには日曜日、しかも雪の地道に裸足で立ちます。

それは全てを悟り覚悟した表情でした。


(C)2017 Goodland Pictures (C)2017 KD Multimedia Limited Innowave Limite

エリックは全身全霊を込めて、収容者だけでなく日本兵という支配者側にも、そして観ている者にも“希望”を伝えた瞬間です。

まとめ


(C)2017 Goodland Pictures (C)2017 KD Multimedia Limited Innowave Limite

収容所長の命令で電気ショックをオンにしようとする日本兵に、オンにさせないようにする若い二人の日本兵がスイッチを守っている場面があります。

若い二人は、所長の命令に背いて阻止しようとしているので、後で処罰あるいは命を失うこともわかっていて、上司に挑んでいます。

エリックのいう“敵も味方も無く祈る”ということは、このシーンにも凝縮されています。

だからこそ、誰もに希望があると信じることができる、毎日の営みについ流されそうになって生きている自分に、一度立ち止まり、希望があることを与えてくれる映画です。

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