映画『みをつくし料理帖』は2020年10月16日(金)より全国一斉ロードショー!
作家・高田郁の原作小説を、名匠・角川春樹監督が自身最後の作品として作り上げた時代劇『みをつくし料理帖』。
恵まれない境遇に置かれながらも、数々の人々との数奇な出会いを通して人生を切り開いていくヒロインの姿を追った本作。
メインキャストとして松本穂香、奈緒が熱演、さらに若村麻由美、浅野温子、窪塚洋介、野村宏伸、渡辺典子、永島敏行、反町隆史、榎木孝明、鹿賀丈史、薬師丸ひろ子、石坂浩二、中村獅童ら角川映画にもいわれの強いキャスト陣が強力に脇を固めます。
映画『みをつくし料理帖』の作品情報
【公開】
2020年(日本映画)
【監督・脚本・プロデューサー】
角川春樹
【キャスト】
松本穂香、奈緒、若村麻由美、浅野温子、窪塚洋介、小関裕太、藤井隆、野村宏伸、衛藤美彩、渡辺典子、村上淳、永島敏行、反町隆史、榎木孝明、鹿賀丈史、薬師丸ひろ子、石坂浩二(特別出演)、中村獅童
【作品概要】
作家・高田郁の小説「みをつくし料理帖」シリーズを、数々の名作映画をプロデュースしてきた角川春樹監督の手により実写化した映画作品。幼いころに両親を亡くし、親しい友人とも生き別れた少女が料理人となり、さまざまな困難に真っ向から向き合いながら自ら人生を切り開いていく姿を描きます。
ヒロイン・澪(みお)には『わたしは光をにぎっている』(2019)などの松本穂香、その幼馴染・野江(のえ)を『ハルカの陶』(2019)などの奈緒が演じます。
他にも若村麻由美、浅野温子、藤井隆、窪塚洋介、小関裕太、野村宏伸、石坂浩二、榎木孝明、鹿賀丈史、薬師丸ひろ子、中村獅童ら豪華俳優陣が共演。角川監督最後の監督作品として作り上げた作品で、これまで角川映画を飾ったスターたちを含む実力派、個性派が脇を固めます。
映画『みをつくし料理帖』のあらすじ
享和2年、大坂の街中。8歳の澪と野江は仲のいい幼馴染でしたが、ある日大阪の街を襲った大洪水に襲われ、離ればなれになってしまいます。
この大洪水で両親を亡くした澪は、大坂随一の名店と謳われる料理屋「天満一兆庵」の女将、芳(若村麻由美)に助けられ奉公人として働き、その後江戸のそば処「つる家」の店主・種市(石坂浩二)に助けられ、店の料理人として働いていました。
当初は大坂と江戸の味の違いに戸惑っていた澪でしたが、種市や芳、そして周囲の人の温かいアドバイスで徐々に頭角を現し、ついには店の看板料理を生み出し、いつしか江戸中の評判となっていました。
それが澪と野江の、運命の再会のきっかけとなることなど彼女は想像だにしていませんでした……。
映画『みをつくし料理帖』の感想と評価
作品の映像に対して「これぞ日本映画!」と感じられる方も多いのではないでしょうか。名だたる作品を手掛け続けてきた角川春樹監督作品だからこその印象で、その最後の作品であるからこそなおさらといえるでしょう。もちろんその理由の一つとしては「この原作が選ばれたから」という点も挙げられるかもしれません。
一方で人物のとらえ方として奇をてらうようなことは全く行わず、一人ひとりの表情を非常に丁寧に追っているのが印象的でもあります。近年はダイナミズム、インパクトを重視する傾向もあって、ハンディカムを多用した動きのあるアングルが多く使われがちな中、その印象は余計に強く感じられることでしょう。
また豪華な名優がしたキャスティングですが、劇中ではまるで全員が当て書きをされているかのように役者そのままの人物像を表しているようでもあります。
これまでさまざまに映像化をされたこの物語ですが、実はこの描かれるポイントは作品によって微妙に異なります。一方で例えば物語のキーマンの一人となる御膳奉行・小松原教馬という役柄は「主人公・澪の気になる相手」というスタンスは変わっていません。
2017年にNHKのドラマとして製作された版ではこの役柄を森山未來が演じましたが、本作では窪塚洋介が担当しており、侍であるという性質を残しながらも、ドラマ版と比較すると「窪塚らしさ」を感じさせる少し自由奔放な雰囲気がそのまま感じられるような演技を見せています。しかしそれがこの物語で見えても、物語自体には全く不自然さを感じさせません。
本作でキャスト陣はそれぞれの役柄にある立場として最低限のポイントを抑えつつもそこに「この役者だからこそ」の表情を見せており、それでも物語をしっかり成立させており、作品の出来として贅沢感すら醸し出しています。
また作品をしっかりと成立させるカギとなったのが、澪役の松本穂香とその幼馴染・野江役を務めた奈緒という二人の演技です。個性派揃いの共演陣において、二人の存在感がしっかりと前面に現れなければ、おそらく物語は破綻してしまうでしょう。
ベテラン、実力派揃いのキャストの中で、二人はしっかりと自身のキャラクターを役柄の性質とシンクロさせ「澪という人物が本当にいたら、こんな人だっただろう」「野江はこんな女の子に違いない」とまさしく役柄を生きるかの如く演じ切り、主題をきちんと浮かび上がらせて、作品の本質を明確なものとしています。
角川監督自身も、二人の女優に対しては賞賛の言葉を惜しんでいません。その意味で本作はまさしく日本映画を日本映画として作るためにさまざまな贅をつぎ込み、そして二人の才能ある女優の抜群のセンスによる味付けで出来上がった豪華なフルコースと呼べるものであります。
まとめ
澪はその持ち前の人に礼を尽くす気持ち=「みをつくす」気持ちで、さまざまに深い意味をもった出会いを積み重ねていきますが、その姿はかつて海外から「日本とは、こういった国だ」と思われた印象を、改めて表現しているようにも感じられます。
先に述べた、この作品全体から湧き上がってくるような「日本作品らしさ」「日本らしさ」とは、あるアングルの見せ方、構成などといった断片的な要素よりもむしろ、どのようなテーマを取り上げるか、そしてそれをどういった視点で描いていくかに大きなポイントがあります。
その意味でこの澪の描き方、澪を取り巻く人たちの描き方そのものに、社会のグローバル化が進む一方で忘れられがちな「日本的なもの」を改めて提示しているようでもあり、それはこれまで数々の日本映画を作ることで、日本の真の姿を追い求めてきた角川監督が作品に込めた最後のメッセージのようにも感じられることでしょう。
映画『みをつくし料理帖』は2020年10月16日(金)より全国一斉公開!