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『瞬きまで』あらすじ感想と評価考察。長谷川朋史監督の描いた‟家族のいない家族ドラマ”とは…⁈

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『瞬きまで』は2023年8月5日(土)〜8月11日(金・祝)池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開

あらののはて』(2021)で門真国際映画祭グランプリ、うえだ城下町映画祭で特別賞の長谷川朋史が、監督・脚本・撮影の三役を務めたヒューマンドラマ『瞬きまで』が、2023年8月5日(土)〜8月11日(金・祝)池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開されます。

人気小説家の仕事場に持ち込まれた望遠鏡と向かいのマンションの光景を巡り、主人公と望遠鏡を持ち込んだ謎の男が抱える家族の問題が浮き彫りになっていきます。

主演を映画『有り、触れた、未来』(2023)でメインキャストとプロデュースを務め注目を集めている舞木ひと美、謎の男・久米山役に池田 良が扮します。

共演は髙橋雄祐、仁科かりん、イトウハルヒ、しゅはまはるみ、藤田健。

映画『瞬きまで』の作品情報


(C)ルネシネマ

【日本公開】
2023年(日本映画)

【監督・脚本・撮影・編集】
長谷川朋史

【出演】
舞木ひと美、池田
【作品概要】
あらののはて』(2021)で門真国際映画祭グランプリ、うえだ城下町映画祭で特別賞の長谷川朋史が、監督・脚本・撮影の三役を務めるヒューマンドラマ。

2019年に池袋シネマ・ロサでレイトショー公開ながら記録的な動員を達成した『かぞくあわせ』(2019)、門真国際映画祭 2020 で最優秀作品賞など三冠を達成した『あらののはて』(2021)、Asian film festival2022 最優秀監督賞をはじめ国内外の映画祭で数々の入選を果たした『とおいらいめい』(2020)に続くルネシネマ第4弾として企画製作されました。

人気小説家の亜美の仕事場に持ち込まれた望遠鏡と、そこに映った向かいのマンションの光景を巡って、亜美と望遠鏡を持ち込んだ謎の男が抱える家族の問題が明らかになっていくさまを描いた作品です。

人気小説家・亜美役を映画『あらののはて』(2021)や、『有り、触れた、未来』(2023)でメインキャストとプロデュースを務め注目される舞木ひと美が演じます。

謎の男・久米山役に、数々の映画・ドラマ・CM で圧倒的な存在感を発揮している池田良。

若手刑事・我等役に『無頼』(2020)『僕たちは変わらない朝を迎える』(2021)の髙橋雄祐、編集者・玲子役に映画界期待の個性派の仁科かりん、亜美の幼馴染み・千穂役にモデル、俳優として活躍するイトウハルヒ、ルネシネマのメンバー、しゅはまはるみ、藤田健彦の二人も印象的な役柄で出演します。

映画『瞬きまで』のあらすじ

ある日、とあるマンションに、夜の間だけある部屋を貸して欲しいという謎の男・久米山が現れます。

100万円を渡されて引き受けてしまった管理人は、当の部屋を仕事場として使っている朱鷺田亜美に頼み込みました。人気小説家の亜美は、小学生の一人息子の親権をめぐって離婚調停中でした。

謎の男が殺し屋ではないかという推理を繰り広げる亜美。担当編集者の飯島玲子からは反対されますが、小説のネタに困っていた亜美は興味本位で部屋を貸すことにします。

謎の男は、ある目的で亜美の部屋から向かいのマンションを望遠鏡で覗いていました。

翌朝、部屋に残された望遠鏡を何気なく覗いた玲子は、幼子の虐待現場を見てしまいます。亜美は慌てて通報しました。

亜美の書いたベストセラー小説「雪月花」は、母親から虐待を受けた少女の物語で、亜美の過去の経験から生まれた作品でした。

やがて、その作品をめぐり思いがけない人物が来訪し…。

映画『瞬きまで』の感想と評価

長谷川監督自身が「家族のいない家族ドラマ」と評しているように、それぞれのキャラクターが語る言葉の中でいくつもの家族の姿が浮き彫りになっていく、一風変わったヒューマンドラマです。

最初のうちはユーモラスな空気感が漂っていますが、そのうちに謎の男が望遠鏡を覗く目的をめぐってサスペンスな展開となり、二転三転した後には人の心の傷が丁寧に描かれる濃密なヒューマンドラマとなっていきます。

本編冒頭、100万円をもらってつい部屋を夜間に貸す約束をしてしまった管理人と、それをネタにしようと考えて面白がる主人公の作家・亜美とのユーモアあふれる会話につい笑ってしまいます。相手が殺し屋ではないかと亜美からいわれて青くなる管理人の醸し出すおかしみがたまりません。

傍で話を聞いて、そんな怪しい依頼は断るようにと助言する編集者の玲子もとてもチャーミングです。

どんな展開を見せるのかまったく見当もつかないまま、ひたすら興味深い物語が進行していきます

謎の男がいつも見せているはりついたようなウソくさい笑顔や、思わぬ場所から簡単に部屋を覗かれてしまう都会の恐ろしさを感じるうちに、ゆっくり忍び寄るスリルと違和感から目が離せなくなることでしょう

次々に思いがけない登場人物が現れますが、どのキャラクターもとても魅力的です。長谷川監督の希望によって集められた映画や舞台で鍛えられた精鋭たちがまとう空気感の色合いを、鮮やかにくるくると変えながらストーリーを紡いでいくさまに、いつの間にか目が釘付けになります。亜美と幼なじみとの再会シーンは圧巻です

思いがけないラストシーンに心が癒されることでしょう。苦しいことがたくさんある人生だけど、生きるってきっと悪くないものだと思わせてくれるエンディングとなっています

まとめ

突然夜間だけ部屋を貸してほしいと申し出てきた謎の男の存在をめぐり、目に見えない家族の姿が映し出されるヒューマンドラマ『瞬きまで』。

登場人物たちの家族の姿が会話から浮き彫りになっていきますが、その誰もが喪失した家族を語っており、悲しみが通奏低音のように奏でられます。それでいて家族の素晴らしさをも語っているように感じられ、この作品の奥深さに感じ入らずにはいられません

さまざまな人の感情がぎっしりと詰まった脚本、そして作品を紡ぐ実力ある役者たちの演技に注目です

ヒューマンドラマ『瞬きまで』は2023年8月5日(土)〜8月11日(金・祝)池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開です。

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