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『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』あらすじ感想と評価レビュー。ケイト・ウィンスレット扮する戦場カメラマンが覚悟を持って伝える歴史的記録

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』は2025年5月9日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか順次全国公開

映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』が2025年5月9日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか順次全国公開となります。

タイタニック』(1997)のケイト・ウィンスレットが製作総指揮と主演を務め、トップモデルから20世紀を代表する報道写真家へと転身した実在の女性リー・ミラーの数奇な運命を映像化しました。

『エターナル・サンシャイン』(2023)でウィンスレットとタッグを組み撮影監督を務めたエレン・クラス監督が、本作で長編映画デビューを果たしています。

共演はマリオン・コティヤール、アレクサンダー・スカルスガルド、アンディ・サムバーグ。

歴史的記録の数々を撮り上げた報道写真家リー・ミラー。彼女が見つめたのは人々が負った数々の傷でした。ケイト・ウィンスレットが覚悟を持って挑んだ重厚なドラマの魅力についてご紹介します。

映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』の作品情報


(C)BROUHAHA LEE LIMITED 2023

【日本公開】
2025年(イギリス映画)

【原作】
アントニー・ペンローズ

【監督】
エレン・クラス

【脚本】
リズ・ハンナ、マリオン・ヒューム、ジョン・コリー

【編集】
ミッケル・E・G・ニルソン

【キャスト】
ケイト・ウィンスレット、アンディ・サムバーグ、アレクサンダー・スカルスガルド、マリオン・コティヤール、ジョシュ・オコナー、アンドレア・ライズボロー、ノエミ・メルラン

【作品概要】
「VOGUE」誌をはじめトップモデルとして華やかで自由な生活を謳歌し、マン・レイ、パブロ・ピカソ、ココ・シャネル、ジャン・コクトー、コンデ・ナストら時の天才たちを魅了した後、報道写真家に転身したリー・ミラーの情熱的で数奇な運命を映画化。

人間が持つ脆さと残酷さの両方が刻みこまれ、今もなお人々を惹きつける重要な歴史的記録として真実を伝えている彼女の写真。その人生、戦争の前線で目撃した真実、人生をかけて遺したものに迫ります。

製作総指揮と主演を『タイタニック』(1997)のケイト・ウィンスレット、監督を『エターナル・サンシャイン』(2023)でウィンスレットとタッグを組んだエレン・クラスが務めます。クラス監督の長編映画初監督作となります。

リーの友人役でマリオン・コティヤール、恋人役でアレクサンダー・スカルスガルド、編集者役でアンディ・サムバーグが共演。

映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』のあらすじ


(C)BROUHAHA LEE LIMITED 2023

1938年、南フランスでアーティスト仲間たちと休暇を過ごしていたリー・ミラーは、芸術家ローランド・ペンローズと出会い、恋に落ちました。

ほどなくして第2次世界大戦の脅威が迫り、日常のすべてが一変。写真家の仕事を得たリーは、アメリカ「LIFE」誌のフォトジャーナリスト兼編集者デイヴィッド・シャーマンとチームを組みます。

1945年、リーは従軍記者兼写真家として次々とスクープをつかみ、ヒトラーが自死した当日、ミュンヘンにあるヒトラーのアパートの浴室で、自らのポートレイトを撮影して戦争の終わりを伝えました。

それらの光景はリー自身の心に深く焼きつき、戦後も長きにわたり彼女を苦しめることになり…。

映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』の感想と評価


(C)BROUHAHA LEE LIMITED 2023

タイタニック』(1997)で大ブレイクを果たし、『愛を読むひと』(2008)、『エターナル・サンシャイン』(2005)など活躍を続けてきたケイト・ウィンスレットが覚悟を持って挑んだ意欲作です。

第二次世界大戦の戦場に飛び出していき、数々の記録的写真を撮り続けた偉大な報道カメラマンのリー・ミラーの人生がドラマティックに綴られます

華やかな世界で生きてきた元モデルのリーは、芸術家のローランドと恋に落ちて一緒になりました。しかし、第二次世界大戦の渦に巻き込まれた彼女は、すべてを置き去りにして戦場カメラマンとして仕事に邁進します。

女性差別がひどい時代の中、戦争でも大きな傷を負うのはいつも女性たちでした。女性だからという理由で、取材現場に受け入れてさえもらえないリー。それでも彼女は決して諦めず、果敢に飛び込んで行ってはシャッターを切り続けます。

その驚異的な行動力の原動力は、「真実を世界に伝えなければ」という熱い信念でした。

ウィンスレットが、リーと一体化したかのような迫力の演技を見せます。リーが年増女と揶揄される度に腹が立ちますが、美はその魂にこそ宿ることを雄弁に語るウィンスレットの広い背中に圧倒されることでしょう。

男女という小さな枠を越え、ひとりの人間として真実に挑むリーの姿から目が離せません

まとめ


(C)BROUHAHA LEE LIMITED 2023

鋭い目で歴史の真実を残すために奮闘する女性報道写真家の半生を映し出した『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』私たち一人ひとりが歴史の証人にならねばならないという真実を突きつけられる一作です。

今こうしている間も、厳しく悲しい戦闘に苦しむ人々が大勢いるという現実に心が塞がれます。人間の醜さ、悲しみから決して目をそらすことなく生き抜いたリー。彼女への畏怖の思いが胸に湧き上がることでしょう。

映画『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』は2025年5月9日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか順次全国公開予定です。



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