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Entry 2025/08/28
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『ジュリーは沈黙したままで』あらすじ感想と評価レビュー。大阪なおみがプロデュース参加した“テニスの現場”における人間模様を読み解く

  • Writer :
  • 桂伸也

2025年10月3日(金)より、映画『ジュリーは沈黙したままで』は全国順次公開!

事件の真相に対し沈黙を続ける一人の少女の表情を追ったドラマ『ジュリーは沈黙したままで』。

とあるテニスアカデミーの同僚の死に関わったであろう指導者をめぐり、真相が見えてこない中で、その教え子が見せる複雑な表情を豊かな表現力で描きます。

本作にて長編デビューを果たしたレオナルド・バン・デイル監督が作品を手掛けました。またエグゼクティブ・プロデューサーとして、日本のテニス選手である大坂なおみも名を連ねています。

映画『ジュリーは沈黙したままで』の作品情報


(C)2024, DE WERELDVREDE

【日本公開】
2025年(ベルギー・スウェーデン合作映画)

【英題】
Julie Keeps Quiet

【原題(オランダ語)】
Julie zwijgt

【監督・共同脚本】
レオナルド・バン・デイル

【出演】
テッサ・バン・デン・ブルック、クレール・ボドソン、ピエール・ジェルベー、ローラン・カロンほか

【作品概要】
あるエリートテニスアカデミーで起きた事件により指導停止となったコーチに対する事情聴取で、沈黙を続ける15歳のテニスプレーヤーの心情を描いたドラマ。

スポーツの世界において、教えを乞う若者が「小さな大人」と見られる現状の違和感を問います。

ベルギーの新鋭レオナルド・バン・デイル監督が監督・脚本を担当しました。自身もテニス選手として活躍するテッサ・バン・デン・ブルックが主人公を演じます。ベルギーの映画作家ダルデンヌ兄弟が共同プロデューサー、テニス選手の大坂なおみがエグゼクティブプロデューサーに名を連ねています。

作品は2024年カンヌ国際映画祭批評家週間でワールドプレミア上映され、ガン財団配給賞とSACD賞を受賞しました。

映画『ジュリーは沈黙したままで』のあらすじ


(C)2024, DE WERELDVREDE

ベルギーのテニスアカデミーで、ある日一人の少女が自殺。指導を担当していたコーチのジェレミーは指導停止となります。

クラブに所属する15歳のジュリーは、その実力で将来を有望視されていたが、その指導をジェレミーから受けていました。

ベルギー・テニス協会の選抜入りテストが迫る中で、クラブに所属する全選手を対象にジェレミーについてのヒアリングが実施され、彼と最も近しい関係にあったジュリーもそれに応じることに。

特に決定的な出来事があったとは一言も発しないジュリー。

テニスに支障のないよう熱心にトレーニングに励む彼女でしたが、表には出さない思いは日々募っていくばかりでした……。

映画『ジュリーは沈黙したままで』の感想と評価


(C)2024, DE WERELDVREDE

近年、学生の立場にある若者を対象としたスポーツ指導における問題を焦点としたこの物語。この問題は近年、日本の学校で行われるスポーツ指導の現場においても、ときにさまざまな事態が報告されており、大きな注目を集めています。

この物語のエグゼクティブ・プロデューサーを務めるテニスプレーヤーの大坂なおみもまた、プロとして目覚ましい活躍を遂げる一方、その活動の中で差別問題などに言及することもあるなど、作品のテーマに深く絡んでいくような経験を重ねてきた人物でもあります。その意味では今、大きく注目すべきテーマを擁しているものであるといえるでしょう。

ヨーロッパのとあるスポーツでの出来事を描いたこの物語。指導者の評価が教え子が積み上げる実績によって上下していくという現実性など、どこか「学校」という括りとはかけ離れたさまざまな事情がそこには存在します。ある意味若者が育つ環境としては、かなりシビアな状況が設定があるわけです。

それだけに、物語で描かれる問題の深さを余計に感じるものとなっています。


(C)2024, DE WERELDVREDE

一方で興味深いのは、主人公ジュリーの「沈黙」にあります。とあるテニスアカデミーで発生した問題に対し、その事件の真相を握るとされているこの主人公ですが、その問題調査が投げかける問いに対し答える彼女の言葉はどこか微妙で、「問題はなかった」というその真意自体が非常に疑わしくもあります。

果たして、彼女の沈黙の真意とは一体何なのか? 問題の渦中にあるコーチとは良好な関係を築いているようでもありながら、物語で見せる彼女の態度はどこかその関係に不満、不審な気持ちを抱いているようでもあります。

また彼女は、アカデミーの中でエース的な存在として見られていることに対して、何らかの違和感を覚えているようでもある点など、「とあるテニスアカデミーで発生した一つの問題」に対し、さまざまな背景を想起させます。

しかもその視点を、ある意味事件の当事者である主人公の少女に置いているところに、この物語のユニークなポイントがあると言えるでしょう。

まとめ


(C)2024, DE WERELDVREDE

現状若者を取り巻く問題にはどこか一側面的な視点で物事の原因を探り、一局面で「再発防止」という手段により物事の解決を図ろうとする傾向に陥りがちでもあります。

しかし多くの場合、事件には掘り起こしていく中で根が深く複雑な原因が潜んでいるケースが多くあります。

思春期を迎えた若者の感情が絡む中で発生した出来事であればなおさら難しく、問題という意味では一部のみが表面化するに過ぎないケースも多く存在します。

この物語はその意味で、問題をできるだけ穏便に解決しよう、などと安易な方向に進むことへの危惧、異論を唱えているようでもあります。

映画『ジュリーは沈黙したままで』は2025年10月3日(金)より全国順次公開!




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