映画『ショック・ドゥ・フューチャー』が、2021年8月27日(金)より新宿シネマカリテ、渋⾕ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開!
本作は、電⼦⾳楽の黎明期にその⾳⾊に魅了され、男性優位の音楽業界において、“未来の⾳楽”を作ろうと奮闘する若き⼥性ミュージシャンを描いた⻘春⾳楽映画です。
主演のアナを務めるのは、映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーを祖父に持ち、モデルとしても活躍するアルマ・ホドロフスキー。
監督は音楽ユニット「ヌーヴェル・ヴァーグ」の活動でも知られるマーク・コリンが手掛けます。
CONTENTS
映画『ショック・ドゥ・フューチャー』の作品情報
【日本公開】
2021年(フランス映画)
【監督・製作・脚本・音楽】
マーク・コリン
【キャスト】
アルマ・ホドロフスキー、フィリップ・ルボ、クララ・ルチア―ニ、ジェフリー・キャリー、コリーヌ
【作品概要】
1970年代後半、エレクトロ・ミュージックの世界的な人気爆発前夜のパリを舞台に、電子楽器に魅せられた若い女性ミュージシャンが過ごす1日を描きます。
スロッビング・グリッスル、スーサイド、ディーヴォ、ザ・フューチャーakaヒューマン・リーグなど、70年代後半を象徴する楽曲の数々にも注目です。
映画『ショック・ドゥ・フューチャー』のあらすじ
1978年のパリ。若手ミュージシャンのアナ(アルマ・ホドロフスキー)は、部屋ごと貸してもらったシンセサイザーで、依頼されたCMの作曲にとりかかっていたものの、納得のいく曲が書けずにいました。
すでに締め切りが過ぎ、CM担当者(フィリップ・ルボ)に何度も急かされます。その上、シンセサイザーの機材が壊れ、修理を頼むことに。
修理に来た技術者が持っていた日本製のリズムマシン(ROLAND CR-78)に魅せられたアナは、技術者に頼み込んで貸してもらいます。
そこにCM曲の収録用に依頼されていた歌手のクララ(クララ・ルチア―ニ)が現れ、話をするうちに意気投合し、即興で曲を作ります。
大物プロデューサーが参加するアナが主催するパーティーで、その曲を披露するのですが…。
映画『ショック・ドゥ・フューチャー』の感想と評価
ホドロフスキーが瑞々しく演じるアナ
1978年のパリ、あるアパートの一室でシンセサイザーやレコードに囲まれて生活している一人の若い女性がいました。名前はアナ(アルマ・ホドロフスキー)。
気怠そうにタバコをくゆらすアナですが、ひとたびお気に入りの音楽を聴くと、自然に身体を揺らしノリノリになる根っからの音楽好きでした。
「ミュージシャンとして成功したい」と強く願うアナですが、なかなか思い通りの曲が書けず悩む毎日を過ごしています。
せっかく依頼されたCM楽曲も、自身が想い描いているように作ることができず、CM担当者(フィリップ・ルボ)に嫌味を言われてしまう始末。しかしアナは、作りたい音楽へ妥協をしない信念を持っています。
そんなアナを演じるアルマ・ホドロフスキーは、瑞々しく芯の強さを持ったヒロインを好演しています。ミュージシャンになりたいのに「美人だから歌手になれば?」と言われるアナ。
不器用なのに、困難な道をあえて突き進むヒロインは、危なっかしいところがあるからこそ、応援したくなる魅力的なキャラクターに仕上がっています。
意外な存在感を示す日本
本作では、意外なところで日本が存在感を示しています。
故障したシンセサイザーの修理を依頼した技術者が持っていたリズムマシンは、日本製のROLAND CR-78。数々の名曲を生み出してきた名機が、物語の重要アイテムとして登場します。
アナは、このリズムマシンに一瞬で心を奪われるのですが、これさえあれば自分が思い描く理想の音楽を作ることができると舞い上がるアナを見て、喜ぶ音楽ファンも多いのではないでしょうか。
そしてアナのもとを訪れ、自身が持っている多くのレコードを聴かせるレコードコレクター(ジェフリー・キャリー)。
アナは彼が持ってきたレコードをノリノリで聴いたり、「これは好みではない」「ダサい」とバッサリ批判したり、二人の会話もこの作品の見どころとなっています。
「たくさんのレコードを持っているのね」と感心するアナに向かって「レコードの真の聖地は東京だ」と断言するレコードコレクターに、ニンマリする人もいるのではないでしょうか。
アナとクララが生み出す新たな音楽
本作で最も注目したいのが、一つの音楽が誕生する瞬間です。歌手のクララ(クララ・ルチア―ニ)がアナの自宅を訪れ、二人は新しい曲を誕生させます。
クララは、アナが断ったCM楽曲の歌を録音するためにアナの自宅を訪れたのですが、すでにその話はなくなっていたため仕事はキャンセルになっていました。
クララに連絡できていなかったことを申し訳なく思ったアナが、「コーヒーでも飲んでいく?」と部屋へ招き入れます。
話をするうちに意気投合した二人。「未完成だけれど…」と言いながらも、アナは自身が一目ぼれしたリズムマシンで作った曲をクララに披露します。
楽器を一切使わず、機材だけで作ったという曲にクララは驚き、咄嗟に浮かんだ歌詞をメモしていきます。
こうして初対面の二人は、何度も繰り返し曲を聴きながら歌詞をつけ、クララがボーカルを務めることであっという間に曲を完成させます。
音楽に携わる二人の集中力や新たな音楽が生まれる瞬間はこういうものなのか…と、とても興味深いシーンとなっています。
二人の力作は、その夜、アナが主催するパーティーで披露されます。これまでにない音楽にパーティに来ていた人は大いに盛り上がります。
有名なディレクターも姿をみせたパーティーで、この曲は果たして認めてもらえるのか。「新たな音楽」を生み出す難しさ、それを受け入れてもらうまでの厳しい道のりも同時に描いているのが本作なのです。
まとめ
本作は若いミュージシャン・アナが過ごした、ある1日の出来事をさまざまな音楽で彩った作品です。
物語の冒頭で、ビートの効いた音楽をバックに踊るアナは、とても魅力的。そしてCM担当者は、アナが曲作りに使うシンセサイザーを「こんなコックピットに興味はない」とけなしますが、シンセサイザーに向かって曲作りをするアナは、とてもかっこいいのです。
エレクトロ・ミュージックはもちろんのこと、音楽をこよなく愛する人には最初から最後まで楽しめる作品に仕上がっています。
映画『ショック・ドゥ・フューチャー』は2021年8月27日(金)より新宿シネマカリテ、渋⾕ホワイトシネクイントほかにて全国順次公開。