愛する娘のために“おとぎの国の宮殿”を建ててしまった男の、ウソのような本当のお話
フランスに実在する建築物「シュヴァルの理想宮」を作ったのは、1人の無名な郵便配達員だった。
この驚くべき実話を映画化した『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』が、2019年12月13日(金)より全国公開されます。
CONTENTS
映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』の作品情報
【日本公開】
2019年(フランス映画)
【原題】
L’Incroyable histoire du Facteur Cheval(英題:The Ideal Palace)
【監督】
ニルス・タベルニエ
【キャスト】
ジャック・ガンブラン、レティシア・カスタ、ベルナール・ル・コク、フローレンス・トマシン、ナターシャ・リンディンガー、ゼリー・リクソン、エリック・サバン、オレリアン・ウィイク
【作品概要】
19世紀末から20世紀初頭のフランスにて、郵便配達員のジョゼフ=フェルディナン・シュヴァルによる手作りの宮殿「シュヴァルの理想宮」が完成する33年間の月日を映画化。
『グレート デイズ! 夢に挑んだ父と子』(2014)の監督ニルス・タベルニエと主演ジャック・ガンブランが再タッグを組み、ガンブランが主人公シュヴァル役を熱演。
共演に、シュヴァルの妻フィロメーヌを『ゲンズブールと女たち』(2010)のレティシア・カスタが、郵便局の上司オーギュストを『記憶の森』(2002)のベルナール・ル・コクがそれぞれ演じます。
映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』のあらすじ
19世紀末、フランス南東部の村オートリ―ヴ。
毎日、村から村へと手紙を配り歩く郵便配達員のシュヴァルは、妻のロザリーを病気で亡くします。
寡黙で人付き合いが苦手なシュヴァルは、遺された幼い息子シリルとのコミュニケーションもままならず、しまいには親族から男手ひとつで育てるのは無理だと、シリルは里親に出されることに。
孤独に暮らしていたある日、シュヴァルは新しい配達先で未亡人フィロメーヌと出会います。
不器用ながらも彼の誠実さにフィロメーヌは惹かれ、ついに2人は結婚、娘のアリスを授かります。
しかし、相変わらず口ベタな彼は、アリスとどう接したらいいのか戸惑っていました。
そんなある日、シュヴァルは配達の途中で石につまずきます。
その石の奇妙な形に心奪われた彼は、アリスの遊び場として、石を積み上げて宮殿を作り上げることを思いつくのでした。
それから毎日、珍しい形の石を拾い集めては宮殿づくりに没頭するシュヴァルを、村人たちは奇妙な目で見るも、妻フィロメーヌは温かい目で見守ります。
しかし、過酷な運命が次々とシュヴァルに襲い掛かることに…。
石の上にも33年、1人の男がDIYで築いた“おとぎの国の宮殿”
テレビ番組や映画などで、大富豪が妻や子どものために特注の高級車を買ったり、金に物を言わせて豪邸を建ててしまう…といった豪快エピソードに触れたことがある人もいるかと思います。
例えば、ドキュメンタリー映画『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』(2012)では、不動産で巨万の富を築いた夫婦が、ベルサイユ宮殿を模した巨大新居をアメリカに建設しようとする顛末が描かれます。
しかし、本作『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』に登場する宮殿「シュヴァルの理想宮」は、それら大富豪とは違い、無名の郵便配達員ジョセフ=フェルディナン・シュヴァルが、娘のためにたった一人で石を拾い集めてDIYで築き上げてしまったという点に驚きがあります。
この理想宮は1879から1912年までの33年間、 9万3000時間を費やし完成。
シュヴァルの死後も、シュルレアリスムの旗手アンドレ・ブルトンを筆頭に、“素朴派唯一の建築物”と高い評価を受け、画家のピカソやニキ・ド・サンファルも絶賛し、1969年にはフランス政府の重要建造物に指定されました。
本作の撮影も、当然ながら本物の理想宮を使用しており、建造中のシーンはCG処理で一部を消して行われています。
参考:『クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落』予告
不器用な夫と彼を支える妻の夫婦愛
本作の主人公シュヴァルは、とにかく無口で感情を露わにしないことから、同僚はおろか家族ともコミュニケーションが取れない人物。
そんな彼を支えるのが、2人目の妻フィロメーヌ。
生前の記録がほとんど残っていないながらも、監督のニルス・タベルニエは、不器用な夫を深く愛した彼女にも目を向け、あらすじを構築しました。
自分で宮殿を作るという夫の言葉に当初こそ驚くも、それが愛娘へ向けた物と知り、献身的に尽くしていくフィロメーヌの内助の功にも注目です。
人間味あふれるキャスト陣にも注目
そんな夫婦愛を体現した2人のキャストたち。
主人公シュヴァルを演じたのは、『レセ・パセ自由への通行許可証』(2002)でベルリン国際映画祭男優賞を受賞したジャック・ガンブラン。
彼は役作りのために体重を落とし、毎日1時間半をかけたメイクで、30代から80代のシュヴァル本人になりきりました。
ガンブランは、「建築の知識もない男が、なぜ33年間も宮殿建設に熱中できたのか?どうしてあれほどの力とエネルギーと信念を持ち続けられたのか?だからこそ、その謎に魅せられた」と、シュヴァルという役柄について語っています。
そして妻フィロメーヌを演じたのは、トップモデル出身のレティシア・カスタ。
出世作『ゲンズブールと女たち』(2010)でのブリジット・バルドー役や、本作と同日に日本公開される『パリの恋人たち』での妖艶な人妻役など、華やかなイメージの強い彼女。
しかしながら本作では、素朴にして芯の強い女性を演じ、新境地を見せています。
途方もない挑戦の先に見えてくるもの
愛と夢想を持って宮殿づくりに勤しむシュヴァルですが、彼の前には過酷な運命が次々と襲い掛かります。
幾度となく挫折しかけるも、初志貫徹で日々石を運んでは積み上げていく彼がたどり着いた先にあるものとは?
映画『シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢』は、2019年12月13日(金)より全国ロードショー。