世紀の「男女平等」裁判に挑んだ女性弁護士の実話
2019年3月22日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかでロードショーの映画、『ビリーブ 未来への大逆転』。
86歳の今もなお、現役のアメリカ最高裁判事として活躍する女性、ルース・ベイダー・ギンズバーグの、若かりし弁護士時代を描く感動の実話です。
CONTENTS
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の作品情報
【日本公開】
2019年(アメリカ映画)
【原題】
ON THE BASIS OF SEX
【監督】
ミミ・レダー
【キャスト】
フェリシティ・ジョーンズ、アーミー・ハマー、キャシー・ベイツ、ジャスティン・セロー、 サム・ウォーターストン、ジャック・レイナー
【作品概要】
現役のアメリカ最高裁判事として活躍する女性、ルース・ベイダー・ギンズバーグの若かりし頃を描く伝記映画。
ルースを演じるのは、『博士と彼女のセオリー』(2015)や『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)のフェリシティ・ジョーンズ。
彼女を支える夫マーティンを、『ソーシャル・ネットワーク』(2010)、『君の名前で僕を呼んで』(2018)のアーミー・ハマーが演じます。
ほかに、オスカー女優のキャシー・ベイツや、ジャスティン・セロー、サム・ウォーターストンといった面々が脇を固めます。
監督は、『ディープ・インパクト』(1998)のミミ・レダーが担当しました。
映画『ビリーブ 未来への大逆転』のあらすじとネタバレ
1956年のアメリカ。
貧しいユダヤ人家庭に生まれたルース・ベイダー・ギンズバーグは、名門ハーバード法科大学院に入学します。
大学院に入学した500人の生徒のうち女性はわずか9人で、しかも女子トイレすらない状況でした。
入学式を終えた夜、ルースたち女子大生は、学部長のグリスウォルドによる歓迎会に呼ばれます。
女性も法学科に入学できる制度を設けたと自慢げに語るグリスウォルドは、ルースたちを「男性の席を奪ってまで入学してきた者たち」と平然と言ってのけます。
そんなグリスウォルドに、ルースは学生結婚した夫と良好な関係を築くため弁護士を目指したと語りますが、同席者に一笑されることに。
ルースは恥をかかされたとして、帰宅するとすぐに憤りますが、同じくハーバード法科大学院生の夫マーティンに慰められるのでした。
苦手な家事・育児全般をマーティンがしてくれたおかげで学業に専念できていたルースでしたが、ある日彼に精巣ガンが発覚。
ルースは、床に伏すマーティンの代わりに大学の授業に出てノートを取りつつ、自身の勉強も並行します。
なんとか回復したマーティンは、ニューヨークの法律事務所に就職が決まります。
それにより、ルースはハーバードからニューヨークのコロンビア大への移籍をグリスウォルドに願い出ますが、彼はハーバードの名に傷が付くから認められないと言います。
それでもルースは、何よりも病身の夫が心配だとしてニューヨーク行きを決意。
努力の甲斐あって、ルースは見事コロンビア大を首席で卒業しますが、女性だという理由でルースを雇う法律事務所はニューヨークにありません。
夢破れた彼女は、ラトガーズ大学教授の道を選びます。
時は過ぎて1970年代。
ルースは大学で男女平等の講義をするも、家では反抗するようになった高校生の娘ジェーンに手を焼いていました。
そんなある日、マーティンが務める法律事務所主催のパーティで不当な扱いを受けたルースは、溜まっていた鬱屈した気持ちが爆発。
弁護士を目指す生徒を教えるのではなく、自分が弁護士になりたかったとマーティンに本音をぶつけます。
そんなルースにマーティンは、チャールズという人物による実母の介護控除が、男性だからという理由で認められなかったという判例を見せます。
差別を受けているのは女性だけでなく男性も同様だと知ったルースは、早速チャールズ本人を訪ねます。
彼が不正に控除を受けようとする人物ではないと確信したルースは、マーティンと共に憲法違反として法廷で訴えることに。
ルースは、アメリカ国内の個人の権利に関する訴訟・立法活動を行う「アメリカ自由人権協会(ACLU)」に所属する旧友のメル・ウルフや、かつて女性の権利拡張を訴えてきた女性弁護士のドロシー・ケニオンに協力を仰ぎます。
しかし両者から協力を拒まれ、特にドロシーからは「憲法上は男女平等を謳うも、実情は男女不平等である今のアメリカ社会では時期尚早だ」と諭されてしまいます。
それでも、付き添っていた娘のジェーンが近くにいた男性からの暴言をサラリといなす様を見て、近い将来、女性の立場も変わっていけるはずと認識するのでした。
主人公のルース・ベイダー・ギンズバーグとは?
本日より『ビリーブ 未来への大逆転』が上映スタートです🇺🇸https://t.co/JtTn4YHj20
若きギンズバーグ弁護士がアメリカの根深い男女差別に一石を投じた裁判、ぜひお立ち会いを👀
5/10(金)公開のドキュメンタリー『RBG 最強の85才』とぜひ両方お楽しみ下さい✨ pic.twitter.com/I8cM6u0RIa— 映画『RBG 最強の85才』 (@RBGinjapan) 2019年3月22日
本作の主人公ルース・ベイダー・ギンズバーグは、アメリカでは“RBG”の愛称で知られる、現役の連邦最高裁判事です。
本作で描かれる男性の「専業主夫」化を筆頭に、男女平等問題をライフワークとしてきた彼女は、アメリカで最も尊敬される女性の1人として、絵本の題材やグッズ化されるほどの人気となっています。
なお、ルース本人に密着し、その半生を振り返ったドキュメンタリー映画『RBG 最強の85才』も、2019年5月10日から日本公開されます。
参考映像:『RBG 最強の85才』予告
映画『ビリーブ 未来への大逆転』の感想と評価
今よりも女性への差別が激しかったアメリカを舞台にした本作。
そんな逆境ばかりな状況において、マーティンという最大のパートナーと共に立ち向かうルースの姿は、間違いなく共感と感動を覚えることでしょう。
ただ、残念なのは邦題でしょうか。
確かに、原題の『ON THE BASIS OF SEX(性別に基づく)』だと意味が分かりにくいゆえ、独自の邦題を付けるのは当然とも言えますが、『ビリーブ 未来への大逆転』では抽象的すぎて、主旨がぼやけている感は否めません。
「映画自体は良かったが、邦題で損をしている」という感想はあちこちで見られました。
『未来を花束にして』(2017)も同様に、「未来」という言葉を安易に使うのは禁物かもしれません。
まとめ
本作が製作された背景として、昨今のLGBTへの認識や理解度が上がっていることも多分にあるとみられます。
劇中での、「自分に合った生き方を自ら選べることで未来が開かれる」というルースの言葉からして、今の多種多様な生き方にも通じるものがあります。
そうした意味でも、本作『ビリーブ 未来への大逆転』は、万人が観ても損をしない作品となっています。
『ビリーブ 未来への大逆転』は、2019年3月22日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほかでロードショーです。