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Entry 2024/03/22
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『朝をさがして』ネタバレあらすじ感想と評価解説。女優SUMIREが演じる凛々しいヒロインは“停滞した夢と時間”から一歩を踏み出す

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『朝をさがして』が2024年3月29日(金)から4月11日(木)までUPLINK吉祥寺にて上映

⻑編映画『この日々が凪いだら』がモスクワ国際映画祭コンペティション部門で最優秀女優賞を受賞した26歳の新鋭監督・常間地裕による中編『朝をさがして』が、2024年3月29日(金)から4月11日(木)までUPLINK吉祥寺にて『記憶の居所』と共に2本立て上映されます。

無意識のうちに蓋をしてしまった夢や、止めてしまった時間など、誰もが身に覚えのある停滞からの一歩を踏み出す物語です。

主人公・美琴役は『サラバ静寂』(2018)『リバーズ・エッジ』(2018)などで活躍するモデルで俳優のSUMIREが務めます。

映画『朝をさがして』の作品情報


(C)Ella project

【公開】
2024年(日本映画)

【監督・脚本】
常間地裕

【編集】
常間地裕、堂山紗苗

【キャスト】
SUMIRE、秋元龍太朗、宇佐卓真、中島侑香、安野澄、中島ひろ子、田中爽一郎、碧木愛莉、遠藤雄斗、野田英季、野田結花、野田葵節

【作品概要】
長編劇場デビュー作『この日々が凪いだら』で注目された新鋭・常間地裕監督による作品。

YouTubeドラマ「東京彼女」シリーズの第7弾作品として製作された全5話のドラマを再構築し、ロックバンド「mol-74」による主題歌を加えるなどして1本の映画として完成させました。

物語に共鳴してオーディションに集まった200名に上るキャスト陣から抜擢された『サラバ静寂』(2018)のSUMIRE、秋元龍太朗、宇佐卓真、中島侑香、安野澄ら新進気鋭の俳優陣やベテラン・中島ひろ子らが、実在感抜群に演じます。

物語に共鳴した人気バンドmol-74が、主題歌「寝顔」を書き下ろしで提供し、物語のその後の「朝」を感じさせる、寂しさと爽やかさが同居する名曲で映画を締めくくります。

映画『朝をさがして』のあらすじ

新型コロナウイルス感染拡大の影響で多くの人の時間が停滞した2020年。CAになる夢をあきらめた美琴は、鬱屈した思いを抱えながら不動産会社の仲介スタッフとして働いていました。

コロナ禍を境に、美琴は実家が営む定食屋で働く幼なじみの遼太郎と、毎週水曜日の夜8時に近所の公園で1時間だけ会うようになります。

倦怠期になる同棲中の恋人・正紀や、恋多き会社の後輩の桜と過ごす平凡な毎日。劇的なこともない日常が過ぎていくなか、遼太郎のある告白をきっかけに、美琴が無意識のうちに止めてしまっていた時間が動き始め…。

映画『朝をさがして』の感想と評価


(C)Ella project

SUMIRE演じるヒロインの美琴が、コロナ禍で止まってしまった時から、新たな夢に向かって一歩を踏み出す物語です。

突然仕事をクビになったり、病気に倒れたりと、人は皆それぞれ思いもかけない困難にぶち当たるものです。皆一緒に集団で苦難を経験することとなった異常事態が「コロナ禍」でした。

夢に向かって努力を続けてきた多くの人たちが、どうにも抗えない大波にのまれて、夢を断念せざるを得ませんでした。美琴もそのうちの一人です。

CAになる夢を強く抱いて自分を磨いてきた美琴は、飛行機が飛ばない現状を受け入れ、不動産会社で働くようになります。

大きな不安を抱き、人々は互いに辛さや鬱屈した思いに共感し合うようになっていきました。美琴と幼なじみの遼太郎の絆もまた深まり、互いに恋人がいながらも、毎週公園で会って話すようになります。

コロナ禍が、人と人のつながりの大切さに気づかされる希有な時間となったのも事実です。寂しさから結婚や同棲を選ぶカップルも増えたと言われています。

家で迎えてくれる人、あるいは家に帰ってきてくれる人がいる生活の幸せ。親しくしている幼なじみとの、恋と友情の間にある温かで心地よい時間。それらはとても大切で、必要で、心を安定させる薬のような効果があったことでしょう。

しかし、それは宿り木で嵐が去るのを待っている状況とも似ていました。嵐が去れば、もうそこにとどまる必要はなくなります。無意識のうちに寂しさを埋めることに気を取られていただけかもしれず、本来の道を見誤っていたのかもしれないと考える人たちも増えていきました。

美琴も、以前の日常が戻っていくにつれ、自分の居場所は本当にここなのかと自問自答し始めます。

美琴を演じるSUMIREは、観る者をハッとさせるほど圧倒的な美しさがあり、低くてハスキーな声で鬱屈した思いを吐き出すシーンには迫力があります

美琴が凛とした姿で未来へ一歩を踏み出す姿を、どうぞ見守ってください。

まとめ


(C)Ella project

コロナ禍で止まってしまった時間から、自分だけの新たな一歩を踏み出すヒロインの姿を爽やかに描く『朝をさがして』

共にコロナ禍を経験した私達にとって、とても身につまされる物語です。

以前抱いた夢を叶えることは難しくとも、人はじっと立ち止まっているわけにはいきません。新たなステージへ向かって歩き出した美琴を全力で応援したくなることでしょう。

『朝をさがして』は2024年3月29日(金)から4月11日(木)までUPLINK吉祥寺にて、『記憶の居所』と共に2本立てロードショーです。



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