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【ネタバレ】僕のワンダフルライフ|あらすじ感想結末と評価解説。泣ける犬と人間の物語は名匠ラッセ・ハルストレム監督の真骨頂!

  • Writer :
  • 谷川裕美子

少年イーサンとベイリーの時を超える深い絆

『HACHI 約束の犬』(2009)などで知られる名匠ラッセ・ハルストレム監督がW・ブルース・キャメロンのベストセラー小説を実写映画化した感動作。

飼い主の少年と再び巡り会うため生まれ変わりを繰り返す犬の奮闘が描かれます。

少年・イーサンと深い絆で結ばれた犬のベイリーは、イーサンに出会うために何度も転生を繰り返します。

大人になったイーサンを『エデンより彼方に』(2003)のデニス・クエイドが演じるほか、ベイリーの声を『アナと雪の女王』(2014)でオラフの声を演じたジョシュ・ギャッドが演じています。

さまざまな犬生を経験し、いろいろな人々の人生の寄り添ってきたベイリーが最後にたどり着いた、「生きる意味」の答えとはなんだったのでしょうか。

映画『僕のワンダフルライフ』の作品情報


(C)2017 Storyteller Distribution Co., LLC and Walden Media, LLC

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【原作】
W・ブルース・キャメロン

【脚本】
W・ブルース・キャメロン、キャサリン・ミション、オードリー・ウェルズ、マヤ・フォーブス、ウォーリー・ウォロダースキー

【監督】
ラッセ・ハルストレム

【編集】
ロバート・レイトン

【出演】
デニス・クエイド、ペギー・リプトン、ブライス・ガイザー、K・J・アパ、ブリット・ロバートソン、ジュリエット・ライランス、ルーク・カービー、ジョシュ・ギャッド

【作品概要】
愛する飼い主に会うために何度も生まれ変わった犬と人間の感動のドラマ。

ギルバート・グレイプ』(1993)、『HACHI 約束の犬』(2009)などで知られるスウェーデンの名匠ラッセ・ハルストレム監督が、W・ブルース・キャメロンのベストセラー小説を実写映画化しました。

主人公の犬ベイリーの声を、ディズニーアニメ『アナと雪の女王』(2014)でオラフの声を演じたジョシュ・ギャッドが演じます。

若き日のイーサン役には新人俳優K・J・アパ、成長したイーサンを『エデンより彼方に』(2003)のデニス・クエイドが演じるほか、ブリット・ロバートソン、ペギー・リプトンらが出演。

映画『僕のワンダフルライフ』のあらすじとネタバレ


(C)2017 Storyteller Distribution Co., LLC and Walden Media, LLC

殺処分されてしまった一匹の犬。彼は生まれてきた理由を考えながら、別のレトリバーの子犬に生まれ変わりました。

譲渡会を逃げ出した子犬は別の男たちにつかまって売り飛ばされそうになりますが、車に残され熱中症で死にかけているところを少年・イーサンとその母に助け出されます。

ベイリーと名付けられ名前入りの首輪をつけられた子犬は、イーサンにかわいがられて育ちました。イーサンはいつも「ベイリーベイリーベイリー」と繰り返し彼の名を呼びます。

潰れたボールは特にベイリーのお気に入りの遊び道具でした。イーサンが高く投げたボールを、四つん這いになったイーサンの背中に乗って高くジャンプしてキャッチする芸当がベイリーの得意技です。

いたずら好きのベイリーはある日父の書斎を散らかしてしまいます。その晩、父の上司が自宅に来た際、イーサンとベイリーが起こした騒動が原因で、父の昇進の夢は絶たれてしまいました。

ベイリーとの絆を強めながら、イーサンは高校生に成長しました。アメフトを始めて人気者となった彼は、ハンナと付き合い始めます。イーサンとベイリー、そしてハンナはいつも一緒に過ごすようになります。

アルコールに溺れるようになった父が、ある日母に手を挙げようとしたのを見たイーサンは、父を追い出しました。

イーサンはその後アメフトで花形選手となり、奨学金をもらえることになります。ゲームの打ち上げに現れた父や、イーサンを妬む青年のはなつ嫌なニオイにいちはやく気づくベイリー。

しかし、ベイリーの目の前で青年はイーサンの家に放火し、炎に包まれた家の二階から飛び降りたイーサンは脚に大ケガをしてしまいます。

ベイリーは逃げようとする放火犯をみつけて吠えたて、それに気づいた警官が彼を連行していきました。

イーサンと母、ベイリーは母の実家に身を寄せます。アメフト生命を絶たれ、奨学金も打ち切られたイーサンは引きこもるようになり、ハンナとも別れてしまいます。

イーサンは農業学校に入るために家を出て行きました。やがてベイリーは年をとって病に倒れ、駆けつけたイーサンに見守られながら息を引き取ります。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには映画『僕のワンダフルライフ』ネタバレ・結末の記載がございます。映画『僕のワンダフルライフ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2017 Storyteller Distribution Co., LLC and Walden Media, LLC

3度目にベイリーが生まれ変わったのは、メスの警察犬・エリーでした。独り身の飼い主のカルロスを通して、孤独ほど悲しいものはないことをベイリーは知ります。

カルロスと一緒に寝るまでに仲良くなった彼は、その後、犯人に撃たれそうになったカルロスを助けて命を落としました。

次にベイリーはコーギーのティノに転生し、飼い主の女性・マヤと出会います。マヤはカルロスに似て孤独な女性でした。

ある日、公園で出会った大型のメス犬のロクシーを好きになったティノ。ロクシーの飼い主のアルとマヤも仲良くなり、いつもふたりと二匹は一緒に過ごすようになります。

やがてアルとマヤは結婚し、次々と子どもが生まれました。子どもたちからいつもティノとロクシーは追いかけられるようになります。

時が過ぎ、ある日ロクシーは病院に行ったきり帰りませんでした。ティノもまた年をとり、マヤに看取られてこの世を去ります。

5度目に転生したのはセントバーナードのワッフルズでした。ウェンディに引き取られましたが、犬を嫌う彼女の恋人のヴィクトールに虐待された末に捨てられてしまいます。

長く遊んでいなかったベイリーは、公園で遊ぶ犬たちを羨ましい気持ちでじっとみつめていました。そのなかに懐かしいニオイのする犬と女性をみつけます。

そのまま走り出したベイリーは懐かしい草原にたどり着きます。その近くにあったのは、イーサンの祖父母の家でした。

とうとうイーサンを見つけ出したベイリーは歓喜して飛びつきます。イーサンはひとりで暮らしていました。イーサンはベイリーにバディと名付けて一緒に暮らし始めます。

イーサンの寂しさを感じ取ったベイリーは公園に行き、以前会った懐かしいニオイのする犬と女性を見つけ出します。

女性の母はハンナでした。ベイリーの首輪を見て、飼い主がイーサンだと知ったハンナは、驚きながらも家まで送っていきます。

笑顔で再会したイーサンとハンナ。ハンナは夫を亡くしていました。イーサンは昔のことを謝り、悔やまなかった日はなかったことを告白します。ハンナは彼の思いを受け止めました。ベイリーが願ったとおり、ふたりは口づけを交わします。

やがてイーサンとハンナは結婚。やっとイーサンは幸せをつかみました。

ベイリーにはもう一つ、自分がベイリーだとイーサンに気づいてもらいたいという夢がありました。

ベイリーは古い潰れたボールを見つけ出し、イーサンのもとへ持って行きます。

必死で吠えかけるベイリーになにかの気配を感じたイーサンは、昔したようにボールを高く投げ上げてから四つん這いになりました。ベイリーは彼の背中を踏み台に高くジャンプしてボールをキャッチする芸当を見せます。

信じられない思いで「ベイリーなのか?」と聞くイーサンに、ベイリーはそうだと目で答えます。イーサンは昔のようにベイリーを「ボス犬」と呼び、「ベイリーベイリーベイリー」と繰り返し呼んで抱きしめました。

イーサンはベイリーの古い首輪をベイリーにかけました。今を一緒に生きることが何より大切であることを知ったベイリーは、それからもずっと楽しくイーサンとハンナと暮らしました。

映画『僕のワンダフルライフ』の感想と評価


(C)2017 Storyteller Distribution Co., LLC and Walden Media, LLC

時を越えてベイリーがたどり着いた真実とは

深い愛に心温まる名作『僕のワンダフルライフ』。悲しみをふくんださまざまな人生&犬生を、名匠ラッセ・ハルストレム監督がユーモアを交えながら味わい深く映し出します

人生には残念ながら悲しいことも苦しいことも存在します。悪い人間もいるし、そういう人に出会って不幸になることもあります。人の世というのは色々なことがないまぜになって成り立っているものです。

ベイリーという愛情深い犬の目を通して、そんな人の世の不条理さと共に、そこに確かに存在する絶対的に美しく貴い何かが映し出されます

本作のストーリーの背骨となっているのは、ベイリーのイーサンへの深い愛情です。ベイリーは何度も転生しながら、イーサンを追い求め続けます

心優しい少年・イーサンとレトリバー犬のベイリーは深い絆で結ばれていました。やがて成長したイーサンは、アルコールに溺れた父に苦労し、自分を嫉妬した友人による放火が原因で大ケガを負ってアメフト選手への夢を絶たれてしまいます。

そして彼は、自分の幸せに背を向け、恋人ハンナとも別れてしまいました。

紆余曲折の末、5度目の転生でとうとうベイリーは中年となったイーサンと再会します。イーサンが孤独であることを嗅ぎ取ったベイリーは、自分の鼻を頼りになんとハンナを探し当て、再び彼らを結び付けるという奇跡を引き起こしました。

懐かしい昔の芸当を見せて自分がベイリーであることをイーサンに伝えるシーンは、幸せな涙を誘われる名場面です。

ベイリーのイーサンへの深い愛情と並行して描かれるのは、さまざまな人たちの人生模様です。転生しては新たな飼い主に出会い それぞれの人生に立ち会うベイリーのやさしさと愛らしさにぐいぐい引き込まれていくストーリー展開となっています

イーサンと別れた後、警察犬となったベイリーが出会った孤独な警官のカルロス。

その次の世で出会った、カルロスと似て孤独だった女性・マヤ。しかし、彼女はベイリーを心から愛したことをきっかけに、人生の伴侶と出会って子どもにも恵まれ幸せになります。

その次の転生でべイリーは虐待されるという悲しい経験をせねばなりませんでした。このあたりはとてもリアルな描写となっており、ペット問題とは切っても切れない現実といえるでしょう。

そのほかにも、出世が絶たれて酒に逃げた心の弱いイーサンの父、かつての優しい夫を失ったイーサンの妻、イーサンへの妬みから放火という恐ろしい罪を犯した青年など、それぞれ悩みを抱える人々も丁寧に描かれます。

捨てられたベイリーは懐かしく美しい原風景にたどり着き、奇跡的にイーサンのもとへと導かれます。虐待を乗り越えてホームに戻って来たベイリーの万感の思いを感じて、感動が胸にこみ上げるシーンです。

ベイリーは、楽しみながら今を一緒に生きることの大切さを学んでイーサンのもとに帰って来ました

今日という日を大切な人たちと楽しく生きられることが奇跡のように素晴らしいことだと教えられる作品です。

まとめ


(C)2017 Storyteller Distribution Co., LLC and Walden Media, LLC

多くの子どもたちにもぜひ観てもらいたい、温かな優しさに満ちた作品です。愛することこそが人の心を満たすのだということを、ベイリーがそっと寄り添って教えてくれることでしょう

一匹の犬が経験する濃密で長い犬生を一緒に追体験できる感動のストーリーが胸を打ちます。

それぞれに光り輝くたくさんの人間模様と共に、美しい風景美にも魅せられ、観終わった後はベイリーたちと一緒に爽やかな風を身に受けているかのように感じられるに違いありません。



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