何が起こっても大事なものはここにある。
人生の悲しみも喜びも、思い出も10倍!
熊本県で暮らす岸家は、7男3女の大家族。泣いて笑って全力投球の岸家の21年間を追い続けたドキュメンタリー番組が、劇場上映用に再編集され、5月より全国順次公開となります。
「NNNドキュメント」で話題を集めた、熊本県民テレビ発の人気ドキュメンタリー番組が、開局40周年記念作品として映画になりました。
10人の子供を育ててきた岸英治さんと信子さん夫妻。21年の間には、新たな命の誕生や子供たちの成長と楽しいことばかりではありませんでした。
父の失業、借金、自宅の全焼、2016年の熊本地震、緊急入院など、困難が次々と岸家を襲います。しかし、どんな時も夫婦は手を取り合い、家族全員が力を合わせ乗り越えてきました。
そこには、大家族ならではの暮らしの工夫や、子供たちへの惜しみない愛情、家族の絆が記録されています。
夫婦と7男3女の子どもたち、そしておばあちゃんと、合わせて13人の大家族、岸家の奮闘記録を綴ったドキュメンタリー映画『人生ドライブ』は、2022年5月21日(土)、ポレポレ東中野ほか全国順次公開、4月29日(金・祝)より熊本Denkikanにて先行上映となります。
映画『人生ドライブ』の作品情報
【公開】
2022年(日本映画)
【監督】
城戸涼子
【作品概要】
7男3女の大家族を21年間追い続けた熊本県民テレビ発の人気ドキュメンタリー番組が、劇場上映用に再編集され公開となる『人生ドライブ』。
熊本県民テレビ開局40周年記念作品として制作された今作。監督には、これまで熊本県民テレビで20本以上のドキュメンタリー番組制作に携わってきた城戸涼子、初監督作品となります。
熊本県宇土市で10人の子供たちと暮らす岸英治さん・信子さん夫妻の密着取材を通して、大家族ならではの暮らしの工夫と、どんな困難も乗り越える夫婦の強い絆、そして子供たちの成長を描きます。
出演は、岸英治さん・信子さん夫妻。長男の英智くん、二男の天童くん、長女の麗花ちゃん、二女の愛実ちゃん、三男の息吹くん、三女の種恵ちゃん、四男の大我くん、五男の日向くん、六男の一心くん、七男の不動くん。そして、おばあちゃんの永柄ミツ子さん。岸家13人総出演です。
ナレーションを務めるのは、俳優の板谷由夏。自らも二児の母である彼女は、この番組を通して、人とのつながりや愛を感じ取って欲しいとコメントを残しています。
映画『人生ドライブ』のあらすじ
熊本県宇土市に住む、岸英治さんと信子さん夫婦。晴れ渡る空の下、2人はドライブを楽しんでいました。
結婚してまもなく39年。2人の間には、7男3女、10人の子どもがいます。
「これまでの英治さんの人生の中で、一番長く付き合った女性は私よ」と、信子さんは嬉しそう。そんな信子さんを照れ臭そうに見守る英治さん。今でも夫婦仲はラブラブです。
2000年の岸家にはいくつかルールがありました。壁に貼られた手作りの当番表には、まだ小っちゃい子の名前もしっかり記されています。お風呂掃除もご飯のお手伝いもみんなで協力します。
カレンダーには、一人一人の生まれた日に名前が書いてあります。その日は、一ヶ月に一度、お父さんかお母さんを独り占めに出来る日。三女の穂恵ちゃんは、お母さんと2人で行くファミレスに嬉しそうです。
そして2001年、10人目の子ども・不動くんが生まれました。他の子どもたちはこの日のために、お母さんの大きくなるお腹に耳を当てながら、赤ちゃんについて勉強してきました。
三男の息吹くんは、お母さんが出産で家を空ける寂しさと、弟がやってくる喜びが入り混じった涙を流します。
夫の英治さんは、朝は新聞配達、仕事が終わり夜は魚屋のバイトと掛け持ちしながら家計を支えています。長女の麗花ちゃんと二女の愛実ちゃんは、そんなお父さんのバイトを手伝います。帰りはこっそりアイスの歩き食いです。
新学期は節約の季節でもあります。卒業する者、入学する者、進学する者、就職する者。上から下まで17歳差がある兄弟姉妹は、お下がりはむしろカッコイイと嫌がらず、本当に必要なものを知っています。
長男の英智くんが専門学校への進学を決めた頃、アフロヘアに耳ピアスに煙草と、順調に反抗期を通った次男・天童くんも、家を出る決意をします。旅立ちの日には、こらえられず涙があふれます。
決して楽ではない暮らしの中で、さらなる困難が岸家を襲います。2010年、夕食で使った油の不始末で火事を起こし、家は全焼。
長男と次男の援助もあり家を建て直すも、2016年には熊本地震がありました。2020年のコロナ禍の中、信子さんが脳梗塞で緊急入院。
どんなに大変な時も、夫婦は手を取り合い、家族は寄り添い励まし合い、何があっても前を向いて歩んできました。
「人生はジグソーパズルみたい。無駄なピース、物事はひとつもない」。妻・信子さんの言葉がすべてを物語っています。
人生には上り坂、下り坂、そして、まさかあり。岸家は、悲しみも喜びも、思い出も10倍です。
映画『人生ドライブ』の感想と評価
熊本県宇土市に住む大家族・岸家の2000年から2021年までを追いかけたドキュメント映画『人生ドライブ』。
英治さんと信子さん夫婦のドライブシーンから始まる今作は、まさに岸さん夫妻が歩んで来た人生を、車の後部座席から覗いているかのようです。
2人は60歳を過ぎた今でも、互いを名前で呼び合い、2人きりのドライブをかかしません。腕を組み歩き、一緒に写真を撮る姿には、これまで培ってきた愛情と信頼に溢れています。
そんな夫婦のラブラブを目の当たりにして育った10人の子どもたちは、好みも性格もばらばらですが、みんな優しい心の持ち主です。
小さい頃からすすんで家の手伝いをし、両親がつらい時は立派に支え、感謝の気持ちを忘れません。
長男の結婚式でのスピーチでも、末っ子の高校卒業の言葉にも、そんな感謝の気持ちが込められています。照れくさくても気持ちを伝えあう岸家が、とても微笑ましいです。
成長した子供たちが結婚して新たな家族を築いていく姿に、親戚のおばちゃんのように嬉しくて泣いてしまいます。
人生いろいろ。岸家にも想像を超える困難が幾度となく降りかかります。自宅が全焼した時には、焼け落ちた家から、真っ黒になって思い出の品を探す家族の姿に心が痛みました。
「物は無くなっても不思議と平気。大事なものは、みんなここにあるから」。家族がいればそれでいいと言う信子さんの言葉が説得力を放ちます。
そんな黒焦げの家の跡に奇跡的に残っていたものがありました。英治さんが信子さんに贈ったハガキです。それは「幸福行きの切符」、有効期限は永遠と書かれたプロポーズの手紙でした。
そのハガキをこれまで大事にしまってきた信子さん。見つかった時には、本当に嬉しそうでした。一番燃えやすい紙が残るなんて、災害をも乗り越える2人の愛の証。奇跡としか言いようがありません。
その後も岸家の困難は続きますが、そのたびに子供たちは立派に成長していきます。結婚して3人の子どもを育てる長男、独立し精神的にも金銭的にも岸家を支える存在となった次男、女の子たちも結婚しそれぞれの家庭を築いています。
2022年、結婚39周年を迎える英治さんと信子さんは、現在13人の孫がいます。おばあちゃん記念日となった、長男の赤ちゃんとの対面シーンは本当に幸せいっぱいです。
当時、夫の英治さんが「最近は悲し涙より、嬉し涙が多くていいな」と呟きます。夫婦の子育てが素晴らしいものだと再確認しました。本当に良く立派に育て上げました。
そして、脳梗塞での緊急入院から大変な時期を乗り越えた信子さんが、「人生はジグソーパズルのようで、無駄なものは何ひとつない」という言葉。
愛する人と一緒ならば苦労も無駄なことではない。こんな風に思える人生を歩んできた、英治さん信子さん夫婦の愛の深さに感服です。
まとめ
熊本県で暮らす7男3女の大家族、岸家の21年間を追い続けたドキュメンタリー番組が、映画になりました。タイトルは『人生ドライブ』。
「夫婦とは?家族とは?子育てとは?」。今作は、岸家を通して、少子化の現代で忘れがちな人とのつながり、大切な人を見つめ直すきっかけを与えてくれる作品です。
目的地はどこであれ、共にドライブできる人がいる幸せ、共に道のりさえも楽しめたなら、それは良い人生ドライブと言えるのではないでしょうか。
人生の道に迷っている人たちのナビとなる映画『人生ドライブ』。2022年4月29日(金・祝)より熊本Denkikanにて先行上映、5月21日(土)よりポレポレ東中野ほか全国順次公開となります。