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Entry 2017/02/03
Update

映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』あらすじネタバレと感想!ラスト結末も

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

あなたは、”ホームレス”にどのようなイメージを持っていますか?
あなたは、今の暮らしの中で、”見栄え良く”生きようとしてませんか?
あなたには、”叶えたい夢”がありますか?

『ホームレス ニューヨークと寝た男』の主人公マーク・レイの暮らしぶりは、一見の私たちとは異なるように感じてしまう。しかし、誰もが自分と似た影を見つけてしまうような気がしてならない。

喧騒の街ニューヨークと独りの男を見つめた作品をご紹介します!

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映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』の作品情報

【公開】
2017年(アメリカ映画)

【製作・監督・撮影・編集】
トーマス・ビルテンゾーン

【キャスト】
マーク・レイ

【作品概要】
ニューヨークに住むファッションフォトグラファーのマーク・レイ。元モデルのイケメン男は家を持たないホームレス生活者、そんな彼に3年間にわたり密着したドキュメンタリー。

ニューヨーク・ドキュメンタリー映画祭2014にてメトロポリス・コンペティション審査員賞受賞、キッツビュール・フィルムフェスティバル2014にてベスト・ドキュメンタリー受賞ほか。

「ピエール・カルダン」「ニューヨーク・シティ・バレエ」「Facebook」などの企業プロモーション映像やスチール画像などを手がける、トーマス・ビルテンゾーン監督の初長編ドキュメンタリー作品。

音楽はクリント・イーストウッドの息子で、パリ在住のジャズミュージシャンのカイル・イーストウッドが担当。

映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』のあらすじとネタバレ

ホームレス ニューヨークと寝た男
(C)2014 Schatzi Productions/Filmhaus Films. All rights reserved

アメリカのニューヨークに住む、マーク・レイは元ファッションモデル。

かつて、マークはファッションブランドの「ヴェルサーチ」や「ミッソーニ」のランナウェイを歩いたほどの一流モデル。フランス版「ヴォーグ誌」にも掲載されたほどの活躍ぶりでした。

しかし、現在の彼の仕事は、「model’s.com」や「デイズド&コンフィーズド」など、若くて美しいモデルたちのストリートスナップの撮影や、ファッション・ショーの取材をするフォトグラファー。

とはいえ流石に元モデルだけあって、マークもブランドスーツを着こなし、スマートな身のこなしは現役モデルに劣らず、ファッションも板についています。

もちろん、現役モデル時代より歳を重ね彼も52歳。全盛期のような体型を維持するためにスポーツジムに通ようことも欠かせません。そのジムの更衣室のロッカーを個人的4つも使用で荷物を詰め込む?

ところがある日、豪勢なパーティーに出席した後に、マークが帰ったのは雑居ビル街のアパートの屋上でした。

彼は特定の家を賃貸して住んではおらず、無断で友人が住んでいるアパートの屋上で宿泊している日常生活。実はマークは、俗にいう”ホームレス”だったのです。

しかし、自身をホームレスとは呼びません。だから、似たような境遇にある路上生活者に施しをすることも決してないのです。

マークは自身を、“アーバン・キャンパー”と呼び、賃貸した家はないが、人生をギブ・アップをしている訳ではありません。

深夜遅くまでカフェを事務所代わりにフォトグラファーの編集作業を続けたり、俳優活動のエージェントの電話には、エキストラから台詞のある端役まで、常にベストを尽くしてます…。

以下、『ホームレス ニューヨークと寝た男』ネタバレ・結末の記載がございます。『ホームレス ニューヨークと寝た男』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。

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マーク・レイは、1959年6月25日にニュージャージー州で生まれます。少年時代は5人家族の父親と母親、兄と姉の中で育ちました。

高校時代はバスケットボール部の選手などで過ごし、その後、サウスカロライナ州のチャールストン大学経営学部で教養課程の学位を取得して卒業。

ニュージャージーの輸入業者で働いた後、4年間ヨーロッパでモデルとして活動。1994年、演劇の学校に通いながら写真家としても働き始めます。

2000年には再びモデルとしてヨーロッパで活動、2007年にはアメリカに戻ると、ファッション・ウィークの期間に、雑誌「デイズド・アンド・コンフューズド」に写真を掲載しました。

そんな彼の私生活では、家族を持つことも恋することもありません。もちろん、子どもいないのです。

夏の頃、バカンスでビーチに訪れた女性と行きづりの出会いがあれば、またとはない性行為に楽しめるチャンス、逃す訳には行きません。

冬の頃には極寒のニューヨーク。いつものアパートの屋上で独りマーク寝袋の中。こんなはずじゃなかったと嘆きます。

亡くなってしまった父親に対して、今の自分について考えれば後悔ばかり。何でこんなことになったんだと寂しさが滲みます。

クリスマス・シーズンには、ニュージャージー州に住んでいる母親のもとを訪ねると、カメラには写りたくはない母親。

そんな母親に家族も見せてあげられない、自慢することさえさせてあげられず、何も達成できてないという辛さを実感します。

久しぶりの立てる台所で手料理を作りたいが、そんな母親はマークのために料理を作ってくれるのです。

また、マークはクリスマスの夜には、サンタクロースの仮装姿でシェルターにいる子どもたちの前で戯ける様子を見せてあげます。

さらに、あるマークの誕生日には、気の知れた仲間たちに囲まれて、いつかは良い俳優になる奴だと話題の中心で花を咲かせる夜だってあるのです。

しかし、カメラに向かい酔ったマークは、俺は自分の私生活を全て見せた、だから俺にはあなたの家に泊まる権利がある。あなたの家に必ず行くから泊めてくれと泥酔してしまう。

けど、そんな強気のマークですが、実は誰かに愛していると自分は言えない人間だと、カメラに向かって語ってくれました。

監督は終盤に、「僕はまだ愛してると言われていない」とマークに語りかけると、マークは照れてゴマカシながらもながら監督に感謝をみせてくれます。

ニューヨークの屋上から花火がよく見える頃の夕暮れの日。屋上にはたくさんの見知らぬ人たちが集まります。マークの孤独な屋上生活が一変する日です。

都会での生活はマークに限らす、同じような人たちが多様の中で少しだけ触れ合って生きてるものなのかも知れません。

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映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』の感想と評価

ホームレス ニューヨークと寝た男
(C)2014 Schatzi Productions/Filmhaus Films. All rights reserved

トーマス・ヴィルテンゾーン監督は、マーク・レイとの友人関係は長いようです。最初にマークに会ったのはウィーンで20年以上前に、お互いモデルとしてファッションの世界で働いていた時からの友人。

2010年に、ニューヨークで久しぶりにマークと再会したトーマス監督は、彼の日常生活を聞かされた時に大変ショックを受けました。全く理解しがたいありえない真実を、すぐにマークののニューヨーク生活についてのドキュメンタリー映画を撮りたいと考えたそうです。

それから3年間にわたり、トーマス監督は「キャノンEOS 5D MarkⅡ」と音声レコーダーを持って、2人だけでマークの人生をのべで200時間記録し続けたそうです。

3年間の取材を受け続けたマークは、「今までの人生というのは沢山の冒険はあったけれど達成したものは少ないという風に感じていたのですが、トムと作り上げたこの作品は間違いなく何かを達成したと呼べるもの」と語っていて、「自分のレガシーになっている」とも述べているのです。

一方で、トーマス監督も、「マークは我々を素晴らしい冒険の旅へといざない、自らの人生を通して我々を導いてくてた。そしてこの作品で彼は、自分の最も私的な秘密まで見せてくれている」と彼について語っています。

ここで、『ホームレス ニューヨークと寝た男』と似たような映画を1本ご紹介します。

この両作品を比較するとことで、映画をより楽しめますし、ニューヨークやファッションについても深く知れる作品ではないでしょうか。

リチャード・プレス監督の「ニューヨーク・タイムズ紙」の人気ファッションコラムなどを担当したフォトグラファーのビル・カニンガムを追ったドキュメンタリーです。

【『ビル・カニンガム&ニューヨーク』(2010)】

マークは実際にビルにも会ったことがあるそうです。

このビルを2年間密着した映画について、バックステージにいたビルに自身が出演している映画について聞いたところ、「その話はしないでくれ!自分のプライベートに踏み込んだ映画だから」と言われたそうです。

マークも自分の映画が完成した現在、その気持ちがよくわかるようになったそうです。

ぜひ、こちらもご覧いただくことをお薦めいたします!

まとめ

ホームレス ニューヨークと寝た男
(C)2014 Schatzi Productions/Filmhaus Films. All rights reserved

『ホームレス ニューヨークと寝た男』の中で、好きな人間描写を挙げるとすれば、どこになるでしょう?

マークがニュージャージー州に住む母親に会いに行く様子や、トーマス監督がマークに語りかける友情あふれる場面も捨てがたいものがあります。

でも、1つだけ選ぶとしたら、毎年クリスマスにマークがボランティア活動している場面です。

チャリティー団体が何がしかの訳があるだろう女性と子どもたちにシェルターを提供しているシーンがあります。

サンタクロースの格好をしたマークが、廊下でとても緊張した様子で子どもたちに会う心待ちがあふれた描写の数々。このボランティアをマークは7年間続けているそうです。

そのシーンの中でも、1人の少女がサンタさんに会ったことを、「どうしても忘れたくない」と抱きしめて離れようとしません

そんな彼女の心にマークが呪文をかけてあげる姿に、彼の真実の在処が垣間見れた気がしてなりません。

ぜひ、そこだけは見落として欲しくない場面です!

7年の間、マークはホームレスのような日常を過ごしてきましたが、きっとそれは修行僧、あるいは願掛けのように、弱い自分から視線を逸らさずに向き合っていた時間なのではないでしょうか。

マーク・レイは、「どんな時でも人との関係を断ち切っちゃいけない(中略)自分への評価をどうしても上げられない時は、自分に時間を与えて、人との関係をもう1度構築して立ち直るんだ。」彼の強さのある言葉ですね。

マークはニューヨークで家は持たなかったですが、人との繋がりは持ち続けるために800万人の栄光と孤独の中に佇んでいたのでしょう。

ぜひ、現在公開中の『ホームレス ニューヨークと寝た男』を劇場にてご覧ください!

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