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『新居浜ひかり物語 青いライオン』あらすじ感想評価レビュー。自閉症の天才画家・石村嘉成さんと家族との絆を映し出す

  • Writer :
  • 谷川裕美子

映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』は2024年11月15日(金)より池袋シネマ・ロサほかで全国順次公開

自閉症のアーティスト・石村嘉成さんと家族の絆を描いた映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』が2024年11月15日(金)より池袋シネマ・ロサほかで全国順次公開となります。

厳格な自閉症療育を受けて才能を伸ばした嘉成さんと母の愛を描くドラマパートと、嘉成さんの現在を追うドキュメンタリーパートから構成されています。

嘉成さんを育て才能を開花させた家族の深い愛情を描く、本作の魅力をご紹介します。

映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』の作品情報


(C)2024 RSK 山陽放送株式会社

【公開】
2024年(日本映画)

【監督・脚本】
三好聡浩、平松咲季

【キャスト】
石村嘉成、小林章子、藤原康典、高原幸之介、中本真維、八木景子、石村和徳、檀ふみ、竹下景子

【作品概要】
印象的な動物画で注目を集める自閉症のアーティスト・石村嘉成さんと家族との絆を綴る作品。「将来自立した人生を送れるように」と、母・有希子さんが嘉成さんの幼少期から献身的に取り組んできた「療育」そのものに焦点が当てられています。

RSK山陽放送でドキュメンタリー番組の取材を通じて嘉成さんと出会った担当ディレクターの三好聡浩と若手ディレクターの平松咲季が監督を務めます。

身を粉にして息子の療育に取り組んだ母・有希子さんと、その後病に倒れて亡くなった彼女からバトンを引き継いだ夫・和徳さん。やがて嘉成さんの奥底に眠っていた絵の才能が目を覚まします。

ドラマパートとドキュメンタリーパートの構成から成り、ドキュメンタリーパートでは、亡き母に導かれるように動物の絵を描き続ける嘉成さんが、キャンバスの中の動物たちに命を吹き込んでいく姿が映し出されます。

母・有希子さん役を演じるのはRSKアナウンサー・小林章子。演技初体験とは思えないナチュラルな演技で好演しています。父親・和徳さん役には、オーディションで選ばれた岡山県出身の俳優・藤原康典。同じく、オーディションで選ばれた2人の子役、中本真維(幼児期)と高原幸之介(学童期)が、発達障害の子どもたちや施設の先生との交流を通して演技を磨き、リアリティたっぷりに演じています。

ベテラン俳優の竹下景子、檀ふみが出演。ドラマに一層深みを与えます。

映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』のあらすじ


(C)2024 RSK 山陽放送株式会社

愛媛県新居浜市に生まれた石村嘉成さんは、2歳の時に自閉症と診断されました。

泣き叫んではところかまわず寝転がったまま動こうとしない息子の将来を案じる母・有希子さん。さまざまな施設を調べては訪れますが、問題を先送りするようなことしか言って貰えません。

やがてある療育者との出会いが、親子の日常を変えることとなります。

その療育方針は「知識ある愛」をもって、子どもを叱るのではなく譲らない療育を行き届かせるというものでした。それは何も特別なことではなく、親として当たり前の教育を丁寧に施すということでもありました。

「その方針は信じられる」と考えた有希子さんは意を決し、険しくも愛に満ちた療育の日々をスタートさせますが……。

映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』の感想と評価


(C)2024 RSK 山陽放送株式会社

愛と希望に満ちたドキュメンタリー作品です。回想部分はドラマで描かれます。

ドキュメンタリー部分では、自閉症の画家・石村嘉成さんの個展映像が流れます。まず何より、彼の描いた独特の美しい色彩に満ちた、生命力あふれる動物たちの巨大画に圧倒されることでしょう。

自閉症とか健常者とか、そんな区分けは全く意味がないことを教えられます。彼の魂が自由に飛び回り、目もくらむような明るい世界を生み出したのです。

終始にこやかに素直に、来てくれたお客様に語りかける嘉成さん。しかし、彼がこんな風に社会とつながれるようになるまでは、決して平坦な道のりではありませんでした。これまでの厳しい過程がドラマで明かされます。

幼い頃、周囲の言葉を理解できなかった嘉成さんにとって、自分の意志を伝える手段は泣き叫ぶことだけでした。

彼を救い出すために有希子さんは医師を訪ねて回ります。すべては、自分たちがいなくなった後も息子が生きていけるようにしてあげなければという一心からでした。

そして、とうとう運命の相手・河島先生に出会います。「決して譲らない」という厳しく温かな療育を必死で実践する有希子さんの血のにじむような努力により、嘉成さんは少しずつ変わり始め、いつしかその療育が嘉成さんの人生の礎となりました。

希望の種を捲き、大事に愛情を注ぎ続けた有希子さん。嘉成さんの飛翔は、母が育んだ根っこの上に結実したものでした。震えるような感動に涙せずにはいられない一作です。

まとめ


(C)2024 RSK 山陽放送株式会社

親子の深い愛情と絆を映し出す『新居浜ひかり物語 青いライオン』。悲しみ、苦しみを昇華させ、嘉成さんが開花させたのは、大好きな動物たちを自由自在に描く希有な才能でした。

吸い込まれそうなほどまっすぐで美しい嘉成さんの瞳圧倒的なパワーを持つ作品を生み出す彼の目には、私たちとはまったく違う世界が見えているのかもしれません

映画『新居浜ひかり物語 青いライオン』は2024年11月15日(金)より池袋シネマ・ロサほかで全国順次公開です。



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