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Entry 2017/12/14
Update

ライナー・ホルツェマー映画【ドリス・ヴァン・ノッテン】感想レビュー

  • Writer :
  • シネマルコヴィッチ

映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』は、2018年1月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野ほか全国順次公開。

ミッシェル・オバマ前大統領夫人、ニコール・キッドマンそしてアイリス・アプフェルなど世界のセレブリティやファッション・アイコンが愛してやまないファッションデザイナー“ドリス・ヴァン・ノッテン”。

“究極の美を創り出すインスピレーションの源とは”、その真相にライナー・ホルツェマー監督が迫ります。

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1.映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』の作品情報


© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

【公開】
2017年(ドイツ・ベルギー映画)

【原題】
Dries

【製作・監督】
ライナー・ホルツェマー

【キャスト】
ドリス・ヴァン・ノッテン、アイリス・アプフェル、スージー・メンケス

【作品概要】
ベルギー出身の世界的なファッションデザイナーのドリス・ヴァン・ノッテンの仕事と私生活のライフスタイルを追うドキュメンタリー映画。

ドリスは25年間、1度も休むことなくメンズとレディースのコレクションを年に4回発表しています。取材は2014年9月にパリのグラン・パレで開催された2015年春夏レディースコレクションの舞台裏から、2016年1月にオペラ座で発表した2016/17秋冬メンズコレクションの本番直後までの1年間、これまで一切の密着取材を断ってきたドリスに初めてカメラが密着。


© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

ドリスのアトリエに並べられた世界中に発注した生地のサンプルやインドの刺繍工房などの創作の現場、さらに創作活動の源ともいえるアントワープ郊外のドリス邸宅にもキャメラは同行。

完璧主義者で知られるドリスの意外な素顔を明らかにします。

演出は『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』のライナー・ホルツェマー監督。

そのほか、ドリスの2014春夏レディースコレクションにて、音楽担当したイギリスのロックバンド「レディオヘッド」のベーシストのコリン・グリーンウッドが映画音楽を添えています。

3.映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』の
演出を務めたライナー・ホルツェマーのプロフィール

参考映像:『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』(1999)

本作でライナー・ホルツェマーは、監督に始まり、脚本・撮影・製作も兼務を果たします。

ライナー監督はドイツ語圏のドキュメンタリー界を牽引するベテラン映像作家です。

1958年にドイツ・ゲミュンデン生まれ。1976~85年にかけてフリードリヒ・アレクサンダー大学エアランゲン=ニュルンベルクで演劇、社会科学を学ぶ。

1982年にはHessian TV Awardにおいてドキュメンタリー作品『Wer sich nicht wehrt…』で最優秀新人監督賞を受賞。

1983年には自身の製作プロダクションを設立し、長編と短編を合わせ30本以上の作品を発表してきました。

日本でも2007年に『マグナム・フォト 世界を変える写真家たち』(1999)が公開されています。

ドリス・ヴァン・ノッテンとの出会いは写真家ユルゲン・テラーのドキュメンタリー『Juergen Teller』(2012・未公開)の撮影中に会い、それから3年がかりでドリスとの信頼関係を構築したのちに、本作の撮影に至リました。

ライナー監督は、ファッションデザイナーのドリス・ヴァン・ノッテンを、公私を追いかけた長期の撮影について、このように述べています。

「彼(ドリス)は多分私がこれまで会った人の中で、最も慎重な人間でした。彼はキャメラに追いかけられることを好まない。発言のすべてをマイクが拾ってそれを録音されるのも嫌い。撮影される状態は、彼にとって大きな困難を伴うと何度も私に言いました。キャメラがあると少し無防備な感じがして、あまり快適じゃないと。でも、彼の不安をスクリーンの上で見る事はないでしょう。それは最初に見たらラッシュではっきりしました。彼は撮られるべきであり、私たちは一緒に仕事をするべきだと、私はずっと感じていました。だから彼の不安は画面の中には現れてないと思います」

ライナー監督のこの話は、ドキュメンタリー映画を制作する上で、最も大切なことを話しています。

それは被写体となる者と、それを撮影する者との信頼関係の構築です。

ドキュメンタリー映画には良くも悪くも、その両者の人柄は必ず画面に映り込んでしまうものです。

また、ライナー監督は本作で一番見せたかったものについて、このように語っています。

「ドリスがどういう人間かを見せたかったのです。これは何より重要でした。ここにデザイナーがいる彼の仕事を見る。コレクションを見る。でも私たちは彼の素顔についてほとんど知らない。それが私たちにとって最も重要なことでした。この人間が何者であるのかを発見すること。そしてだからこそ、その人物にできるだけ密着して撮りたかったのです。私がドキュメンタリーを撮るときに掲げるゴールは、観客が映画を観たとき、その人物に個人的に合っているかのような印象を与えることなのです」

あなたも、映画館のドリスに会いに行きませんか?

4.映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』のあらすじ


© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

他の追随を許さ位ない独立系ファッションデザイナーのドリス・ヴァン・ノッテン。彼はこれまでプライベートや自宅の公開を拒否してきました。

ドリスの“創造する美”は、クラシカルなスタイルに絶妙なさじ加減で驚きを加える唯一無二のデザインと言われるが、対象に彼自身はとてもシンプル。

身に付けるのは、コットンのシャツにコットンパンツと白いスニーカー、グレーの髪を短く整え、髭もシェイビングされています。

穏やかで控えめな人物から、どのようにしてパリ・ファッション・ウィークで熱狂的な支持を集るコレクションを誕生するのか。キャメラはドリスの1年間に密着し、彼の創造の源を探ります。

2015年3月。パリ庁舎で開催された2015/16秋冬レディースコレクションのファッションショー。

長年ショーを演出してきたエティエンヌ・ルッソに促され、ドリスはショーの終了を告げるランウェイの端で挨拶します。

するその後プレス陣に囲まれて質問攻めにされたり、興奮冷めやらぬモデルや仲間たちのハグ責めに遭ったり、狂乱と達成感に酔いしれています。

アントワープのアトリエでは、早くも次シーズンに向けた準備に入ります。

ドリスの名を冠したブランド「ドリス・ヴァン・ノッテン」と他のブランドとの大きな違いは、ドリス自身がデザイン画を描かず、生地作りから始まる創作過程にありそうです。

世界中の織物メーカーに発注した生地サンプルをチェックし、メンズデザインチーフのウルゲン・ザイラーやレディースのチーフであるメリル・ロッジたちとアイデアを出し合います。

その後、社内で仮縫いされた150から160点にも及ぶサンプルをたたき台にして、ドリスを中心に“ドリスらしさとは何か”を熟成していきます。

そのなかでもドリスのブレーンとして参加するのは、公私ともにパートナーのパトリック・ファンヘルーヴェと、信頼するスタイリストのナンシー・ローデです。

様々な布を重ねたり当てたりして最終的な形になるまでチームは検討を重ね、発表する約50から60体を絞り込んでいきます…。

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5.ドリス・ヴァン・ノッテンのプロフィール


© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

ドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)は、1958年にベルギー・アントワープに生まれます。

生家はテーラーとブティックを経営し、ドリス自身も少年時代から父に連れられてミラノやデュッセルドルフ、パリなどのショーやコレクションを見て歩きます。

1976年に18歳でアントワープ王立芸術学院のファッション・デザイン科に入学。のちに“アントワープの6人”と呼ばれる仲間と、99年に死去するまで共同経営者としてドリスの援護者となるクリスティーヌ・マティスに出会います。

卒業後はフリーランスのコンサルタント・デザイナーとしてファッション界に入りました。

1986年に同期生6人とロンドン・ファッション・ウィークの「ブリティッシュ・デザイナーズ・ショー」に参加し、メンズウェアのコレクションを発表。

バーニーズ ニューヨークやアムステルダムのパウォ、ロンドンのウィッスルズといった高級セレクトショップに取り上げられました。

同年9月にはアントワープのギャラリーアーケードに初のブティックをオープンさせ、1989年にナツィオナーレ通りにブティックを移転。

この移転をきっかけに毎年春夏と秋冬のメンズとレディースのコレクションを展開するようになります。

現在、ショップやコーナーは世界17都市に広がり、日本には2009年に再オープンした東京・南青山の旗艦店をはじめ、大阪、福岡に計7つのショップ、及びコーナーを展開させています。

また、世界各国のブティック400軒以上で取り扱われています。

6.映画『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』の感想と評価


© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE

本作はドリス・ヴァン・ノッテンを公私ともにキャメラに収めた作品で、作品作りはアントワープのアトリエでのスタッフたちとのやり取りから創作の内側を見ることができます。

またドリスの作家性や創作の源は、彼の邸宅での暮らしぶりから見て取れるはずです。

当初はライナー・ホルツェマー監督の取材依頼に対して、不信感を持ち、3年ものあいだ首を縦に振らなかったドリスと、信頼関係を作り上げたライナー監督の素晴らしさと言えるでしょう。

ドリスのファンションデザインの作品性と作家性を、上手く構成された人間ドリスに迫るドキュメンタリーになっています。

そのなかでも印象的な見どころを2つ上げておきましょう。

見どころ1:映画の美しさの1つは、“歩くこと”

ドリスの話から少しそれてしまいますが、何と言ってもファッションショーの場面は触れておく必要がありますよね。

ドリスとそのスタッフたちによる、様々なファッションショーを開催する場所の選択がとても魅力的。

パワースポットといえば、言い過ぎかもしれませんが、ドリスの手掛けたファッションを際立たせるためには、その場所は特別なものでなくてはなりません。

また、ショーの当日に、モデルたちがドリスのデザインした服を着てランウェイを歩く姿が美しい!

映画の魅力って、歩く場面に出るという持論もあるのですが、これだけ美しい歩きを何度と見せられると、もうメロメロです。

映画は主人公がいかに魅力的に歩くかだけでも、成立するのではないかと思うだけに、脇のモデルたちの格好いい歩き方はとても良いものですよ。

でも、もっと素敵なのは実はドリスの歩き方

ショーの終わりに、ランウェイの端に少しだけちょこっと登場する彼は、奥ゆかしくてカワイイ!

きっと、あなたもそう思うはずです。

何度か登場しますから、その度に楽しみなはず。きっとライナー監督もそこにドリスの人となりが見えたと思ったのではないでしょうか。

見どころ2:ドリスとパトリック

2つ目はドリスが信頼を寄せているパトリック・ファンヘルーヴェ。

ドリスとパトリック。彼らのプライベートである邸宅内にまでライナー監督のキャメラの視線は入り込みます。

庭に咲き乱れる花、花、花…。

それを狩るドリス。そして横に連れそうパトリック。

映画のなかでも明らかにはなりますが、2人は同性愛者です。

物静かなドリスとパトリック。彼らの親密さを、あなたものぞき見てくださいね。

人の感じる尊い美しさとは、時代の常識とけして一致はしないものです。

それはドリスのデザインしたファッションが時代を横断しながらミクストされ、新たな価値を見出していることに近いのかもしれません。

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まとめ

ショー終了のドリスはカワイイな〜!


© 2016 Reiner Holzemer Film – RTBF – Aminata bvba – BR – ARTE
原題は『ドリス(Dries)』のみですが、邦題は『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』となっています。

ドリスの愛するパトリック・ファブリックと花の美しさに注目しながら、ドリスの創作の源をあなたの目で感じてください

2018年1月13日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野ほか全国順次公開です。

ぜひ、お見逃しなく!

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