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Entry 2021/09/29
Update

ネタバレ『テルマエ・ロマエⅡ』結末あらすじ感想と考察解説。続編キャストの上戸彩と阿部寛で平たい顔族の風呂文化を再認識する!

  • Writer :
  • 星野しげみ

入浴をテーマにしたコメディ映画『テルマエ・ロマエⅡ』

映画『テルマエ・ロマエⅡ』は、ヤマザキマリの原作を映画化した『テルマエ・ロマエ』(2012)の続編です。

斬新なテルマエ(浴場)を作った古代ローマの浴場設計士ルシウスは、またもや新しい浴場の依頼を受けて悩んでいました。そんな時、前回同様に現代日本へタイムスリップしたルシウスは、平たい顔族(=日本人)の山越真実と再会して……。

前作に引き続き、濃い顔立ちの主人公のローマ人に阿部寛、平たい顔の現代日本人のヒロインは上戸彩が演じます。監督は『翔んで埼玉』(2019)の武内英樹。

浴場がテーマのコメディを観終わった後は、お風呂が大好きになるのではないでしょうか。映画『テルマエ・ロマエⅡ』をネタバレありでご紹介します。

映画『テルマエ・ロマエⅡ』の作品情報


(C)2014「テルマエ・ロマエII」製作委員会

【公開】
2014年(日本映画)

【原作】
ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』(KADOKAWAエンターブレイン刊)

【脚本】
橋本裕志

【監督】
武内英樹

【音楽】
住友紀人

【キャスト】
阿部寛、上戸彩、北村一輝、竹内力、宍戸開、笹野高史、市村正親

【作品概要】
ヤマザキマリの人気コミックを実写化したコメディ映画『テルマエ・ロマエ』(2012)の続編。『翔んで埼玉』(2019)『劇場版 ルパンの娘』(2021)の武内英樹監督がまとめました。

前作同様に主人公を阿部寛が演じます。北村一輝、宍戸開、市村正親ら古代ローマ人を演じるベテラン俳優陣も再結集。現代日本人でありヒロインに扮する上戸彩も続投です。

映画『テルマエ・ロマエⅡ』のあらすじとネタバレ


(C)2014「テルマエ・ロマエII」製作委員会

2世紀前半、ローマ帝国は世界において全盛期を迎えていました。第14代ローマ皇帝・ハドリアヌスは、ローマの都市整備、属州経営を行います。

ハドリアヌスは侵略戦争による領土拡大路線に終止符を打ち、近隣諸国との平和共存を目指すため領土の一部を他国に返還し、新たな国境線を定めました。

しかし、戦争による「世界征服」を目論む元老院は、戦う強いローマの必要性を民衆に訴え、ハドリアヌス帝の平和路線を覆そうと企んでいました。

「テルマエ」と呼ばれる公衆浴場の建設によって、民衆の支持も得ているハドリアヌス帝と武力による世界征服を企む元老院。

武力による世界征服か、安定による平和共存か。今まさに、この大帝国ローマが変わろうとしていました。

紀元136年。現代日本とローマを行き来していた浴場設計技師ルシウスは、日本の風呂文化からヒントを得て、斬新な浴場を建設したことで、一躍人気者となっていました。

そんなルシウスの新しい仕事は、コロッセオで戦いを繰り広げるグラディエーター用の「治療効果のある浴場」の建設。

元老院からの要請に頭を悩ませたルシウスは、グラディエーター用の風呂に入るが、そのまま引き込まれて現代日本(平たい顔族の世界)へタイムスリップします。

ルシウスが気が付くと、そこは相撲部屋の力士たちのお風呂でした。

そこでルシウスはマッサージチェア、足裏マッサージ器、バスクリン等に出会い、戻った古代ローマのテルマエですぐに再現。薬草を粉末状にした入浴剤で、傷ついた剣闘士たちを癒やすことができ、皆に喜ばれます。

次に舞い込んだ依頼は、子供たちのための風呂を作ること。再び風呂に入って悩んでいたルシウスは、子供に後頭部を蹴られた瞬間、現代日本の温泉リゾート・「湯~とぴあ」にタイムスリップしました。

そこでルシウスは、風呂文化に対する理解を深めるため、風呂専門の雑誌記者になっていた山越真実と再会します。

ルシウスは「湯~とぴあ」で目にしたウォータースライダーを見て驚き、大人でも楽しめるこの遊具をテルマエに取り付けて、ローマで大ヒットさせました。

その後、ルシウスはハドリアヌス帝から「バイアエに温泉施設の建設」を命じられました。しかし、ハドリアヌス帝の平和路線に反対の元老院は、山賊を使って「ルシウス暗殺」を企みます。

さらに、国境警備中の次期皇帝・ケイオニウスのために、テルマエをパンノニアに用意するよう頼まれます。

テルマエの「運搬方法」についてルシウスが悩んでいると、たまたま横を通りかかった青年に井戸に突き落とされました。

するとルシウスは再び日本にタイムスリップ。そこで竹藪の中で老人が入る、木で出来た「簡易浴槽」と出会います。

パンノニアへの運搬方法を思いついたルシウスは、浴槽の持ち主である老人から『hei-hei-hou』の歌も教えてもらいました。癒やし効果が増すと思い、満面の笑みでルシウスはその曲を覚えます。

風呂に浸かる三郎が「よさ~く~♪」と叫ぶと、木でできた浴槽が壊れ、飛び出したお湯をかぶって、ルシウスはローマに戻っていました。

パンノニアの地で現地調達できる木材を使ってテルマエを作り、ケイオニウスからお礼の手紙を受け取ったルシウスですが、直後に山賊たちに襲われそうになりました。

しかし、そこは山の中で、地中から湯気が出ていることに気がついたルシウスは、逆に「この場所には宝が埋蔵されている」と言い、山賊たちに温泉を掘らせます。

ルシウスは、見事に温泉を掘り当てました。しかし、温泉を宝と思わない山賊たちに再び襲われそうになりました。

あわてて掘り当てた温泉の中へもぐりこんだルシウスは、またまた現代日本へタイムスリップ!

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『テルマエ・ロマエⅡ』ネタバレ・結末の記載がございます。『テルマエ・ロマエⅡ』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2014「テルマエ・ロマエII」製作委員会

次にルシウスが目覚めたのは「草津温泉」でした。ルシウスはそこでも偶然草津を訪れていた真実と再開します。

真実に草津を案内してもらったルシウスは、平たい顔族の百人隊長の館野とも再会。

温泉街につきもののゲーム類の卓球、射的、モグラたたき。館野におごってもらったラーメン、餃子等に感動します。

その後、真実と“混浴温泉”に入ったルシウスは、女性客が多いことに戸惑い、目のやり場に困って1人の男性客ばかり見ていました。すると、その男性の背後で「クマ」と寛ぐ女性を発見。

男女混浴で淫らな様子もなく皆が寛ぎ、動物たちとも戯れることができるのかと、ルシウスは涙を流して感動。ですが、そこでまたローマに戻ってしまいます。

ローマに戻ったルシウスに、ケイオニウスが流行りの「疫病」にかかったとの連絡が入ります。

その夜、ルシウスが足元にあった岩を持ち上げると、ルシウスはぎっくり腰になり、そのまま温泉に落ちて、現代日本の真実のいる温泉宿にタイムスリップしました。

ルシウスは真実の父・山越修造からお灸や針治療を受け、あまりの気持ちよさに感動します。

さらに、腰をマッサージされてもよおしてきたルシウスは、トイレで「消臭機能+オートフレグランス」にも感動。

その後、寿司を食べたルシウスは「わさび」に驚き、心配する真実とともに温泉に落ちて、またしてもタイムスリップし、ローマに真実とともに戻ります。

ローマに戻った2人は、真実が持っていた書籍『ローマ帝国の反映と滅亡』によって、ケイオニウスの疫病が「結核」であることが判明。

ローマ中に疫病が広がることを恐れた真美は、ケイオニウスを隔離するようにアントニヌスに伝えますが、逆に真美は「悪意の予言者」として疑われ、ローマから立ち去るよう命じられました。

しかし、しばらくすると、温泉を掘る職人たちにまで疫病が広がり、アントニヌスはルシウスと真美に謝罪します。その頃、ルシウスと真実は床にふせていたケイオニウスから「兄に会いたい」と頼まれます。

2人はコロシアムでの目撃情報を頼りにケイオニウスの兄を探しますが、一方、ケイオニウスの病気が心労となり、ハドリアヌス帝も床にふせてしまいました。

その頃、なぜか元気な姿をみせたケイオニウスが動き出し、群衆を動かして政権奪取をしようとします。

真実の持っていた『ローマ帝国の繁栄と滅亡』を怪しまれ、真美は魔女として幽閉されてしまいました。

ハドリアヌス帝の証言があれば騒動をおさめられることに気がついたルシウスですが、ハドリアヌス帝を癒やす方法が分かりません。

しばらく悩んでいたルシウスは、突然雷にうたれて現代日本にタイムスリップしました。

そこで力士に鍼治療を行う浪越徳三郎を見つけたルシウスは、徳三郎を抱えてローマに連れていき、後を追った力士たちもタイムスリップ。

ルシウスはハドリアヌス帝の治療を徳三郎に任せてコロシアムへ向かいますが、真美は牢屋に閉じ込められていました。

ルシウスが脱出させる方法を考えていると、戦うことに疲れた戦士の協力により、真実を救い出すことに成功します。

バイアエの建設現場に逃げたルシウスと真実ですが、ケイオニウスと元老院たちが2人を追いかけてきました。

しかし、そこに本物のケイオニウスが現れます。ハドリアヌス帝に反発していた元老院たちは、ケイオニウスの兄を「偽ケイオニウス」に仕立て、政権奪取に暗躍していたのです。

兄である偽物のケイオニウスは逮捕されました。真実を知った民衆は暴動を起こし、帝国は大混乱となります。

ですが、その直後に採掘を続けていた建設現場から「温泉」が噴出し、人々は歓喜に湧き上がりました。

ハドリアヌス帝は、「テルマエ」にかけるルシウスの功績を称え、バイアエの温泉「ユートピア」は完成しました。

全てが落ち着き、ルシウスは次の「テルマエ」建設現場であるパンノニアに向かおうとしますが、真実に引き止められます。

真実は『ローマ帝国の反映と滅亡』に、「テルマエ建造中の落盤事故でルシウスが死亡する」と書かれていることをルシウスに教えました。

しかし、ルシウスは「ローマのために働き、テルマエに携わって死ねるなら本望だ」と言ってテルマエ建造を行うことを決意。

「離れたくないんだけど……」。2人は抱きしめ合い、真実の目から涙がこぼれた時、ルシウスの前から真実は消えていました。

現代日本へ戻った真実。書いていた漫画「テルマエ・ロマエ」の連載が決定。さらに映画化も決まり、真実はロケ地に造られたコロッセオを見学に行きました。

真実がルシウス役の役者を紹介されたとき、「その男は偽物だ!」という声とともに、井戸の中からずぶ濡れのルシウスが現れます。

「ルシウス」。真実は思わず叫んで、笑顔になりました。

映画『テルマエ・ロマエⅡ』の感想と評価


(C)2014「テルマエ・ロマエII」製作委員会

テルマエとは、「古代ローマにおける公衆の浴場」を意味します。

文字通り、浴場をモチーフにした前作に続く『テルマエ・ロマエⅡ』は、癒しの浴場、子供向けの浴場、家族一緒に楽しめる「湯~トピア」の建設と多くの浴場が登場します。

癒し効果のあるマッサージや入浴剤、歌や娯楽施設など、日本の昔ながらのお風呂屋さんスタイルも満載で、懐かしい思いに駆られる方もおられるのではないでしょうか。

ただの浴場だけでなく、日本古来からある温泉もしっかりと登場! 真実が働く草津温泉では、有名な「湯もみ」も映画に取り込まれ、お風呂好き日本人を深く印象付けています。

テルマエの設計技師ルシウスは、初めて見る現代日本の文化を自分流に解釈してローマに持ち帰って再現しようとします。

けれども、電気や機械のないローマ時代のこと。ウォータースライダーの流水はバケツでの水流しで、マッサージ機のもみもみは人間椅子でと、その一部を「奴隷」を使って作り出しました。

国民を癒すためにテルマエを作り続けると言う、ルシウスを演じるのは阿部寛。

ひっきりなしに風呂に入っては、水からタイムスリップする役どころですから、筋肉逞しい裸体を惜しげもなく晒して、テルマエにかける勇者を熱演しています。

テルマエ勇者に恋心を抱く真実に扮するのは上戸彩です。彼女の持っている天然の癒しやふんわりと包み込むような優しさで、コミカルに真実を演じました

観終わった後は、温泉に入りたい、そんな気分にさせてくれる心温まるコメディ作品でした。

まとめ


(C)2014「テルマエ・ロマエII」製作委員会

お風呂の話を映画化した「テルマエ・ロマエ」の第2弾。

平和推進派と武力行使派との対立が激化する古代ローマと現代日本との間をタイムスリップで行き来する、設計技師ルシウスと日本人の女性真実の物語です。

ヤマザキマリの原作漫画を基にした本作には、お風呂に対する愛情がたっぷりと込められていました。

ルシウス演じる阿部寛のしょっちゅう映し出される馬のようにアップしたお尻や、コミカルな表情は必見です。

ゆったりと寛げるお風呂の効果を思い起こし、笑いの中にも平和のために躍動するローマ人の想いが伝わってくる作品です。



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