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Entry 2021/12/14
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映画『ポプラン』あらすじ感想と評価解説。上田慎一郎監督の‟イズム”がてんこ盛りのドタバタコメディ

  • Writer :
  • 桂伸也

映画『ポプラン』は1月14日(金)より全国ロードショー!

「カメラを止めるな!」シリーズの上田慎一郎監督による新作コメディー映画『ポプラン』。

あるきっかけで自身の男性器を失った一人の男性が、それを取り戻す旅に出る姿を描いたコメディー。皆川暢二、アベラヒデノブ、徳永えりら個性的な俳優陣がドタバタ劇を盛り上げます。

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映画『ポプラン』の作品情報

(C) 映画「ポプラン」製作委員会

【公開】
2022年(日本映画)

【監督】
上田慎一郎

【キャスト】
皆川暢二、アベラヒデノブ、徳永えり、しゅはまはるみ、井関友香、永井秀樹、竹井洋介、鍵和田花、朔太郎、西本健太朗、佐藤旭、清瀬やえこ、上田耀介、茨城ヲデル、藤野優光、高木龍之介、原日出子、渡辺裕之

【作品概要】
自らの男性器を失った男が、それを取り戻す旅に出るドタバタコメディー。シリーズ化した「カメラを止めるな!」(2017)の上田慎一郎監督が、構想に10年を費やし作り上げた企画を映画にしました。

主人公を『メランコリック』(2018)などの皆川暢二が担当、他には『想像だけで素晴らしいんだ -GO TO THE FUTURE-』(2019)などで監督としても活動するアベラヒデノブ、『月極オトコトモダチ』(2018)などの徳永えりのほか、しゅはまはるみ、井関友香、永井秀樹、渡辺裕之、原日出子ら個性派陣が名を連ねています。

映画『ポプラン』のあらすじ

(C) 映画「ポプラン」製作委員会

漫画配信の運営を成功させ会社のトップに立った田上(皆川暢二)。絵に描いたような勝ち組生活を送る中、彼はある朝自分の男性器が消えていることに気づき驚きます。

どうしていいかわからず困惑する中、彼はひょんなきっかけで同じような境遇にいる人々が集う集会「ポプランの会」に参加しします。

そこで彼は消えた男性器の知られざる秘密として「時速200キロで飛びまわる」「6日以内に捕まえねばもとに戻らない」「居場所は自分自身が知っている」などという話を聞きます。

そして田上は半信半疑ながら同じように男性器を失ったという周囲の人間から、取り戻すべきものは自身が過去にかかわった人たちのもとにあるらしいことを突き止め、疎遠だった友人や家族のもとへ旅に出るのでした。失った自身の男性器を取り戻す旅に…。

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映画『ポプラン』の感想と評価

(C) 映画「ポプラン」製作委員会

下世話なテーマの裏に隠されたメッセージ

自身の男性器が消えるという怪事件、そしてその失われたイチモツを探すというドタバタ劇。その設定からは一見、単なる下世話なオバカコメディーという印象を受けることでしょう。

しかしこの物語は進んでいくうちに、そこに何らかのメッセージを込められたような多様性を感じられるところがあります。

冒頭では男性器というアイテムのみがクローズアップされるため、そこに一つの固定観念的なイメージが出来上がってしまいます。

この状態より田上は自身の男性器を取り戻す旅に出るわけですが、これは彼自身の過去に迫っていく旅へといつの間にかすり替わっていきます。

そこでは彼が現在の躍進と引き換えに手放したさまざまなものを見つけていくのですが、彼はそれを手放したのではなく、実は失ってしまったものだったと気づいていくわけです。

彼の男性器という存在はこの「失ったもの」と、物語が進んでいくうちにどんどんオーバーラップし、単に下品なイメージでしかなかったものの見えない一面をあぶりだしていきます。

単なるおかしなアイテム、下品、下世話なイメージの裏にある「それでも自身にとっては大切なもの」というイメージが見えてくる格好となっていくわけです。

「上田流」物語作りの秘密

(C) 映画「ポプラン」製作委員会

こうした物語の方向付け、プロットの巧みさは上田慎一郎監督ならではの作品といえるでしょう。

例えば単なるコメディーとして男性器というアイテムを取り上げるのは、作品の印象を簡単に決定づけられたりする意味で意外にハードルの高いものです。

それでも敢えてこのアイテムを取り上げたことには、作品の中に盛り込まれた主題から導き出された、ある種必然性すら感じられるほどの関連性をも感じさせます。

本作の作風は上田監督の代表作『カメラを止めるな!』のトリッキーな展開とは異なった、もっとシンプルで主題のわかりやすい作品であるといえます。

しかし一方でこのアイテムを導き出す手法、物語を構築していくという逆転発想のプロセスは特徴的でありますが、『カメラを止めるな!』と、どこか共通点が見えるようでもあります。

つまり物語の主題より、無関係に見える一方で実は関係の深いものを前面に立てて巧みに物語の主題を陰に隠しておく。この施策により物語をたどっていくと、最初は滑稽な展開に笑いながらも、いつしか知らない間にグッとその本題に引き込まれていくわけです。

まとめ

(C) 映画「ポプラン」製作委員会

本作の重要なアイテムである男性器ですが、作中では単に下品なイメージにならないよう、かつ見る側に驚きや笑いを巻き起こす巧みな演出も行っており、本作はこういった描き方にも上田監督ならではのアイデア、センスを強く感じられることでしょう。

特に「時速200キロで飛びまわる」男性器が果たしてどのように表現されるのか、どのようなドタバタが用意されているのか、など『カメラを止めるな!』で衝撃を受けた映画ファンはまた「やられた!」と大喜びすることでしょう。

また個性的な俳優陣が名を連ねる中、主人公・田上の父親役を務める渡辺裕之の使い方もユニーク。

どちらかというとコワモテな彼がクライマックスに皆川暢二とともに見せるシーンは、どこかミスマッチな感じが逆に笑いを誘うところでもあり、作品の大きなポイントといえる場所でもあります。

映画『ポプラン』は1月14日(金)より全国ロードショー



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