Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

コメディ映画

Entry 2021/02/15
Update

映画『ワン・モア・ライフ!』あらすじ感想と評価レビュー。家族の絆を取り戻そうとする男の92分の人生ドラマ

  • Writer :
  • 金田まこちゃ

映画『ワン・モア・ライフ!』は2021年3月12日(金)より全国順次公開

家族をないがしろにし、自分勝手に生きてきた男が、人生最後の92分で、家族の絆を取り戻そうと奮闘する姿を描いた映画『ワン・モア・ライフ!』

美しい景色が広がるシチリア島のパレルモを舞台にした本作は、本国イタリアで大ヒットを記録した作品です。

イタリアの脚本家フランチェスコ・ピッコロの短編を原作に、ダニエーレ・ルケッティ監督が、前向きになれる人生哲学をユーモラスに描いた、本作の魅力をご紹介します。

スポンサーリンク

映画『ワン・モア・ライフ!』の作品情報


(C)Copyright 2019 I.B.C. Movie

【公開】
2021年(イタリア映画)

【原題】
Momenti di trascurabile felicita

【監督・脚本】
ダニエレ・ルケッティ

【キャスト】
ピエルフランチェスコ・ディリベルト(ピフ)、トニー・エドゥアルト、レナート・カルペンティエーリ、アンジェリカ・アッレルッツォ、フランチェスコ・ジャンマンコ

【作品概要】
事故に遭遇し天国へ送られた男が、92分間だけ蘇る事を許され、最後に家族の絆を取り戻そうと奮闘するハートウォーミング人生コメディ。

主演は、イタリアで俳優だけでなく、脚本家、監督、テレビ司会者、放送作家、ラジオ司会者など、多才ぶりを見せており、ピフの愛称で親しまれているピエールフランチェスコ・ディリベルト。

自分勝手な性格なのに、どこか憎めない主人公のパオロを、愛嬌たっぷりに演じています。

パオロの妻アガタを、歌手として活躍しながら、女優としてもイタリア最高の名誉とされる賞「ダヴィド・ディ・ドナテッロ最優秀主演女優賞」にノミネートされた実績のある、トニー・エドゥアルト。

パオロを監視する天国の役人を、イタリア国内主要映画賞で主演男優賞三冠を達成した、ベテラン俳優のレナート・カルペンティエーリが演じています。

監督は、これまで数々の作品が「カンヌ映画祭」で高い評価を得ており、2017年に教皇フランシスコの半生を描いた『ローマ法王になる日まで』が、日本でも好評を得たダニエーレ・ルケッティ。

映画『ワン・モア・ライフ!』のあらすじ


(C)Copyright 2019 I.B.C. Movie

イタリアのシチリア島、パレルモ港で技師として働く中年のパオロ。

彼の楽しみは赤信号の交差点を、猛スピードですり抜けることでした。

仕事帰りのパオロは、いつものように、赤信号の交差点をスクーターですり抜けようとスピードを上げますが、信号無視をしたバンに衝突され即死してしまいます。

人生最後の瞬間にパオロが思い出すのは、家族の事ではなく、過去に恋人から伝えられた意味深な言葉であったり、タクシーの順番待ちへの不満だったり、冷蔵庫に対する疑問であったりと、くだらないことばかりでした。

天国の入り口に送られたパオロは、自身の死が早すぎることに不満を抱き、天国の役人に抗議します。

天国の役人は「計算に問題は無い」と、当初はパオロの主張を退けようとしますが、パオロが健康の為に、ジンジャー入りのスムージーを飲んでいたことが発覚します。

再計算の結果、ジンジャー入りのスムージーを飲んでいた分だけ、地上に戻ることが許されますが、その時間は僅か92分でした。

天国の役人が見張り役となる為、2人で地上に戻ったパオロは、妻のアガタ、息子のフィリッポ、娘のアウオラと、家族の時間を過ごそうとします。

ですが、アガタは仕事や家事に忙しく、フィリッポやアウオラは、パオロを煙たがり、相手にしようとしません。

家族の時間が過ごせないことに不満を抱えるパオロですが、家族がパオロに冷たく接するのには理由がありました。

人生最後の時間を共に過ごす為、家族の絆を取り戻そうとするパオロの92分間の奮闘が始まります。

スポンサーリンク

映画『ワン・モア・ライフ!』感想と評価


(C)Copyright 2019 I.B.C. Movie

事故により命を失った男が、92分間だけ地上に戻り、家族の絆を取り戻そうと奮闘する様子を描いた、映画『ワン・モア・ライフ!』

主人公のパオロは、人生最後となる92分間を、家族と過ごそうとするのですが、妻のアガタや息子のフィリッポ、娘のアウオラの心は、パオロから離れており、なかなか思い通りにいきません

「何故、家族の心が自分から離れたのか?」パオロは悩みますが、物語が進むにつれて、全部が自業自得であることが分かります。

生前のパオロは女性関係にだらしなく、アガタの友人や学校の生徒の母親に片っ端から手を出しています。

アガタは、浮気性のパオロに呆れており、もはや怒りも悲しみもぜず、完全に無関心になっています。

さらに、パオロはフィリッポとアウオラへの家族サービスを放棄しており、自分に影響がありぞうな時だけ、その場しのぎで、子供達の相手をするという、子育てにおいて、恐ろしいほどの適当ぶりを見せます。

友人関係においても、少しでも自分が優位な立場になろうとしたり、友人を信用していない言動を平気でとったりと、はっきり言ってパオロは自分勝手で傲慢で、それでも自分の価値観に絶対の自信を持っている為、他人には厳しいという、どうしようもない男です。

周囲に自分勝手な態度をさんざんとっておいて、人生最後の時だけ、良き夫、素敵な父親、素晴らしい友人になれるはずがありません。

最後の92分で、その事に気付いたパオロは、人生をやり直すことを決意します。

それも、自分の葬式の時に、誰も悲しんでくれないことに危機感を覚えただけなので、自分勝手な事に変わりはないですが…。

そんな人生を変えようとするパオロに立ちはだかるのが、天国の役人の存在です。

天国の役人は「運命は決まっている」と考えており、パオロの行動を「無駄」と言い切ります。

ですが、作品の後半では、決まっているとされる運命に、最後の瞬間まで立ち向かおうとするパオロの姿が描かれています。

その姿から「無駄と思われる抵抗も、道を切り開く事に繋がっていく」というメッセージを感じました。

ある場面で、パオロがアウオラに語る「踏切の話」にも、そのメッセージは込められています。

ヨーロッパのコメディは、ドタバタの笑いよりも、人生の不条理や奥深さがテーマとなっている、哲学的な笑いの作品が多い印象です。

映画『ワン・モア・ライフ!』も、ダニエレ・ルケッティ監督の人生哲学が込められた、明るく楽しい作品となっています。

まとめ


(C)Copyright 2019 I.B.C. Movie

映画『ワン・モア・ライフ!』は、登場人物も個性的な作品です。

主人公のパオロは、前述したように自分勝手な男で、友達にすると面倒くさそうな男ですが、主演のピフが愛嬌たっぷりに演じており、何故か憎めないキャラクターとなっています。

パオロの監視役となった天国の役人は、融通の利かない性格で、無駄に哲学的な言葉を語り、度々周囲を混乱させていきます。

また、パオロの娘のアウオラは、女性の尊厳や社会的な役割に関して主張する、現代の空気が反映されたキャラクターです。

これらの個性的なキャラクターが、現在では人気リゾート地となったシチリア島のパレルモを舞台に、ユーモラスなやり取りを繰り広げます。

ダニエーレ・ルケッティ監督は、パレルモを「天国と現世の間の楽園」と捉えて撮影しており、魅力的な風景が多数登場します。

序盤はファンタジー色が強いですが、全体的には哲学的なコメディとなっており、語られているのは人間賛歌です。

これまでの長い人生の失敗を、僅か92分で取り戻そうとするパオロの奮闘を、是非ご覧ください。

映画『ワン・モア・ライフ!』は、2021年3月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開!

関連記事

コメディ映画

映画『MANRIKI』あらすじネタバレと感想。斎藤工は賛否両論ある実験的としながらも“映画はそうじゃなくてはならない”と熱く語る

斎藤工らが所属する映像クリエイティブ集団「チーム万力」初の長編映画 コンプレックス社会・日本を、芸人・永野の持つ鋭くもシュールな視点で描いた野心作! 美しい整顔師が経営する美容クリニック。彼は自身の持 …

コメディ映画

映画『麻雀放浪記2020』ネタバレ感想と評価。斎藤工と白石和彌による風刺と皮肉

2019年4月5日より公開中の映画『麻雀放浪記2020』 超人気俳優・斎藤工の主演をはじめ、豪華キャスト陣の出演で大変話題になった白石和彌監督の映画『麻雀放浪記2020』。 賭博としての麻雀を描いた阿 …

コメディ映画

Netflix映画『コネチカットにさよならを』ネタバレあらすじと感想考察。ベン・メンデルゾーンが悪役から誤算続きの中年男をユニークに演じる

50代半ばで仕事と妻を捨て、理想の人生をおくるはずだった誤算とは? Netflix映画『コネチカットにさよならを』は、早期退職し仕事や、離婚後の妻や子供とのしがらみから逃れ、悠悠自適な生活をおくるはず …

コメディ映画

映画『シコふんじゃった。』あらすじネタバレと感想レビュー。コメディとして大学生相撲部の青春を周防正行監督が描く

周防正行監督が描く相撲の世界 元シブガキ隊の本木雅弘が華麗なシコを踏む 『ファンシイダンス』(1989)で商業映画デビューした周防正行監督の2作目となる『シコふんじゃった。』。 廃部寸前の大学相撲部に …

コメディ映画

【妻ふり映画】あらすじとキャスト!『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』

映画『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』は、6月8日(金) 謎の〈妻ふり〉ロードショー! ネットで有名なYahoo!知恵袋。そこにあげた投稿から始まった伝説のコミックエッセイを、榮倉奈々×安 …

U-NEXT
CINEMA DISCOVERIES【シネマディスカバリーズ】
架空映画館 by ReallyLikeFilms Online
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
【連載コラム】光の国からシンは来る?
映画『哀愁しんでれら』2021年2月5日(金)より全国公開
映画『写真の女』
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【KREVAインタビュー】映画『461個のおべんとう』井ノ原快彦の“自然体”の意味と歌詞を紡ぎ続ける“漁師”の話
【玉城ティナ インタビュー】ドラマ『そして、ユリコは一人になった』女優として“自己の表現”への正解を探し続ける
【ビー・ガン監督インタビュー】映画『ロングデイズ・ジャーニー』芸術が追い求める“永遠なるもの”を表現するために
オリヴィエ・アサイヤス監督インタビュー|映画『冬時間のパリ』『HHH候孝賢』“立ち位置”を問われる現代だからこそ“映画”を撮り続ける
【べーナズ・ジャファリ インタビュー】映画『ある女優の不在』イランにおける女性の現実の中でも“希望”を絶やさない
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
アーロン・クォックインタビュー|映画最新作『プロジェクト・グーテンベルク』『ファストフード店の住人たち』では“見たことのないアーロン”を演じる
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
【平田満インタビュー】映画『五億円のじんせい』名バイプレイヤーが語る「嘘と役者」についての事柄
【白石和彌監督インタビュー】香取慎吾だからこそ『凪待ち』という被災者へのレクイエムを託せた
【Cinemarche独占・多部未華子インタビュー】映画『多十郎殉愛記』のヒロイン役や舞台俳優としても活躍する女優の素顔に迫る
日本映画大学