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映画『英雄は嘘がお好き』感想とレビュー評価。歴代の名作傑作へのオマージュに満ちた豪華絢爛なコメディ作品

  • Writer :
  • 増田健

『英雄は嘘がお好き』は2019年10月11日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、丸の内TOEIほか全国ロードショー!

ナポレオン戦争の時代を舞台に、フランスを代表する人気俳優ジャン・デュジャルダンと、メラニー・ロランが共演するロマンチックコメディ『英雄は嘘がお好き』

19世紀初頭に暮らす人々の姿を、豪華な衣装と現存する城で行ったロケ撮影で再現した美しい映像も注目を集めています

監督はフランスの歴史物映画を現代に蘇らせただけでなく、恋愛映画や西部劇といった王道の伝統的娯楽映画に、オマージュを捧げた作品を完成させました。

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映画『英雄は嘘がお好き』の作品情報


(C)JD PROD – LES FILMS SUR MESURE – STUDIOCANAL – FRANCE 3 CINEMA – GV PROD

【日本公開】
2019年10月11日(金)(フランス映画)

【原題】
Le Retour du Heros

【監督・脚本】
ローラン・ティラール

【出演】
ジャン・デュジャルダン、メラニー・ロラン、ノエミ・メルラン、クリストフ・モンテネーズ、フェオドール・アトキン

【作品概要】

19世紀初頭のフランス・ブルゴーニュを舞台にした、一つの嘘が巻き起こす、豪華絢爛なロマンティック・コメディ。

主演は『アーティスト』で、アカデミー賞を受賞したジャン・デュジャルダンと、『イングロリアス・バスターズ』『オーケストラ!』のメラニー・ロラン。2人の豪華スターが共演します。

監督・脚本はローラン・ティラール。芸能ジャーナリストとして活躍後、映画監督としてデビュー。『モリエール 恋こそ喜劇』でセザール賞の、オリジナル脚本賞にノミネートされました。

同じく監督・脚本を務めた、フランスで愛される人気絵本を映画化した『プチ・ニコラ』は、本国で大ヒットを記録。フランス映画界を代表する、ヒットメーカーとして活躍しています。

映画『英雄は嘘がお好き』のあらすじ


(C)JD PROD – LES FILMS SUR MESURE – STUDIOCANAL – FRANCE 3 CINEMA – GV PROD

1809年のフランス、ブルゴーニュ地方の裕福なボーグラン家の令嬢エリザベット(メラニー・ロラン)。彼女の妹であるポリーヌ(ノエミ・メルラン)は、ヌヴィル大尉(ジャン・デュジャルダン)と婚約しました。

エリザベットの目にヌヴィル大尉は、口が達者なだけの、信用ならないお調子者にしか見えません。しかし恋は盲目、姉の心配をよそに婚約者にベタ惚れのポリーヌ。

ところがヌヴィル大尉は、ナポレオン軍に招集されます。彼はポリーヌに毎日手紙を書くと約束すると、オーストリアの戦場へと旅立っていきます。

エリザベットの想像した通り、いい加減な大尉は手紙を一通もよこしません。恋い焦がれる余り、病に倒れてしまうポリーヌ。

一計を案じたエリザベットは、ヌヴィル大尉を装って手紙を書き、妹に届ける事にします。

それを読んで、元気を取り戻したポリーヌ。妹のために手紙を書き続けるエリザベットは、調子に乗ってヌヴェルが大活躍する、冒険談をでっち上げます。

手紙に書かれた大活躍に喜んだポリーヌは、その内容を周囲の人物に読み聞かせます。やがてヌヴィルの活躍は、街中の人々の間で評判になりました。

これはマズい、と悟ったエリザベット。そこでヌヴィル大尉が、勇敢に戦って死んだ話をでっちあげます。話を信じた街の人々は、英雄・ヌヴェルの死を悼み、銅像を建ててしまいます。

それから3年たったある日、馬車から降り立ったヌヴェルらしき人物を見かけたエリザベット。

以前と変わって、すっかり落ちぶれた姿のヌヴェル。彼が帰って来ては、でっち上げたウソが明るみになります。慌てたエリザベットは彼に金を渡すと、街から離れるように頼みます。

しかし翌日、華やかに正装した姿でヌヴィル大尉が現れます。エリザベットが創作した、偉大な英雄として振る舞い始めた彼は、街の人々の大歓迎を受けます。

彼の言動にやきもきするエリザベット。偽の英雄・ヌヴェルとの奇妙な関係は、どんな結末を迎えるのでしょうか。

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映画『英雄は嘘がお好き』の感想と評価


(C)JD PROD – LES FILMS SUR MESURE – STUDIOCANAL – FRANCE 3 CINEMA – GV PROD

豪華絢爛に描かれたコメディ映画

家族を喜ばせようと、善意からついた嘘を記した手紙が、大騒動を巻き起こす。まるで落語か吉本新喜劇の様なお話ですが、これはまぎれも無く豪華スター共演のフランス映画です。

監督のローラン・ティラールは、この映画をイギリスの作家ジェーン・オースティンの世界と、フランスのアドベンチャー・コメディの世界を織り交ぜた作品である、と語っています。

本作のコスチュームもの、時代劇としての要素は実に豪華です。ロケ地として実在するナンディ城・マレシャル城・グロボア城を使用し、当時の地方の名士たちの姿を描きました。

またこの映画の衣装デザインはピエール=ジャン。同じコスチュームもの映画、『令嬢ジョンキエール 愛と復讐の果てに』の衣装で、2019年セザール賞の最優秀コスチュームデザイン賞を獲得している人物です

参考映像:『令嬢ジョンキエール 愛と復讐の果てに』予告編(2019年NETFLIX配信)

歴史的な建築物や美しい衣装が登場する、見る者を飽きさせない映画になっています。

ナポレオン時代を背景にした物語

エリザベットの調子に乗った嘘で、英雄となったヌヴィル大尉。しかし彼が手紙の中で活躍するのは、ナポレオンの戦争とは一見関係の無い、はるか彼方のインドの地

フランス革命以降、長きに渡り戦争状態となったフランスとイギリス。イギリスと植民地のインドの連絡を絶つべく、ナポレオンはエジプトに遠征しましたが、これは失敗に終わります。

同時にフランスは、インドで支配を広げるイギリスに対し、敵対するインド諸侯に軍事顧問を派遣しています。そういった背景が、エリザベット記した嘘の元になっています。

無論インドの詳しい知識など、伝わって来ない時代。エリザベットは想像たくましく、あれやこれやを手紙に書きますが、それが騒動と笑いを大きくしていきます。

華やかに描かれた映画ですが、当時フランスは欧州で長らく続く戦乱で疲弊した状態。人々にとって異境の地・インドで活躍するヌヴィルの姿は、夢と憧れを託せるものでした

そんな人々の願望に応えるかのように、調子よく好き放題活躍を語るヌヴィル大尉。そんな彼ですが凄惨な当時の戦場の実態を、正直に語る場面も劇中にあります

このような歴史的背景を踏まえて見ると、より楽しめる映画になっています。

様々な古典映画へのオマージュ


(C)JD PROD – LES FILMS SUR MESURE – STUDIOCANAL – FRANCE 3 CINEMA – GV PROD
ローラン・ティラール監督が意図して、古典的娯楽映画のスタイルを盛り込んで描いた『英雄は嘘がお好き』。

恋のさや当てだけでなく、艶笑コメディ的な“お上品にお下品な笑い”がある脚本も、伝統的なフランスのコメディ映画を意識したものです。

衣装やロケ地、脚本は大いにフランス映画の伝統を意識したものですが、同時に監督はこれが英語映画なら、西部劇になっただろうと語っています

実際に映画のいくつかのシーンは、明白に西部劇を意識ていると気付かされます

乗馬した姿で颯爽と現れ戦場に向かい、落ちぶれ見すぼらしい姿で馬車で帰ってきたヌヴィル。共に西部劇映画の一場面を、強く意識していると感じさせるものです。

そしてクライマックスで、敵との対決を余儀なくされるヌヴィル大尉。その構図は西部劇そのものであり、音楽もそれを意識させるメロディが流れます。

フランスの古典的コメディ映画を意識しつつ、イギリスの文芸映画、アメリカ・イタリアの西部劇の要素も盛り込んだ、贅沢な娯楽映画が楽しめます

まとめ


(C)JD PROD – LES FILMS SUR MESURE – STUDIOCANAL – FRANCE 3 CINEMA – GV PROD
軽妙なタッチで描かれた、ロマンティック・コメディである『英雄は嘘がお好き』。

この映画を成り立たせているのは、ジャン・デュジャルダンの軽妙洒脱な姿であり、コメディ初挑戦であるメラニー・ロランとの、息のあった演技の成せる技です。

さらにこの映画、善意から手紙に書いた嘘が、大きくなって“コン・ムービー(詐欺師映画)”の要素も現れ、笑いを巻き起こします。

思惑を超えて大きくなった、嘘から出た大騒動のてん末と、2人の恋の行方は映画を見てご確認下さい。

『英雄は嘘がお好き』は2019年10月11日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷、丸の内TOEIほか全国ロードショー!

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