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『ディアーディアー』動画無料視聴はU-NEXT!ネタバレ感想レビュー

  • Writer :
  • 山田苺

絶滅種と聞くと、その危機感以上に自然界のロマンを感じてしまう人は意外といるのではないでしょうか?

ところが、絶滅したはずの動物がまれに人々の前に現れるケースもあるそうです。

実際、タスマニアタイガーと呼ばれる動物は、絶滅が確定して以降も、たびたび目撃情報があがっているらしいですが、確かな証拠がないままの状態になっているそうです。(そういう映画があります)

映画『ディアーディアー』は上記をモチーフにしているのではないかと思われるほどの設定。「幻のシカ」を目撃したといったら、人生が狂わされてしまった3兄妹のお話を紹介します。

1.映画『ディアーディアー』の作品情報


(C)2015オフィス桐生

【公開】
2015年(日本)

【監督】
菊地健雄

【キャスト】
中村ゆり、斉藤陽一郎、桐生コウジ、染谷将太、菊地凛子、山本剛史、松本若菜、柳憂怜、政岡泰志、佐藤誓

【作品概要】
小さい頃に絶滅したとされる「リョウモウシカ」の写真を撮った三兄妹ですが、やがてそれはウソではないかとされ、人生が狂わされてしまいます。

その後町を出た妹、この事件を機に精神を病んだ次男、町から縛られるような生活を送る長男が、父の危篤によって25年ぶりに町に集まりますが、今もそれぞれ、兄妹は問題を抱えている状況でした。

監督と親しい染谷将太や、妻の菊地凛子が出演しているのも隠れたポイントです。

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2.映画『ディアーディアー』のあらすじとネタバレ


(C)2015オフィス桐生

とある山に囲まれた村では、かつて幻のリョウモウシカと呼ばれるシカがいましたが、工場の乱立や外来種の拡散の影響もあって、戦後絶滅しました。

ところがその村に住む幼い3兄妹がシカを見つけ写真を撮ったことで、村はこれを機に観光業に力を注ぎます。

しかし以降シカが発見されることは無く、子供たちが撮影したシカも、現在では別のシカではないかという意見が有力となっています。

老朽化の進む工場で、ひとり黙々と作業をする長男・富士夫、シカの一件で嘘つき呼ばわりされ、精神をやんだ次男・義夫、同じくシカの件で、駆け落ちし町を出て行って、酒びたりになった長女・顕子。

3人は父が危篤となったことで、今も富士夫が住んでいる実家に帰省します。

病院への道中に義男が運転する車が、どこかの飼い犬を撥ねて死なせてしまいます。

ひとまず犬は回収し、父の入院する病院に着きますが、兄妹は父に常に厳しく接せられたことで誰もこの現状を悲観しませんでした。

狭い村なので、必ずどこかで知り合いに会うということもあり、精神病院に通っている義男は富士夫の計らいで経営コンサルタント会社の社長をよそいました。

兄妹が家に帰ると、父の持つ土地や工場の売却をして欲しいと、顕子や義男の同級生・西野が待っていますが、富士夫は工場も土地も売るつもりはないと突っぱねます。

富士夫は明日は墓参りに行こうと提案しますが、皆拒否するだけでなく、何かにつけて義男と顕子は喧嘩を始めては、富士夫を呆れさせます。

するとそこへ顕子の夫・清一が現れます。顕子は夫と離婚しようとしていたので、すぐに実家を飛び出します。

そんな清一にどうして離婚するのかと理由を富士夫が尋ねると、彼は43歳にして小説家志望なので稼ぎがないからだと自嘲気味に語ります。

富士夫はそんな清一にお茶を出します。清一は口にしたお茶をどこかで飲んだことがあると言うと、富士夫の顔色が曇ります。

倉庫のようなところに行くと、そこには大量のお茶が入ったダンボールがありました。

顕子はバーで西野と2人で飲んでいます。

そこへ西野に妻の清美から電話が来ますが、西野は適当にあしらい顕子とホテルへ行こうとします。

しかし顕子は清美に嫉妬されるのは嫌だといい、独りタクシーを降りてしまいます。

翌朝、義男は一人で轢いてしまった犬を埋めに行きますが、帰り際に同級生の畠中が死なせてしまった犬が掲載された行方不明を探す張り紙を張っていました。

富士夫は寺で開かれる村に建設予定されたショッピングモールの会合に顔を出します。

この場所に集まる村人のみんな大反対したことで、会場は荒れに荒れます。

すると同級生で坊主の加藤を見つけた富士夫は、彼の後を追いかけます。

その途中で富士夫は村人に捕まって、彼の父親が過去に反対活動を行っていたこともあって、同様の期待をむけられますが、富士夫は苦笑いしかできません。

おまけに加藤の息子・タケオにもこの現状を哀れまれる始末。

富士夫がやっと加藤に会うと、お茶を売るのはもう辞めたいと言い出します。

加藤にビジネスとしてお茶を買わされた富士夫は、もうほとんど詐欺行為だと訴えると加藤は逆切れします。

顕子が散歩をしていると、ばったり清美と出くわし、たわいもない思い出話に花を咲かせます。

しかしどこか疎ましそうにする顕子に、清美は昨日に西野と会っていないかと問い詰めます。

その場をごまかす顕子を、たまたま車で通りがかった富士夫に救われます。

顕子はそこでなぜ借金を抱えてまで工場を維持し続けるのか訪ねますが、結局理由は明かしませんでした。

戻ると清一が手料理を作ってくれますが、皆それぞれ用事があるので、誰一人箸をつけようとさえしませんでした。

顕子は学校の屋上で西野と花火をして過ごし、義男は畠中の家に招かれて酒を飲みます。

富士夫は加藤の家から喧嘩して、こちらに来たタケオを家に招きます。

タケオは富士夫に送ってもらう道中で、加藤は地元のことなど微塵も考えていない上に、ショッピングモール開発の連中から賄賂も受け取っているという秘密を暴露します。

タケオはその金を盗もうと富士夫に提案しますが、冗談だといて去っていきます。

顕子は校舎の中に入って、当時の思い出に耽っているかと思えば、帰ってこなければ良かったと呟きます。

義夫は畠中との思い出話に付き合わされていました。畠中は、義夫は昔はすごく優秀だったし、西野にいじめられていた自分を守ってくれたと嬉しそうに話します。

しかし部屋のど真ん中に、でかでかと張られた飼い犬の写真を見ていたたまれなくなった義夫は、犬が轢かれて死んだことは正直に言いますが、轢いた人物は西野だと嘘をついてしまいます。

帰り道に義夫は、観光業のために立てられたリョウモウジカの看板(打ち消し線を引かれ、「うそつき」と書かれたり、シカを馬鹿とかかれたり)を怒りに任せて引き抜こうとするも失敗し、その際に電線に当たったことで村中が停電になってしまいます。

翌日、義夫が帰宅すると、富士夫と顕子が待っており、そして父の遺体が安置されていました。

遺品整理をしていると、モウリョウジカを発見したときの兄妹揃った記念写真を見つけます。

父はこの写真を撮った時だけ笑顔だったことを思い出した兄妹は、当時シカを目撃した場所まで訪れます。

葬式当日。それぞれが抱えていた問題がここで爆発します。

以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『ディアーディアー』ネタバレ・結末の記載がございます。『ディアーディアー』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
顕子は清美に不倫していたことがばれてしまい殴り合いの喧嘩、義夫は犬を轢き殺した本当の犯人は自分だということ意外に、学生時代畠中をいじめていたのも西野ではなく自分だと告白します。

葬式の最中なのに大喧嘩になった兄妹ですが、最後には富士夫でさえ、村人に対して今まで溜め込んでいた鬱憤をぶちまけてしまいます。

義夫は家に戻って車に乗ると、道すがらリョウモウジカを目撃し、その後を必死で追いかけます。

顕子は西野からメールで教室に呼び出されると、そこには包丁を持った清美が待っていました。

富士夫はタケオの話していた賄賂を盗みに、タケオに協力を求めます。しかしタケオは賄賂を見つけ出した富士夫に殴りかかり、お金を奪おうとします。

そんな時、再び停電が起きたことで、3人はなんとか窮地を抜け出すことが出来ました。

翌日、義夫は改めて畑中の自宅へ赴き、きちんと謝罪をして去っていきます。

顕子は実家に戻ると、清一が手料理を作ってくれ、判を押した離婚届を残して去っていきます。

兄妹は墓参りに訪れると、3人の前にリョウモウシカが姿を現します。

しかし兄妹は顔色一つ変えることなく、その場を去っていきました。

義夫と顕子はそれぞれ村を去っていき、富士夫も西野に工場と土地を売りました。

彼は車に乗ってカーラジオを入れると、立て続けにおきた停電は、謎の動物が電線を噛み切ったことによるものではないかと伝えていました。

そんなラジオを聴きながら、富士夫は村を後にするのでした。

3.映画『ディアーディアー』の感想と評価


(C)2015オフィス桐生

まず思ったのが「幻のシカを見たと言ったら、嘘つき扱いされてしまった」という設定がなかなか洋画っぽい設定だなあと感じました。

よくホラー映画では「或る村で幽霊を見た」とかパニック映画では「凶暴なモンスターが潜んでいる』と言った主人公の周りが全く信じてくれないような設定をよく見かけます。

それを違和感無く邦画で、さらにコメディテイストに落とし込んでいるのは器用な演出と感じました。

とは言っても決してセリフで笑わせるようなことはせず、あくまでその空間で笑えることが多いです。

例えば義夫が畠中の家に訪れて酒を飲む場面では、リビングのど真ん中に愛犬の写真が張ってあるのが非常ぬシュールです。もうほとんど義夫のこと黒だと思っているくらいの主張っぷりでした。

それにしても染谷君は、本当に世の中を舐めきった若造を演じさせることで右に出る人はいないんじゃないか位のはまり役でした。

次は空海を演じるそうですが、また何かの作品でこういう役を演じないか密かに期待しています。

まとめ


(C)2015オフィス桐生

とにかくこれでもかと言うくらい、地方感満載の演出&人間関係を丁寧に描いており、そういう空間が苦手な人が見ると胸が詰まりそうになるかもしれませんが、ラストはなかなかにカオスな展開が待ち受けており、それどころでなくなるので大丈夫です。

3人の抱える問題が交差するシーンなどもあって、限られた人数にも拘らず群像劇のようなはちゃめちゃ感も備えているところも面白いです。

菊地健雄の最新作『望郷』も島の閉鎖された村が舞台になっているので、どのような演出・脚色をしているのかとても興味深いです。

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