大量のコカインを摂取した巨大なクマが暴れ回るパニックコメディ!
エリザベス・バンクスが製作・監督を務めた、2023年製作のR15+指定のパニックコメディ映画『コカイン・ベア』。
1985年。麻薬の運び屋のアンドリューは、セスナ機に積んだ大量のコカインをアメリカ・ジョージア州の森に投下。しかし、自身も誤って落下し死んでしまいました。
それを知らずに学校をサボって友人と森に入った13歳の少女ディーディーは、大量のコカインを摂取した巨大なクマと遭遇。麻薬王とその一味、子供たちとその母、警察にレンジャー、それぞれの思惑が絡み合い事態は思わぬ方向へ転がっていくのです。
映画『コカイン・ベア』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。
映画『コカイン・ベア』の作品情報
【公開】
2023年(アメリカ映画)
【脚本】
ジミー・ウォーデン
【監督】
エリザベス・バンクス
【キャスト】
ケリー・ラッセル、オシェア・ジャクソン・Jr、クリスチャン・コンヴェリー、マーゴ・マーティンデイル、レイ・リオッタ、オールデン・エアエンライク、ブルックリン・プリンス、イザイア・ウィットロック・Jr、アヨーラ・スマート、カユン・キム、ジェシー・タイラー・ファーガソン、クリストファー・ヒヴュ
【作品概要】
「スパイダーマン」シリーズや「ハンガー・ゲーム」シリーズなどを手掛けたエリザベス・バンクスが製作・監督を務め、実在の事件に着想を得て描いたアメリカのR15+指定のパニックコメディ作品です。
『猿の惑星:新世紀(ライジング)』(2014)のケリー・ラッセルや、『ストレイト・アウタ・コンプトン』(2015)のオシェア・ジャクソン・Jr、『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』(2018)のオールデン・エアエンライクら豪華キャスト陣が出演しています。
映画『コカイン・ベア』のあらすじとネタバレ
1985年。麻薬の運び屋の男は上機嫌に踊りながら、飛行機から数百万ドルの価値があるコカインの入ったバッグを次々と投下し、自身もパラシュートをつけて飛び降りようとします。
しかしドアフレームに頭をぶつけて気を失ってしまったせいでパラシュートは開かず、墜落死してしまいました。
男の死体はアメリカ・テネシー州ノックスビルで発見されました。さらに男が身に着けていたバッグから、地元警察は30キロ以上のコカインを押収しました。
現場に立ち会ったベテラン刑事のボブは、男の身元は長年警察が追いかけているギャングのボス、シド・ホワイトに雇われたアンドリュー・C・ソーントン2世だと特定。
周辺にもっとたくさんのコカインが投下されたはずだと推測するも、発見できませんでした。
シドは取引相手にバレる前に、手下のダヴィードに息子のエディと一緒に、ソーントンのヘマによって行方不明になったコカインの回収を命じます。
ですがエディは既にギャングから足を洗っており、しかも最愛の妻ジョーンを亡くしたばかりで傷心中。息子のゲイブとどう接していいか分からず、父に預けているほどでした。
ダヴィードは親友であるエディを説得し、コカインの回収に向かいました。
アメリカ・ジョージア州チャタフーチー国有林にあるブラッド山でハイキングをしていたカップルのオラフとエルサは、山頂で黒い巨大熊「アメリカグマ」と遭遇。
何だか様子がおかしいアメリカグマを、カメラのレンズ越しに観察していると、突然アメリカグマが攻撃的になって襲い掛かってきたのです。
本来、アメリカグマは縄張り意識を持たず、人を襲うことは滅多にありません。しかしこのアメリカグマは、ソーントンが投棄したコカインを食べてイカレていたのです。
そんなことなど知る由もない、絵を描くことが好きな13歳の少女ディーディー・マッキンドリーは、友人のヘンリーと一緒に学校をサボり、ブラッド山の滝の写生をしに出掛けました。
その道中、ディーディーたちは草むらに落ちていたコカインの包みを発見。大興奮し少し味見をしてしまいます。
とそこへ、コカインでハイになっているアメリカグマ(以下、コカイン・ベアと表記)が襲来。ディーディーに襲い掛かります。
ディーディーの母で看護師のサリは、娘が学校をサボって無断でブラッド山に入ったことを知り、娘を捜しに行きました。
ブラッド山の案内所へやってきたサリから事情を聞いた森林警備隊員(レンジャー)のリズと、彼女が好きな野生動物管理官のピーターは、彼女に同行してブラッド山へ。
ディーディーたちが向かった秘密の滝への道は2つに分かれているのですが、サリは2人の話に耳を貸さず、右の道を進んでいきます。
すると、近くの木の上からヘンリーのサリを呼ぶ声が聞こえてきたのです。ヘンリーは、ディーディーがコカイン・ベアに襲われ攫われてしまったとサリに言いました。
とそこへ、コカイン・ベアが襲来。唯一銃を携帯しているリズはコカイン・ベアに銃を撃つも、かえってコカイン・ベアの怒りを買い殺されかけます。
リズは「応援を呼んでくる」と言って、その場から逃走。最初はアメリカグマが人を襲うなんてと、ヘンリーの話を信じていなかったピーターもコカイン・ベアに襲われことで本当なのだと実感し、近くの木の上に登りました。
1人、地上に残されたサリには目もくれず、コカイン・ベアはコカインの匂いがするヘンリーに襲い掛かります。
しかしヘンリーの元まであと一歩と迫ったその時、コカイン・ベアの動きが止まりました。
ピーターの服に偶然ついてしまった、コカイン・ベアが食べ散らかしたコカインの匂いに気がついたのです。
コカイン・ベアは標的をピーターに変え、彼の右足に噛みつきました。ピーターの身に起きた惨状を目の当たりにしながら、サリはヘンリーを木から降ろして逃走します。
映画『コカイン・ベア』の感想と評価
人を襲うことは滅多にないというアメリカグマが、人間でもラリっちゃうほどの麻薬のコカインを大量に食べてしまうと、こんなにも攻撃的で恐ろしいとは、誰もが想像しえなかったことでしょう。
ヘンリーが木の上にいた時は、最初高い木の上に上ってさえしまえばアメリカグマもといコカイン・ベアに襲われずにすむのだと安堵します。ですが、ピーターが作中で言ったように、コカイン・ベアは木も登れます。
しかもコカイン・ベアの木登りと足の速さは半端なく速いです。高い木の上に避難していたピーターにあっという間に襲い掛かってきましたし、猛スピードで走る救急車に負けない速度でしかも飛び乗ってきます。
物語の冒頭で流れた「アメリカグマに襲われたら、無抵抗より反撃した方が生存率が高い」というテロップのとおり、確かに無抵抗で逃げるしかなかったエルサたちカップルとピーターは惨殺されてしまいました。
ですが、作中でコカイン・ベアに反撃したリズやトム、シドもまた、コカイン・ベアによって殺されてしまいました。
ディーディーとヘンリーにコカインの匂いがあるにも関わらず、川に飛び込んだ彼らをコカイン・ベアとその子熊たちが追いかけてこなかったのはまさに奇跡です。
もうコカイン・ベアに登場人物が次々と襲われる瞬間は、思わず声にならない悲鳴を上げてしまうほど怖いですし、コカイン・ベアが襲い掛かって来ずとも、近くにいなくても、恐怖と緊張感を味わえます。
まとめ
人を襲うことは滅多にないアメリカグマが、麻薬の運び屋が投棄した大量のコカインを摂取し非常に攻撃的になり、コカインの匂いがする人間または目が合った人間に襲い掛かってくる騒動を描いた、アメリカのパニックコメディ作品でした。
本作は実話に基づいて描かれたもの。1985年、アメリカ・ジョージア州でアメリカクロクマが麻薬密売業者が投棄した大量のコカインを摂取し、薬物の過剰摂取によって死亡した事件が、現実で起こっていたのです。
また本作は、2022年5月に呼吸不全、肺水腫また心血管疾患を起因にしたアテローム性動脈硬化によって死去したシド役のレイ・リオッタの遺作となっています。
エンドロール前、「当局はバッグを発見できず、コカインは今も森の中だと考えられている」というテロップが流れていました。
エンドロール中、人間を森から追い出し、川辺でじゃれ合うコカイン・ベアとその子供たちがじゃれ合う姿と、それをカメラのレンズ越しに観察していたハイキング中のカップルの会話、レンズ越しにカップルと母子グマの目が合った瞬間が描かれています。
さらに、生き延びた非行少年がコカイン入りのバッグを持ち、ヒッチハイクした羊飼いの車に乗ってニューヨークを目指す姿が描かれていました。