Cinemarche

映画感想レビュー&考察サイト

連載コラム

Entry 2022/12/09
Update

【ネタバレ考察】ウェンズデー|シーズン2続編内容を予想解説!“ストーカー”正体の疑惑が最も濃厚なのは“彼”?【SF恐怖映画という名の観覧車171】

  • Writer :
  • 糸魚川悟

連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile171

配信開始から1週間で『ストレンジャーシングス 未知の世界 シーズン4』(2022)が持つ記録を塗り替え、Netflixで「1週間で最も視聴された英語テレビシリーズ」となったドラマ『ウェンズデー シーズン1』(2022)

コミック・アニメ・実写映画などさまざまな形で人気を誇る「アダムス・ファミリー」シリーズのスピンオフドラマとして製作された本作。原作のダークな雰囲気とキャラクター性をミステリーに上手く組み込み、シリーズ初見の人にも楽しめる作品となっていました。

今回はそんなミステリーとしての魅力を持つウェンズデー シーズン1』で明かされなかった要素から、来るシーズン2の内容を予想・考察していきます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら

ドラマ『ウェンズデー シーズン1』の作品情報

【配信】
2022年11月23日(Netflix独占)

【原題】
Wednesday

【総監督】
ティム・バートン

【キャスト】
ジェナ・オルテガ、グウェンドリン・クリスティー、リキ・リンドホーム、ジェイミー・マクシェーン、ハンター・ドゥーハン、パーシー・ハインズ・ホワイト、エマ・マイヤーズ、ジョイ・サンデー、ジョージー・ファーマー、クリスティーナ・リッチ、ムーサ・モスタファ

【作品概要】
雑誌「ザ・ニューヨーカー」に1937年から連載されたチャールズ・アダムスによる1コマ漫画『アダムス・ファミリー』の登場人物の一人、ウェンズデー・アダムスを主人公としたスピンオフドラマ。

『ビートルジュース』(1988)や『チャーリーとチョコレート工場』(2005)を手がけたティム・バートンが総監督を務め、『ザ・ベビーシッター キラークイーン』(2020)で主要キャストを務めたジェナ・オルテガが主人公のウェンズデーを演じました。

ドラマ『ウェンズデー シーズン1』のあらすじ

弟をイジメた生徒に過剰すぎる仕返しをしたことで、退学を言い渡されたアダムス家の長女ウェンズデー。

両親の母校である、獣人やセイレーンと言った特殊な能力を持つ生徒の集まる「ネヴァーモア学園」への強制転入が決まり、特に母に対する強い反発心を持つウェンズデーは学園からの脱走を考え始めます。

しかし、近隣の街ジェリコの住人たちとのトラブルを内包するこの学園の生徒が残忍な方法で殺害されたことで、ウェンズデーは事件に強く惹かれることになり……。

ドラマ『ウェンズデー シーズン1』の続編を予想・考察!

シーズン1で残され続けた謎

ウェンズデーはジェリコの街で発生していた連続猟奇殺人事件の犯人とその目的を暴き出し、すでに実行されてしまった虐殺計画を仲間たちと共に阻止しました。

殺人の実行犯である“ハイド”ことタイラーと、彼を影で操っていた復讐者マリリンを捕まえたことで、事件のすべては解決したかに思えましたが、シーズン1には解消しきっていない「謎」がいくつか残されています。

その中でも最大の「謎」は、ウェンズデーが言及した彼女につきまとう「ストーカー」の存在

ウェンズデーは「ストーカー」こそがタイラーとマリリンを裏で操っていた人物であると予想し、事件はまだまだ終結していないと考えました。

そして事件に関連し、なおかつ明らかにされていない要素は他にもいくつか存在しています。

第2シーズンの鍵を握るのはゼイヴィア?

物語の中盤から終盤にかけて、ウェンズデーに好意を寄せる幼馴染ゼイヴィアは“ハイド”の絵を描いていたことから、ウェンズデーに”ハイド”と疑われ一時的に拘置所へと送られます。

後にタイラーが“ハイド”であると判明し、ゼイヴィアが見ていないはずの“ハイド”を描けた理由が彼の“夢”を見る能力に起因することが分かり、ウェンズデーとゼイヴィアは和解しました。

しかし、ゼイヴィアの“絵を具現化する能力”以外の能力は本人の語り以外で描写されたことはなく、「実は彼は能力とは別に“ハイド”の姿を実際に見ていたのでは?」と考えることも現時点では可能です。

さらに物語のラストで「ストーカー」からの連絡に使われた携帯は、俗世嫌いのウェンズデーに対してゼイヴィアが贈った物であり、彼以外その携帯の連絡先を知りませんでした

このことからゼイヴィアは、シーズン1終了の時点において最も「ストーカー」の疑惑が強い存在……あるいは、再びウェンズデーにそう誤解されしまう役回りとして、第2シーズンでも重要になると推測できます。

指導者なき街と学園を次に「支配」するのは?

劇中ではウェンズデーとイーニッド、ウェンズデーとビアンカのように関係性に進展があった組み合わせが存在する一方で、未解決の問題を抱える人間関係も残されました。

特に学年でも優秀な成績を修める人気者のビアンカは、セイレーンの“人を操る力”を悪用するカルト宗教の母親を持ち、セイレーンの力を使って学校で人気者になったことを触れ回ると脅しを受けていたことは忘れてはいけません。

ビアンカは今期限りで学校を辞め、カルト宗教の手伝いを行うことを約束しており、次期が描かれる続シーズンでは彼女の学園への復帰の有無が物語序盤では鍵となると考えられます。

学長が死亡し講師マリリンも逮捕され、市長ウォーカーも死亡したことで、街も学園も指導者が不在となったジェリコとネヴァーモア学園。

“ハイド”だったタイラーの父親である街の保安官ドノバンは、一番恐れていた息子による暴走とどう向き合うのか、そして新たな指導者とそれぞれが抱える解決していない悩みがどう展開されていくのか。

すべてを搔き乱す「ストーカー」の存在と、空気を読まずに物事に立ち入るウェンズデーによる物語が楽しみなシーズン2となりそうです。

まとめ

ウェンズデーがマリリンに刺され命を落としかけた時、ウェンズデーは母モーティシアからもらった首飾りによって先祖のグッディと同化し、力を得た上で傷を治しました。

ウェンズデーにとっては不測の事態でしたが、「ストーカー」がクラックストーンとグッディの確執やウェンズデーの家系について知っていた可能性をふまえると、、“ハイド”による一連の殺人はウェンズデーとグッディの同化を目的として引き起こされたとも考えられます

街にとっての英雄であると同時に差別主義者の虐殺者であるクラックストーンと、彼を殺害した「のけ者」のグッディ。来たるシーズン2でも、「人間」と「のけ者」を巡る「偏見」と「差別」から生まれる憎悪の物語が展開されることが予想されます。

【連載コラム】『SF恐怖映画という名の観覧車』記事一覧はこちら



関連記事

連載コラム

映画『死刑にいたる病』ネタバレ感想考察と結末ラスト解説。原作と違う最後で真犯人の正体と“病”の社会を描く|サスペンスの神様の鼓動51

サスペンスの神様の鼓動51 ある青年が、死刑が確定した殺人鬼が主張する1件の「冤罪事件」に関わったことから、次第に社会の闇へと陥り始めるサイコ・サスペンス『死刑にいたる病』。 櫛木理宇の同名小説を原作 …

連載コラム

女優リリー・ジェームズへのインタビュー【シンデレラ・ストーリー】FILMINK-vol.33

FILMINK-vol.33「Lily James: A Cinderella Story」 オーストラリアの映画サイト「FILMINK」が配信したコンテンツから「Cinemarche」が連携して海外 …

連載コラム

映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』感想と内容解説|だからドキュメンタリー映画は面白い2

ドキュメンタリー映画『ヒューマン・フロー 大地漂流』は、2019年1月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかで公開。 現代美術家にして社会運動家のアイ・ウェイウェイが、23カ国40カ所もの難 …

連載コラム

韓国映画『探偵なふたり:リターンズ』感想評価レビュー。完成度はパート1以上のコミカルな推理サスペンス!|サスペンスの神様の鼓動13

サスペンスの神様の鼓動13 このコラムでは、毎回サスペンス映画を1本取り上げて、作品の面白さや手法について考察していきます。 今回取り上げる作品は、2019年3月16日(土)より全国順次公開される、推 …

連載コラム

特撮ドラマ映画の人気声優まとめ。昭和のレジェンド達の悪の大王の声とは|邦画特撮大全16

連載コラム「邦画特撮大全」第16章 特撮作品にはゴジラやバルタン星人、ショッカーの怪人といった“着ぐるみ”、もしくは“ぬいぐるみ”のキャラクターが登場します。 こうした怪獣や怪人、宇宙人の登場が特撮作 …

【坂井真紀インタビュー】ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』女優という役の“描かれない部分”を想像し“元気”を届ける仕事
【川添野愛インタビュー】映画『忌怪島/きかいじま』
【光石研インタビュー】映画『逃げきれた夢』
映画『ベイビーわるきゅーれ2ベイビー』伊澤彩織インタビュー
映画『Sin Clock』窪塚洋介×牧賢治監督インタビュー
映画『レッドシューズ』朝比奈彩インタビュー
映画『あつい胸さわぎ』吉田美月喜インタビュー
映画『ONE PIECE FILM RED』谷口悟朗監督インタビュー
『シン・仮面ライダー』コラム / 仮面の男の名はシン
【連載コラム】光の国からシンは来る?
【連載コラム】NETFLIXおすすめ作品特集
【連載コラム】U-NEXT B級映画 ザ・虎の穴
星野しげみ『映画という星空を知るひとよ』
編集長、河合のび。
映画『ベイビーわるきゅーれ』髙石あかりインタビュー
【草彅剛×水川あさみインタビュー】映画『ミッドナイトスワン』服部樹咲演じる一果を巡るふたりの“母”の対決
永瀬正敏×水原希子インタビュー|映画『Malu夢路』現在と過去日本とマレーシアなど境界が曖昧な世界へ身を委ねる
【イッセー尾形インタビュー】映画『漫画誕生』役者として“言葉にはできないモノ”を見せる
【広末涼子インタビュー】映画『太陽の家』母親役を通して得た“理想の家族”とは
【柄本明インタビュー】映画『ある船頭の話』百戦錬磨の役者が語る“宿命”と撮影現場の魅力
日本映画大学