連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第38回
深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。
そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第38回は、ダニー・ラーナー監督が演出を務めた、映画『エージェント:カーター 暴走列車』です。
ダニー・ラーナーが監督を務めた、2020年製作のアメリカのアクション・エンターテインメント映画『エージェント:カーター 暴走列車』。
300人の乗客を乗せた超高速列車で、列車を乗っ取ったハイテク・テロ集団に挑む、元米陸軍の最新鋭特殊部隊「デルタフォース」の男の姿とは、具体的にどんな姿だったのでしょうか。
かつて自分の仲間を殺したテロリスト相手に、主人公のカーターが核兵器の奪還に挑むアメリカのアクション・エンターテインメント映画、『エージェント:カーター 暴走列車』のネタバレあらすじと作品情報をご紹介いたします。
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CONTENTS
映画『エージェント:カーター 暴走列車』の作品情報
【公開】
2020年(アメリカ映画)
【脚本】
ジャック・コイン、クレイグ・ウェスラー、ダニエル・ブリュックナー、ベンジャミン・ジャッケンドフ
【監督】
ダニー・ラーナー
【キャスト】
ディラン・ブルース、セルゲイ・バデューク、ジュリアン・コストフ、レスリー・グランサム、ジュリアン・ヴェルコフ、バシャル・ラハル、ヴェリスラフ・パブロフ、アタナス・スレブレフ、ティム・フェリンガム、オーウェン・デイヴィス
【作品概要】
『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(2014)『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013)などを手掛けた、ダニー・ラーナーが監督を務めた、アメリカのアクション・エンターテインメント作品です。
『アンストッパブル』(2010)のディラン・ブルースが、主演を務めています。
映画『エージェント:カーター 暴走列車』のあらすじとネタバレ
3年前のこと。海水浴客でにぎわうアフリカ沖沿いの街の反対側。
そこでは、特技兵ジョン・カーター中尉率いる、米陸軍の最新鋭特殊部隊「デルタフォース」の「アーミー・レンジャー」部隊が、アフリカにいるVIPのハリスとその家族を救出する任務に就いていました。
しかしカーターや、「アーミー・レンジャー」の衛星兵のディーボやエンジニアのフランク、狙撃兵のジョーや機関銃手のキーズは知りませんでした。
ハリスとその家族の命を狙う敵のトップが、凶悪な戦犯だったということを…。
その男の名は、イーゴリ・ロダン。彼は多国籍テロ組織のリーダーを務める、国際テロリストで、世界中に兵を持っており、いつでも彼の一声で招集することが出来ます。
カーターたちはロダンたちテロリスト集団と戦いながら、ハリスとその家族を守っていたのですが、ついに逃げ場がない鉱山集落にある建物まで追い詰められてしまいました。
カーターは、上官のアンダーソン大佐からこの任務を引き受けた時、何かがおかしいと感じていました。
しかし、今はその違和感について考えている余裕はなく、カーターは負傷したジョー以外の皆に、残り少ない弾薬を節約しながら戦おうと告げます。
外で建物を包囲しているロダンたちと、建物に籠城するカーターたちの激しい銃撃戦が繰り広げられていく中、カーターは無線機で、統合特殊作戦司令部「JSOC」にいるアンダーソン大佐に連絡を取りました。
「司令部の情報が間違っている。敵に囲まれているため、航空支援をお願いしたい」
そうアンダーソン大佐に話すカーターたちには、軍から支給された銃しか武器がありません。
対してロダンたちは、戦車やミサイル、迫撃砲や機関銃など、高い火力を持つ重火器を多く保有しており、人数も戦力にも差がありすぎました。
激しい銃撃戦の末、カーターはハリスとその家族、ディーボたち仲間を失ってしまいました。
カーターは地下のトンネルを使い、負傷したジョーを肩に担いで脱出。それと同時に、米軍の戦闘機がロダンたちに攻撃を仕掛けました。
それから3年後。カーターとジョーはあの日の戦場から生き延び、カーターは多くの仲間を死なせてしまったことの責任として、アーミー・レンジャー部隊を除隊しました。
そんなカーターは愛犬と一緒に、山奥で狩りをしながらひっそり暮らしていたのですが、そこへ訪ねてきたアンダーソンによって、再び戦場に行くことになってしまいます。
それは、大将に昇格したアンダーソンが、銃撃によって死んだと報じられていたロダンが生きているだけでなく、東欧のアルバニアで潜伏し、良からぬことを企んでいるという情報を入手したからです。
アンダーソンはカーターに、JSCOとの民間契約が続いていることを理由に、ロダンが開発する予定の核兵器と、その開発のために誘拐された科学者たちの奪還を命じます。
アルバニアに潜伏中のロダンは、約100万リットルの有毒廃棄物を買占め、爆弾と組み合わせて核兵器を作ろうとしていました。
その核兵器が完成してしまえば、地球の広範囲を死の荒野と化すことが出来ます。
ロダンはその核兵器開発に必要な化学技師、物理学者、機械工学士を脅迫して誘拐。
さらに警戒心が強い地元のアルバニア兵と結託し、核兵器を使った大規模なテロを起こそうとしていたのです。
カーターは、多くの仲間の命を奪ったロダンが標的だと知り、この任務を引き受けることにしました。
そんなカーターと一緒にロダンたちテロリストを仕留め、核兵器と誘拐された科学者たちの奪還する任務に就くのは、アンダーソンが招集した隊長率いる特殊部隊第1部隊です。
アンダーソンは海軍と協力し、カーターたちをロダンが潜伏する場所に近いアドリア海まで、潜水艦を使って送り届けます。
アドリア海に到着するまでの6時間。カーターは、多くの仲間を失わせた過去について隊長に追及され、「任務を復讐のために使わない自信がなければ、隊のためにこの作戦を辞退しろ」と言われてしまいました。
しかし、ロダンと直接対峙し、彼の顔を識別できるのはカーターだけです。
3年前の失態についてとやかく言う隊長や、特殊部隊の隊員ダニマルとピンキーとニック、フランクに対し、隊員のクープだけはカーターを部隊に温かく迎え入れます。
6時間後。カーターたちはアドリア海に到着。海中を潜り、微細な動きで反応する水中のセンサーや機雷を回避しようと、慎重に進んでいきました。
あともう少しで機雷を回避できる、そう思った矢先、直前までカーターを嘲笑していたダニマルが、機雷が仕掛けられた鉄条網に引っかかってしまって爆死。
この機雷の爆発によって、地上にいたロダンたちにカーターたちの存在を知られてしまい、水中にアルバニア兵が放たれ、カーターたちは抗戦を余儀なくされてしまうのです。
カーターたちは何とか、水中に現れたアルバニア兵も、港にいたアルバニア兵も倒し、ロダンたちが潜伏しているであろう工場に侵入します。
しかし、工場には既にロダンと科学者たちの姿はなく、いるのはロダンに殺された機械工学士のユーリ・ペンコスキーの遺体と、足止めするために残ったアルバニア兵数名だけでした。
死後30分ほど経過しているユーリの遺体を発見後、カーターたちは別の場所にロダンが逃げたのだろうと推測し、その建物を離れようとした瞬間、アルバニア兵による爆撃が投下。
これにより、先頭にいた特殊部隊の隊員2名が死亡し、隊長も命の危険が危ぶまれるほどの重傷を負ってしまうのです。
それでもなお、カーターはこの場を逃げたロダンを追いかけようとしますが、隊長のことを心配するクープ・ピンキー・ニック・フランクはそれに反発。
両者の間に仲裁に入ったのは、瀕死の隊長でした。自らの死を悟った隊長は、カーターに自慢の部下たちの命を預け、任務の続行を命じます。
クープたちはカーターの指示に従い、トラックを調達。その間、カーターは隊長から、約束と忠告を受けました。
「部下を頼んだぞ。約束を破ったら、化けて出てやるからな」「敵に襲撃がバレた、何かが変だ。大将に連絡しろ」
カーターたちがトラックに乗り、ロダンたちの後を追うために工場を後にした直後、アルバニア兵に見つかった隊長が、手榴弾を使って自爆。
これにより、工場の外に設置しておいた爆弾も誘爆し、アルバニア兵と隊長たちもろとも、工場が炎に包まれていきました。
その惨状に愕然として見ていたカーターたち。カーターは車内で、アンダーソンに連絡を取り、現状報告をします。
それに対しアンダーソンは、有力な情報をカーターに教えます。
「10分前に3台のトラックが走り去っていくのを確認した」
「おそらく、そのうちの1台にロダンと核兵器が乗っている。約16キロ西のナルゴニ・シュタージへ向かえ」
アンダーソンのこの命令に対し、カーターはクープたちが疲弊しており、弾薬も残り少ないことから撤退したい旨を告げます。
ところが、アンダーソンはそんなカーターたちに対し、非情な命令を下すのです。
「核兵器の追跡が優先だ。大都市に仕掛けられでもしたらどうするんだ?」
「見失った物を見つけ出し、任務を完了させることが君たちの任務だ。さらに大勢が死ぬことになるぞ」
カーターは葛藤しましたが、クープの言葉に背中を押され、任務続行しようと決心しました。
翌朝、カーターたちはナルゴニ・シュタージ軍事基地へ到着。侵入直前、カーターは「俺たち5人で速攻叩きのめし、師団が来たと思わせる」作戦を考案します。
それは、ピンキーとニックが基地内に停められたトラックの中を確認し、クープが単独行動を取ってアルバニア兵と戦い、カーターとフランクがロダンがいる建物を襲撃するというものでした。
この作戦を聞いたピンキーとニック、フランクは、カーターへの印象がガラリと変わり、彼を自分たちの舞台の隊長として認めるようになります。
すぐさま作戦を決行したカーターたち。カーターは建物の襲撃直前、遭遇し倒したアルバニア兵から、ロダンたちはここにおらず、ゴリャマという駅に向かったという情報を入手しました。
ロダンや化学技師のグレゴール・アンドロヴィッチ、物理学者のニーナ・アイラ、ロダンを護衛するアルバニア兵がいなくても、ここにいるアルバニア兵を野放しにするわけにはいきません。
カーターたちは、自分たちより倍以上いるアルバニア兵と圧倒的な戦力差があると知りつつも、各自アルバニア兵と死闘を繰り広げていきました。
その中で、カーターはアルバニア兵が所有する機関銃を奪い、その高い火力でアルバニア兵もろとも、基地を爆破していきます。
カーターとクープ、負傷したピンキーとニックが、奪ったトラックを使ってその場を脱出しましたが、フランクはこの戦いで命を落としました。
映画『エージェント:カーター 暴走列車』の感想と評価
カーターたち特殊部隊vsロダン率いるアルバニア軍の戦い
本作の最大の見どころは、何といってもカーターたち米軍の特殊部隊と、ロダン率いるアルバニア軍の激しい銃撃戦です。
3年前も3年後も、カーターたち特殊部隊の人数は、ロダンたちより圧倒的に少ないのですが、それでも諦めず、懸命に任務を全うしようとします。
そんなカーターたちの勇姿は素晴らしく、最高に格好良いです。
しかも3年前と現在で、カーターたちがロダンたちに追い詰められて、弾薬も残り少なく兵が疲弊しているというところまで、状況が同じになっているのがまた興奮させます。
逆境に打ち勝ち、味方の支援を受けつつ、カーターたちがどんどんロダンたちテロリストを追い詰めていくところは、大どんでん返しの展開があるアクション映画好きにはたまりません。
衝撃的な事実と黒幕の“正体”
物語の後半までは、カーターたち同様に悪いのは全てロダンたちだと思い込んでいました。
しかしロダンたちはただ、私利私欲にかられたアメリカ政府やCIA、アンダーソンに利用されていた被害者だったのです。
それがカーターと対決したロダンの口から明かされる場面で、衝撃的な事実とまさかの黒幕の正体に、観ている人は全員言葉を失うことでしょう。
それを聞いたカーターが、ロダンと結託してアンダーソンたちに報復するのかとも考えられる中、彼がとった行動は正義そのものです。
利用されていたとはいえ、実際にテロ行為を起こしたのはロダンたちです。カーターは犠牲になった仲間のために、ロダンもアンダーソンにも罰を与えます。
まとめ
カーターたち米軍の特殊部隊が、ロダンたちテロリストと協力するアルバニア軍と戦う、アクション・エンターテインメント作品でした。
カーターたちが逆境に負けず、最後まで任務を全うしようとする正義と軍人の魂は、本当に素晴らしく感動します。
本編ももちろん、激しい銃撃戦が繰り広げていくアクション場面があって最高に楽しめますが、エンドロール前の映像にも注目してみて欲しいです。
エンドロール前の映像では、2015年に亡くなったダニー・ラーナー監督の追悼エピソードが描かれています。
その映像の中で、出演者やスタッフのダニー・ラーナー監督への想い、彼が出演者たちにどんなふうに接していたのかが語られているのですが、この作品を通じて芽生えた彼らの強い絆を感じて涙が止まりません。
作品に関わった全ての人が家族のような絆で結ばれ、米軍の特殊部隊とテロリストの戦いが描かれた、アクション・エンターテインメント映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。