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【ネタバレ】セクション8:リベンジ・ミッション|あらすじ結末と感想評価。復讐リベンジ!チンピラたちに“家族を殺させた事件の黒幕とは⁈|B級映画 ザ・虎の穴ロードショー115

  • Writer :
  • 秋國まゆ

連載コラム「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第115回

深夜テレビの放送や、レンタルビデオ店で目にする機会があったB級映画たち。現在では、新作・旧作含めたB級映画の数々を、動画配信U-NEXTで鑑賞することも可能です。

そんな気になるB級映画のお宝掘り出し物を、Cinemarcheのシネマダイバーがご紹介する「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」第115回は、クリスチャン・セスマ監督が演出を務めた、映画『セクション8:リベンジ・ミッション』です。

強い良心を持つ元海兵隊の特殊部隊員ジェイク・アサートンは、家族との穏やかな生活を求めて軍を引退することを決意します。

しかし事態は一変、ジェイクはチンピラによって家族を殺されてしまうのです。

復讐に燃えるジェイクのもとに、政府の秘密組織「セクション8」がやってきます。大きな力と秘密を抱えた「セクション8」とは果たして何なのか、そして家族を殺した黒幕は一体誰なのでしょうか。

2022年製作のアメリカのサスペンスアクション映画『セクション8:リベンジ・ミッション』のネタバレあらすじと作品解説をご紹介いたします。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

映画『セクション8:リベンジ・ミッション』の作品情報


(C) 2022 High Velocity Snail, Inc. All Rights Reserved.

【公開】
2022年(アメリカ映画)

【脚本】
チャド・ロウ、ジョシュ・リッジウェイ

【監督】
クリスチャン・セスマ

【キャスト】
ライアン・クワンテン、ドルフ・ラングレン、ダーモット・マローニー、スコット・アドキンス、ミッキー・ロック、ジャスティン・ファーステンフェルド、モーリス・コンプト、トレイシー・ペレス

【作品概要】
デッドヒート』(2020)や『ハンターvsハンター』(2021)などを手掛けたクリスチャン・セスマが監督を務めた、アメリカのサスペンスアクション作品です。

「トゥルーブラッド」シリーズのライアン・クワンテンが主演を務め、「エクスペンダブルズ」シリーズのドルフ・ラングレンや『エージェント・ゲーム』(2022)のダーモット・マローニー、『ネイビーシールズ ローグ・ネイション』(2022)のスコット・アドキンス、『シン・シティ』(2005)のミッキー・ロックら豪華キャスト陣と共演しています。

映画『セクション8:リベンジ・ミッション』のあらすじとネタバレ


(C) 2022 High Velocity Snail, Inc. All Rights Reserved.

5年前、アフガニスタン。強い良心を持つ海兵隊の特殊部隊員ジェイク・アサートンは、仲間のエヴァンとティーとウィル、そして上官のトム・メイソン大佐と共に過酷な任務を行っていました。

しかし突如、情報提供者の男が体に爆弾をつけて自殺を図ったため、ジェイクたちは必死に止めようとしましたが、錯乱しているせいで聞く耳を持ってくれません。

しびれを切らしたジェイクは、こうなった時の手順を無視して、強引に起爆装置から手を放すよう急かします。

すると、男は抵抗しながらも隠していた手を上に掲げました。持っていたのは起爆装置ではなく銃でした。

こちらへの殺意を確認したエヴァンたちは男を射殺。ジェイクは男の足元にある土に隠された起爆寸前の爆弾を見つけ、独断で9ボルトのバッテリーを切断しました。

ジェイクが爆弾を処理した直後、彼らの近くにあった建物が突如爆発。それを皮切りに、隠れていた伏兵たちがジェイクたちに襲い掛かってきました。

部隊は壊滅状態に陥り、激しい銃撃戦の末に生き残ったのはジェイクとメイソンの2人のみ。この場からの脱出を試みる2人のもとに、ヘリが現れました。

それから5年後、アメリカ・カリフォルニア州リバーサイド。ジェイクは妻のアッシュと息子のウェストンを養うために、叔父のアール・アサートンが営む店「ココ自動車整備」で身を粉にして働いていました。

しかしそれでも生活はままならず、支払いは滞ってしまいます。ジェイクはアッシュに言われて叔父に助けを求めようとしました。

ですが叔父も今、安月給で辛い仕事に励むのが嫌なギャングたちに金を払うよう脅迫されている状態だったため、ジェイクは何も言えませんでした。

アールは昔、人に雇われて金融の仕事をしており、それで稼いだお金で今の店を持ちました。

店を持てたのは、店を持つ前の生活から抜け出し出直すチャンスだったのだとアールは言います。

そして店を持ってはじめて、アールはまるで故郷のような自分の居場所を見つけることができたのです。

金持ちはおらず貧しい人ばかりだけれども、ここで生まれ育ち、ここで死んでいったこの地域の住民全員をアールは愛していました。

それはジェイクも同じで、この場所は自分にとっても故郷だと彼に言いました。そして誰よりも家族を大事に想っているジェイクは、ギャングたちに目をつけられている叔父のことが心配で仕方ありません。

しかしそんな貧しいながらも、家族との穏やかな生活は突如終わりを告げます。ジェイクは、ギャングたちによって家族を殺されてしまったのです。


(C) 2022 High Velocity Snail, Inc. All Rights Reserved.

家に入る前、ジェイクは犯人と思われるギャングの1人フレッシュとすれ違っていました。

フレッシュが家に押し入り、愛する妻子を殺害したのだと察したジェイクは、フレッシュとその仲間がたむろしているクラブに突撃。彼らに報復しました。

それから5カ月後。フレッシュたちを殺害した容疑で逮捕され、終身刑となったジェイクは、サン・クエンティン州立刑務所に収容されていました。

メイソンはジェイクのもとに面会に訪れ、再審を求めて弁護士を探していることを伝え、必死に彼を救おうとしました。

しかし、ジェイクの心には果たしたはずの復讐心が未だ消えず、かつ家族を失って自暴自棄になっていたため聞く耳を持ってくれませんでした。

その日の夜、ジェイクは5年前のことを思い出していました。あの後、無事生還した2人は軍の引退を決意し、いつかまた会おうと約束していました。

ですが、ジェイクはあれからメイソンとあまり話せていませんでした。そのことを思い出していたジェイクのもとに、小規模な任務部隊を運営している政府の秘密組織「セクション8」のボスであるサム・ラムジーがやってきます。

ジェイクはラムジーにも彼の話にも全く興味がなかったため、彼を突き放し監房に戻りました。

ですが、ラムジーとその仲間はジェイクの監房に侵入し、彼を無理矢理外へ連れ出したのです。

以下、『セクション8:リベンジ・ミッション』ネタバレ・結末の記載がございます。『セクション8:リベンジ・ミッション』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


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ラムジーは長らくジェイクのことを観察し、彼の境遇を入念に調べていました。ジェイクが海兵隊の特殊部隊を名誉除隊したことも、帰国後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患って抗うつ剤20ミリグラムを服用していることも、家に押し入り妻子を殺害した犯人とその仲間を独力で片づけたことも。

ラムジーはジェイクの今の心情に寄り添いながら、「だが人生は続くし、まだ君は目的をもてる」、「もう一度生きろ、私が手を貸す」と救いの手を差し伸べました。

それでも首を縦に振らないジェイクに、ラムジーは「こう考えろ。もし君の息子が生きていて、目の前にいたら君に何を望む?囚人の人生か、ヒーローの人生か?」と言いました。

この言葉を聞いて、ジェイクはセクション8への加入を決意しました。

ワシントンD.C.にあるセクション8の秘密基地にて、ラムジーはジェイクと再会。改めてセクション8の情報工作員エリアスとエイジャックス・アバナシー、ブラナー、マラーを紹介しました。

ラムジーはジェイクに、セクション8について説明しました。セクション8に所属する工作員は常に16名いて、8名はこの秘密基地に、残りの8名は世界中にいること。

セクション8に採用される者はジェイクのように、特殊なスキルを持つが危険とみなされた者であること。

セクション8はアメリカ国務省とアメリカ国家安全保障局(NSA)の指示で動き、国の安全を脅かす脅威を排除することを目的としていること。

そしてマラーは、ジェイクがセクション8で信頼を勝ち取るまでの間、常に行動を把握し、全任務に同行する番人であることを。

そう説明した後、ラムジーはジェイクに、セクション8の工作員として働くために必要な銀行口座とアパートと車、外部向けの偽の身元を与えました。

ラムジーが仕事のためその場を去った後、最上級の軍用試作品を装備したマラーたちチームによる、ジェイクのセクション8の加入の儀式が執り行われました。

エイジャックスに勝ち、正式にセクション8の加入が認められたジェイクは、マラーと共に初任務に挑みます。

ジェイクに与えられた任務は、アメリカの兵器を闇市場で撃って財を築いた防衛請負業者のアレハンドロ・カスティーヨが入手した設計図を、彼がロシアの友人ロニに売る前に回収して司法省に渡すことです。

しかしカスティーヨがいる場所はメキシコで、武装した護衛が数人張りついており、容易に近づくことができません。

カスティーヨから設計図を取り戻した後のことをジェイクが尋ねると、「関係者は全員排除する」とマラーは答えました。


(C) 2022 High Velocity Snail, Inc. All Rights Reserved.

メキシコ・ハリスコ州。カスティーヨは9~10人の護衛を引き連れ、人気のないゴミの廃棄場にてロニと取引を行おうとします。

ジェイクが護衛の1人を射殺後、その銃声を聞いたロニは、自分を嵌めたのかとカスティーヨに詰め寄りました。

ロニとその手下たちと、カスティーヨとその護衛が一斉に銃を構えて一触即発状態に。銃を下ろせと叫ぶカスティーヨの護衛の1人をロニが射殺したのを皮切りに、両者は銃撃戦を繰り広げていきます。

この機に乗じてさらに前進したジェイクは、カスティーヨのそばにいた護衛を射殺。車で逃げようとしていた彼に近づき、設計図を渡すよう求めるも拒否されたため殺害しました。

ジェイクが設計図を回収しようと車内を見回すと、カスティーヨが侍らせていた女3人が後部座席で固まっていました。

ジェイクは彼女たちに罪はないと考え、彼女たちを殺さずに設計図だけを回収しました。

秘密基地に帰還後、ジェイクはその件でラムジーから叱責を受けました。ラムジーとの口論の末、ジェイクは秘密基地から立ち去りました。

その場に同席したマラーとエイジャックスは、「彼はいい働きをした」、「人は皆ミスをする」と言ってジェイクを擁護する言葉を吐いて立ち去りました。

マラーは自らの役目を果たすため、ジェイクの後を追いかけました。バーで酒に溺れていたジェイクは、やってきたマラーになんでセクション8に入ったのか理由を尋ねます。

マラーは、「アメリカ陸軍にいた頃、部隊長を殴ったことで懲戒処分にされた」と答えました。

その後、ジェイクたちはラムジーから新たな任務を言い渡されました。郊外の閑静な邸宅に暮らす州上院議員のジム・グレアムの排除と、彼が持つデジタル情報の回収です。

グレアムは官僚を買収して罪を逃れている売国奴でした。マラーはデータの入手、ジェイクはその見張り、エイジャックスたち2人の輸送兼彼らの援護をそれぞれ命じられました。

アメリカ・カリフォルニア州フレズノ。グレアムは再選のためのパーティーを開いていました。

ジェイクたちは造園業者を装ってパーティー会場に侵入。マラーはサプレッサー付きの銃で警備員たちを射殺し、目的のデータを回収します。

侵入者の存在に気づいた警備員たちに連れられ、グレアムは招待客たちをよそに車で逃走。ジェイクは銃を片手に車を追いかけ、走るルートを予測して車を襲撃。

警備員たちを射殺し、グレアムを手にかけようとするも、彼には自分と同じ妻と息子がいることを知って躊躇してしまいます。

そんなジェイクを見かねて、エイジャックスがグレアムを始末しました。ジェイクは、自分には人の命を軽視するこの仕事は向いていないと感じました。


(C) 2022 High Velocity Snail, Inc. All Rights Reserved.

その日の夜。亡き妻を思って悲しみ、酒を煽っていたジェイクの自宅に、突如武装集団が侵入。間一髪のところで姿を見られることなく逃げることが出来た彼は、メイソンの家へ逃亡しました。

ジェイクはメイソンにセクション8について尋ね、本物のセクション8は90年代に解体されたものの組織自体は残っていて、今は不祥事を起こした工作員の吹き溜まりとなっていることを知ります。

メイソンはジェイクに、「ホワイトハウスに強力なコネがあるセクション8に追われているとしたら、深刻な事態だぞ」と警告し、彼を助けることにしました。

ラムジーはジェイクに戻ってくるよう留守電メッセージを残しつつ、セクション8の工作員を総動員して彼を捜していました。

一方その頃、セクション8の工作員レナード・ロックは、ネバダ州リノでの任務を終え、アルゼンチン・ブエノスアイレスにある自宅で寛いでいました。

そこへマラーから電話がかかってきて、「ラムジーが問題視している元海兵隊の特殊部隊員ジェイク・アサートンの捜索に手を貸して」と頼まれます。

ロックはすぐさまジェイクの捜索に当たり、リバーサイドにあるアイスクリーム屋で息子の親友ランドンと立ち話をしている彼を発見しました。

ジェイクはランドンから、フレッシュを倒してくれたことを感謝されました。フレッシュのことを知っていたことに驚いたジェイクは、ランドンにそのことを詳しく聞きました。

ランドン曰く、フレッシュはしばらく近所にいた後、コミック店の近くに移り、いつも黒いスーツを着た何人かと話をしていたといいます。

その話を聞いた直後、ロックが襲撃。ランドンをアイスクリーム屋の中に避難させ、その場から走り去るジェイクを、ロックは銃を撃ちながら追いかけます。

逃走劇の末、ジェイクはなんとかロックを撒くことが出来ました。あと一歩のところでジェイクを取り逃がしてしまったロックは、任務の邪魔をしてきたため射殺した保安官の車を使って彼を捜しました。

するとそこへ、ラムジーから電話がかかってきます。ロックがジェイクを取り逃がしたと報告すると、ラムジーは失望したと言って電話を切りました。

その日の夜。ジェイクはアールのもとを訪れ、「両親を亡くした俺を引き取って育ててくれたアールに、“お前はスーパーマンだ”と言われて信じた」、「アールあっての俺だ」と感謝を伝えました。

そんな2人のもとに、セクション8の追手が迫ってきます。やってきたのはマラーたちでした。

銃撃戦の末、ジェイクとアールはエリアスとブラナーを撃退。ジェイクとエイジャックスは共に弾切れとなり、エイジャックスはジェイクに再戦を申し込みました。

死闘の末、ジェイクを追い詰めたエイジャックスでしたが、少し離れた場所にいたマラーに狙撃され死亡しました。

アールから手渡された車のキーを使い、マラーと一緒に逃亡するジェイク。その道中、彼女になぜ助けたのかと尋ねると、彼女も組織を抜けたいと考えていたことを知ります。

マラーのことを疑いつつも、ジェイクは家族を殺した黒幕の正体を確かめるべく、モンタナ州にいるラムジーのもとへ向かいました。

しかしモンタナ州に到着後、ラムジーが会議に参加する場所へ奇襲するはずが逆に罠に嵌められ、ジェイクは捕まってしまいました。

マラーの任務は、ジェイクをラムジーのもとへ連行すること。そしてなんと、メイソンはラムジーの知人だったのです。

ラムジーたちは、冷酷に任務をこなす戦士を求めていました。メイソンはアフガニスタンでの任務で命を救ったジェイクが、家族との穏やかな生活を送るために整備士となったことを知り、特別なスキルを自ら捨てたのかとガッカリしました。

メイソンからジェイクの話を聞いたラムジーは、強情な彼を自分たちが求める戦士にさせるべく、フレッシュたちを金で雇いました。

そう話した後、ラムジーたちはジェイクを部屋に残し、出席予定の会議場へ向かいました。

するとメイソンだけが部屋に戻ってきて、ジェイクの拘束具を切ったのです。メイソンはジェイクの家族の件には関わっておらず、セクション8の解体を依頼されたのだと、彼に説明します。

それをメイソンがジェイクに黙っていたのは、セクション8を解体させるための計画が狂うからでした。

メイソンはその計画を変更し、ジェイクと一緒にセクション8の解体に挑むことに。まずはわざと警報装置を作動させ、ラムジーの手下たちを誘き寄せて1人ずつ始末していきます。

銃撃戦の末、ジェイクたちはラムジーの手下たちを全員撃退。残る敵はラムジーとマラーだけとなりました。

追い詰められたラムジーは、ジェイクに「テーブルの上にあるブリーフケースには300万ドル入ってる。それを持って好きなところへ行けば、君を死亡扱いにして追跡させん」と言ったり、メイソンの話をして2人を仲間割れさせようと仕向けます。

ですがジェイクはそれには乗らず、メイソンを信じてラムジーを殺そうと立ち上がりました。そんな彼を狙うマラーに気づいたメイソンは、再び彼の命を救い命を落としました。

死闘の末、ジェイクはメイソンを殺したマラーを殺害。車で逃走するラムジーを追いかけます。

カーチェイスの末、ジェイクは別の車と衝突し重傷を負ったラムジーを追い詰め、今度は躊躇うことなく彼を射殺しました。

その後、ジェイクは司法長官のマーティン・サヴォイと会い、セクション8を監視しつつ、自分とメイソンも見ていたと言われました。

そう、セクション8の解体をメイソンに依頼したのはサヴォイでした。ラムジーは数年前に中央情報局(CIA)を解雇されて以来、世界を巡ってアメリカを憎む犯罪者に情報を売り、荒稼ぎしていたのだとサヴォイは言います。

そしてサヴォイは、「ラムジーのような敵は大勢いる。そいつらを追うために君の力を借りたい」とジェイクに頼みました。ジェイクを罰する根拠が見当たらず、またジェイクの労力に報いたいからです。

ジェイクは戦う理由を失ったと言って断るも、サヴォイは「そうは思わない」と言って、自身の名刺を渡してどこかへ立ち去っていきました。

帰宅したジェイクを、ロックは待ち構えていました。ジェイクは「もう終わった、命令したラムジーは死んだ」と言うと、「命令したラムジーの生死など関係ない。奴に与えられた仕事をやり遂げなければ信用が失墜する」とロックは答えました。

死闘の末、他の工作員よりも手強いロックに苦戦を強いられたものの、ジェイクは彼から奪った銃で、彼を倒しました。

後日。アールのもとにジェイクからのボイスメールが届きました。

「叔父さん、直接別れを言えなくてごめん。とても残念だ」、「叔父さんは俺を救ったと、このボイスメッセージで伝えたい」。

「父が叔父さんを育てたように、叔父さんも俺に人生を費やした」、「世界が失った両親と誇りを教えてくれたんだ」、「父のような愛をくれたのはあなただけだ。俺は叔父さんの息子だった」。

「以前俺は“家族はいない”と、“息子も妻も父親もだ。失うものはない”と言った」、「だが俺にはいつも叔父さんがいる。ずっと家族だよ」。

「長く姿を消すことになるけど仕方ないんだ。今世でも来世でももう会えないかもしれない」、「叔父さんが誇れる男でいたい。愛してるよ叔父さん」。

そのボイスメールを涙を流しながら聞いていたアールは、姿を消した甥に必ず会うぞと心に誓いました。

ジェイクは荷物をまとめて、長距離バスに乗って故郷を離れました。その道中、ジェイクはサヴォイに連絡し、戦う理由が見つかったと言います。

するとサヴォイから、「セクション9へようこそ」と歓迎されました。

映画『セクション8:リベンジ・ミッション』の感想と評価


(C) 2022 High Velocity Snail, Inc. All Rights Reserved.

元海兵隊の特殊部隊員の復讐劇

愛する家族との穏やかな生活を求めて軍を名誉除隊したジェイク。

貧しいながらも幸せな日々を送っていた彼に起きた悲劇は、彼が作中で何度も妻子のことを思う姿を見れば見るほど、残酷でとても悲しいです。

ただでさえ5年前のアフガニスタンでの任務で、苦楽を共にした隊の仲間を失ったというのに、こんなのあんまりだと………。

ジェイクは妻子を殺害した犯人のフレッシュとその仲間を殺し、復讐を果たしました。ですが、復讐をしたところで妻子が生き返るわけでもありません。

そして逮捕後は、愛する家族を失ったことに対する喪失感と、復讐を遂げたのにまだ心の中で燻る怒り、何とも言えない虚しさがジェイクに一気に押し寄せてきたのでしょう。

もう生きることも諦めてしまったジェイクの姿はとても痛ましく、観ているだけで辛くて胸がキュッと締めつけられます。

その一方で、ジェイクが物語の最後で命の恩人であるメイソンと、自分を育ててくれた叔父のアールを守るために戦う姿はとても格好良かったです。

ジェイクの家族を殺した黒幕の正体


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復讐を遂げ、終身刑を言い渡されたジェイクのもとに突如現れたセクション8のボスであるラムジー。

ジェイクをセクション8に勧誘した時は、彼こそが人生のどん底にいるジェイクを救い出す救世主かと誰もが思ったことでしょう。

ですが味方だと思っていたはずのラムジーは、ジェイクの家族を殺害した黒幕だったことが物語の後半で発覚します。

家族のために培ってきたスキルを捨てて整備士となったジェイクを、セクション8が欲する冷酷に任務をこなす戦士とするためだったなんて、なんとも身勝手な理由だったのです。

サヴォイの口から明かされたラムジーの経歴を知ると、彼の最期はしかるべき制裁が下ったからだと、スカッと爽快な気持ちになります。

まとめ


(C) 2022 High Velocity Snail, Inc. All Rights Reserved.

元海兵隊の特殊部隊員が愛する家族を殺した黒幕の正体と、突如現れた政府の秘密組織「セクション8」とは一体何なのか暴いていく、アメリカのサスペンスアクション作品でした。

ジェイク役を演じるライアン・クワンテンと、ジェイクの命を二度も救ったメイソン役を演じるドルフ・ラングレン、ジェイクの家族を殺した黒幕であるラムジー役を演じるダーモット・マローニーが魅せるアクション場面は、どれもスリルがあり迫力満点です。

特にジェイクの味方であるときの顔と、本当は敵であったときの顔を完璧に演じきったドルフ・ラングレンとダーモット・マローニーの演技力には感嘆させられます。

また、ジェイクとは対照的に良心がなくて冷酷に任務をこなすことができるロックとの最終対決は、作中で一番スリルがあるアクション場面です。

そしてジェイクが物語の最後、唯一の家族となったアールへ宛てたボイスメールの内容に号泣させられます。

元海兵隊の特殊部隊員によるハラハラドキドキする復讐劇と、家族愛に命の恩人との絆に涙するハートフルな場面もあるサスペンスアクション映画が観たい人に、とてもオススメな作品です。

【連載コラム】「B級映画 ザ・虎の穴ロードショー」記事一覧はこちら

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