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Entry 2019/08/17
Update

『真・仮面ライダー』あらすじと感想評価。白倉伸一郎による“大人のための仮面ライダー”へと続く序章(プロローグ)|邦画特撮大全57

  • Writer :
  • 森谷秀

連載コラム「邦画特撮大全」第57章

2019年8月1日、『シン・ウルトラマン』の製作が発表されました。


(C)2016 TOHO CO.,LTD.

円谷プロダクション、東宝、カラーによる共同製作作品であり、企画・脚本を庵野秀明、監督を樋口真嗣が務めることも発表されました。『シン・ゴジラ』(2016)の総監督、監督の2人が再びタッグを組むのです。

ですが『シン・ゴジラ』よりも『シン・ウルトラマン』よりも前に、真(シン)・仮面ライダーがいたのです。

今回の邦画特撮大全は、オリジナルビデオ作品『真・仮面ライダー/序章(プロローグ)』(1992)を特集します。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

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『真・仮面ライダー/序章(プロローグ)』の作品情報


(C)東映

【公開】
1992年(日本製作)

【原作】
石ノ森章太郎

【監督】
辻理(つじ・まこと)

【脚本】
宮下隼一、小野寺丈

【プロデューサー】
堀長文、白倉伸一郎

【音楽】
宇崎竜童、和田薫、羽毛田丈史、松浦善博

【特撮監督】
矢島信男

【アクション監督】
金田治、山田一善

【キャスト】
石川功久(現:石川真)、野村裕美、石濱朗、塚田きよみ、小野寺丈、片岡弘貴、安藤麗二、岡元次郎、横山一敏、高嶋政伸、石ノ森章太郎、原田大二郎

【作品概要】
仮面ライダー生誕20周年記念作品として製作された本作『真・仮面ライダー/序章(プロローグ)』。原作者の石ノ森章太郎は「真ライダーは0号」と語っており、原点回帰的な作品となっています。

本作は平成に製作された作品ですが、“平成仮面ライダーシリーズ”には含まれません。ファンからは『仮面ライダーZO』(1993)や『仮面ライダーJ』(1994)と共に、“ネオライダー”と呼ばれることもあります。

また仮面ライダーシリーズの映画最新作『仮面ライダージオウ Over Quotzer』(2019)に登場した仮面ライダーゾンジスは、この3人のネオライダーがモチーフとなっています。

『真』が目指した“大人向け仮面ライダー”

参考映像:『仮面ライダーZO』(1993)予告編

本作『真・仮面ライダー/序章(プロローグ)』はオリジナルビデオ、いわゆるVシネマとしてリリースされました。そのため従来のTVシリーズに見られなかった、大人向けの作風が本作の特徴です。

まずは主人公である仮面ライダーシンのデザインを見て行きましょう。仮面ライダーシンは肉体化を機械化した改造人間ではなく、バイオテクノロジーを応用した細胞レベルでの改造を施されており生物的なデザインをしています。そのため怪人と見分けがつかないようなデザインで、仮面ライダーのトレードマークの1つであるベルトも排されていました。

また仮面ライダーという呼称も劇中では用いられず、ラストに“CODENAME MASKED RIDER”というテロップが出るのみです。そのため本作に登場する仮面ライダーには、「仮面ライダーシン」という呼称がその後の解説本などで用いられています。本記事でもそれに倣い「仮面ライダーシン」/「シン」という呼称を使用します。

次にシンの変身描写です。主人公の風祭真は苦しみながら変身します。目が赤く光り全身の筋肉が膨張し、前述したような姿に変身します。

シンの戦闘スタイルも野性的で、傷跡や流血などの描写もしっかりと登場します。戦闘場面は基本的に夜や影の中ということもあり、闇を基調としたアダルトな雰囲気のものになっています。

また風祭真とヒロインである明日香愛が裸で泳ぐ場面、愛の妊娠描写から2人に肉体関係があったことを思わせる演出も盛り込まれています。愛の遺体を抱えて歩くシンと、愛のお腹の中で生き続ける赤ちゃん=ミュータントベビーが何処かへ向かう場面で本作は終了します。

当初は続篇を製作する構想がありましたが本作の売り上げが好調だったため、続編ではなく新作にということになり翌年『仮面ライダーZO』(1993)が公開されたのです。

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その後の“大人向け仮面ライダー”と白倉伸一郎プロデューサー

参考映像:『仮面ライダーアギト』(2001〜2002)第一話

『真・仮面ライダー/序章(プロローグ)』は、現在放送中の『仮面ライダージオウ』(2018~2019)の白倉伸一郎プロデューサーが初めて参加した仮面ライダー作品です。本作にはその後の白倉伸一郎プロデュース作品に通じる部分があるのではと筆者は考えます。

まず白倉が初めてプロデュースした平成ライダー作品『仮面ライダーアギト』(2001~2002)。『アギト』に登場する3人目の仮面ライダーが仮面ライダーギルスです。ギルスは仮面ライダーシンほどでありませんが、生物的なデザインをしています。腕からトゲ状の刃が出てきて攻撃するという点も、シンと共通しています。

その後、白倉はTVで放映される“平成仮面ライダーシリーズ”とは別に第1作目『仮面ライダー』(1971~1973)をリブートした映画作品『仮面ライダーTHE FIRST』(2005)とその続編『仮面ライダーTHE NEXT』(2007)、ネット配信ドラマ『仮面ライダーアマゾンズ』(2016~2017)などの大人向けの仮面ライダー作品を手掛けました。

『仮面ライダーTHE NEXT』には首の切断描写などのグロテスクな表現や、Jホラーを意識した恐怖演出が盛り込まれています。そのため12歳未満が鑑賞する際は出来る限り保護者の同伴を求めるPG-12指定を受けました。『仮面ライダーアマゾンズ』では『THE NEXT』以上に手加減のない残酷描写や恐怖演出がありました。

しかし「大人向け」を意識した劇場オリジナル作品やネット配信作品であれば、まず地上波テレビでは出来ない表現を目指すのはもちろんだと思います。

表現手法だけでなく『真・仮面ライダー/序章』の精神性やアイディアを強く受け継いでいる作品が、『仮面ライダーアマゾンズ』なのではと筆者は考えます。

参考映像:『仮面ライダーアマゾンズ』シーズン2(2017)予告編

『仮面ライダーアマゾンズ』シーズン2の主人公は千翼(チヒロ)という天涯孤独の少年。第8話で千翼の出自が明かされるのですが、彼は鷹山仁/仮面ライダーアマゾンアルファと泉七羽の間に出来た子どもだったのです。この仮面ライダーの子供という設定はシーズン2の柱だった上に、『真』に登場するミュータントベビーを思わせる設定でもあります。

ファンのうがった見方かもしれませんが、『仮面ライダーアマゾンズ』シーズン2は実現しなかった『真・仮面ライダー/序章』の続編をやろうとしたのではと思ってしまいます。

まとめ

TVシリーズやその劇場版ではなく完全オリジナルの新作となった『真・仮面ライダー/序章』。

残念ながら現在、続編は作られず『序章』で終わっていますが、本作が目指した「大人向け」というテーマ、生物的なデザインの仮面ライダーというモチーフは後続作品にしっかり受け継がれているのです。

次回の『邦画特撮大全』は…


(C)東映

次回の邦画特撮大全は、『真田風雲録』(1963)と『真田幸村の謀略』(1979)を特集します。

お楽しみに。

【連載コラム】『邦画特撮大全』記事一覧はこちら

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