連載コラム「シネマダイバー推薦のNetflix映画おすすめ」第51回
今回ご紹介するNetflix映画は、イギリスの恋愛小説家ジョジョ・モイーズの『The Last Letter from Your Love』を映画化した、『愛しい人から最後の手紙』です。
舞台は現代と1965年代のイギリスのロンドン。私生活が荒んでいるジャーナリストの女性が、情熱的な古いラブレターをみつけたことで、成就の叶わなかった恋愛から“真実の愛”を導き出します。
原作者のジョジョ・モイーズは本作と『Windfallen』で2度、ロマンティック小説家協会のロマンティック小説賞を受賞したベストセラー作家で、映画『世界一キライなあなたに』の原作者としても知られています。
オーガスティン・フリッゼル監督は、『ネバーゴーインバック』(2018)でデビューし、長編映画の監督は本作が2作目です。
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映画『愛しい人から最後の手紙』の作品情報
(C)2021 Netflix
【公開】
2021年公開(アメリカ映画)
【原題】
The Last Letter from Your Lover
【監督】
オーガスティン・フリッゼル
【原作】
ジョジョ・モイーズ
【脚本】
ニック・ペイン、エスタ・スポルディング
【キャスト】
シャイリーン・ウッドリー、フェリシティ・ジョーンズ、カラム・ターナー、ジョー・アルウィン、ナブザン・リザワン、ンクーティ・ガトワ、エマ・アップルトン、クリスチャン・ブラシントン、アリス・オア=ユーイング、リー・ナイト、ゾーイ・ポイル
、ベン・クロス、ダイアナ・ケント
【作品概要】
禁じられた恋愛に苦悩する主人公ジェニファー・スターリング役は、『ファミリー・ツリー』(2011)で、ジョージ・クルーニーの娘役を演じて注目され、『きっと、星のせいじゃない。』(2016)で主演を務めた、シャイリーン・ウッドリーです。
ジェニファーに宛てたラブレターをみつけ、その後の彼女を追跡していくうちに、自らの生き方に向き合うことになった、ジャーナリストのエリー・ハワースを演じたのは、『博士と彼女のセオリー』(2014)で、アカデミー主演女優賞にノミネート、『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)で主人公を務めた、フェリシティ・ジョーンズです。
映画『愛しい人から最後の手紙』のあらすじとネタバレ
(C)2021 Netflix
離れたりくっついたりを繰り返し、長年つきあった恋人と破局し、荒んだ生活をする若きジャーナリストのエリーは、彼女が務める“ロンドン・クロニクル”で、報道の先駆者として偉業を残し亡くなった、“メアリー・エレン”の記事を担当することになりました。
メアリー・エレンの記事を書くにあたり、彼女に関する資料が必要となったエリーは、資料室へと出向き、新しく着任した保管係のロリーと出会います。
彼は生真面目で規則を忠実に守り、エリーが必要とする資料を閲覧するには、正しい手続きを踏む必要があると、オンライン申請アドレスを教えますが、エリーはその不自由さに憮然とします。
エリーがエレンの残した資料を閲覧していると、中から1965年に私書箱宛てで出され、“B(ブート)”から“J”へと記されたラブレターを見つけます。
そのラブレターにはブートのJに対し熱く切実な愛が綴られ、その内容は人妻のJに駆け落ちを持ちかけていたものでした。
その情緒的かつ情熱的な文章に胸を打たれたエリーは、2人のその後に興味を抱き、他に手紙が残っていないか探すため、ロリーに再び申請を出します。
1965年ロンドン、1人の女性が病院から退院し、夫と共に自宅へ帰りますが、彼女は交通事故によって顔に傷を残し、部分的に記憶を喪失していました。
彼女が自室へ行く間、夫は私書箱宛ての“J・Sへ”と書かれた、1通の手紙を書斎の机の引き出しに隠します。
顔の傷をみつめる彼女は夜の雨の中を走る、自動車内を思い出しますが、いつどこへ向かっていたのかは思い出せません。
夫は優しく、“ジェニファー”と呼んでキスをしますが、ジェニファーは彼に戸惑いながら、“ローレンス”と呼び、彼は「ラリーだ。そう呼んだ」と訂正します。
記憶が断片的なジェニファーは、親友に記憶を失くす前の様子を聞きます。どこへ向かう途中の事故で、自分の人生が幸せだったかどうかもわからないと、ジェニファーは言います。
親友は彼女の人生はすべてが順調で、完璧だと話しますが、ジェニファーにはどこか違和感を感じています。
ある日、ジェニファーがリビングの書棚に、横向きに入った“スクープ”という本を手に取ります。何気なく中を開くとその合間から“J・S”と書かれた封筒が落ちます。
中に入っていた手紙には“親愛なるJ”と書き出しがあり、失うものの多さ、愛に背く難しさ、Jを深く知るための時間が欲しいなど、情熱的なことが書かれていました。
差し出し人は“B”、ジェニファーは“J”が自分のことだと感じます。Bは落ち合う場所を記し、会いたいと記されていました。
ジェニファーは他にもBからの手紙があると思い部屋中を探し、ベッドの下に片づけた靴箱の中にそれをみつけます。
その手紙には“愛するJへ”という書き出しに変わり、アルベルトの店で一緒に踊ったこと、“B”がその思い出に浸っていると“フェリペ”という人物から、からかわれるなどと綴られていました。
そして、手紙の最後には“ブートより”と結ばれていました。
以下、『愛しい人から最後の手紙』ネタバレ・結末の記載がございます。『愛しい人から最後の手紙』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。
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事故の6ケ月前、ジェニファーはラリーの出張を兼ねたバカンスで、フランスのビーチ・リゾートに来ました。
バカンスとは名ばかりで、ラリーのビジネス関係者と食事の接待やジャーナリストの取材などが含まれていて、ジェニファーはラリーにとって、甲斐性を示すお飾りにすぎません。
ジェニファーはコンドミニアムのテラスから、夕日の沈む海を眺めているのを思い出し、手紙に書かれた“アルベルトの店”を捜します。
ジェニファーは店主とみられる女性に、自分に見に覚えはないか尋ねますが、彼女は覚えていないと答えます。
そして、“フェリペ”に会いたいから所在を教えてほしいと言うと、女主人はフェリペは事故で亡くなったと告げます。
一方、エリーも記事の執筆を進めながら、他の手紙を探すことを諦めません。ロリーはメールをくれれば少しは早く探し出せると提案しますが、エリーは「ルールに背くの?」と一笑に付します。
ジャーナリストのアンソニー・オワレはラリーを取材するため、コンドミニアムを訪ねジェニファーと出会いました。
しかし、ラリー主催のディナー後、友人と談笑するアンソニーはジェニファーを揶揄し、それを聞かれてしまい印象を悪くしてしまいます。
アンソニーは翌日、無礼を詫びる手紙を携え再び、ジェニファーの滞在先へ出向くと、彼女はその手紙を読み上げるよう言い彼女はその手紙の誠実さに胸を打たれ、アンソニーを許すのでした。
アンソニーはスターリング夫妻をランチに招待しますが、ラリーのところに急な仕事の連絡が入り、そのまま海外出張に飛び立ってしまいます。取り残された2人ですが、ジェニファーはアンソニーをセーリングに誘います。
アンソニーはラリーとのなり染めを聞きます。ラリーとジェニファーの父親が、企業パーティーで出会い意気投合し、とんとん拍子にラリーと婚約します。
両親は彼の家柄や仕事が良いことに喜んだと話すと、アンソニーはそれは“重要”なことなのか聞き、ジェニファーは何の疑問もなかったと答えます。
アンソニーが離婚した原因は彼の浮気にありました。そのため息子の親権は元妻となり、会うこともままならないと悔やんでいます。
ジェニファーが元妻を愛していたかとたずねると“本当の愛を知らなかった”と答え、同じ質問を彼女にしますが、ジェニファーもまた、明解に答えることはできませんでした。
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メアリー・エレンの追悼記事に向かっているエリーのデスクに、ロリーから“手紙”がみつかったと電話が入ります。
手紙には、Jに恋焦がれるブートの心中が綴られていて、エリーはますます2人の結末が知りたくなります。
ロリーは目録に無い資料は地下倉庫にあるが、自分に任せてほしいとエリーに話し、2人は地下の保管庫で手紙探しをはじめます。
ビーチリゾートで時間を持て余す、アンソニーは読書してすごしました。そんなアンソニーをみかけたジェニファーは、気の毒さを漂わせながら、街の散策に誘う手紙を書いて届けます。
こうして2人の手紙のやりとりが始まり、アンソニーはペンネームを“B(ブート)”とし、ジェニファーを“J”と呼ぶようになりました。
ブートの魅力に引き込まれた彼女は、彼の宿泊しているホテルを訪ね、抑えられない気持ちをくちづけで求めます。
ところがブートはジェニファーの気持ちに反して、くちづけを拒否してしまいます。2人のロマンスはこうしてあっけなく終わりました。
エリーはメアリー・エレンの追悼記事を納品すると、資料の中に“謎のラブレター”が紛れていて、それは“1965年の許されぬ恋”であり、心を打つ内容のため深掘り記事を書くと編集長に伝えます。
ロンドンに戻ったジェニファーは、アンソニーと過ごした夏の思い出に浸り、喪失感に苛まれていましたが、ある日ジェニファーの元にブートから手紙が届きます。
彼はジェニファーの気持ちを拒否したような形で別れたことを後悔していました。自分の欲望がジェニファーの生活を破滅させてしまうと、ブレーキをかけてしまったといいます。
そして、“決断は幸せも不幸も招く”だから、会って2人で答えを出したいと、“ポストマンズパーク”に来てほしいと記してありました。
ブートとジェニファーは再会し“アルベルトの店”で、バーテンダーの“フェリペ”を紹介してもらい、一緒に踊り2人は結ばれました。
ジェニファーは私書箱を契約し、ブートとやりとりをはじめます。出張がちなラリーの留守に2人は愛を深めていきます。
ジェニファーはブートを夢中にさせ、ブートの手紙はジェニファーの心に彩りを与えました。しかし、現実は一時の情熱から目を覚ませます。
ブートはニューヨークから仕事の依頼があり、ジェニファーに一緒に来てほしいと懇願します。突然のことで、人生を捨て駆け落ちするという覚悟のないジェニファーは戸惑います。
ニューヨークへ発つ列車の日時を知らせる手紙が届いても、ジェニファーには彼の愛に応える勇気が出ません。
ブートが経つ時間のころ、ジェニファーはラリーと出かける予定でした。ところがラリーは仕事で遅れ、彼女を先に向かうよう連絡します。
ジェニファーはブートの“僕たちは幸せになれる”という言葉を思い浮かべ、そこで指輪を外し駅に向かう決心をします。
降りしきる雨の中タクシーが拾えず、ジェニファーはアルベルトの店に向かい、フェリペに車を出してもらいます。
そして、雨で視界の悪い交差点で事故は起きてしまいます。そのことを知らないブートを乗せた列車は、無情に出発をしてしまいました。
エリーはロリーと地下保管場所で手紙を探し、一通しかみつかりません。そこで、封筒に書かれた私書箱番号をてがかりに、“J”の存在を探すことを思いつきます。
Jが使っていた私書箱は残っていましたが、今も契約者かはわかりませんし、個人情報の開示も無理です。そこでエリーは、Jに取材の申し出を書いて出すという賭けに出ました。
数日後、エリーのオフィスにJから取材不可の返信がありますが、“J”がジェニファー・スターリングという名前だと掴みます。
エリーは名前を頼りに現住所を調べ、彼女に直接交渉をします。ジェニファーは頑なに取材を拒みますが、不意に“オヘア”とブートの本名を口にします。
ジェニファーもまた、失くした記憶を取り戻すために、封筒に書かれた私書箱を頼りに、郵便局へ出かけました。
彼女を知る郵便局員が声をかけると、ジェニファーは鍵を忘れてしまったので貸してほしいと頼みます。しかし、局員は1ケ月前にラリーが解約に来たと伝えます。
ジェニファーは私書箱の存在を知っているラリーが、何かを隠していると直感し、家に戻ると書斎の机の引き出しから、ニューヨーク行きを知らせたブートからの手紙をみつけました。
ジェニファーがラリーに詰め寄ると、事故のあった日に彼女が持っていて、差出人が記者のアンソニー・オヘアだということも知っていると告げます。
そして、ラリーは事故にあった自動車にオヘアは同乗していて、運転手のフェリペと彼が死亡したと話します。
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“ジェニファー・スターリング”と“オヘア”、“1965年”で検索をかけたエリーは、いとも簡単に実業家ローレンス・スターリングの記事をみつけます。
その記事を書いた、アンソニー・オヘアという人物で、彼はロンドン・クロニクルの記者をしていたことから、所在地がわかりエリーは取材の申し込みをします。
アンソニーはエリーの取材を了承しました。彼はエリーに手紙に興味を持った理由を聞きます。
エリーは直感で記事にできると思ったからと言いながら、読んでいくうちに心に響き感動に変わっていったと話します。
アンソニーはジェニファーと共にニューヨークへ行かなかったと話します。エリーは再会はなかったのかと聞きます。
4年後の1969年、クリスマスのロンドンに戻ったアンソニーは、街でジェニファーとすれ違います。ジェニファーは彼の顔を見て、そのまま通り過ぎます。
すると記憶がフラッシュバックしたジェニファーは、何かを思い出したように振り向くと、そのまま気絶してしまいます。
全てを思い出したジェニファーでしたが、彼女の状況は4年で変わっていました。アンソニーは再び、一緒にニューヨークへ来るよう誘います。
しかし、ジェニファーには2歳になった娘を授り、家族を捨てられず申し出を断ります。以降、アンソニーは彼女の決断を尊重し、音信を絶っていました。
アンソニーはエリーに手紙を持っていたら、それをジェニファーに返してほしいと託します。
エリーは再びジェニファーを訪ねます。偶然、外出から戻った彼女に出くわし、アンソニーと会い事情は聞いてきたと切り出します。
“家族を選んだ”と思っていたエリーにジェニファーは、ラリーに記憶が戻ったことや、アンソニーを死んだことにして騙していたことを言及します。
ジェニファーは娘のために、形式上の“妻”として家に留まるが、それ以上のことは求めれば、娘を連れて出て行くと詰め寄ります。
ラリーは激高し、不貞を行った女を法廷はまともに扱わない、娘を連れだしたらジェニファーを破滅させると脅しました。
ジェニファーはラリーの本心を知り、荷物をまとめ娘を連れて家を出ます。そして、ブートの宿泊しているホテルに行きますが、彼はチェックアウトしたあとでした。
更にブートが勤めていたロンドン・クロニクルにも押しかけますが、責任者だったメアリー・エレンから、ブートから退職届が出され、行き先もわからないと告げられます。
落胆したジェニファーは、ブートから送られた手紙の束をエレンに渡し、所在がわかったら渡してほしいと託していきました。
ジェニファーはその後、ラリーとの離婚を成立させたと言います。話しを聞き終えたエリーは、彼女が追いかけたことをアンソニーは知らないと言います。
離婚後ジェニファーは、何年も新聞の中にアンソニーの名前を探しましたが、ついには限界に達して諦めていました。
エリーはアンソニーと引き合わせられると提案しますが、ジェニファーはこうなる運命だったと言います。彼女の心はエリーが考えるほど、単純ではありませんでした。
そこでエリーは、アンソニーに私書箱へ手紙を出すよう促し、彼はポストマンズパークで会いたいと綴って出します。
約束の日時、エリーとロリーが見守る中、少し遅れてアンソニーの元にジェニファーが現れます。
長い時を越えて“J”と“B”は真実の愛で再会を果たしました。そして、過去の恋愛にわだかまりのあったエリーも、善き理解者がそばにいたことに気がつきます。
Netflix映画『愛しい人から最後の手紙』の感想と評価
(C)2021 Netflix
『愛しい人から最後の手紙』の舞台は、仕事が最優先の男の妻は、夫のステータスのためにいるもの…そんな風潮が残る時代です。
子供もなく、いつも独りぼっちのジェニファーは、異国のビーチリゾートで言葉を紡ぐ記者、アンソニー・オヘアと出会います。それはひと夏のアバンチュールで終わるはずでした。
彼の綴った情熱的な愛のメッセージは、それまでジェニファーが体験してこなかった、異性からの“愛情”表現でした。そして、忘れ得ぬ思い出となりました。
アバンチュールと割り切ろうとした矢先に、ジェニファーの元に届いた“手紙”が、彼女の人生を大きく変えていった物語です。
平行してエリー・ハワードの姿を通し、パソコンやスマートフォンを使った恋愛事情から、“愛”とは瞬間的でありながら、時間をかけて育まれて“本当の愛”になると伝えています。
“手紙”というタイムラグは、“本当の愛”で結ばれているはずの2人をすれ違わせ、引き離してしまいましたが、長い時を経て最後には、信じる気持ちと勇気で幸せを取り戻しました。
「手紙」というタイムラグが育む愛
パソコンメールもチャットメールもない時代、人が自分の思いを伝えるのは“手紙”でした。
思いを言葉や表現で文章にして、相手にいかに理解してもらうか…大切な人であればあるほど、工夫を凝らし情熱的かつ情緒的に綴ったものでした。
最後に自筆の手紙を書いたのはいつだろう? 送った相手は誰だったか…ふと、そんなことを思ったり、“ラブレター”を書いたり、もらった経験のある人は、その頃の自分にあっという間に戻れます。
手紙は文章を考え、書き、切手を買って貼り、ポストに投函する…相手に自分の思いを届けるのに数日を要しますが、その時間が愛を育むといえるのです。
『愛しい人から最後の手紙』は、背徳の恋がはじまりでしたが、情緒豊かなラブレターをきっかけに、“本当の愛”を探しだす物語でした。
封を開け便箋を広げるまでの“ときめき”が、ほんの数十年前まで普通にありました。
メールやチャットメールは思いをすぐに伝えられますが、“既読”が付かないだけで、ヤキモキしたり、不安や不信を感じることもあり、タイムラグを楽しむものでなくなりました。
本作は“手紙”を書く時も読む時も、文章や筆跡などから、送り主の顔や声を思い浮かべ、気持ちさえも汲み取ろうとするプロセスが良さであると、教えてくれた作品でした。
1960年代のファッションも見どころ
ジェニファーが着ていた1960年代のファッションは、貴族が着るオートクチュールから、働く女性や上流階級の女性が着る、“プレタポルテ”へと移り変わっていました。
オートクチュールは身体を採寸して作る服で、プレタポルテとは“既製服”のことです。作中にも女性の報道先駆者が登場しますが、1960年代は女性も社会進出する、変化の時代でした。
プレタポルテは働く女性のための、既製服として誕生しましたが、高級ブランドのデザイナー達、シャネルやジバンシー、サンローランも、こぞってプレタポルテを展開していたのです。
街では若い世代が、ヒッピーやモッズといったサブカルチャーを生みだし、ミニスカートが流行し始めている時代です。ジェニファーのビーチスタイルからも、そのカルチャーを見て取ることができます。
そして、時代は巡るといいますが、現代のエリーの着ていた服のデザインが、ジェニファーと被っていたり、どことなく60年代風な雰囲気を出していました。
60年代のファッションは、遊び心があり機能的だったので、今でも人気が高く十分取り入れられます。2人のファッションに注目して観るのも楽しいでしょう。
まとめ
(C)2021 Netflix
『愛しい人から最後の手紙』は、古いラブレターをきっかけに、妻が夫のお飾り的な存在の中、女性の社会進出も目覚ましい1965年と、恋愛も仕事も自由にできる現代の女性が、“本当の愛”について共通認識を持つ映画でした。
この作品を観た方の中には、久しぶりに手紙でも書いてみようかな…と、思われた人もいるかもしれません。
出したい相手の顔を思い浮かべながら、レターセットやペンを選ぶところから、「自分の思いよ届け!」という気持ちが込められていきます。
こういう感覚はある意味、“重い”と思われがちでもありますが、もし自分宛ての手紙が郵便受けにあったら、誰もがときめくのではないでしょうか。
そして、“手紙”を読み終えたあとには、気持ちが温かくなって、返信を書きたくなるにちがいありません。
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