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Entry 2020/01/21
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映画『インビジブル・ウィットネス』あらすじネタバレと感想。リメイク版の元ネタの結末はインビジブルゲストと何が違うか⁈|未体験ゾーンの映画たち2020見破録9

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連載コラム「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」第9回

様々な映画が大集合した「未体験ゾーンの映画たち2020」が、今年もヒューマントラストシネマ渋谷で開催されました。2月7日(金)からはシネ・リーブル梅田でも実施、一部作品は青山シアターで、期間限定でオンライン上映されます。

前年は全58作品を見破、「未体験ゾーンの映画たち2019」にて紹介させて頂きました。

今回も挑戦中の「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」。第9回で紹介するのは、サスペンス映画『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』

殺人容疑をかけられた実業家と、彼の窮地を救うべく現れた敏腕女弁護士。今まで負け知らず弁護士は、男を必ず無罪にしてみえると約束します。

その為に事件の現場で何が起きたか、正直に話してもらう必要があると告げる弁護士。しかし自己保身を図る男の証言は、嘘で塗り固めたものでした。この状況で描かれる対話サスペンス劇に、衝撃のラストが待ち受けています。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020見破録』記事一覧はこちら

映画『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』の作品情報


(C)2018 Warner Bros.Entertainment Italia S.r.l.- Picomedia S.r.L.

【日本公開】
2020年(イタリア映画)

【原題】
Il testimone invisibile / The Invisible Witness

【監督】
ステファノ・モルディーニ

【キャスト】
リッカルド・スカマルチョ、ミリアム・レオーネ、マリア・パイアーロ、ファブリオツィオ・ベンティヴァリオ、サラ・カルディナレッティ

【作品概要】
真実を語らない重大事件の容疑者と、敗北を知らない敏腕弁護士の真実を巡る対決を描おいた、サスペンス・スリラー映画。『ジョン・ウィック チャプター2』の悪役が印象深いリッカルド・スカマルチョが、『ミラノ、愛に生きる』のマリア・パイアーロと対話劇を熱演。そして鍵となる女を2008年度ミス・イタリアに輝いた後、女優として活躍するミリアム・レオーネが演じています。

本作は「シネ・エスパニョーラ2017」で上映されたスペイン映画、『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』のイタリア版リメイク作で、2019年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞脚色賞にノミネートされました。ヒューマントラストシネマ渋谷とシネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2020」上映作品。

映画『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』のあらすじとネタバレ


(C)2018 Warner Bros.Entertainment Italia S.r.l.- Picomedia S.r.L.

豪華な高層マンションに到着した白髪の女。彼女はその一室に住む実業家、アドリアーノ・ドリア(リッカルド・スカマルチョ)の部屋を訪ねると、ドリアに弁護士のフェラーラ(マリア・パイアーロ)だと名乗ります。

フェラーラは、彼の顧問弁護士パオロが推薦した人物でした。予定より早い到着にドリアは驚きますが、彼女は状況が悪くなったので、急ぎ駆け付けたと説明します。

TVのニュースは著名な実業家のドリアが、女流写真家ラウラ(ミリアム・レオーネ)殺害の容疑者として、捜査中だと伝えていました。

フェラーラはドリアに、事件の訴訟代理人が新たな参考人を用意したと伝えます。彼らが検察に出頭するまで3時間しかありません。それまでに対応策を準備する必要がある、そのために急遽訪問したと語るフェラーラ。

パオロは事態に対応に動き回っています。残り時間も無く、彼に代り私が対応策を決めると彼女は告げます。私は裁判で負けた事は無いが、勝つためには真実を包み隠さず話して欲しい、と言葉を続けます。

猶予は3時間しか無いと言い、ペンを取りノートを広げ、ストップウォッチを取り出すフェラーラ。なぜラウラとホテルへ、と質問されドリアはためらいがちに話し始めます。

…妻子ある身のドリアは、女流写真家のラウラと不倫関係になります。ところがある日、2人の関係ををばらすと脅迫されます。そして雪山の山頂にあるホテルに、10万ユーロを持ってくる様に指示されました。

指定されたホテルの一室で指示を待つドリアとラウラ。すると彼のスマホにメールが送られます。金を入れたトランクを用意するドリアは、部屋に潜んでいた男に襲われ、頭を鏡にぶつけられ意識を失います。

彼が目覚めると床に置物が転がっており、思わずそれを掴みます。部屋の物音を聞きつけたのか、心配した者が扉がノックする音が聞こえます。

彼が目にしたのは、札が散らばる中床に倒れていたラウラでした。彼女は頭を強打され死んでいます。ドアを開け入った警官に、ラウラを抱き自分はやっていない、隠れていた男が殺したと訴えるドリア…。

フェラーラは指摘します。警察の報告書によると、目撃者は物音は聞いたが、部屋から出てくる者は見ていない。ドアは内側からロックされ、窓も施錠され人が出入りした形跡も無い。犯人は何処へ消えたのか。

それでも2人が入る前から部屋に犯人が潜んでいた、自分は罠にかけられたと主張するドリア。逮捕された結果妻ソニア(サラ・カルディナレッティ)も去ったと訴えますが、肝心な事は説明しません。

ドリアにフェラーラは告げます。私は30年のキャリアがあるが、弁護の依頼人には2種類ある。1つは自分に不利な事でも正直に打ち明ける者、もう1つは自分か賢く立ち回れると信じ、弁護士にすら嘘をつき真実を隠す者だと。

真実を知らねば、弁護方針は固まらないと彼女は語ります。ドリアに対し、苦しみのない救いは無いと告げ、自分に辛く不利な真実も語るよう求めます。そして、あなたは私より賢くない、と言い放つフェラーラ。

裁判で今の証言を事実として争うなら、部屋に隠れていた人物が必要だと彼女は説明します。彼女が示す、行方不明の若者・ダニエルを書いた新聞記事を見て、目をそらしたドリア。やがて彼は語り始めます。

…3ヶ月前、ドリアはラウラと山荘で過ごしていました。2人は車で帰路に着きますが、妻子を偽る生活に疲れた彼は、別れ話を切り出します。

慣れない道を走る車は逆走していました。突然鹿が横切り、車は対向車を巻き込む事故を起こします。2人は無事ですが、対向車を運転していた若者は死亡します。警察に通報しようするドリアを制止するラウラ。

事故が表ざたになればマスコミを騒がせ、浮気もバレて互いに家族を失う事になる。目撃者も無く、立ち去れば自損事故で処理される。ラウラに言いくるめられ車に戻るドリア。

しかし事故で故障した車は動きません。そこに山道を登ってくる車が見えます。するとラウラは対向車の中の遺体を伏せて隠します。

通行車が現れると、ラウラは対向車の運転者を装い、ドリアの車と接触事故を起こし、2人で事後処理している姿を装います。通行車の運転手に事情を説明した時に、犠牲者のスマホが鳴りますがラウラが誤魔化します。

ドリアは通行車に通り過ぎるよう促します。その際ラウラは巧みに犠牲者の存在を隠しますが、彼のスマホを思わず自分のポケットに入れました。

対向車は動かす事が可能で、2人は遺体をその車のトランクに入れます。ラウラは計画を話します。今の目撃者は、ここで起きたのは軽い接触事故と信じたはず。遺体を車と共に隠せば、死亡事故は存在しなくなる。

ドリアが対向車を運転し、遺体と共に湖に沈める。ラウラは動かなくなった車と残り、1人で運転したと装い回収車を待つ。そして2人は今後二度と会わない。

何かが少し違っていれば、事故は起きなかったはず。そう後悔しつつ彼はラウラの指示通り、車を湖に沈めます…。

今まで隠していた、交通死亡事故を涙ながらに打ち明けたドリア。しかしフェラーラは驚きや同情の表情を見せません。彼の話は脅迫者につながっておらず、話の続きを促すフェラーラ。

…車を沈めたドリアはラウラに連絡し、迎えに来させます。しかし修理した車で現れたラウラは、思わぬ展開になったと語ります。

ドリアが去った後、彼女は1人故障した車に残り、回収車を待ちます。車にあったドリアのライターで煙草に火を付けた彼女は、新たに車が現れたと気付きます。

その車にはトンマーゾ(ファブリオツィオ・ベンティヴァリオ)と名乗る老人が乗っていました。トンマーゾはかつて、ラウラが乗る車のメーカーに務めていました。彼は好意から車を直そうと申し出ます。

ここでは直せない故障だが、牽引し自宅に運べば修理できると語るトンマーゾ。ラウラは老人の提案を受けました。トンマーゾ宅に向かうラウラは、彼に名前や職業を偽りました。

その時ラウラに、銀行に勤める夫から電話がかかります。トンマーゾの目前で夫と会話をしますが、老人に不審を抱かせぬよう注意して話します。

老人宅につくとトンマーゾの妻、エルヴェラが出迎えます。彼女は昔劇団にいましたが、今は引退して夫と静かに暮らしていました。年老いたエルヴェラの招きで邸内に入ったラウラは、鹿の血と誤魔化した手の汚れを洗い落とします。

車を修理するトンマーゾは、車内に置き忘れたドリアのライターに気付きます。一方エルヴェラと話していたラウラは、家にあった写真を見て愕然となります。先程事故で死なせた若者は、この老夫婦の息子・ダニエルだと気付きます。

するとエルヴェラに、ダニエルの友人から彼が約束の時間に現れない、との電話がかかります。平静を装うラウラは、車の修理が終わったと聞くと、急ぎ立ち去ろうとします。

息子の身を案じたエルヴィラがダニエルに電話をかけると、ラウラのポケットに入ったままの、ダニエルのスマホが鳴りだします。老夫婦は驚きますが、ラウラはスマホをソファーに隠し、ダニエルが忘れたと装います。

ダニエルがスマホを忘れるとは、と老夫婦は不審がりますが、ラウラは先を急ぐと称し出発します。その車を老夫婦が見送り、ラウラはドリアと合流しました。

ドリアは事故を起こした車を処分し、事故を葬り去り妻子や事業が待つ日常に戻ります。しかしある日TVで、行方不明のダニエルを捜索する人々の姿が報道されます。その映像にトンマーゾと妻も映っており、私は後悔の念に襲われた…。

そこまで語った時、フェラーラに電話が入ります。彼女は得た情報として、代理人が用意した参考人は、これから検事と面会します。急ぎ対策を練るためにも、あなたは真実を語って欲しいと告げるフェラーラ弁護士。

ドリアは顧問弁護士であるパオロに電話します。予定より早く彼女が現れたと聞くと、実績のある彼女に協力するよう告げるパオロ。彼はヘリに乗り人に会いに行く最中でした。フェラーラはドリアが警察の追求を受けた件の説明を求めます。

…行方不明のダニエル捜索の報道を見た後、ドリアの元に刑事が現れます。あの日道路に事故の痕跡があり、そして女が目撃された。女はあなたのナンバーの車に乗っていたとの証言がある、と刑事は質問します。

顧問弁護士のパオロと共に、事情聴取を受けるドリア。目撃された女の似顔絵は、ラウラと似ていました。しかしパオロは、その時ドリア氏はパリにおり、車はその前に盗難されたと説明します。

2人になった時に、パオロは正直に事情を説明して欲しいと言いますが、不倫相手と会っており表沙汰にしたくない、とだけ話すドリア。彼はパオロに、パリのいたアリバイの用意と、警察に圧力をかける事を依頼します。

自動車事故の件で警察が動いていると知ったラウラは、銀行員である夫の権限で預金情報にアクセス、ダニエルが横領を働いたと記録を改竄します。それがダニエル失踪の原因ではないかとの報道を知り、驚いたドリアは彼女に説明を求めます。

ドリアはラウラが事故現場でダニエルの財布を持ち出し、そこから得た個人情報を使い、操作した事実を知らされます。元銀行員の彼女にそれは可能でした。ラウラが保身を図り暴走したのです…。

そこまで語ったドリアを遮り、今の説明では検事を納得させられない、と告げたフェラーラ。彼女が銀行員であったのはかなり以前。システムも変わり、彼女に可能な行為でないと指摘します。

その指摘に彼女の夫が協力したのかも、と説明して話を続けるドリア。

…不安を抱えながらも、アジアとの大きな取引をまとめたアドリアーノ・ドリア。事業は順調で、世間の注目を集めます。ところが盛大なパーティーの場に、彼に面会を求める人物が現れます。それはダニエルの父、トンマーゾでした。

彼は警察で、事情聴取を受けに現れたドリアを見ていました。修理した車に乗りこむ時、彼が手助けした女が、座席の位置を調整する姿を見て、車は彼女の物で無いと気づくトンマーゾ。

そう語り煙草をくわえた老人に、ドリアはライターを差し出しますが、トンマーゾはそれが修理した車の中にあったものと、同じだと気付いた様子です。

ドリアは自分はパリにいたと釈明しますが、老人は航空券やホテルの領収書など、証拠はねつ造できると言います。彼は警察に、息子の事故現場には自分が手助けした女以外に、第3者がいたと訴えます。

そう訴え出た直後、トンマーゾの息子ダニエルは横領の容疑者とされ、警察の扱いも変化します。行方不明の息子が犯罪者扱いされ、ショックで彼の妻エルヴェラは寝込んでしまします。

ダニエルは横領などしていない。証拠を捏造したり、銀行や警察に手を回せるのは、あなたの様な人物だ。そう疑ってドリアを尾行したトンマーゾは、彼が修理した車に乗っていたラウラと、密会している姿を目撃します。

その事実をトンマーゾは警察に訴えますが、相手にされません。あなたの権力を思い知らされたと語る老人。しかし失う物の無い私はあなたを恐れてはいない、そう言葉を続けると、訴えないので息子が眠る場所だけは教えて欲しい、と懇願します。

しかしドリアは語らず、トンマーゾは警備員に追い出されます。私は真実を胸の内に隠し、苦しみながら家族と事業を守る道を選んだ…。

そう語り終えたドリア。彼は自分が起こした交通事故の犠牲者を隠し、その結果被害者の父から疑われたと告白しました。それを聞いても無罪請負人の弁護士、フェラーラは動じません。

以下、『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』ネタバレ・結末の記載がございます。『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。


(C)2018 Warner Bros.Entertainment Italia S.r.l.- Picomedia S.r.L.

依頼人であり今は殺人の容疑者である実業家、アドリアーノ・ドリアの告白を聞き、裁判で負けを知らぬ女弁護士・フェラーラは、状況を分析します。

あなたが脅迫されたと納得させ、ホテルの部屋に消えた真犯人がいたと証明しなければ、検察の疑いを晴らす事は出来ない。そう指摘されドリアは、犯人はトンマーゾ、あるいは車の事故現場を目撃した男ではないかと考え、ホテルの出来事を告白します。

…ドリアにメッセージが届きます。愛人・ラウラと共にホテルに来い。指定された場所に10万ユーロを持って現れろ。さもないと全ての証拠をバラす。脅迫者はラウラが撮影した写真を持っていました…。

ドリアはラウラが、自分に隠れて事故現場の目撃者と共謀し、自分を脅迫した可能性を口にしますがフェラーラは否定します。目撃者が犯人なら、間違いなく金が目当てのはず。

ラウラ殺しの犯人について、フェラーラは3つの疑問を投げかけます。まず殺害直前に来たメールの意味は。次に犯人はなぜ金を奪わなかったのか。そして最後に犯人は、どうやって現場から消えたのか。

裁判までに、この疑問を判事に納得させるストーリーが必要だが、残された時間はあと僅か。まだ作り話をしたいなら、あなたの答えを聞かせてくれとフェラーラは告げます。それを聞き少し考えてから、話を始めるドリア。

…指定された場所につくと、2人一緒の姿を見られないようラウラだけが公衆電話に向かいます。電話の指示は山頂のホテルに向かい、指定された部屋に来いとの内容でした。

別人を装い山頂に向かう2人。ラウラだけがフロントに向かい、部屋をチェック・インします。彼女の入室を確認した後に、ドリアは部屋に向かいます。

ラウラの部屋に入ったドリア。すると彼のスマホに、「この部屋で全てを話します」とのメールが送られます。直後にドリアは部屋に潜んでいた男に襲われ、鏡に頭を叩きつけられ意識を失います。そして男は置物を手に取り、ラウラを殴ります…。

犯人はきっと、ラウラが調べなかった部屋に潜んでいたトンマーゾだと語るドリア。しかしこのシナリオでは、交通事故の件を知らない警察は納得しません。家族もあなたが犯人だと信じている、と指摘するフェラーラ。

顧問弁護士パウロの力で釈放されたものの、このまま裁判になれば負けると判断した彼は、パウロの推薦したフェラーラに依頼しました。彼女は裁判で勝つには、交通事故を認め、トンマーゾに恨まれていたと証明する必要があると語ります。

交通事故が過失と認められれば、ラウラ殺しの罪より軽く済みます。フェラーラはもう一度、交通事故で何があったかを訊ねます。

しかしドリアは、事故を告白し恨みを持つトンマーゾが犯人と訴えても、彼がどうやって逃げたかを証明しなければ無駄だと言います。残り時間もありません。するとフェラーラは、事件を視点を変えて見直そうと提案します。

彼女が用意した警察の捜査資料の中に、新聞記事がありました。その写真に写った人物がカギでした。事件現場のホテルは、従業員としてトンマーゾの妻エルヴェラが働いていたのです。

フェラーラは推理します。エルヴァラの手引きで部屋に潜んだトンマーゾ。彼はドリアが入室するとメールを送り注意をそらして襲い、ドリアを気絶させラウラを殺害、部屋の扉を施錠し窓から隣室に逃れます。

隣室のエルヴェラは夫を逃がすと、警察に協力する従業員として犯行現場の部屋に入り、密かに窓を閉めます。こうして息子の殺害犯と信じたラウラを殺し、その罪を隠ぺいしたドリアを破滅させる。これがフェラーラが考える犯行のシナリオでした。

それを聞いたドリアは、自分が連行される時見守る人々の中に、確かにトンマーゾ夫妻の姿があったと思い出します。

フェラーラ弁護士のスマホが鳴り、いよいよ検察が参考人と接触しようとしているとの報告が入ります。急ぎ裁判に備えた犯行のシナリオを作る必要があります。

ドリアには交通事故当時パリに居たとの、ねつ造した証拠があります。事故と被害者の車の遺棄を、ラウラ単独の行為にすべきと提案するフェラーラ。

その上でドリアも、事故の隠ぺいを図るラウラに脅された被害者だと訴えろと説明します。捜査記録ではラウラが精神安定剤を服用したとされています。追い詰められたラウラが、攻撃的に迫ってきたと主張するのです。

しかしこのシナリオで、トンマーゾの逆恨みが犯行動機と説明するには、交通事故の存在の証明する、遺棄した車とダニエルの遺体が必要だとフェラーラは説明します。

フェラーラは湖の地図を差し出し、ドリアに車を遺棄した場所を示せと促します。匿名で通報すればドリアは疑われません。事故現場の目撃者が自分を見たとドリアは指摘しますが、彼女はパウロが今、目撃者に手をうっていると示唆します。

納得したドリアは、フェラーラに渡されたペンで、地図の車を遺棄した場所に印を付けます。ようやく裁判で勝てるシナリオを完成させた彼女は、窓の外を眺めます。

するとドリアは、フェラーラに隠していた事実を話します。車を遺棄する時、死んだと思ったダニエルは生きていました。こうなっては口を封じるしかありません。

彼はダニエルを絞殺し、車と共に遺棄しました。この罪もラウラに背負わせる必要があると言うのです。流石のフェラーラも怒りを露わにし、それは警察の捜査に委ねるしかないと告げます。

完全に罪から逃れる事を要求するドリアに、フェラーラはあなたは嘘ばかり話し、私を利用してきたと告げ、もう一つのシナリオを話します。全ては権力を持つ実業家、アドリアーノ・ドリアが主導して行われた、というシナリオです。

…交通事故を起こした彼は、ラウラに指示して隠蔽を図り車とダニエルの死体を遺棄、ダニエルから奪った財布で身元を確認すると、パウロに彼の横領疑惑を捏造させます。

警察に通報しようとするラウラに黙るよう命じますが、彼女は良心の呵責に耐えかね、その結果精神安定剤を服用する様になります。

ニュースでダニエルの両親が息子を探していると知った彼女は、せめて自分のできる事をしようと、トンマーゾ・エルヴェラ夫妻に連絡します。

夫妻とホテルで会う約束を取り付けたラウラは、ドリアに報告し10万ユーロ用意するよう要求します。ドリアは怒りますが現金を用意し、指定のホテルに向かいます。

彼はラウラがチェックインした部屋に入ります。真実を語る決意のラウラは、ここで老夫婦に全てを話し、せめてもの償いにドリアが用意した10万ユーロを渡すつもりでした。

ドリアが現れると、彼がここに来た証拠を残す意図で「この部屋で全てを話します」とのメールを送るラウラ。それに逆上したドリアは彼女を置物で殴り殺害します。

物音に気づいた宿泊客がその部屋をノックします。逃げる手段がないと悟った彼は、やむなく彼女の遺体に札束を撒き、自分の頭を鏡に叩きつけ、第三者の犯行を装います…。

それが真実なら、ラウラの連絡を受けたダニエルの両親は、なぜ警察に訴えないのかとドリアは尋ねますが、彼らは一度息子の件を警察に訴えたが握り潰され、あなたの力を思い知らされたからだ、と答えるフェラーラ。

フェラーラは窓から見える、向かい側のビルの一室にトンマーゾの姿があると教えます。彼は警察に訴えが退けられた後も、執念を持ってあなたを監視していると教えます。

ラウラにホテルに呼ばれたトンマーゾ夫妻は、連行されるドリアを見て何が起きたか悟ります。その後トンマーゾは何か掴めないかと、ドリアを監視し続けました。彼は顧問弁護士のパウロも、そして私の存在も把握したと伝えます。

ドリアはそれが事実なら、フェラーラに示された、新聞記事の写真に写る従業員姿のエルヴァラは存在しえないと気付きます。指摘すると彼女は、嘘ばかり話すあなたから、真実を引き出す目的で作った合成写真と認めます。これが私の務めだと語るフェラーラ。

彼女が用意した、ラウラに交通事故の罪を着せ、ラウラ殺害の犯人はトンマーゾとするシナリオは裁判で役に立つでしょう。そこに顧問弁護士のパウロから、裁判に向けた工作は上首尾に終わったとの連絡が入ります。

パウロは交通事故の目撃者を見つけ、金を渡し有利な証言をさせる手はずを整えました。

あとは裁判に備えるだけ、と部屋を出るフェラーラに、ドリアは礼を述べます。彼はパウロに電話し、彼女は噂通り有能な人物だと語りますが、胸ポケットのペンがインク漏れを起こしていると気付きます。

ペンは彼がダニエルの遺体を、車と共に遺棄した場所を地図に記した時に、フェラーラから渡された物でした。

フェラーラが残したメモは彼を非難する片言以外、何も書かれていません。ドリアは彼女の誘導で車を遺棄した場所を話しました。それは黙っていれば、絶対に検察に渡らない証拠でした。彼女が語った、苦しみのない救いは無い、との言葉が甦ります。

彼は今までのやり取りを振り返り、渡されたペンを調べます。それには盗聴器が仕込まれていました。ドリアが窓からトンマーゾの部屋を見ると、彼の傍らにフェラーラが立っています。彼女が変装を落すと現れたのは、エルヴェラ夫人の顔でした。

茫然とするドリアの部屋がノックされ、本物のフェラーラ弁護士が現れます。そして証拠を得たトンマーゾは、警察に通報していました。

映画『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者』の感想と評価


(C)2018 Warner Bros.Entertainment Italia S.r.l.- Picomedia S.r.L.

映像で描く“嘘”の積み重ねミステリー

濃厚な会話劇であるこの作品を紹介すると、膨大な文字数になりました。

オリジナルのスペイン映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』を知らなくても、悪役顔のリッカルド・スカマルチョと、訳ありムードを漂うマリア・パイアーロとの対話に、何か仕掛けがあるはずと、誰もが身構えて鑑賞するでしょう。

この2人の会話だけで構成された物語ですが、その告白(嘘であったりする訳ですが)は映像で物語られます。『ユージュアル・サスペクツ』と似た構造ですが、本作が面白のは嘘を用意した人物が、質問や与えられた情報に合わせ、新たな嘘を作る点です。

嘘の物語が画面に描かれると、そこは映像の力、見る者に信ぴょう性を与えます。身構えて映画を見た方も、何が嘘で何が真実か判らない迷宮に墜ちるでしょう。映像が持つ、ミスリードさせる力を再確認させてくれる作品です。

ピースを拾い集めたパズルの様な映画


(C)2018 Warner Bros.Entertainment Italia S.r.l.- Picomedia S.r.L.

映画も後半になると、逃れる側が計算した上で嘘と真実を語る姿と、追求する側は切り札を握りながら、巧みに誘導し追い詰めていたと理解できる、優れた尋問ミステリーだと気付かされるでしょう。

そう理解して振り返ると、嘘による創作の中に真実が隠れていたり、映画のクライマックスへ向けての伏線が張ってあると気付きます。オリジナル映画があったといえ見事な脚本、脚色賞にノミネートされる訳です。

映画を見終え振り返ると、無罪請負人フェラーラを演じたマリア・パイアーロが、微妙に表情を使い分けた熱演がより理解でき、同時にそれがラストへのヒントだと理解できます。

これから本作を見る方は、彼女の表情や態度に注目して鑑賞すると、より深く楽しめること間違いありません。

まとめ


(C)2018 Warner Bros.Entertainment Italia S.r.l.- Picomedia S.r.L.

サスペンス映画といっても、奇抜すぎる設定や後出しで状況を加え、安易に“どんでん返し”や“衝撃のラスト”を用意する作品も多数あります。

しかし『インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者 』は、仕掛けは全て会話の中、および会話が生んだ物語の中に潜んでいます。それを意識すれば、本作が上質のミステリーであったかを実感できるでしょう。

嘘は嘘で誤魔化せると信じている方、この映画を見た上で、しっかり反省するように。

次回の「未体験ゾーンの映画たち2020見破録」は…


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次回の第10回は中国の秘境冒険大活劇映画『トレジャー・オブ・ムージン 天空城の秘宝』を紹介いたします。

お楽しみに。

【連載コラム】『未体験ゾーンの映画たち2020見破録』記事一覧はこちら


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