新キャラクターはだれが演じる? キャスティングを大胆予想!
2020年に公開された映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』以降も映像化が期待される大人気コミック『鬼滅の刃』を考察する連載コラム「鬼滅の刃全集中の考察」。
第2回からは、「無限列車編」以降の原作コミックの物語に登場する新キャラクターのキャスティングを予想していきます。
主要キャラクターはおろか、物語序盤で炭治郎が遭遇する鬼役もベテラン声優を惜しみなく起用し話題になった『鬼滅の刃』。「無限列車編」以降も、炭治郎は上弦の鬼達とさらに激闘を繰り広げる事となり、対峙する鬼にはこれまで以上に多くの人気声優やレジェンド声優がキャスティングされるでしょう。
今回は、原作コミックの「吉原遊郭編」にて登場する兄妹の鬼・堕姫(だき)と妓夫太郎(ぎゅうたろう)をキャラクターの特徴や性格から、キャスティングが期待される声優の演技の傾向などと照らし合わせ予想していきます。
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傲慢と残忍が醸し出す妖艶さと幼さ:堕姫を演じるのは?
上弦の陸である堕姫は花街・吉原の遊女・蕨姫(わらびひめ)として世を忍んでいます。原作では妖艶な美女として描かれており、鬼でありながら『鬼滅の刃』において最も美しいキャラクターと言っても過言ではありません。
しかしその性格は傲慢で、自分の思い通りにならないことを嫌い、仮の姿である遊女としてでさえも傍若無人なふるまいで遊郭の人々から恐れられています。その反面、兄であり、真の上弦の陸である鬼・妓夫太郎の前では素の性格をさらけ出し、子供のように泣きじゃくると言う意外な一面も見られます。
激しいギャップによる演じ分けが極めて難しいように感じられる堕姫。どんな声優がマッチするのでしょうか?
候補1:沢城みゆき/確かな演技力による「妖艶さ」に期待
これまで多くの作品に出演し、人気声優としての地位を確かなものにしている沢城みゆきは「物語」シリーズの神原駿河役、『HUNTER×HUNTER』クラピカ役などで知られています。
演技力に定評がある彼女ですが、『ソードアート・オンラインⅡ』では心の中に抱えるトラウマを隠し、気高く振る舞う孤高のスナイパー・シノンを見事に演じています。とりわけ、シノンが狙撃するためライフルを構える場面において、高揚する戦意や、心に忍び寄る恐怖を息遣いで表現していた事から、沢城みゆきの演技力に定評がある理由がうかがえます。
また近年彼女の代名詞となっているのが、2011年から務めている「ルパン三世」シリーズの峰不二子役。日本アニメ界において「絶世の美女」として長く語り継がれる不二子を見事に演じ、新規のファンを開拓するとともに往年のファンも舌を巻く艶やかさをみせています。
ここでも、不二子が“女の武器”として意図して見せる艶やかさと不意に不二子が見せる彼女自身の魅力としての艶やかさを見事に表現しています。
そんな高い演技力を持つ沢城みゆきならば、堕姫が内包する複雑な心境をセリフのみならず吐息や息遣いで随所に表現し、その時々の艶めかしさを感じさせる演技が期待できるのではないでしょうか?
候補2:林原めぐみ/わずかな声色に残忍さを潜ませる
声優のみならずラジオパーソナリティやアーティスト、作詞家やエッセイストとして幅広く活躍する林原めぐみは、これまで多くの人気作に出演。高い演技力が評価され、人気声優としての地位を確立してきました。
「スレイヤーズ」シリーズのリナ=インバース役のような活発なキャラクターから、「ポケットモンスター」シリーズのムサシ役といったコミカルなキャラクターまで見事にこなしてきた林原めぐみですが、彼女の代表作として多くの人が思い浮かべるのが『新世紀エヴァンゲリオン』で綾波レイ役を演じた事でしょう。
一切の感情を感じさせない綾波レイを抑揚のない演技で表現しつつ、その出自ゆえの人間性の欠如や盲目的に命令に従う歪さを、機械的な無機質な声色で演じています。
一方物語が進むにつれ、僅かに芽生える人間性を微かに見せる機微など、非常に難しい役どころを演じきった林原めぐみの名演は『新世紀エヴァンゲリオン』を未だ衰えることのない人気を誇る作品にした一役を担っているのは間違いがありません。
林原めぐみならば、堕姫の遊女として世を忍びながらも、鬼としての残忍な面が滲み出る様子を持ち前の演技力で表現し、寒々しさすら覚える冷酷な面を声色の変化で見事に表現できるのではないでしょうか?
候補3:三石琴乃/かけ離れた二面性を表現してきた実績
声優のみならず舞台女優としても活躍する三石琴乃ですが、これまで様々な作品に出演、確かな演技力で存在感を発揮し、いまや声優界のレジェンド入りしていると言っても過言ではありません。
そんな彼女を語るうえで『美少女戦士セーラームーン』の月野うさぎ役、「エヴァンゲリオン」シリーズの葛城ミサト役を演じた実績を避けて通ることはできません。
『美少女戦士セーラームーン』では、月野うさぎがセーラームーンとして過酷な戦いに身を投じ、成長していく様子をシリーズを通して演じていました。普段おっちょこちょいなうさぎが、ここぞという時に見せる大人びたセリフにドキリとさせられた方も多いのではないでしょうか?
一方、『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサトは普段はだらしない面が目立ちながらも、軍人として、指揮官として凛とした表情を見せることも多くありました。また主人公・碇シンジに対し、上官として厳しく接しながらも、姉代わりの存在としての優しさ、一人の女性としての甘さを見せる非常に複雑なキャラクターを演じきっています。
そんな二面性を持つキャラクターを演じてきた実績を持つ三石琴乃なら、堕姫が見せる傲慢さや残忍さ、バトルシーンでの苛烈さ、そして妓夫太郎の前で見せる少女のような幼さを見事に演じてくれるのではないでしょうか?
心まで醜くなってしまった嫉妬の鬼:妓夫太郎を演じるのは?
堕姫の実の兄にして、真の上弦の陸である妓夫太郎。
人間時代には生まれついての醜い容姿から人々に迫害され、世の中を恨み生きていたと言う過去を持つ妓夫太郎。それゆえに心を歪めてしまい、逆恨みともいえる理不尽な嫉妬心をもって、炭治郎達に襲い掛かります。
様々な負の感情を内包し、猛り狂う妓夫太郎を表現するには高い演技力が求められそうです。果たして、どんな声優が演じるのでしょうか?
候補1:津田健次郎/低音が生み出すミステリアス
近年では『スター・ウォーズ フォースの覚醒』からの三部作でアダム・ドライバー演じるカイロ・レンの日本語吹き替えキャストを務めた事でも脚光を浴びている津田健次郎。特徴的な低音を変幻自在に操り、クールな青年から穏やかな少年、はたまた気性の激しい中年まで様々な役柄を演じています。
中でも、津田健次郎の出世作となり以降のシリーズでも演じ続けている『遊☆戯☆王 デュエルモンスターズ』の海馬瀬人役は、まさに彼が培ってきた様々な演技が詰め込まれているといっても過言ではありません。
例えば、抑揚のない声色から感じさせる冷静沈着な様子や、海馬の弟・モクバの前で見せる兄の優しさを感じさせる穏やかな演技。さりとて、激しいバトルの最中、垣間見える激高とも言える高揚した演技、そのすべてを内包する海馬を表現した津田健次郎の演技力は彼が人気声優の座を手に入れるのは必然だったのではないでしょうか?
そんな海馬は力強い言動や深い思考から見せる一見、不可解な行動は津田健次郎の名演も相まって、ミステリアスに感じられます。
このミステリアスを感じさせる津田健次郎の演技は、堕姫との戦いの最中で唐突に出現し、始終得体の知れなさを感じさせる妓夫太郎にピッタリではないでしょうか?
候補2:神谷浩史/嫉妬と狂気を内包した演技
「夏目友人帳」シリーズで穏やかながら、芯の強さを持つ主人公・夏目貴志役を演じ、『機動戦士ガンダムOO』では冷静沈着でありながら熱い闘志を滾らせたティエリア・アーデ役を熱演。はたまた『進撃の巨人』では、低音を響かせる圧倒的迫力でリヴァイ役を演じ、人気声優としての地位を築いてきた神谷浩史。
また意外にも、神谷浩史は悪役も数多く演じています。中でも多くのアニメファンが思い浮かべるのは、「Fate/Stay night」シリーズの間桐慎二役ではないでしょうか。
この慎二の劇中での役どころは言ってしまえば「やられ役」になるわけですが、どのシリーズ作品でも強烈な印象を残し、物語のスパイスになっていると言っても過言ではありません。その要因として、慎二がもつコンプレックスからの劣等感と高すぎる自尊心が醸し出す、清々しいまでの悪役感を神谷浩史の演技力により表現していたことにあるのでは無いでしょうか?
また、スピンオフ作品にあたる『劇場版 Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』で慎二と思しきキャラクターを演じた際は精神崩壊により常軌を逸し、狂気の限りを尽くした演技を見せています。そんな神谷浩史ならば、嫉妬と狂気にかられる妓夫太郎を見事演じきってくれるのではないでしょうか?
候補3:小野大輔/負の感情をセリフ以外にも宿らせる
“小野D”の愛称で知られる小野大輔は20年を超えるキャリアの中で多くの作品に参加し、その演技力を磨いてきました。
『涼宮ハルヒの憂鬱』ではさわやかな少年・古泉樹役を演じ、『宇宙戦艦ヤマト2199』では主人公・古代進役を時に冷静に、時に熱く演じています。近年では「おそ松さん」シリーズにおいてマッドながらもお茶目さを漂わせる十四松役をコミカルに演じて話題を呼びました。
しかし「小野大輔」と聞いて多くの方が最初に思い出すのは、『ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダーズ』で演じた主人公・空条承太郎ではないでしょうか?
自身もジョジョファンであると公言するだけあり、シリーズきっての人気キャラクター・承太郎を渾身の演技で承太郎を表現した小野大輔。中でも、持ち前のハスキーボイスから繰り出される「オラオラ」には原作ファンすらも感服しました。また、この「オラオラ」は劇中に多く登場するわけですが、その場その場で承太郎が抱える感情を見事に表現した演じ分けも見事と言えます。
他作品においても、擬音語や掛け声などのセリフ以外でキャラクターを表現する小野大輔。妓夫太郎の口癖、「~なぁあ」に様々な感情を乗せた演技が期待されます。
まとめ/次回の『鬼滅の刃全集中の考察』は……
本記事にて取り上げた、「吉原遊郭編」堕姫・妓夫太郎のキャスティング予想。
堕姫と妓夫太郎の兄妹はともに抱える闇が深く、個性も気性の起伏も激しいキャラクターであるため、演じる声優にもかなりの演技力が求められる事が予想されます。
いったい誰がこの二人を演じるのか。今からキャスティングが楽しみです。
次回の連載コラム「鬼滅の刃全集中の考察」では引き続き、新キャラクターキャスティング予想(玉壺・半天狗編)をお届けします。