連載コラム「SF恐怖映画という名の観覧車」profile116
「バットマン」や「スーパーマン」、そして近年では「アベンジャーズ」シリーズなど漫画の中だけでなく映画界でも長年、超能力を持った「ヒーロー」は愛され、憧れの対象となっています。
そんな「ヒーロー」の絶対条件である「超能力」を誰でも簡単に引き出すことが出来たら、あなたならそれが違法であっても試してしまうでしょうか。
今回は超能力を引き出す違法薬物「パワー」を巡る騒動を描いたNetflix独占配信映画『プロジェクト・パワー』(2020)をネタバレあらすじを含めご紹介させていただきます。
映画「プロジェクト・パワー」は8 月14 日(金)より独占配信開始!
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映画『プロジェクト・パワー』の作品情報
【日本公開】
2020年(NETFLIX独占配信映画)
【原題】
Project Power
【監督】
アリエル・シュルマン、ヘンリー・ジュースト
【キャスト】
ジェイミー・フォックス、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ドミニク・フィッシュバック、ロドリゴ・サントロ、エイミー・ランデッカー、マシン・ガン・ケリー
【作品概要】
2021年公開予定の『ザ・バットマン(原題)』(2021)の脚本を担当予定のマットソン・トムリンのプロットを『パラノーマル・アクティビティ3』(2011)のアリエル・シュルマンとヘンリー・ジューストが映像化した作品。
『Ray/レイ』(2005)でアカデミー主演男優賞の受賞歴を持つジェイミー・フォックスが主演を務め、共演に『(500)日のサマー』(2010)で知られるジョセフ・ゴードン=レヴィットが出演しました。
映画『プロジェクト・パワー』のあらすじとネタバレ
ニューオリンズの港に運び込まれた「パワー」と呼ばれる薬物をビギーは街のゴロツキのニュートに無料配布し、街で売り捌くように言います。
6週間後、街では車を持ち上げる暴漢や尋常じゃない速度で走る人間など異常な通報が相次いでいました。
パワーと呼ばれる薬物は5分間、人の身体に眠った未知の能力を引き出す力があり、NOPD(ニューオリンズ市警)のフランクはパワーを使う犯罪に対抗するため売人の少女ロビンからパワーを購入すると同時に流通の捜査を進めていました。
さらわれた娘を探す元軍人のアートは、手掛かりを探すべくニュートの住むウッドミアの団地に押し入りニュートから情報を得ようとしていました。
アートを恐れるニュートはパワーを飲み、全身が燃焼し始めると同時にとてつもない力でアートを襲撃。
全身の燃焼が力の源であることを見抜いたアートはニュートを風呂場へ沈め、パワーの供給源が「ビギー」という人物であることを聞き出します。
直後、ニュートはパワーを過剰に摂取しすぎていたことにより爆死してしまいます。
ニュートの従姉妹であるロビンはニュートからパワーを入手していました。
ニュートのスマホを盗んでいたアートはニュートのフリをしてロビンと連絡を取り、会う予定を取り付けます。
銀行への立て籠り事件の現場を訪れたフランクは、突入できない現状とNOPDが主権から外されたことを知り、誰も見ていない搬入口からパワーを飲み侵入。
銀行内で犯人と対峙したフランクは犯人もパワーを飲んでいることを知ります。
パワーは人によって引き出される能力が異なり、銀行襲撃犯は周りの物と自身を同化させる能力を持っており、その能力で警察の包囲網をくぐり抜け逃走。
犯人を追うフランクは犯人に追いつくことに成功しますが、犯人に銃を奪われ頭を撃たれてしまいます。
硬質化の能力を持っていたフランクは銃撃では死亡せず、油断していた犯人を取り押さえることに成功。
しかし、パワーを飲んでいることを警部に知られたフランクは法を犯す捜査をしてはならないと釘を刺されますが、パワーを街から無くし街を救いたいと言うフランクの気持ちが本物であることを知ると、警部はアートの顔写真を見せその人物が売人であるとフランクに言い捜査の継続を許します。
ニュートを装いロビンを呼び出したアートはロビンを誘拐し、ニュートが不在の際のパワーの供給源に合わせることを求めます。
断ればロビンの母親ごと殺害すると言うアートに恐怖を覚えるロビンは、アートを供給源に連れていく最中にフランクにメールで助けを求めました。
その頃、ビギーはさらなるパワーの流通拡大を目指すため、麻薬の流通を支配する人物と掛け合っていました。
ロビンの案内でパワーの流通を行うスーパーにやってきたアートはパワーの流通を行う組織の人間を殺害。
スーパーの事務所でアートは、パワーには飲んだ人間の居場所を特定するチップが入っており、この組織は政府の認可が降りなかったパワーを世間に配り実験を行っていたとロビンに解説します。
その現場とアートから逃げようとするロビンでしたが、アートが誘拐された娘を探しているだけと知り、ロビンは失血で気を失ったアートを動物病院に連れて行き治療を始めます。
一方、ロビンの家を訪ねたフランクはロビンの母親が警察と名乗る男に脅されている現場を目撃します。
同居人と嘘をつき家に乗り込んだフランクは、警察と名乗る男たちがバッジを見せず所属も言わないことを確認すると追い払い、彼らの乗る車にロビンの母親のスマホを取り付けます。
ロビンの治療によって目を覚ましたアートはロビンが売人をやっていることを批難し、彼女の持つラッパーとしての才能を見出し褒め称えます。
スーパーの事務所で確認した場所を目指すことにするアートは1人で行こうとしますが、事件への介入を求めるロビンが半ば無理やりついてくることになります。
アートはテレイオスと言う軍需企業がこの事件の黒幕でありパワーの開発元であることをロビンに話します。
元々テレイオスの特殊部隊の人間であるアートは超人を作る計画の一部となり放射能を多量に浴びたことで飛躍的に力が増していました。
その後にできた娘のトレイシーはアートの浴びていた多量の放射線の影響で、パワーを飲まずとも力を引き出すことができ、そのことを知ったテレイオスの人間にさらわれていたのでした。
目的地の銀行の裏側にテレイオスのアジトがあることを悟ったアートはアジトに1人で乗り込みます。
一方、車に貼り付けたスマホの位置から銀行の場所にたどり着いたフランクは外で待機するロビンからアートの話を聞きます。
商談中のビギーを襲い、商談相手との仲間割れを起こさせたアートはビギー以外の全員を殺害すると、ビギーから娘を拐った人間が「ジェネシス」と言うテレイオスの船に乗っていることを聞き出しますが、現場に駆けつけたフランクによって逮捕されてしまいます。
大人しく逮捕されるアートと、話しを聞き入れずアートを逮捕するフランクに呆れるロビンは、アートが写真でロビンに見せていた「娘をさらった男」を騒動のさなかに見つけてバイクで追跡します。
アートをパトカーに乗せて連行するフランクはアートからある話をされます。
映画『プロジェクト・パワー』の感想と評価
飲むことによって5分間だけ自身に眠る超能力を目覚めさせることの出来る違法薬物「パワー」。
本作『プロジェクト・パワー』は違法薬物を巡る「麻薬捜査モノ」と「スーパーヒーロー映画」という2つのジャンルを足したことで魅力に富んだ作品となっていました。
飲むことによって能力が発現する「パワー」は、時に身体を発火させたり、時に身体を大きく膨張させたりと見た目的にも多種多様であり、「どんな能力が出てくるのか」と言うワクワクが常に存在します。
そんな「スーパーヒーロー映画」の魅力を持った作品である本作ですが、実は「麻薬捜査モノ」としても深いメッセージ性を残しています。
スラム街で生まれ育ちラッパーとしての才能がある少女ロビンですが、勉強が出来ず裕福でないことから違法薬物の売人に手を染め始めます。
未だ根強く存在する「貧困層出身の黒人女性の生き難さ」を真正面から描く本作は、薬によって引き出される紛い物の「パワー」ではなく、自身の真の「才能(パワー)」をどう活かすべきなのかを教えてくれるようなメッセージ性を持つ作品でした。
まとめ
誘拐された娘をどんな手を使っても助け出そうとするアートを演じるジェイミー・フォックスと、薬物の元を絶つため自ら薬物に手を染める刑事フランクを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィット。
熱い信念を灯す2人の演技も魅力的な『プロジェクト・パワー』は8月14日(金)より映像配信サービス「Netflix」で独占配信中。
今夏きってのスーパーヒーロー映画をぜひご家庭で鑑賞してみてください。
次回の「SF恐怖映画という名の観覧車」は…
いかがでしたか。
次回のprofile117では、一大ブームとなったアニメ「ガールズ&パンツァー」シリーズを手掛けた水島努監督が製作した空中戦アニメの総集編映画『荒野のコトブキ飛行隊 完全版』(2020)の魅力をたっぷりとご紹介させていただきます。
8月26日(水)の掲載をお楽しみに!